メルセデス・ベンツ車の中でリーズナブルな価格帯に位置するAクラスは、維持費も安いのでしょうか。税金やガソリン代などに年間の維持費としてどのくらいかかるのか気になります。
そこで今回は、Aクラスの維持費についてご紹介します。
Aクラスの特徴
Aクラスの初代モデルは1997年に登場しましたが、それまで最も安い価格帯だったCクラス以上に車体価格を抑えて販売され、話題となりました。
ハッチバック型のAクラスは、車体が小柄な分狭い道や駐車場での取り回しがしやすく、使い勝手の良さが好評です。そしてコンパクトカーの良い特徴を持ちつつ、メルセデス・ベンツ車に息づく高級感や高い走行性能も兼ね揃えているので、手軽にメルセデス・ベンツのプレミアム感を味わえるモデルだとも言えます。
現行モデルは四代目となりますが、先代のアグレッシブで若々しいボディを踏襲しながら、先進技術を惜しみなく注ぎ込んでいるので、快適性の向上が図られています、
エクステリアは、プロポーションや空気抵抗を緻密に考慮したデザインで、スポーティな印象が強調されています。ワイド感が強調されているので、サイズ以上の存在感を持ち、新たな感性で研ぎ澄まされたデザインは、見る人そして乗る人を魅了します。
AクラスのMBUX
Aクラスの現行モデルには、新しいマルチメディアシステム、MBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)が採用されています。主な機能として、下記の操作が可能です。
- インターネット情報表示地図機能
ナビゲーションの地図上に、料金情報付のガソリンスタンド、天気情報などを表示します。
- パーソナライゼーション機能
MBUX搭載車同士であれば、ユーザーの車両設定やナビゲーション設定をサーバーに保存することで、普段と違う車に乗った際にも情報共有が可能です。また、同じ車でプロフィールを複数保存することができます。
- ユーザーの行動と好みを学習する予測提案機能
勤務先やよく立ち寄る店など、ユーザーの行動を学習し、目的地の候補として自動提案・ナビゲーションしてくれます。
- 高精細なディスプレイと高速演算テクノロジーを採用。
全ての動作を素早く快適に行えるように、革新的なハードウエアが搭載されています。
Aクラスでは、自分の言葉や指先で操作でき、ユーザーの好みや行動を学習しサポートする革新のテクノロジーで、ワンランク上の車内空間を楽しむことができます。そしてMBUXは、ドライバーが運転に集中できるよう、様々な機能がより素早くシンプルに操作できるので、高い安全性を実現しています。
Aクラスのボディサイズ
現行モデルのAクラスは、下記のボディサイズとなります。
全長:4.42m~4.44m
全幅:1.8m
全高:1.42m~1.44m
Aクラスはモデルチェンジによってサイズアップしていますが、特に全幅にゆとりを感じることができる作りです。コンパクトなサイズ感でありながら、後部座席に大人が乗っても、しっかり足元には余裕があります。
また荷室の奥行きも、サイズアップに伴い広くなっているので、より使い勝手が増した印象です。
Aクラスのディーゼル車
長年Aクラスは、ガソリン車のみのグレードラインナップでしたが、2019年3月のマイナーチェンジによって、ディーゼル車が初登場しました。
メルセデス・ベンツの安全思想と先進のテクノロジーが、ふんだんに感じることのできるディーゼルエンジンは、新たなAクラスの魅力を創出しています。
排気量は1,950ccと、ガソリン車よりかなり余裕があり、ディーゼルエンジンならではと言える低回転域から発生する強大なトルクによって、力強い走りを体感できます。そして、徹底的に軽量化が図られ摩擦抵抗を抑えた設計が行われているので、スムーズな発信や加速が可能になっています。
ディーゼル車のデメリットとして、振動や騒音が挙げられますが、Aクラスのディーゼルエンジンは、先進的な技術によって環境性も非常に高いので、車内空間においても、非常に静かで滑らかな走り心地が味わえます。
さらに、スムーズで素早いギアチェンジが可能な、8速デュアルトランスミッションによって、思いのままのドライビングを実現します。
Aクラスにかかる維持費は年間どのくらい?
続いて、Aクラスの維持費について検証します。
税金
車には、自動車税・自動車重量税という2つの税金が所有時に課されますが、それぞれの違いや支払う時期などを確認しましょう。
自動車税
自動車税は、毎年4月1日時点の所有者に納税義務が発生する税金です。排気量ごとに金額が異なり、排気量が上がるほどに税額が上がる仕組みとなっています。
Aクラスは、1,331~1,950ccの排気量と、ディーゼル車のみ排気量が異なります。Aクラスの自動車税は、現行モデルではガソリン車が年間34,500円、ディーゼル車は39,500円となります。
重量税
自動車重量税は、道路の維持管理を目的に、車重が重いほどに税額が上がる仕組みになっています。Aクラスの車重に関して、ディーゼル車は公式データがありませんでしたが、ガソリン車は1,360kgとなります。
ガソリン車に関しては、1年あたり12,300円の自動車重量税が適用されますが、ディーゼル車がもし1,500kgを超えた重量であれば、年間16,400円となります。
保険
もしもの時に備えて、車を所有する際に保険の加入が必要不可欠です。車の保険は、大きく自賠責保険と任意保険に分けられます。
自賠責保険
自賠責保険は、法定で加入が義務付けられている保険です。そして保険料は、新車購入時と毎回の車検時に原則支払い義務が発生します。自賠責保険の契約は保険会社などで行いますが、自賠責保険に関してはどこで契約しても保険料は一律変わりません。
自家用乗用自動車として使用する場合、契約期間によって下記のように定められています。
- 12ヶ月:15,520円
- 13ヶ月:16,380円
- 24ヶ月:25,830円
- 25ヶ月:26,680円
- 36ヶ月:35,950円
- 37ヶ月:36,780円
任意保険
その名の通り任期保険は、任意で加入する自動車保険です。任意保険に関しては、補償内容が幅広いのが特徴です。対人・対物の補償に加え、ロードサービスなどユーザーが必要な補償を選択することができます。
また、保険会社によっても提案内容が異なるので、ユーザー側としては補償内容を把握し吟味した上で、じっくり選択する必要があります。保険料は一律ではありませんが、主に下記内容によって算出されます。
- 車種・型式・用途
- 登録年月
- 車の安全性能
- ドライバーの事故歴
- ドライバーの範囲
- ドライバーの年齢
- 付保台数(ノンフリート・フリート)
- 支払限度額
これらの要素から、事故のリスクが少ないと判断された場合には、保険料は安くなります。しかし、過去に事故を起こした方や免許を取得して間もない方は、保険料は高くなりがちです。
その他費用
続いて、税金や保険料以外に支出が想定できる、維持費の項目についてご紹介します。
ガソリン代
Aクラスは、ガソリン車とディーゼル車で燃費性能が異なります。残念ながらディーゼル車の公式なカタログ燃費はありませんでしたが、ガソリン車はWLTCモードで計測した結果、15.0km/Lとなっています。
ガソリンの平均価格は、レギュラー143円・ハイオク154円・軽油が124円となるため、軽油を使用するディーゼル車の方が、長距離走行が多いユーザーにとってはお得だと考えられます。そしてAクラスのガソリン車で、年間に10,000km走行すると考えると、ガソリン代が約103,000円かかる計算です。
どういった使用状況かによって実燃費は異なりますので、ユーザーレビューなども参考にしつつ、購入前にしっかり燃費をシミュレーションしましょう。
駐車場代
Aクラスの駐車スペースを確保するにあたって、新たに月極駐車場を契約した場合は、どのくらいのコストがかかるのでしょうか。
47都道府県の中でも、駐車場代の相場は大きく異なりますが、全国平均では月額8,288円が相場となります。したがって、年間100,000円程度が駐車場代としてかかる計算です。
Aクラスに関しては、サイズ規定がある平均的な機械式駐車場でも問題ないサイズ感だと言えるでしょう。もちろん駐車場を契約する前には、サイズ確認が重要ですが、現実的に考えて軽自動車専用以外でAクラスが駐められない駐車場はないと考えられます。
車検代
車検代には、部品交換費用・車検基本費用・法定費用が含まれます。部品交換費用は、車検に適合しない不具合が見つかった場合、交換が必要になります。また、オイルやタイヤ・バッテリーなどの消耗品の交換も、車検のタイミングでしている方も多いかと思います。
そして法定費用は、自動車重量税・自賠責保険と、印紙代1,800円で構成されます。
車検基本費用に関しては、どこで車検を受けるかによって変わってきますが、基本的な内訳としては、検査料・定期点検料・代行手数料などがあります。ディーラーでAクラスの車検を受けたユーザーの情報によると、60,000円程度が平均値となるようです。
これらを合算すると、部品交換の内容によって違いが出るものの、ディーラーで車検を受けた際には、150,000円ほどになるようです。
Aクラス購入時にかかる費用は?
所有後にかかる維持費は先にご紹介した通りですが、Aクラスの購入時にも様々な項目で費用が発生します。
車体価格
Aクラスの車体価格はグレードごとに異なり、3,280,000円〜3,990,000円となっています。Aクラスは、ガソリン車の基本グレード・ガソリン車の上級グレード・ディーゼル車というシンプルなラインナップですが、ディーゼル車が最も高い価格帯になっています。
オプション
購入時のオプションは、メーカーオプションとディーラーオプションがありますが、車体加工や電装工事が必要なオプションほど、金額は高くなりがちです。オプションの内容によっても金額が異なりますが、メルセデス・ベンツ車の場合は車体価格から5~10%の価格が平均のようです。
自動車重量税
Aクラスの自動車重量税は、新車購入時には36,900円となり、次回車検まで有効です。
自動車取得税
自動車取得税は、購入時に発生する税金で、取得価格(税抜き車体価格×0.9)の3%が税額となります。
自賠責保険
Aクラスを陸運局で新規登録する際、自賠責保険の加入がないと、ナンバープレートの交付を受けることができません。Aクラスを自家用乗用車として使用する場合、37ヶ月契約で36,780円の保険料が発生します。
リサイクル料金
リサイクル料金とは、エアバック・フロン類・シュレッダーダストなどのリサイクルするための費用です。現行モデルのAクラスガソリン車には、19,330円のリサイクル料金が発生します。
ディーラー代行手数料
陸運局への届け出や車庫証明書の提出などをディーラーが代行する場合には、代行手数料が発生します。さらに下取り車がある場合には、そちらの書類代行手数料も発生します。
これらの手続きは自分で行えば発生しませんが、ディーラーに委託する場合には、これらの費用も計算する必要があります。
壊れやすいところや注意するべき点
最後にAクラスの不具合についてご紹介します。使用しているユーザーから不具合として多く報告されていたのが、下記になります。
- ミッションのトラブル
- パワーウインドウが動かない不具合
- 警告灯が点灯する不具合
- アクセルを踏んでも加速しない不具合
中古車の購入を検討している方は特に注意が必要です。また走行系の不具合は事故に直結するものなので、定期的なメンテナンスの際には、特に念入りにチェックしましょう。
まとめ
今回は、Aクラスの維持費についてご紹介しました。Aクラスは国産のコンパクトカーと比較すると、維持費がやや高いように見えますが、走行性能や快適性は国産車では味わえないプレミアム感があります。
維持費にはユーザーの使用状況によって支出が異なる項目がありますが、実際の使用環境と照らし合わせて、シミュレーションすることをオススメします。