技術の向上で最近の車は、昔の車のように故障することが少なくなりました。オイルやタイヤ、ブレーキパッドなどの消耗を交換するためのメンテナンスや、2年ごとにある車検のためにディーラーや業者に頼むくらいでしょう。
消耗品交換のメンテナンスや定期点検は、ある程度の時期が分かるので事前に出費を計画できます。しかし壊れることがほとんどないパーツの故障や、事故などによる破損は想定外の出費です。故障や破損を修理する費用が不明なのも不安で仕方ありません。
ここでは故障内容や破損個所ごとの、おおよその修理費用をはじめ修理を依頼できるところや、どこに頼めば少しでも修理する費用をリーズナブルにできるのかをお伝えします。
目次
車の部位・パーツ別修理費用
車の修理と一言でいっても、修理する部位やパーツ、どの程度の破損や故障か、そしてどの程度まで修理するのかで修理にかかる費用が変わってきます。
骨格(フレーム)の修理費用
骨格(フレーム)の修理は、費用も時間もかかります。事故などでフレームが歪んだり曲がった場合、板金加工による修理をすることになります。修理するフレームの場所にもよりますが板金補修で10万円前後、そして周囲のパーツ解体や組立てまでになると100万円くらいの高額になります。
ちなみにフレームを修理した車は、中古車販売店や車買取業者などの自動車業界で「事故車」と呼ばれ、「修復歴アリ」の車として取り扱われます。この事故車(修復歴車)となった場合は、車としての価値が大きく下がり、下取りや買取価格に大きく影響します。
愛着がある車で乗り続けるのであれば、高額な費用になっても修理する価値はありますが、あとあと乗り換えを考えているのであれば、かかる修理費用とその後の売却価格を見極める必要があります。修理せず廃車にして、すぐに乗り換える方が費用負担が少なくなることもあるからです。
エンジンの修理費用
エンジンの修理は、経年劣化による故障やトラブルであれば、一部のパーツ交換などで直せる場合もあります。修理箇所や使用するパーツにもよりますが、数万円~数十万円の範囲になるでしょう。
衝突事故による破損は強い衝撃を受けているため、場合によっては修理できないほどの損傷を受けていることもあります。エンジンを載せ替える場合、国産の普通車を例に挙げると以下のような金額になります。
- 中古エンジン:約10~30万円
- リビルド品(中古エンジンの中身のみ新品パーツで組んだもの):約30~50万円
- 新品エンジン:約60~80万円
エンジンを乗せ換える場合は、新品もしくはリビルド品がおすすめです。中古エンジンは一番安く修理できますが、走行距離など状態が不明のため、あとあと余計に費用がかかるかもしれません。修理が可能な場合でも、載せ替えよりも高くつくようなら、載せ替えという選択もありでしょう。
足回りの修理費用
足回りは、車の基本性能である「走る、曲がる、止まる」に大きく関与している部位であり、重要保安部品も多数あります。足回りの故障や損傷をそのままにしておくと、走行に支障が出てとても危険です。
足回りはタイヤやホイールをはじめ、ブレーキキャリパーやローター、ショックアブソーバーやスプリング、アームなどのサスペンション、そしてスタビライザーなど多数のパーツで構成されています。普通自動車の足回りのパーツごとのおおよその修理や交換費用は以下になります。
- タイヤ:約1~4万円
- ホイール:約2~8万円
- サスペンション:約3~12万円
- ブレーキ:約2~8万円
- スタビライザー:約5千円~1万円
- ジョイントブーツ:約5千円~2万円
- アライメント調整:約5千円~1万円
車はタイヤが4本のため足回りの修理または交換は、1カ所のみもあれば複数カ所の場合もあります。当然ですが修理または交換するカ所が多くなれば、その分費用も高くなります。
ドア・ボンネット・トランクの修理費用
ドア・ボンネット・トランクは、軽度の凹みやキズであれば板金修理でキレイに修復できます。板金修理の修理費用は凹みやキズの大きさで1~5万円程度の幅で変動します。板金で直しきれない場合は、丸ごと交換になります。ドア1枚の交換修理は新品で10万円程度になります。
ボンネットやトランクも、ドアと大体同じくらいの修理代で板金修理は1~5万円程度、交換修理は新品で10万円程度になります。
交換修理を考える場合、中古パーツで交換修理すれば新品交換よりも安くなります。場合によっては板金修理よりも安くなる場合もあります。ボディーカラーが同色で塗装することなく交換修理ができる場合、おおよそ2~4万円程度で修理できます。
ヘッドライト・テールランプの修理費用
ヘッドライトやテールランプは、経年劣化による電球切れなら部品交換ですぐに直ります。ハロゲン球なら3~5千円程度、LEDなら1〜2万円程度になります。事故によりヘッドライトやテールランプを破損してしまった場合は、ユニットでの交換修理となります。
ヘッドライトユニットの場合、新品で安くても2万円程度でLEDヘッドライトになると10万円以上となります。これは片側の費用なので、左右両方となると倍の修理費用がかかります。テールランプユニットの場合は、新品で1.5万円程度になります。
バンパーの修理費用
昔の車のバンパーは鉄製で、「車を衝突から守る」という本来の役割のために装着されていました。しかし最近の車のバンパーは、衝突軽減のため樹脂製になっています。またボディデザインに寄与していることもあり、少しでも凹んだりキズが入ると見た目も良くありません。
小さな凹みやキズなら板金で修理可能です。凹みやキズの大きさやによりますが約1~5万円程度になります。新品交換であれば約8~10万円と結構高額になります。中古パーツなら約2~5万円ほどで交換修理が可能です。
エアコンの修理費用
エアコンの修理費用は、サーモスタッド交換で1万円程度、ガス漏れなどの修理なら約2~3万円程度になります。エアコンはエンジンの動力でコンプレッサーを動かして可動しています。このコンプレッサーが故障すると修理費用はかなり高額となります。最低でも5万円、高ければ10万円以上となります。
マフラーの修理費用
マフラーは車体の下にあるため、段差に当てて凹ませることもあれば、経年劣化によるサビなどで腐食し穴が空いたりします。穴が空いたままでは音はうるさく車検も通りません。
穴をふさぐ修理費用は約1万円程度です。修理では直せない場合は交換修理になります。車種にもよりますが、約3万円~になります。中古部品で探せばさらに安く交換修理できるでしょう。
車の修理が依頼できるところ
ディーラー
ディーラーとは、各自動車メーカーが全国的に展開している新車の販売店です。中には下取りした車を中古車として販売しているディーラーもあります。
またディーラーには、販売した車をメンテナンスや修理できる整備工場が併設されています。そのためディーラーで車を購入した人は、修理やメンテナンスもディーラーに依頼して行うことが多いと思います。
ディーラーに修理を依頼するメリットは、販売した車について詳しく知っていることです。自社が製造して販売した車なので当然といえば当然です。修理やメンテナンスをしている経験数が多いことも理由です。
ディーラーでは販売した自社の車に対して、定期的な点検やメンテナンスを行っています。また修理する車も基本的には自社の車のみとなります。自社の販売している車のみに対して、定期的な点検やメンテナンスそして修理を行い続けている整備士は、その車に対して豊富な知識も持っています。そのため、ディーラーに車の修理を依頼すると安心感が得られます。
ディーラーに修理を依頼するデメリットは、他に比べて修理費用が高くなる傾向があります。とくに交換修理となる場合です。ディーラーが使用する交換部品は、基本的に新品の純正品となるためです。
また板金修理など修理内容によっては、ディーラー自身が行わず他の業者へ下請けさせています。そのため修理内容によっては他よりも修理費用が高いことがあります。
民間の整備工場
民間の整備工場とは、車の定期点検やメンテナンス、そして修理をメインに行っている業者です。中にはどこかの販売店と提携し、その販売店で売られた車を専属で見るような整備工場もあります。
民間の整備工場は、ディーラーのように特定メーカーのみを対象とせず、どのメーカーのどの車種でも修理対応してくれます。しかし民間の整備工場といっても、パターンは無数にあります。
メーカーや車種を問わずにオールマイティに対応してくれる整備工場もあれば、スポーツカーなど特定車種に限定して修理を得意としている整備工場、板金修理専門の整備工場などさまざまです。そのため、今回の修理はどこに整備工場に頼めば良いのかを自分で調べる必要があります。
民間の整備工場は、個人で経営しているところが多いので、こちらの希望や要望を親身になって聞いてくれて融通が利くこともあります。何度も通って仲良くなれば、その可能性はさらに高くなるでしょう。修理費用を少しでも安く上げたいと希望すれば、可能な限りのプランを提案してくれてたりもします。
カー用品専門店
カー用品専門店とは、タイヤにオイル、カーナビにドライブレコーダーなど、車に関するパーツを販売している専門店です。大手のカー用品専門店なら、カー用品の販売以外に車の点検や修理も行っています。カー用品専門店で販売されているオイルやタイヤを購入して、その場で交換してもらえたりするのです。
カー用品専門店に修理を依頼するメリットは、社外パーツを気軽に選択して装着できるところです。タイヤやオイルはもちろん、ホイールやマフラー、ヘッドライトの電球やブレーキパッド、オーディオ関係など豊富に取り揃えています。
しかし手掛けられる修理は、簡単なものに限られます。基本的にはパーツを交換して修理するパターンとなり、エンジンやミッションなど大掛かりでメカニカルな修理には対応できません。また国産車には対応してくれますが、特殊な車や輸入車は断られることがあります。
自分で行う
ディーラーや整備工場などに依頼せず、自分自身で修理を行うという選択もあります。自分で修理を行うメリットは、安くできることです。どこかに修理を依頼する場合、部品代とは別に工賃が必ずかかります。自分で行えば工賃が不要になるため、その分安くできるのです。
しかし修理を失敗してしまうと、やり直しや部品の再購入となり逆に高くなる場合もあります。そして修理に費やした時間が無駄になってしまいます。また修理する部位によっては、確実に修理されていなければ危険でもあります。
安全な走行に支障がないレベルの修理なら、自分の経験を積むためにチャレンジしてみるのも良いと思いますが、安全な走行に影響するレベルの修理や、難易度の高い修理は避けるようにしましょう。
車の修理はどこがリーズナブル
車の修理を安くしたいなら民間の整備工場
メーカーに縛られない民間の整備工場なら、部品交換での修理の場合、新品の純正部品以外に中古品の純正部品やリビルド品を使って修理をすることで、修理費用を少しでも安くしてくれるでしょう。
板金修理なども、ディーラーを通じて依頼するよりも直接依頼することで、ディーラーが取る中間マージンを省くことができるので、安くすることが可能です。
安心して修理を任せたいならディーラー
修理費用は他よりも高くなりますが、安心して丸投げで任せたいならディーラーです。基本的にどんな修理内容でも対応してくれますし、修理に使用するパーツは純正部品で新品です。
その分、修理費用は高くなりますが、新車で購入したときと同様の状態にして直してもらえるので、安心感は一番高くなります。
社外パーツで簡単修理ならカー用品専門店
ホイールやタイヤ、ショックにマフラーと言うような交換だけで修理できる内容であり、ついでに社外パーツに変更したいのであれば、カー用品専門店が良いでしょう。
まとめ
車の修理費用をとにかく安くしたいのであれば、それなりの金額になる工賃を0円にできる自分自身で行うのが一番でしょう。しかし修理できる範囲は限られますし、経験が浅い人では確実に直せたかなど不安もあります。
安く修理できる方がうれしいですが、車にとっては確実に修理されて確実に直ることがとても重要です。この確実な範囲で、修理費用を安くすることを検討するようにしましょう。