個人が車を利用する場合、以前なら新車か中古車を購入することがほとんどでした。しかし最近では車の利用方法は多様化し、車を年数単位で長期的に賃貸する「リース」や数時間から数日単位で借りる「レンタカー」などが登場しました。
そんな中において、最近急成長しているのが「カーシェア」という利用方法。カーシェアとはどんなものなのでしょうか?しくみや特徴、利用方法などを解説し、お得に利用することができるのかをお伝えしていきます。
目次
カーシェアとは
カーシェアとは、読んで字のごとく「車を共有する」ことです。1台の車を複数の人で共有して使うというスタイル。共有する車はカーシェア会社が管理していて、事前に会員登録を行った会員たちで車を共同で使用します。
車を借りるというスタイルはレンタカーと似ていますが、レンタカーよりも短時間の車利用をしたい人をターゲットにしており、利用方法もレンタカーより気軽な面があります。気軽に、安く、短時間だけ車を利用したい人にとってカーシェアは便利な存在。
とくに都会の人は、公共交通機関が発達しているので車に乗る機会が少なくなっています。それなのに車を持つと駐車場代や税金、保険代など多くの維持費を支払うのは非効率です。月に数回や、ちょっと1時間だけ車を使いたいという都会の人などにはとても便利で経済的なため、人気が出てきています。
カーシェアの特徴
利用期間
15分という分単位での利用が可能。また区切りも15分や30分という短時間のため、30分だけや45分という利用も当然可能です。カーシェアは基本的に、短時間での利用者を対象にしており、便利に安く利用できるような利用期間を設定しています。ちなみに最大の利用時間は72時間(3日間)になっています。
料金体系
会員になるための入会金、月額基本料金、時間あたりの利用料金、走行距離あたりの利用料金で構成されています。
税金や保険代
車を所有すると、毎年支払う自動車税や2年ごとの車検時に支払う自動車重量税、そして自賠責保険と任意保険と呼ばれる自動車保険は、所有者が別途支払っていかなくてはいけません。
カーシェアでは、これらの税金や保険は全て利用料金に含まれているため、別途支払う必要はありません。安い利用料金で全てまかなうことができるのです。
メンテナンス費用
オイル交換をはじめタイヤ交換やブレーキパッド交換など、消耗品の交換を含む定期的な車のメンテナンスは、カーシェア会社で全て行われています。そのためカーシェアの利用者はメンテナンス費用を別途支払う必要はありません。当然、メンテナンスを行う必要もありません。
ガソリン代や駐車場代
マイカーはもちろん、カーリースやレンタカーでも使った分だけ自己負担になるガソリン代ですが、カーシェアならガソリン代も利用料金に含まれているので、自己負担する必要はありません。利用した車のガソリン残量が一定量より少なくなった場合、給油をしなければいけませんが、カーシェア会社のカードを使って給油するので、ガソリン代を払う必要はありません。
自宅に駐車場が無い場合、マイカーやカーリースなら別途駐車場を借りなければなりません。しかしカーシェアの車は、カーシェア会社の営業所やコインパーキングに駐車されており利用し終われば、またその場所へ返すので駐車場を用意して駐車場代を支払う必要もありません。
選択できる車種
カーシェアの車は、ステーションと呼ばれるホテルや宿泊施設の駐車場、そしてコインパーキングに数台しか用意されていません。また車種は軽自動車やコンパクトカーがメインのため、車種は限られてしまいます。しかしカーシェア会社によっては、ミニバンやSUVなど車種を豊富にそろえているところもあります。
ナンバープレート
カーシェアの車は、貸渡用車両となるためナンバープレートは「わ」ナンバーとなります。知っている人に見られたら「借り物の車」と気づかれますが、気にしなければ問題ありません。
カーシェアの利用方法
入会
まずは利用したいカーシェア会社に入会します。入会方法は、パソコンやスマートフォンを使ってインターネットで入会するのが一般的です。その他には、郵送やステーションでの直接入会、説明会に参加しての入会などがあります。郵送なら2週間ほどで、インターネットなどなら1週間ほどでICカードが届きます。
予約
カーシェアの車を利用したい場合、必ず予約を入れなければいけません。これは当日に利用したい場合でも、今すぐ利用したい場合でも必要です。予約はパソコンかスマートフォンから専用サイト、もしくはスマートフォンアプリからログインして行います。
解除・出庫
予約した時間までに予約したカーシェアのステーションへ行き、ICカードを車にかざしてドアの鍵を解除します。ICカードをかざす位置は車種によって違いますが、だいたいはサイドかリアのウインドウに設定されています。
乗車したら助手席のグローブボックスを開けて、中にあるキーボックスを開けて車のキーを取り出しましょう。ゲート式のステーションの場合、運転席側のサンバイザーか助手席側のグローブボックスに無料で出られる駐車券があります。それを使ってゲートを開けて出庫です。
運転
運転中の注意点がいくつかあります。
- 車内は禁煙。他の会員も利用するためです。
- 運転できるのは会員の人のみ。もし事故などを起こした場合、補償がされません。
- ペットの同乗は禁止です。他の会員も利用するためです。
- ドアの施錠は車のキーで。ICカードをかざしてのロックはNGです。
などです。
延長
やむを得ない理由で予定時間に車を返却できない場合は、必ず返却時間までに延長の連絡を入れましょう。他の会員が予約を入れてなければ延長可能です。延長の手続きは、車載されているカーナビやウェブサイト、スマートフォンアプリから行います。
もし返却時間を過ぎてから延長となった場合、延長料金は倍になります。また利用者自身での変更はできません。カーシェア会社へ電話して依頼します。
給油や洗車
ガソリンが半分や1/3まで減った場合、給油をお願いされます。ガソリン代は運転席側のサンバイザーに給油カードがありますので現金を用意して立替える必要はありません。カーシェア会社によっては水洗い洗車をお願いするところもあります。給油や洗車を行うと15分~60分の料金割引を受けることができます。
返却
元のステーションに車を戻します。忘れ物やゴミなどの車内点検をしてから、ICカードで車を施錠します。返却の手続きは、だいたい10分以内に行うルールになっていますので、気を付けましょう。
支払い
支払いは登録しているクレジットカードから支払われます。利用料金の明細は、会員ページにログインすれば確認することができます。
カーシェア利用時にかかる料金
初期費用
カーシェアを利用するためには、必ず会員になる必要があります。入会金と呼ばれる初期費用が掛かります。費用はカーシェア会社によって異なりますが、1,050円~1,650円ほどかかります。中には初期費用無料のカーシェア会社もあります。
この初期費用は、ICカードの発行手数料に充てられていることがほとんどです。このICカードがカーシェアの車のドアを開ける鍵になっているからです。
月額基本料金
カーシェアの車を利用しても利用しなくても、毎月必ずかかる基本料金です。料金はカーシェア会社やプランによって異なりますが、だいたい880円~2,100円ほどです。学生や一定のポイントを獲得している会員なら、月額基本料金を無料にしているカーシェア会社もあります。
また月額基本料金を利用料金に使えるようにして、カーシェアの車を月額基本料金以上に利用すれば、実質的に月額基本料金を無料にしているカーシェア会社もあります。
時間あたりの利用料金
カーシェアの車を利用したときにかかる料金です。実際に利用した時間に応じて料金が発生します。利用時間単位は15分毎や30分毎などカーシェア会社によって様々です。ちなみに15分毎の利用料金は、170円~440円ほどです。
走行距離あたりの利用料金
カーシェアの車を実際に利用した時間あたりの利用料金とは別に、走行した距離に対してかかる料金です。1km毎に11円~20円ほどの料金設定になっています。
つまりカーシェアの車を利用した場合は、時間料金と距離料金を合計した金額が実際にかかる料金となります。中には、距離に対する利用料金を無料にしているカーシェア会社もあります。
パック料金
カーシェアの車を長時間利用する場合に、普通に利用するよりも割引されお得になるのがパックの料金です。パック料金はカーシェア会社によって異なりますが、6時間パック、12時間パック、24時間パックなどがあり、最大で72時間まであります。
またカーシェア会社によっては、利用者が少ない深夜などの時間帯に限って格安で利用できる夜間パックも用意しています。6時間パックで比較すると、通常のパック料金に対して夜間パックは30%~40%ほど安くなります。
カーシェアの利用料金例
カーシェアを利用するには、月額基本料金というものがありますので、1カ月利用した場合の利用料金例をお伝えします。実際の利用料金は、利用頻度、利用時間、利用距離によって変わりますが、買い物などで週に1回、2時間利用の場合、おおよそ以下のような利用料金になります。
- 月額基本料金:880円
- 時間料金:220円×4×2時間×4回=7,040円(220円/15分の場合)
- 距離料金:16円×10km×4回=640円
1カ月の利用料金は、880円+7,040円+640円=8,560円 となります。
毎月1万円以下の費用なら、マイカー購入やカーリース、レンタカーと比較しても、カーシェアが圧倒的に安いことがわかりました。
まとめ
カーシェアは、乗れる車の車種が限られたり、ステーションまで自分で出向かないといけませんが、たまに短時間だけ車を利用する人にとっては、とてもリーズナブルなことがわかりました。
カーシェアのステーションが近くにある人なら、カーシェアの利用はとても便利で経済的にも大きなメリットをもたらしてくれるでしょう。