<ホンダS2000>は販売停止からしばらく経ちますが、その強い個性から今でも中古車市場で人気の衰えない車種です。
今回の記事では「業者がS2000の買取価格を決めるポイント」と「S2000を高く買取査定してもらうための5つ」のコツをお伝えします。
目次
S2000の特徴
S2000はどんな特徴をもっているのかをご紹介します。
9000回転まで回るVTECエンジン搭載
S2000に搭載されたパワーユニットは「F20C型」と呼ばれる2.0L 直列4気筒 DOHC VTEC NA(自然吸気)エンジンです。F20Cエンジンの大きな特徴は9000回転まで回る、まるでF1エンジンのような超高回転型エンジンです。まさに走りを楽しむスポーツカーらしいパワーユニットです。
しかし、F20Cは高回転エンジンゆえにピーキーな特性となり、街乗りなどの日常使用では少々扱いにくいエンジンでした。そのため、2005年のマイナーチェンジでパワーユニットは「F22C型」に変更されました。排気量が0.2L大きくなり、最大出力と最大トルクが発生する回転数を下げ、扱いやすいエンジンとなりました。
生産終了してもいまだ人気のスポーツカー
S2000は1999年4月に発売され、2009年の6月に生産が終了しました。マイナーチェンジをくり返しながらも、実に10年間も生産され続けました。
一般的な車種ではだいたい4年~6年ほどでフルモデルチェンジしていくことと比較すれば、S2000はどれだけ長きにわたり人気があったスポーツカーなのかが読みとれます。そしてS2000は、生産終了から約10年が経過した今でも人気が衰えることがない、究極のスポーツカーです。
S2000の買取価格を左右する基本情報
S2000の買取価格を左右する基本情報は以下になります。
年式
S2000は1999年に発売され、2009年に生産終了となりました。よっての年式は1999年~2009年まで存在します。同じS2000であっても発売当初の1999年式と生産終了間際の2009年式では、じつに10年の差があるため買取価格は大きく変わってきます。一般的には、年式が新しいほど買取価格は高くなります。
走行距離
S2000は、オープンタイプの2ドア2シーターの純粋なスポーツカーになります。そのため、長距離ドライブや旅行などには向きません。そのため、一般的な車に比べて走行距離は少なめな傾向にあります。しかし、スポーツカーのために、一般的な車よりもハードな走行をしている傾向にあります。
グレード
S2000が発売されていた約10年間の間には、多数のグレードが発売されました。S2000の具体的なグレードを以下にご紹介します。ミッションは6速MT、2ドア2シーター、FR駆動、ソフトトップ採用のオープンカーという部分は共通しています。
1999年4月発売モデル
発売当初は「ベースグレード」と呼ばれるもののみでした。当時の新車価格は3,380,000円。
2000年7月発売モデル
発売から1年ほど経過した2000年7月には「タイプV」が追加されました。当時の新車価格は3,560,000円とベースグレードよりも180,000円高い設定でした。タイプVの特徴は、VGSと呼ばれる「可変ギアレシオステアリング」を標準装備している点です。タイプVの「V」はVGSのVから名づけられています。
VGSの特徴は、可変ギアを使い、低速ではクイックに、速度が上がるにつれて陀角が大きくなるようになっています。低速ではステアリングを持ちかえることなく目いっぱいの陀角が得られるため、スポーツ走行に向いていました。ステアリングは「D型」が採用され、見た目にもレーシーな雰囲気を味わえるます。また、サスペンションやスタビライザーを従来よりも柔らかく変更されました。
2001年9月発売モデル
グレードの種類は「ベースグレード」と「タイプV」の2種類に変更はありませんが、初のマイナーチェンジとなり、多くの改良がされました。当時の新車価格はベースグレードが3,430,000円、タイプVは3,610,000円。主な変更箇所は以下になります。
- タイマー付き熱線入りリアスクリーン
- 内装と外装に新色追加
- カスタムカラープランの導入(内装5色、外装13色、幌2色から組合わせが選択可)
- エンジンフィール向上
- サスペンションのセッティング見直し(よりマイルドに)
- ウインドディフレクターを標準装備
- フットレストをアルミ製
- 本革巻きシフトノブ
- センタートンネルのカーペット生地変更(毛玉になりにくい素材)
2002年10月発売モデル
「ジオーレ」と呼ばれる特別仕様車を追加販売しました。ジオーレは、ベースグレード、タイプVともに設定され、ゴールドピンストライプ付専用ボディーカラーに、専用タン内装を組合わせ、内装と外装をさらに充実させたモデルです。当時の新車価格はベースグレードが3,680,000円、タイプVは3,860,000円。
2003年10月発売モデル
2度目のマイナーチェンジモデルです。グレードは変わらずベースグレードとタイプVの2種類です。当時の新車価格はベースグレードが3,500,000円、タイプVは3,700,000円。主な変更点は以下になります。
- フロントバンパーのダクト位置変更(両サイドから中央寄りへ)
- ヘッドライトデザイン
- テールライトにLED採用
- 17インチホイール採用
- ボディ剛性強化
- サスペンションセッティング見直し(安定性向上、よりマイルドになる)
- トランスミッションにカーボンシンクロナイザー採用(シフトフィーリング改善)
2005年11月発売モデル
3度目のマイナーチェンジモデルです。このモデルからパワーユニットが大きく変更されました。このモデルから形式名が「AP2」となります。当時の新車価格はベースグレードが3,780,000円、タイプVは3,990,000円。主な変更点は以下になります。
- 形式(AP1からAP2)
- エンジン排気量大型化(2.0Lから2.2L)
- エンジン最高出力(250PSから242PS)
- エンジン許容回転数(9,000rpmから8,000rpm)
- 低中速トルク向上(22.2kgf·m/7,500rpmから22.50kgf·m/6,500-7,500rpm)
- DBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)新採用(リニアで自然なアクセルフィールを実現)
- ホイールデザイン変更
- メーターに時計、外気温表示追加
2007年10月発売モデル
AP2型になってから、初のマイナーチェンジモデルです。このモデルは2008年モデルとして売り出されました。タイプVが廃止され、変わってタイプSが追加されました。タイプSは、日常で使用するワインディング走行を重視したモデルで、空力面とサスペンションセッティングを見直し、ベースグレードよりも高速域での安定性と操縦性が向上しています。
このマイナーチェンジで、ABSとTCSに加え、横滑りを制御するシステムを持つ「VSA」という電子制御システムが採用されました。S2000としては初の電子制御システム採用となります。また、このモデルがS2000にとって最終モデルとなります。当時の新車価格はベースグレードが3,864,000円、タイプSは3,990,000円。
S2000の買取価格はどれくらい?
実際のS2000の買取価格はどれくらいなのでしょうか。調べたところ、およそ600,000円~3,500,000円という感じです。S2000という同じ車名の車でも、これだけ買取価格に違いが出るのは以下の条件に左右されているためです。
走行距離で買取価格が異なる
走行距離は、S2000の買取価格に大きな影響を与えます。いくら外装や内装がキレイでも、走行距離が多くなると買取価格は下がってしまいます。走行距離が多くなると買取価格が下がる理由は、走行距離に比例してエンジンや足回りを中心に車自体が劣化し、部品交換する箇所も多くなり、場合によっては修理の必要が出てくるためです。
車の状態で買取価格が異なる
S2000の買取査定では、車の状態をチェックされるポイントがたくさんあります。具体的にチェックされるポイントは以下になります。
外装のチェック
- ボディの汚れ
- ボディの凹みやキズ
- 鍵穴やドアノブ周辺のひっかきキズ
- ランプ類
- アンテナ
- ドアやウインドウの可動部の動き
- ガラス類
- 幌の状態
内装のチェック
- 内装全般の汚れ
- シートの汚れや破れ
- フロアーマットの汚れや有無
- トランクルームの汚れ
- 喫煙の有無
- カーナビ、オーディオ、スピーカーなどの状態や有無
- ハンドルやメーター類
エンジンルームのチェック
- エンジンの状態(オイル漏れなど)
- バッテリーの劣化状態
- 改造パーツの有無
- 修復歴の有無
シャシーのチェック
- 修復歴の有無
- タイヤやホイールの劣化状態
- サスペンションなどの足回りの状態
- オイル漏れやにじみ
- 各部の凹みやキズ、サビや汚れなどの状態
買取査定でチェックされるポイントが、新車に近い状態であるほど買取価格は高くなります。
年式やグレードにより買取価格が異なる
S2000の年式は1999年~2009年まであり、グレードは「ベースグレード」「タイプV」「タイプS」そして特別仕様車の「ジオーレ」があります。
年式は新しいほど、グレードは新車価格が高いほど買取価格も高くなる可能性があります。調べたところ(2019年1月現在)、最終年式の2009年式、ハイグレードの「タイプS」で買取価格がおよそ3,500,000円となっていました。
買取に出す時期で買取価格が異なる
S2000は、一般的な車よりもさらに買取に出す時期に影響されます。その理由は「オープンカー」だからです。幌があるとはいえ、一般的なハードトップ(屋根あり)の車に比べて夏は暑く、冬は寒い車です。
そのため、夏や冬にはS2000のようなオープンカーは需要が少なくなり売れ行きが落ちます。買取価格を少しでも高くするには、オープンカーの需要が高まる春頃や秋頃がベストになります。
ボディと内装色の組み合わせで買取価格が異なる
S2000には、内装5色、外装13色、幌2色から組合わせが選択できる「カスタムカラープラン」があり、156通りのカラーコーディネートが可能でした。この組合せで買取価格は異なってきます。
多くの人が気に入る(需要が高い)色の組合せは買取価格が高くなり、人気のない(需要が低い)色の組合せは低くなります。買取価格が高くなる傾向にある色は、ホワイトやブラックといった無難な色になります。
整備記録の有無で買取価格が異なる
年式・走行距離・グレード・色が同じS2000でも、整備記録の有無で買取価格は異なってきます。当然ですが、整備記録がしっかり記録されているS2000の方が買取価格は高くなります。具体的にどのように整備されてきたのかが分かる、しっかりとメンテナンスしてきているので程度が良いからです。
S2000の買取価格例
S2000の最新の買取事例をご紹介します。
- 2008年式 (平成20年)<S2000 タイプS> グレー系
走行距離 9.5万km 新車販売価格 399万円 参考買取価格 226万円 残価率56% - 2006年式 (平成18年)<S2000 タイプV> ホワイト系
走行距離 6.1万km 新車販売価格 399万円 参考買取価格 251万円 残価率63% - 2006年式 (平成18年)<S2000 タイプV> オレンジ系
走行距離 18.7万km 新車販売価格 399万円 参考買取価格 117万円 残価率29%
S2000を買取に出す方法
S2000を買取に出す方法はいくつもあります。具体的な買取方法をご紹介します。
ディーラー下取り
下取りとは、ディーラーで新車もしくは中古車を購入する時に、今まで乗っていた車を売りに出すことを言います。そのため、乗換ではなく、単に車を売りたい場合はディーラー下取りという方法は出来ません。
ディーラー下取りは、ディーラーや購入する車によって下取り価格が変動します。購入する車の価格が高いほど、下取り価格も高くなる可能性があります。下取りに出す車とディーラーが同じメーカーの方が、下取り価格が高くなる可能性があります。
買取業者に出す
買取業者とは、車の買取を専門に行っている業者です。
ビッグモーターやガリバー、ユーポスなどの大手で有名な全国規模の買取業者から、その地域だけに存在する小さな買取業者まで多数存在します。買取のみを行っていますので、次の車を買う、買わないに関係なく買取りに出すことが可能です。
買取方法ですが、自分から買取業者へ車を持ち込み、その場で査定してもらう方法だけではなく、自宅まで買取業者に来てもらい、査定してもらう方法もありますので面倒がありません。
買取業者によっては、査定額に納得すれば、その場で現金で支払ってくれる買取業者もありますので、すぐに車を現金に換えたい場合には良いでしょう。
一括査定
買取業者は、大手の有名な買取業者だけでも10社近くあり、中小規模の買取業者まで含めると数十社も有ります。同じS2000でも、買取業者によって買取価格にはバラつきがあります。
そのため買取業者に買取を依頼する場合、1社だけでは安く買取られる可能性があります。とはいえ1社ずつ連絡して買取査定をしてもらうのはとても大変な労力と時間が必要になり意味がありません。
そこで利用したいのが一括査定です。現在は車の買取業者を取りまとめて一括査定ができるウェブサイトが多数存在します。車買取業者の一括査定サイトは、サイトごとに買取業者の取扱先や取扱数に違いがあります。大手の有名な買取業者を多く取り扱っている一括査定サイトの一例としては以下になります。
- カーセンサー
- カービュー
- かんたん車査定ガイド
- ズバット車買取
- 楽天オート
個人売買
個人売買とは、ディーラーや買取業者という企業を通すことなく、車を買いたい人と直接売買のやり取りをする方法です。ディーラーや買取業者を間に通すと、中間マージンといわれる費用を取られてしまいます。
ディーラーや買取業者に下取りや買取を依頼した場合、この中間マージン分だけ損をしている場合があります。一方、個人売買は中間マージンを取る業者が間に入らないため、買取に出す売り手は高く売れ、購入する買い手も安く買うことができます。
しかし個人売買は、売り手と買い手が直接売買のやり取りを行うために、いろいろなトラブルが発生することがあります。
トラブル例として、売り手側の場合は、車をすぐに渡さない、不具合を隠して売りつける等、買い手側の場合は、お金を払ってくれない、名義変更をしてくれない等、があります。個人売買を行う場合は、トラブルがあるかもしれないというリスクを覚悟で行う必要があります。
ネットオークション
ネットオークションとは、インターネット上でオークションを開催しているサイトを使って車を売りに出す方法です。金銭面のメリットでは、ディーラーや買取業者よりは上、個人売買よりは下という感じになります。ネットオークションを利用するためには、取引手数料などを支払う必要があるためです。
しかし、その金額はディーラーや買取業者の中間マージンよりは下回る額がほとんどです。
リスク面では、個人売買よりは上、ディーラーや買取業者よりは下というイメージになることも。ネットオークションの場合でも、売り手と買い手が直接売買のやり取りを行いますが、やり取りはネットオークションサイトの中で行いますので、多少の安心感はありますよね。
また、ネットオークションには取引相手から評価される仕組みになっているので、評価の高い相手とだけやり取りをすれば安心度は上がります。
しかし、全く安全というわけではありませんので、ネットオークションを利用する場合は、多少のトラブルは覚悟して行う必要があります。
S2000の買取価格を上げる方法
S2000を少しでも高く買取ってもらう方法をご紹介します。
S2000が人気の時期に売る
S2000はオープンカーのため、暑い夏や寒い冬には需要がなく人気がありません。オープンカーの需要が高まる時期は気温が穏やかな春や秋になります。S2000を買取りに出す時期は春か秋となります。
定期点検を行い整備手帳に記録を残す
自動車には定期点検が定められています。普通自動車なら2年に1回、商業車なら1年に1回受けなければならない車検はもちろん、12ヶ月点検や24ヶ月点検という法定点検があります。
また、車検や法定点検を記録するための整備手帳が自動車には備えられています。整備手帳はいわば自動車のカルテのようなものになります。
整備手帳に今までの整備記録を残すことで、この自動車は今までどのような点検を受けてきたのか、どれだけしっかりと点検・整備されているのかが証明できます。安心できる車と査定されることで、買取価格を少しでも高くできる可能性が上がります。
改造車であれば元に戻すか交換記録を残す
自動車の買取査定において、社外品パーツで改造された車の買取価格は低くなります。理由は、改造された車は広く一般的に需要がなく、販売しにくいからです。そして、広く一般的に販売しようとした時に、社外品パーツが邪魔になり取外しの手間が増えたり、場合によっては取外した箇所に純正品のパーツを取付けないといけない場合があることも理由の一つです。
もし、社外品パーツで改造している場合は、買取査定に出す前に純正品に戻して車を元のノーマルな状態にしましょう。カスタマイズでも、ディーラーオプションやメーカーオプションという純正品パーツであれば、買取査定には影響しません。
しかしS2000の場合は、車の特徴上、改造されている方が売れる場合もあります。S2000を購入しようと考える購入者の多くは、ドレスアップやスポーツ走行に実用的な改造は、むしろ嬉しい場合があるためです。
そのためにも交換記録を残しておくことをおすすめします。記録があれば買取業者が安心できるからです。
車内の掃除や洗車を行う
車を買う場合、キレイな車と汚れている車ではどちらを選んで買うかと聞かれれば、当然キレイな車を選んで買うはずです。キレイな車の方が売れるわけですから、車を買取に出す時には車をキレイにする必要があります。車の見た目がキレイであれば、大切に乗られていた車と査定され買取価格のアップが期待できます。
外観のボディーはもちろんですが、エンジンルーム、車内、タイヤハウスの内側、タイヤ、ホイール、車の下回り(シャシー)と買取査定で目視されるポイントは隅々まで掃除や洗車をしてキレイにすることが買取価格アップの秘訣となります。
複数の業者に査定してもらう
車の買取をしてくれる買取業者は日本全国にいくつもあります。同じS2000でも買取業者によって買取価格にはバラつきがあります。どこかの買取業者1社だけに買取を依頼して買取ってもらう場合、その買取価格は他の買取業者よりも安いかも知れないのです。
車を買取に出す場合は、必ず複数の買取業者に査定してもらい、見積もり金額を出してもらいます。その中で一番高い買取価格の見積もりを出した買取業者に買取ってもらうのです。
まとめ
S2000の買取価格は、ユーザーの努力次第で相場よりも高くすることは十分に可能です。ノーマル状態での買取の場合はディーラーや買取業者でも理想の買取価格が期待できます。
社外品などで改造している場合は、改造を良しとしてくれる買い手が見つけやすい個人売買やネットオークションの方がおすすめです。
改造の価値を理解してくれる買い手が見つかれば、ディーラーや買取業者よりも高く購入してくれる可能性があるからです。自分ができる範囲の努力で、究極のスポーツカーS2000の買取価格を究極に上げましょう。