家族旅行やグループでの移動に便利な「10人乗り」の車。ただし、国産車で10人以上が乗れる車種は限られており、どれを選べばいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、10人乗りの代表的な車種から、メリット・デメリット、購入時の注意点やレンタカーの活用法まで、わかりやすく解説します。
これから10人乗りを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
10人乗りの車とは?

10人乗りの車とは、運転手を含めて最大10人まで乗車できる車両のことを指します。日本の法律では、普通免許で運転できる車両の乗車定員は10人までと定められており、それを超える車両には中型免許や大型免許が必要になります。
ここでは、普通免許で運転できる10人乗りの車の特徴や、混同されがちなマイクロバスとの違いについて詳しく解説していきます。
普通免許で運転可能な最大乗車定員
日本の道路交通法では、普通自動車免許で運転できる車両の乗車定員は「10人まで」と定められています。この乗車定員には運転手も含まれるため、実質的には9人まで乗せられるということになります。
マイクロバスとの違い
10人乗りの車とマイクロバスには、法律上の区分や運転に必要な免許、主な使用用途において大きな違いがあります。
マイクロバスは中型自動車に分類され、乗車定員が11人~29名の車両を指し、運転には中型免許や大型免許が必要です。一般的に、企業や団体などの送迎や、観光バスとしての利用されています。
一方、10人乗りの車は普通免許で運転でき、マイクロバスよりも車両サイズがコンパクトで、日常使いにも対応でき、車検区分も「普通自動車」となります。
そのため、保険料や自動車税などの維持費が、マイクロバスに比べると安く済むのがメリットです。ファミリーや少人数のグループで使うなら、マイクロバスよりも10人乗りの普通車の方が扱いやすく、コスト面でも現実的な選択肢といえるでしょう。
国産車で10人乗りが可能なモデルは2種類だけ
日本国内で販売されている普通免許で運転できる10人乗りの車は、トヨタの「ハイエース ワゴン」と日産の「キャラバン ワゴン」の2車種のみ。どちらも信頼性が高く、多人数での移動や送迎、レジャーなど幅広い用途に対応可能なモデルです。
ここでは、それぞれの特徴を詳しく解説します。
トヨタ ハイエース ワゴン

トヨタのハイエースは、長年にわたって日本の商用車・多目的車市場を牽引してきた人気モデルです。中でも10人乗り仕様のハイエース ワゴンは、法人・個人問わず幅広く活用されています。
ハイエース ワゴンの特徴は、広い室内空間と高い耐久性、そして豊富なカスタマイズ性です。シートアレンジも多彩で、2列目・3列目・4列目を用途に応じて折りたたんだり、取り外したりすることで多くの荷物を積載可能です。
【トヨタ ハイエース ワゴン グランドキャビン】スペック表
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 5,380mm×1,880mm×2,285mm |
ホイールベース | 3,110mm |
最大乗車定員 | 10名 |
車両重量 | 2,040kg |
燃費 | WLTCモード:8.8km/L |
エンジン種類 | 直列4気筒 ガソリン 2,963cc |
エンジン最高出力 | 118kW(160ps)/5,200rpm |
エンジン最大トルク | 243N・m(24.8kgf・m)/4,000rpm |
駆動方式 | 2WD(後輪駆動方式)4WD(フルタイム4輪駆動方式) |
トランスミッション | 6速オートマチック(6 Super ECT) |
新車価格 | 2WD:3,409,273円(消費税抜)4WD:3,691,091円(消費税抜) |
(2025年6月現在 トヨタ公式サイトより)
日産 キャラバン ワゴン

日産キャラバン ワゴンも、10人乗り仕様のワンボックスカー車です。
商用利用を想定して開発された車種ながら、近年はファミリーユースやキャンピングカーのベース車両としても注目を集めています。
キャラバンの魅力は、洗練された内外装デザインと快適な乗り心地。シート形状やクッション性にもこだわっており、長時間の移動でも疲れにくい設計になっています。
また、安全装備も充実しており、「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」や「LDW(車線逸脱警報)」などの先進安全装備も採用されています。
【日産 キャラバン ワゴン DX 】スペック表
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,696mm×1,695mm×1,990mm |
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ホイールベース | 2,555mm |
最大乗車定員 | 10名 |
車両重量 | 1,970kg |
燃費 | WLTCモード:8.5km/L |
エンジン種類 | DOHC・水冷直列4気筒 ガソリン 2,488cc |
エンジン最高出力 | 108kW(147ps)/5,600rpm |
エンジン最大トルク | 213N・m(21.7kgf・m)/4,400rpm |
駆動方式 | 4WD |
トランスミッション | マニュアルモード付 フルレンジ電子制御7速オートマチック(7M-ATx) |
新車価格 | 2,967,000円(消費税抜) |
(2025年5月現在 日産公式サイトより)
10人乗りの車のメリット

10人乗りの車は、大人数が一台で移動できるという利便性はもちろん、使い方次第で送迎やアウトドアなど、活用の幅も広がります。
ここでは、10人乗りの車が持つ具体的なメリットについて詳しく解説します。
一台で大人数が移動可能
10人乗りの車の最大のメリットは、一度に多くの人を乗せて移動できる点にあります。
トヨタ アルファードやホンダ ステップワゴンなど、一般的なミニバンが乗車定員が7〜8人乗りなのに対し、10人まで乗れる車は非常に少なく、貴重な存在です。
家族旅行やグループでの遠出、イベント時の移動など、大人数での移動が必要な場面で活躍します。
さらに、保育園や高齢者施設、企業の社員送迎といった業務用途でも高い利便性があります。一度の送迎で多くの人を運べるため、運行効率が良くなり、ドライバーの負担軽減にもつながります。
また、目的地で必要となる駐車スペースの台数を減らせるのも、大きなメリットといえます。
アウトドアやレジャーに最適
10人乗りの車は、アウトドアやレジャーシーンでも高い人気があります。シートアレンジによって広い荷室を確保できるため、大型のキャンプ用品やスポーツ用品、自転車、バイクなども積載可能です。
荷物が多くなるファミリーキャンプや、友人同士のグループ旅行など、アクティブなライフスタイルにぴったり。車内空間が広いため、移動中の快適性も高く、長距離ドライブでも疲れにくい点が魅力です。
10人乗りの車のデメリット

多くのメリットがある反面、10人乗りの車には注意すべきデメリットも存在します。特に、車体サイズや維持費に関する課題は、購入前にしっかり把握しておくことが重要です。
ここでは、2つのデメリットについて詳しく解説します。
車体サイズによる取り回しの難しさ
10人乗りの車は、乗車定員を確保するためにどうしても車体サイズが大きくなり、全長が5メートルを超えるモデル。そのため、小回りが利きにくく、狭い道や駐車時にストレスを感じやすくなります。
都市部の狭い道や立体駐車場では、取り回しに苦労することも少なくありません。車幅や全高が通常の乗用車より大きいため、駐車スペースに入らないケースや、高さ制限に引っかかるリスクも考慮する必要があります。
運転に慣れていない方や、狭い道や駐車場を利用する機会が多い方にとっては、注意が必要なポイントです。
燃費・税金・メンテナンス費など維持コストが高い
10人乗りの車は、排気量の大きいエンジンを搭載していることが多く、燃費性能もあまり高くありません。
例えば、トヨタ ハイエース ワゴンのカタログ燃費(WLTCモード)は、8.1〜8.8km/Lとされていますが、実際のユーザーによる実燃費は6.5〜8.0km/L程度とされており、長距離移動が多い場合は燃料代も考慮する必要があります。
さらに、車両重量や排気量に応じて課税される自動車税や重量税も高くなるほか、タイヤやオイル交換などのメンテナンスコストも、一般的な乗用車に比べて割高です。車検費用や保険料も含めると、年間の維持費が10万〜20万円以上に達することも珍しくありません。
このように、10人乗りの車は多人数で移動できる利便性がある一方で、燃費・税金・整備費といった維持コストの高さにも注意が必要です。
10人乗りの車を購入する際の注意点

10人乗りの車は大人数の移動に便利な反面、購入前に確認すべきポイントがいくつかあります。
例えば、運転に必要な免許の条件や、車体サイズに適した駐車スペースの有無などを事前にチェックしておかないと、購入後に思わぬトラブルが生じる可能性もあります。
ここでは、10人乗りの車を購入する際に押さえておきたい注意点を、わかりやすく解説します。
普通免許で運転できるかの確認
普通免許は、「乗車定員10人以下」「車両総重量3.5トン未満」であれば運転できます。ただし、これ以上になると中型免許が必要になるため注意が必要です。
また、普通免許の取得時期によっても運転できる車の条件が異なります。例えば、2007年6月2日以降に普通免許を取得した場合、総重量や最大積載量に制限が設けられており、運転できる範囲が狭くなっています。
そのため、購入を検討している車の車検証に記載された「乗車定員」や「車両総重量」などを確認し、自分の免許で運転可能かを事前にしっかりチェックしておきましょう。
車庫スペースや立体駐車場に入るかの確認
10人乗りの車は、全長が5メートル前後、全高も2メートルを超えることが多く、一般的な乗用車と比べてサイズが大きくなります。
そのため、購入前には自宅の駐車スペースはもちろん、普段利用する駐車場のサイズも事前に確認しておくことが大切です。
なかでも注意が必要なのが、立体駐車場の高さ制限です。多くの施設では高さ2.1メートルの制限が設けられており、ハイエースやキャラバンなどの一部モデルは制限を超えてしまうことがあります。
さらに、車幅やドアの開閉スペースも考慮しないと、実際には駐車が困難になることもあるため、事前に駐車環境を把握しておくことが、購入後の後悔を防ぐ上で重要です。
レンタカーという選択肢

10人乗りの車は、購入すると初期費用だけでなく、維持費も大きな負担になります。そのため、「必要なときだけ使いたい」という方にはレンタカーの活用がおすすめです。
旅行やイベントなど、短期間の利用にも柔軟に対応できる手段として、レンタカーは非常に有効な選択肢といえます。
ここでは、レンタル料金の目安や手配方法、レンタル利用のメリットについて詳しく解説します。
10人乗りの車のレンタカー料金や手配方法
10人乗りの車として代表的なトヨタ ハイエースワゴンや日産 キャラバン ワゴンは、多くの大手レンタカー会社で取り扱われています。
レンタル料金は利用する会社やプランによって異なりますが、目安としては以下の通りです。
- 6時間:8,000円〜12,000円程度
- 12時間:12,000円〜16,000円程度
- 24時間:16,000円〜20,000円程度
ただし、週末や連休、夏休みや年末年始などの繁忙期には、これよりも金額が高くなることがあります。
また、10人乗りの車は台数が限られていることが多いため、借りたい日が決まったら、早めに予約しましょう。
10人乗りの車を必要なときだけ使う利点
10人乗りの車をレンタカーで利用する最大の利点は、「維持費をかけずに必要なときだけ使えること」です。
車検・保険料・駐車場代・税金・定期点検など、所有に伴うランニングコストを気にすることなく、大人数での移動手段を確保できます。
例えば、親戚の集まり、社員旅行、サークル活動の移動、あるいはキャンプ・スキーなどのアウトドアレジャーにおいて、10人乗りの車は非常に便利です。
普段はコンパクトカーを使用しているファミリーでも、特別なシーンでのみ10人乗りをレンタルすることで、コストと利便性のバランスを取ることが可能です。
まとめ

10人乗りの車は、国産車では「トヨタ ハイエース ワゴン」と「日産 キャラバン ワゴン」の2モデルから選択することになります。
どちらも普通免許で運転でき、送迎や家族旅行、グループでの移動などに非常に便利で、荷物の積載力も魅力といえます。
一方で、全長5メートルを超える車体サイズによる取り回しの難しさや、燃費・維持費の高さといったデメリットも存在します。
特に都市部では、立体駐車場の高さ制限をクリアできないケースもあるため、使用環境を事前に確認しておくことが重要です。
よくある質問

10人乗りの車を中古で購入するのはおすすめですか?
コストを抑えられる点ではおすすめです。ただし、10人乗りの車は商用車として酷使されていた可能性もあるため、走行距離やメンテナンス履歴、内装の状態などをしっかり確認することが重要です。
10人乗りの車は初心者でも運転できますか?
運転自体は普通免許で可能とはいえ、見通しの良い場所で練習したり、バックモニターやパーキングセンサーが付いた車両を選ぶなど、安全面には十分注意しましょう。