コンパクトカーは最近とても人気があるのか、昨年2018年に販売台数ナンバーワンになったのもコンパクトカーでした。車体は小さくコンパクトなのに、室内は狭くない。走りもパワフルになってきているため、得意とする街中の走行はもちろん、ちょっとした旅行や高速走行も難なくこなしてしまうところが人気の秘密かもしれません。
さらに最近のコンパクトカーにはスライドドアが搭載されている車種がどんどん増えてきています。スライドドアといえば今も人気あるミニバンには当たり前に搭載されているドアです。人気のコンパクトカーをこれから購入する場合、スライドドアが搭載されている車種が買いかもしれません。そこで今回は、スライドドアの特徴などや、おすすめのスライドドア搭載コンパクトカーをご紹介していきます。
便利で人気のスライドドア
スライドドアの人気の理由は、なんと言っても<便利>だということです。とくに子供がいるファミリーユーザーが便利だと感じて購入するケースが多く見受けられます。その理由を見ていきましょう。
子供に嬉しい機能
スライドドア搭載のコンパクトカーを選ぶユーザーの多くは子供がいるファミリーです。スライドドアが子供にとって嬉しい機能と思われる理由は以下になります。
ドアを開いた時に隣にぶつからない
普通のドアの場合、開けると横に広がるため駐車場などで横に車があった場合にぶつけてしまう危険があります。大人であれば、気をつけてドアを開けるのでぶつけることはほとんどないですが、子供の場合は大人と違い気を配ることもせず車からすぐに降りたいという衝動からドアをおもいっきり開けてしまいます。そのため横に停まっている車にぶつてしまう危険性があります。
その点、スライドドアは横への飛び出しがほとんどありません。普通のドアなら半分くらい開けただけでも横の車にぶつけそうな狭いところでも、スライドドアなら何の心配もなく開けることができます。
チャイルドシートの脱着がしやすい
子供がまだ小さい場合、チャイルドシートを装着しなければなりません。チャイルドシートの大きさによっては普通のドアの開口部では狭い場合があります。その点、スライドドアは普通のドアよりも開口部が大きいため、大きなチャイルドシートでもストレスなく脱着することができます。
子供を抱えたまま乗り降りできる
まだ抱っこしなければいけないような子供だったり、寝てしまったために抱っこして車を乗り降りしなければならない場合、自分ひとりの体よりも抱っこしている子供の体の分だけ面積が大きくなるため、普通のドアでは乗り降りが大変になります。その点、スライドドアは普通のドアよりも開口部が大きいため、子供を抱えたままでも乗り降りすることが容易にできます。
ファミリー向けでなくても搭載車種が増えている
スライドドアは、ファミリーに人気がありファミリー向けに作られている「ミニバン」と呼ばれる車種に搭載されています。しかし最近では、ファミリー向けではない車種でもスライドドアを搭載した車が増えてきています。スライドドアは、子供に対してだけではなく、高齢者にとっても乗り降りなどがしやすいためだと思われます。今の日本は高齢化が進んでいて、高齢な親をもつ家族が増えてきていることも関係していると思われます。
コンパクトカーにも搭載車あり
スライドドア搭載の車のほとんどは、ミニバンと呼ばれるミドルクラスの車種でしたが、最近ではさらに小さなコンパクトカーにもスライドドアを搭載している車種が増えてきています。今の自動車の市場では、車種としてはコンパクトカーに需要があり、車の機能としてはスライドドアの要望が高いため、自動車メーカーは需要が高い<コンパクトカー>と要望が高い<スライドドア>の二つを合わせてきたことによるものだと思われます。
スライドドアの注意点
色々とメリットが多いスライドドアですが、メリットばかりではありません。デメリットとまでは言わないまでも、注意する点はいくつかあります。
ドアが開いていることに気づかない
構造上、スライドドアは普通のドアに比べて、外側から見た場合、特に後方から見た場合のドアの開閉が分かりにくくなっています。このことが原因の交通事故も発生しています。
後方からみると見えづらい
スライドドアは、構造上ドアを開けた場合、ドアは横に開くのではなく、真後ろへ車のボディーに沿ってスライドして開くため、後方から見るとドアが開いているのかどうかが見えづらい、わかりにくくなっています。このため、後続車両は前の車のスライドドアが開いていると認識できず、前の車から降りてくる人と接触してしまう事故が増えています。
各自動車メーカーは、スライドドアが後方からでは開いているのかどうか分かりにくいことを解決させるために、ドアの後ろに反射板やLEDランプを取り付け、スライドドアが開いていることを後方からでも確認できるように工夫をしています。
車体が重くなる
スライドドアの構造上、普通のドアに比べてパーツの数が多くなるため、スライドドアを搭載した車は、普通のドアの車に比べて車体が重たくなります。最近のスライドドアは電動式のものが増えているため、電気モーターやワイヤーなどのパーツがさらに増えるため、車体はさらに重たくなります。車体が重たくなるデメリットは燃費が悪くなることです。スライドドア搭載の車を選択する場合、多少の燃費の悪さには目をつぶる気持ちが必要です。
電動式ドアのトラブル
スライドドアは何かと便利なのですが、スライドドアをさらに便利にさせているのが、電動で開閉する電動式スライドドアです。ドアノブを引くだけや、ボタンを押すだけでスライドドアが自動で開閉してくれます。またエンジンキーのリモコンに開閉ボタンがあり、離れたところからでもスライドドアの開け閉めが可能な車種もあります。
最近では、両手がふさがっていてドアのボタンもキーも取り出せない状態でもスライドドアを開けられるように、足をスライドドアの下にかざすだけで開くものまで出てきています。
しかし、電動式だからこそのトラブルも色々とあります。電動モーターが壊れてしまう、ドアを開閉させるためのワイヤーが切れてしまう、などの自動で開閉ができなくなるトラブルです。万が一、故障してしまった場合、自力での修理は車を良く知っていてそれなりの工具や環境が整った人でないと難しく、ディーラーや修理工場に任せるのが得策です。
スライドドア搭載コンパクトカーの特徴
スライドドアを搭載しているコンパクトカーには、いくつもの特徴がありますが、とくに以下の二つが主な特徴ではないでしょうか。
レールを目立たせないデザインが人気
スライドドアの構造上、ドアはボディー側面に沿ってスライドしながら開閉します。そのため、スライドドアの後方のボディー側面には、スライドドアのためのレールをつける必要があります。スライドドアのレールは上部と下部に2本必要で、下部はボディーの一番下に配置できるので目立たなくできるのですが、上部はほとんどの場合、バランスなども考慮するとボディー側面の中央付近に配置することとなります。
しかし、最近の車種ではバランスや構造を何とか工夫して、上部のレールも極力目立たないような場所に作られています。ボディーデザインの一部に溶け込むような位置や、スライド位置をリアのタイヤハウス近くの低い位置にしています。また、そのようなデザインのスライドドア搭載コンパクトカーに人気があります。
電動式などの機能が標準搭載
スライドドアの開閉方法は、20年ほど前までは手動がほとんどでしたが、現在ではスライドドアを搭載している車種のほとんどが電動式のオートスライドドアを標準で搭載しています。中にはキーのリモコンで開閉ができたり、両手がふさがっていてドアのボタンもキーも取り出せない状態でもスライドドアを開けられるように、足をスライドドアの下にかざすだけで開くものまで出てきています。
スライドドア搭載のおすすめコンパクトカー
コンパクトカーの中から、スライドドアを搭載しているおすすめの車種をご紹介します。
トヨタ ルーミー
トヨタ ルーミーは、2016年にトヨタ自動車から発売されたスライドドア搭載のコンパクトカーです。 エンジンは、996ccの直列3気筒DOHC自然吸気エンジンとターボエンジンの2種類がラインナップされています。スライドドアは全グレードに両側スライドドアが搭載されています。電動式については、X“S”とXのグレードのみ、助手席側のみパワースライドドアで、残りのグレードは全て両側パワースライドドアが標準装備となっています。
ホンダ フリード
ホンダ フリードは、2008年からホンダ技研工業が製造・販売しているスライドドア搭載のコンパクトカーです。初代は2008年~2016年、二代目は2016年~現在も製造・販売されています。エンジンは、1.5リッターとライバルに比べて大きめのエンジンを搭載しています。またハイブリッドタイプもラインナップされています。エンジン形式は、初代がSOHC、二代目はDOHCと変化しました。
フリードのパワースライドドアは、ガソリン車、ハイブリッド車とものグレードBのみ設定がなく、オプションでもパワースライドドアにすることはできません。しかし、グレードB以外は標準でパワースライドドアとなっています。
ダイハツ トール
ダイハツ トールは、2016年にダイハツ工業が製造・販売しているスライドドア搭載のコンパクトカーです。 エンジンは、996ccの直列3気筒DOHC自然吸気エンジンとターボエンジンの2種類がラインナップされています。スライドドアは全グレードに両側スライドドアが搭載されています。電動式については、XとX “SA Ⅲ”というグレードだけ助手席側のみパワースライドドアで、残りのグレードは全て両側パワースライドドアが標準装備となっています。
ちなみに、ダイハツ トールとトヨタ ルーミーは兄弟車のためスタイルから装備まで全てが同じとなっています。ダイハツ トールをベースにトヨタ自動車がトヨタ ルーミーとして販売しているのが現状です。
スズキ ソリオ
スズキ ソリオは、2010年からスズキ自動車が製造・販売しているスライドドア搭載のコンパクトカーです。ワゴンRワイドがソリオの前身なのですが、人によってはワゴンRワイドからソリオと考えられる場合がありますが、2010年のフルモデルチェンジ以降のモデルの方が印象が強いと思います。スライドドアは、全グレード両側に装備されていて、SZとMZは両側ともオートスライドドアに、それ以外のグレードは助手席側のみオートスライドドアになります。
ちなみにスズキ ソリオは、三菱自動車工業のデリカD:2と兄弟車のため、車名やエンブレムが違うだけで、外観や内装は全て同じです。スズキ ソリオがベース車になっています。
三菱 デリカD:2
三菱 デリカD:2は、2011年から三菱自動車が販売しているスライドドア搭載のコンパクトカーです。スズキ ソリオの説明でもお伝えしたとおり、三菱 デリカD:2はスズキ自動車が製造しているソリオがベースになっていますので、特徴などはスズキ ソリオをご参照ください。
スライドドア搭載コンパクトカーの買取相場
スライドドア搭載のコンパクトカーの買取相場はどれくらいなのでしょうか。トヨタ ルーミーを例に見てみましょう。
ルーミーのリセールバリュー
トヨタ ルーミーは2016年から現在も製造・販売されている現行型のコンパクトカーです。年式としては、2016年、2017年、2018年があり、それぞれのリセールバリューは以下のようになっています。
- 2016年式:およそ820,000円 ~ 1,490,000円
- 2017年式 :およそ950,000円 ~ 1,650,000円
- 2018年式 :およそ990,000円 ~ 1,720,000円
年式が新しいほどリセールバリューが高くなるのは当然ですが、グレードや程度によっては年式に関係なく、高いリセールバリューになるルーミーもあります。グレードで人気なのはカスタム系になります。エンジンはターボ付きに人気があります。ボディーカラーは白もしくは黒が無難な色として人気があります。
スライドドアが価格にどれだけ影響するか
スライドドアは今やコンパクトカーでも常識になりつつある特徴の一つなので、スライドドアがあるからと言って買取価格を大きく左右することにはならないようです。スライドドアで影響するとすれば、片側だけオートスライドドアよりも両側スライドドアの方が便利がよく人気のため、両側がオートスライドドアの方が買取価格が良くなる傾向にはあるようです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。スライドドアは、特に日本では人気があり需要があります。駐車スペースなどが狭いところが多いため、スライドドアの方が使い勝手も良いなどが理由ではないでしょうか。子供やお年寄りの車の乗り降りにもスライドドアは大変便利です。各自動車メーカーのスライドドアには特徴がありますので、スライドドア搭載のコンパクトカーを選ぶ時には、そのあたりをしっかりチェックすると良いでしょう。