チャイルドシートは何歳まで必要?装着する座席や法律についても解説

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チャイルドシートは6歳未満の子供を車に乗せるときに必ず使用しなければなりません。また6歳以上でも身長が140cm未満の子供はチャイルドシートの使用が推奨されています。

チャイルドシートの使用が6歳未満の子供で義務化されていたり、140cm未満の子供で推奨されていたりするのは、交通事故での死傷リスクを軽減するためです。

チャイルドシートの必要性や選び方をはじめ、装着する座席位置などについても解説していきます。

チャイルドシートの使用義務年齢は6歳未満

道路交通法第七十一条の三の3において、チャイルドシートを使用せず6歳未満の幼児を車に乗せて運転してはならないと定められています。言い換えれば、6歳未満の幼児を車に乗せるときには必ずチャイルドシートを使用しなければなりません。

子供が6歳以上になればチャイルドシートの使用義務は無くなりますが、以下のような場合にはチャイルドシートを使うことが推奨されています。

6歳以上でも身長140㎝未満は必要

子供が6歳以上の年齢になっても、身長が140cm未満であればチャイルドシートの使用が推奨されています。車に装備されているシートベルトは、身長が140cm以上でなければ正しく装着できないからです。

子供の年齢に関係なく身長が140cm以上になるまでは、体格に合わせたチャイルドシートを使用し続けましょう。

6歳未満でもチャイルドシートが免除になるケース

道路交通法で6歳未満の幼児には使用義務があるチャイルドシートですが、状況によっては使用が免除されます。道路交通法第七十一条の三の3の後半に以下の文章があります。

ただし、疾病のため幼児用補助装置を使用させることが療養上適当でない幼児を乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

緊急時など状況によって使用が免除される具体的なケースを紹介します。

チャイルドシートの使用が免除されるケース
  • 構造上、チャイルドシートが設置できない場合
  • チャイルドシートを設置することで定員人数の乗車ができなくなる場合
  • 負傷や障害により、チャイルドシートの使用が子供の健康に悪影響を与える場合
  • 肥満や身体の状態によって適切にチャイルドシートの着用が難しい場合
  • 運転者以外の者が授乳やおむつ交換など日常生活上の世話をする場合
  • タクシーやバスを利用する場合
  • 市町村の特定非営利活動や公共の福祉を確保するための自家用運送車に乗せる場合
  • 応急救護のための医療機関、官公署やその他の場所へ緊急に搬送する必要がある場合

子供によってはチャイルドシートに座ることを嫌がるかも知れません。しかし、上記の免除されるケース以外は子供の安全を確保するために必ず使用してください。

チャイルドシートの使用免除と勘違いされるケース

チャイルドシートの使用が免除されると勘違いするケースをいくつか紹介します。

免除と勘違いされるケース
  • 大人が抱っこして乗せる場合
  • 友人・知人や親戚の車に乗せる場合
  • レンタカーに乗せる場合
  • 新生児の退院時などに車で送迎する場合

これらはどれもチャイルドシートの使用免除とはなりませんので気を付けましょう。

チャイルドシートを使わなかった場合のリスク

チャイルドシートの使用は道路交通法で定められていますが、もし使用しなかった場合には子供とドライバーそれぞれにリスクが発生します。

子供へのリスク

警視庁の情報によると、6歳未満の幼児に対してチャイルドシートを使用しなかった場合、適正に使用した場合に比べて約5.3倍も致死率が高くなっています。

そして、チャイルドシートを使用していても正しく取り付けや固定ができていない、正しく座らせていないようであれば子供へのリスクは高いままです。チャイルドシートはただ単に使用する、ではなく正しく使わなければなりません。

また、6歳以上でも身長が140cm未満の子供がチャイルドシートを使用せず乗車すると、シートベルトの肩ベルトは首に、腰ベルトはお腹の位置となります。この状態で事故に遭うと首や内臓に強い衝撃がかかり子供が死傷する可能性があり危険です。

ドライバーのリスク

道路交通法違反となります。罰則や罰金、反則金はありませんが、ドライバーに対して交通違反点数1点が加算されます。違反点数の加算よりも大切な子供のことを第一に考えて、チャイルドシートは必ず使用してください。

チャイルドシートの種類

チャイルドシートは子供の年齢や体格、そして形状や取り付け方法によっていくつも種類があります。そのため子供や車に合ったチャイルドシートを選ぶことが大切です。

新生児・乳児用ベビーシート

新生児・乳児用ベビーシートは生後すぐ~15ヶ月頃まで、身長70cm以下、体重13kg未満の子供に使用できるチャイルドシートで、車の進行方向に対して後ろ向きに取り付けます。

この時期の子供は頭が重く骨の発達が未熟なため前向きに乗せた場合、衝撃が体や首に大きくかかり怪我をしやすくなります。そのため後ろ向きに乗せ、衝撃を背中で受け止めて分散させることで怪我のリスクを減少させるのです。

また、この時期の子供は歩くことがほとんどできないため、シートに乗せたまま車から取り外して移動できるものや外出先で簡易ラックとして利用できるもの、またベビーカーと一体型になったものまであります。

幼児用チャイルドシート

幼児用チャイルドシートは1~4歳頃まで、身長65~100cm、体重9~18kgほどの子供に使用するチャイルドシートです。子供がこの年齢や体格になると進行方向に取り付けるようになります。

幼児用チャイルドシートは5点式ベルトが標準ですが、この年齢になると体の動きが活発になるため、ベルトを正しく装着して子供を固定しないと勝手に抜け出すことがあります。乗り降りが面倒になっても子供の安全のために毎回、ベルトを調整して正しく装着するようにしましょう。

ベスト型・簡易型チャイルドシート

幼児用チャイルドシートと同じ年代、体格で使用できるベスト型や簡易型のチャイルドシートもあり、旅先での使用やセカンドシートとして持っておくのに最適です。しかし、これらのチャイルドシートは新安全基準「R129」に適合しないため、今後は無くなっていくでしょう。

学童用ジュニアシート

学童用チャイルドシートは4~10歳頃まで、身長135cm以下、体重15~36kgほどの子供に使用するチャイルドシートで、座面を高くすることで座高の低い子供が、車に装備されているシートベルトを正しく装着できるようにするものです。

シートの形状は、背もたれがあり上半身までサポートしてくれるものと、背もたれが無く座席の上に載せる簡易的なクッションのような形をした「ブースターシート」と呼ばれるものがあります。

ブースターシートはコンパクトなため、他の車へすぐに載せかえることができ、車のリクライニングも使用可能です。しかし、頭や背中まわりをカバーする役割はないため、6歳になるまでは頭部や背中を守れる背もたれがあるタイプをおすすめします。

乳児・幼児兼用シート

乳児・幼児兼用シートは新生児期から4歳頃までをカバーできるチャイルドシートです。シートが回転するため、生後15ヶ月未満までは車の進行方向に対して後ろ向きで使用し、生後15ヶ月以上、身長76cm以上になれば車の進行方向に向けて使用します。

構造が複雑となり重量が大きくなるデメリットがある反面、長く使用できるという合理的・経済的なメリットがあるため、日本国内では人気があります。

幼児・学童兼用シート

幼児・学童兼用シートは1歳~10歳頃までをカバーできるチャイルドシートです。4歳ごろの体重18kgまではチャイルドシートのベルトを使用し、以降はベルトや背もたれを外してジュニアシートとして使用することができます。

チャイルドシートを選ぶポイント

チャイルドシートの購入を検討する際、価格や使用できる年数なども気になりますが、交通事故に遭っても子供が安全であることを優先して選ぶようにしましょう。そのうえでの具体的な選ぶポイントを解説します。

対象年齢・身長・体重

子供の成長は早くすぐに大きくなります。洋服であれば大きめのサイズを購入して長く着させることも可能ですが、チャイルドシートを同じように考えてはいけません。チャイルドシートの対象年齢、身長・体重と子供の年齢・身長・体重は必ず合わせるようにしてください。

チャイルドシートは子供の年齢や体格に合わせなければ本来の安全性を発揮できません。子供が成長しサイズが合わなくなったら必ず買い替えるようにしましょう。乳児・幼児兼用や幼児・学童兼用シートを購入すれば、買い替えの頻度を減らせます。

安全性

チャイルドシートを選ぶ時、必ず「Eマーク」がついたものにしてください。Eマークとは国土交通省が定めた安全基準を満たしている証です。チャイルドシートの安全基準の正式名称は「ECE R44」または「ECE R129」になります。

ECE R44 ECE R129
後ろ向き取り付け期間 生後12ヵ月頃まで(体重9kg未満まで) 生後15ヵ月未満まで(身長76cm以上で)
後ろ向き取り付けの体型基準 体重 月齢かつ身長
衝撃実験 前後 前後+側面/ダミー人形計測によるデータ分析
シート固定方式 シートベルト固定・ISOFIX固定 ISOFIX固定のみ
完全移行時期 2012年7月1日 2023年9月1日

チャイルドシートの最新の安全基準は「ECE R129」になります。そのため、今からチャイルドシートの購入を検討している人はこの「ECE R129」基準のものを選ぶとよいでしょう。

取付方法

チャイルドシートを車のシートに取り付ける方法は、車のシートベルトで固定する方法とコネクターを専用金具に差し込み取り付けるISOFIX固定(アイソフィックス固定)の2種類があります。

ISOFIX固定のチャイルドシートは車に専用金具が付いていなければ装着できません。この専用金具は2012年7月以降に発売された新車から標準装備されています。そのため自身の車がどちらなのかを確認してからチャイルドシートを選ぶようにしましょう。

もし、今の車が2012年7月以前に発売された車であれば最新の「ECE R129」基準のチャイルドシートは選択できません。シートベルト固定もラインアップされている「ECE R44」から選びましょう。

シートベルト固定のチャイルドシートでは誤った取り付けになる場合があり、本来の安全性能を発揮できないこともあります。より子供の安全を確保するためには、今の車が2012年7月以前に発売された車なら乗り換えが必要にりますが、ISOFIX固定のチャイルドシートを選ぶのがおすすめです。

快適性・機能性

子供が快適に過ごせるよう、快適性や機能性にも注目して選ぶことが大切です。クッション性をはじめ通気性や肌触りのよさ、リクライニング機能の有無なども同時にチェックするようにしましょう。

子供は体温調節が得意ではないため、チャイルドシートに長時間座っていると蒸れて汗をかきやすくなります。とくに夏場は、すぐにエアコンをかけても熱気を帯びたシートに座るだけで汗をかくため、吸水速乾性に優れたチャイルドシートを選ぶのがおすすめです。

シートタイプ

チャイルドシートには回転式と固定式があり、それぞれに以下のようなメリット・デメリットがあります。

シートタイプ メリット デメリット
回転式 子供の乗せ降ろしが楽 本体が大きく車内が狭くなる
固定式 コンパクトで経済的 向きを変えるために付け替えが必要

軽自動車やコンパクトカーなど比較的小型の車なら、回転式を選ぶことで子供の乗せ降ろしが楽になるでしょう。子供が生後15ヶ月となりチャイルドシートを進行方向のみで使うなら、固定式がコンパクトで経済的です。

チャイルドシートを取り付ける注意点

チャイルドシートを車の座席に取り付ける際の注意点について解説します。

取り付けは後部座席に

チャイルドシートは助手席ではなく、必ず後部座席に取り付けます。助手席を避ける理由はエアバッグがあるためで、交通事故を起こしたときにエアバッグが飛び出すと、子供に大きな怪我をさせる可能性があり危険です。

そして交通事故の多くは前方の衝突であり、助手席がもっとも危険な座席位置でもあるため、チャイルドシートは後部座席に取り付けた方が安全です。国土交通省からも、チャイルドシートを助手席に取り付けることが危険であると注意喚起されています。

また子供の安全な乗せ降ろしを考えると、歩道側になる助手席側の後部座席への取付けがベストでしょう。

前向きと後向きについて

チャイルドシートの安全基準として「ECE R44」と「ECE R129」があります。この二つでは子供を後ろ向きで座らせる基準に違いがあります。

ECE R44 ECE R129
後ろ向き取り付け期間 生後12ヵ月頃まで(体重9kg未満まで) 生後15ヵ月未満まで(身長76cm以上で)
後ろ向き取り付けの体型基準 体重 月齢かつ身長

購入するチャイルドシートがどちらの安全基準かを確認し、後ろ向きから前向きに変えるタイミングを間違わないようにしましょう。

軽自動車やセダンの場合

4~5人乗りの軽自動車やセダンの場合は、必ず後部座席に取付けるようにしてください。子供の安全な乗せ降ろしを考えれば、歩道側となる助手席側の後部座席に取付けるのがもっとも安全です。

ミニバンなどの場合

6~8人乗りのシートが3列あるワゴンタイプの場合は、2列目の座席に取付けることを優先します。それが難しい場合は、3列目の座席に取付けるとよいでしょう。取り付ける位置の優先順位は、助手席側の2列目→運転席側の2列目→助手席側の3列目→運転席側の3列目になります。

まとめ

道路交通法で定められているチャイルドシートの使用義務年齢は6歳未満です。また6歳以上であっても身長が140cm未満では、シートベルトを正しく使用できず危険なためチャイルドシートやジュニアシートの使用が推奨されています。

チャイルドシートが6歳未満の子供で使用が義務化されていたり、140cm未満の子供で推奨されていたりするのは、交通事故による子供の死傷リスクを軽減するためです。チャイルドシートの取り付けや使用は面倒かも知れませんが、子供の命の安全を考えれば使用すべきです。

また「ECE R44」や「ECE R129」という安全基準を満たし、子供の年齢や体格に合ったチャイルドシートを必ず使うようにし、乗車のたびに正しく子供を乗せることが大切なことを忘れないようにしてください。

チャイルドシートについてよくある質問

チャイルドシートについてよくある質問をまとめました。

タクシーに乗る際もチャイルドシートは必要なのか?

タクシーに乗る際はチャイルドシートは不要です。また、バスを利用する場合も同じく不要になります。

チャイルドシートの正しい使い方は?

チャイルドシートは必ず子供の年齢、身長、体重に合ったものを選びます。そして車に正しい方法で取り付けてください。取り付けを間違わないようにするならISOFIX固定のチャイルドシートを選ぶことをおすすめします。

取り付け位置は必ず後部座席にします。子供を安全に乗り降ろしすることを考えて、歩道側になる助手席側の後部座席に取り付けるのがベストです。