軽自動車は、日本独自の自動車で諸外国には存在しません。普通自動車に比べて軽量でコンパクトな為、ちょっとした買い物やお出かけにとても重宝します。しかし、安全性は普通自動車に比べて低くなります。なぜ普通自動車よりも安全性が低くなるのか、昔の軽自動車と比べて安全性はどうなっているのか、各社の安全性対策を見てみましょう。
軽自動車の安全性が悪い理由
軽自動車は、世間一般には安全性が低いとか悪いと言われています。これは普通自動車と比べての話です。ではなぜ、普通自動車に比べて軽自動車の安全性が悪いのでしょうか。
車体重量が軽い
軽自動車の車体重量は、一番軽いスズキアルトで610㎏、一番重いスズキジムニーで1,030kgとなっています。普通自動車で一番軽い国産車はスズキスイフトで840㎏です。
車種によっては軽自動車の方が重たいという逆転現象が起こりますが、ほとんどの場合は軽自動車の方が普通自動車よりも軽くなります。
軽自動車の方が軽い理由はいろいろありますが、一つには使用されているパーツが普通自動車に比べて軽いため、強度が低くなります。強度が弱いと衝突事故ではボディーがつぶれやすく、ドライバーや同乗者がケガをする可能性が高くなります。
車高が高いとバランスが悪い
最近流行りの軽トールワゴンやハイトワゴンなどは、車高を高くして室内空間を広くすることで、ファミリー層を中心にとても人気があります。しかし、車高が高いということは重心が高くなり重量バランス的には良くありません。重心が高いと、高速道路の横風や交差点などでのカーブや山道などのコーナーで危険性が増します。
横風の危険性が増す理由は、車高を高くすることでボディー側面の面積が大きくなり横風を受けやすいことと、重心が高くなっているため横風の風力が小さくても影響を受けやすいことです。
交差点でのカーブや山道などでのコーナーで危険度が増す理由は、カーブやコーナーを曲がるときには遠心力が働きます。この遠心力は重心が高いほど影響を受けやすく、重心が高くなればなるほど低い速度でも横転しやすくなります。
すべてが悪いわけではない
軽自動車の軽量、コンパクトというウリの部分が安全性では逆にデメリットになってしまっている感じがありますが、実際に起こっている交通事故の件数からそれぞれの事故率や、そのうち死亡事故などにつながった率などを見てみましょう。
普通車との比較
とある年代の数値を用いて、普通自動車と軽自動車の事故発生率および死亡事故の確率を比較してみます。普通自動車と軽自動車の交通事故発生率はそれぞれの事故件数を登録台数で割って算出します。死亡事故発生率は死亡事故件数を交通事故件数で割って算出します。
交通事故発生率(2016年警察庁交通局の交通事故の発生状況、2017年9月現在の国土交通省 自動車保有車両数より)
- 普通自動車:0.56%
- 軽自動車:0.60%
死亡事故発生率(交通事故総合分析センターのデータより)
- 普通自動車:0.22%
- 軽自動車:0.26%
このように実際の事故発生件数から死亡事故発生率までを普通自動車と比較してみたところ、軽自動車の方が数値が上回りましたが、その差は若干です。
また、死亡事故など大きな事故につながるケースは高速道路や国道など比較的スピードが出て交通量の多いところです。
軽自動車の使用目的はどちらかと言えば、ちょっとした買い物やお出かけがメインとなるため、そう考えると軽自動車の安全性はそこまで悪くないのではないでしょうか。
軽自動車の安全性は向上
軽自動車の安全性は年々向上してきています。衝突したときに少しでもドライバーや同乗者を守るためにボディーの強度をアップさせたり、衝撃を緩和させるための構造にしたり、また事前に危険を回避するための装置なども数多く搭載されています。
衝突安全性
軽自動車をはじめ、自動車の衝突安全性を評価するものとして、NASVA(独立行政法人 自動車事故対策機構)が実施するJNCAP(自動車アセスメント、Japan New Car Assessment Programの略)があります。いくつかの実際に起こり得る衝突試験を行い、その結果を点数化して評価しています。
JNCAP衝突安全試験
JNCAP衝突安全試験の具体的な衝突試験は以下の4つになります。
- フルラップ前面衝突試験
- オフセット前面衝突試験
- 側面衝突試験
- 後面衝突頚部保護性能試験
予防安全性
最近の軽自動車は、普通自動車と同じくらいの予防安全装置が装備されており予防安全性能が非常に高くなっています。予防安全性能もJNCAPが試験を行って評価しています。試験内容は以下になります。
- 被害軽減ブレーキ
- 車線逸脱抑制装置
- 車線はみ出し警報
- 後方視界情報
- 高機能前照灯
- ペダル踏み間違い時加速抑制
運転安全性
軽自動車の運転における安全性も向上しております。とくに人気のある軽ハイトワゴンやトールワゴンでは車体の構造上、前方や後方、助手席側側面に死角ができてしまいます。各ミラーに工夫をしたり、バックモニターをはじめモニターで死角となる箇所を運転席で確認できるような仕組みを装備しています。
スズキの軽自動車安全性対策
スズキの軽自動車に装備されている安全対策を具体的にご紹介します。
スズキセーフティサポート
スズキセーフティサポートとは、経済産業省や国土交通省などが普及を推進する、自動ブレーキなどの先進安全技術をはじめとする一定の運転支援機能を総称した名称です。
そしてこのスズキセーフティサポートを搭載した軽自動車をサポカー(安全運転サポート車)という愛称で呼んでいます。また、搭載する運転支援機能によってサポカー、サポカーSと区別されています。
スズキセーフティサポートの具体的な技術は以下になります。
- 衝突被害軽減ブレーキ
- 誤発進抑制機能
- 後方誤発進抑制機能
- 車線逸脱警報機能
- 車線逸脱抑制機能
- ふらつき警報機能
- 先行車発進お知らせ機能
- ハイビームアシスト
- ヘッドアップディスプレイ
- アダプティブクルーズコントロール
- 全方位モニター用カメラ
- 標識認識機能
軽量衝撃吸収ボディTECT
車を軽量化すると、燃費が良くなる、発進加速が良くなる、制動距離を短くできる、運動性能が向上するなど多くの恩恵を受けることができます。しかしデメリットとして剛性不足となり、衝突事故ではちょっとした衝撃でもボディが潰れてしまいドライバーや同乗者の安全性の確保は難しくなります。
このデメリットを解消したのが、スズキ自動車が開発したTECT(テクト)という軽量衝撃吸収ボディです。
高張力鋼板をボディの広範囲に使用して、強度を高めながら軽量化を実現しています。
さらに、安全性も追求するために、より強度の高い超高張力鋼板も採用しています。ボディの構造は、衝突時の衝撃を吸収するクラッシャブル構造をはじめ、衝撃を効果的に分散させる骨格構造、さらに高強度なキャビン構造などを採用し、高い衝突安全性能を実現しています。
このTECTのおかげで、軽量化ではデメリットと言われていた安全性を損なうことなく、軽量化のメリットを手に入れることができました。TECTはスズキ自動車の24車種に採用されており、軽自動車だけでなく普通自動車の車種にも採用されています。
頚部衝撃緩和フロントシート
頚部衝撃緩和フロントシートとは、信号待ちや渋滞で停車しているようなときに、後方から低速で追突された際にシートバックとヘッドレストがドライバーや助手席の人の体全体を包み込むように受け止め、頚部への衝撃を緩和します。
後方からの衝突は不意打ちになるため、低速での衝突でも首がむち打ちになることがあります。頚部衝撃緩和フロントシートは、できる限りむち打ちにならないようにしてくれるシートと言えます。
ダイハツの軽自動車安全性対策
ダイハツの軽自動車に装備されている安全対策を具体的にご紹介します。
Daihatsu Safety
Daihatsu Safetyとは、ダイハツ自動車が開発した予防安全機能<スマートアシスト>をはじめ、様々な予防安全機能を多くの車種に展開できるように開発し、さらなる安全性を求め進化しつづけ、今では当たり前で標準装備となっているエアバッグと同じくらい、すべての車に当たり前に装備されることを目指している考えのことです。
このDaihatsu Safetyの考えの中で、具体的な予防安全機能はスマートアシストです。略してスマアシと呼ばれています。スマートアシストは、2012年12月に登場し、2015年4月には改良されたスマアシⅡが登場、2016年11月にはさらに改良されたスマアシⅢとなっています。スマアシⅢの主な予防安全機能は以下になります。
- 衝突回避支援ブレーキ機能
- 誤発進抑制制御機能
- 車線逸脱警報機能
- 先行車発進お知らせ機能
- オートハイビーム
- コーナーセンサー
- パノラマモニター
- ドライブレコーダー※
- レインクリアリングミラー/ウィンドウ撥水コーティングセット※
- 盗難防止機能付ナンバーフレームセット※
※印はオプション設定となります。
衝突安全ボディTAF
TAFとは、Total Advanced Functionの頭文字を取って作られた名称で、衝突安全ボディのことを言います。TAFは、フロントサイドメンバーを高効率エネルギー吸収構造にすると共に、衝撃分散型ボディ構造、高張力鋼板や差厚鋼板の採用などにより、衝撃吸収性能の向上や強固なキャビンの実現と軽量化を実現しています。
TAFはとくにフロントからの衝撃に強い構造となっています。フロントからの衝突では、ドライバーや同乗者がいる室内空間への影響を極力最小限に抑えてくれるでしょう。
安全インテリアSOFI
SOFIとは、Safety-Oriented Friendly Interiorの頭文字を取って作られた名称で、乗員にやさしく、より安全なインテリアを表した造語です。
SRSエアバッグはドライバーのみではなく助手席側にも、さらにデュアルSRSエアバッグは前からの強い衝撃時に、ドライバーや同乗者の頭部、胸部への重大な傷害を軽減します。
また車両側方からの衝突の際に、衝撃を緩和するSRSサイドエアバッグ(運転席/助手席)と、車両側方からの衝撃を緩和するSRSカーテンシールドエアバッグ(前後席)も装備できるようになっています。
※エアバッグによっては、車種やグレードによりオプションでの装着となります。
ホンダの軽自動車安全性対策
ホンダの軽自動車に装備されている安全対策を具体的にご紹介します。
安全運転支援システムHonda SENSING
Honda SENSINGとは、本田技研工業が展開する安全運転支援システムの名称です。Honda SENSINGの具体的な機能は以下になります。
- CMBS(衝突軽減ブレーキ)
- ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)
- LKAS(車線維持支援システム)
- 誤発進抑制機能
- 後方誤発進抑制機能
- 歩行者事故低減ステアリング
- 路外逸脱抑制機能
- 先行車発進お知らせ機能
- 標識認識機能
- オートハイビーム
安全技術G-CON
G-CONとは、ホンダの衝突安全ボディーに活かされている技術の名前です。名前についているGは衝撃の意味を表しています。-CONはCONTROLの略です。G-CONとは、衝撃をコントロールするという意味です。
車を容器と考え、乗せている人への衝撃は容器である車が、衝撃をどこまで吸収するかによります。G-CONという技術は、万が一の事故の時の衝撃を上手に吸収して抑えることで、安全な車を目指しています。
歩行者事故提言ステアリング
歩行者事故提言ステアリングは、車が歩道にはみ出し歩行者と衝突しそうになった場合、音とディスプレー表示で警告してくれます。さらに車を車道へ戻すようにステアリング操作を支援して、歩行者との事故を回避してくれます。
標識認識機能
「止まれ」や「進入禁止」、「速度制限」、「追い越し禁止」の標識を単眼カメラで認識しドライバーに知らせてくれます。ただし、道路の状況などによってはうまく作動せず認識しない場合もあるので、過信は禁物です。
まとめ
いかがでしたか?確かに昔は「軽自動車はキケン」という認識が強く軽自動車を避ける人も多くいました。しかし、現在では普通自動車と変わらないくらいに安全性が向上したことで軽自動車ユーザーが増えてきています。今の軽自動車は、安全装備が充実しているので万が一の時でも安心ですが、油断は禁物です。
一番の安全の確保はドライバーによる安全運転への意識です。車の安全装備や機能に頼りきるのではなく、常に安全運転を心がけて、無理のない運転を行ってくださいね!