モデルチェンジの度に世間をあっと驚かせてきた日産のマーチ。国産のコンパクトカーの定番となったマーチは、いつの時代でも揺るがない人気をキープし続けるクルマです。
そんなマーチの維持費は年間にどのくらいかかるのでしょうか。今回は、マーチの維持費にスポットライトを当て、詳しく紹介していきます。
マーチの特徴
1982年に登場した初代K10型マーチは、ターボやスーパーターボなどを持つ、遊び心のあるクルマとして人気を集めます。Be-1やパオ、フィガロといった個性的なバリエーションも初代マーチの魅力です。その独特なスタイルで、マーチは多くの人を魅了し続けてきました。
1992年にK11型が登場し、2代目マーチとなったときにはマーチの魅力であったターボやスーパーターボをラインアップから外します。それでも、初代と変わらない軽快な走りを見せ、よく走るクルマとしての代名詞を手に入れました。
デザイン性を追求した3代目マーチ
3代目のK12型マーチは、これまでの日産のデザインを一新します。2代目から大幅に拡大された全幅と、一段低くなり膨らんだキャビン、つり目のヘッドライトの斬新さで、世界中を驚かせました。
オシャレな輸入車のスタイルへと変更されたマーチは、国産車のデザインに革命を起こしたといわれています。斬新なデザインでありながらも、初代から変わらない走りを持ち、多くのユーザーを魅了しました。
3代目マーチはコンスタントな販売台数を記録し、日産のコンパクトカーの定番となったのです。
走りに重点を置いた4代目マーチ
かわいらしさが重視された3代目マーチに代わり、4代目はしっかりとした走りが重視されるデザインへと変化。重心が低く設定され、タイヤはボディの四隅へと寄せられました。
さらに、チアのトレッドを拡大し、シル部も外側へと張り出されています。これらにより、踏ん張り感が表現されました。それでも、マーチらしい丸いヘッドライトを採用し、マーチのDNAともなる<フレンドリー>さを大切に作られています。
マーチのスペック
<S>
- 全長×全幅×全高(mm):3,825×1,665×1,515
- 車両重量(kg):940
- 車両定員(名):5
- 燃費消費率 JC08モード(km/L):21.4
<S プラムインテリア>
- 全長×全幅×全高(mm):3,825×1,665×1,515
- 車両重量(kg):940
- 車両定員(名):5
- 燃費消費率 JC08モード(km/L):21.4
<X Vセレクション>
- 全長×全幅×全高(mm):3,825×1,665×1,515
- 車両重量(kg):940
- 車両定員(名):5
- 燃費消費率 JC08モード(km/L):23.0
<G>
- 全長×全幅×全高(mm):3,825×1,665×1,515
- 車両重量(kg):940
- 車両定員(名):5
- 燃費消費率 JC08モード(km/L):23.0
<X FOUR Vセレクション>
- 全長×全幅×全高(mm):3,825×1,665×1,525
- 車両重量(kg):1,030
- 車両定員(名):5
- 燃費消費率 JC08モード(km/L):18.4
マーチでかかる維持費は年間どのくらい?
税金
マーチの維持費のひとつめとして挙げられるのが税金です。税金には自動車税と重量税があり、それぞれ異なる計算方法で求められます。
自動車税
マーチには燃費基準をクリアしたエコカー減税対象のグレードがあります。ただし、減税となるのは重量税や取得税で、自動車税の減税はありません。
自動車税は排気量によって異なります。マーチの排気量は1,200ccですので、年間34,500円の自動車税が必要です。
重量税
重量税は、自動車の区分や重量、経過年数に応じて課税されます。自家用自動車の場合には、0.5トン毎に4,100円ずつ税額が増加する仕組みです。
マーチは、エコカー減税の対象車があり、そのグレードを選んでいた場合には、重量税が0.5トンごとに2,500円が課税されます。
エントリーモデルとなるSシリーズでは減税が受けられませんが、X Vセレクションはエコカー減税の対象車です。そのため、3年で16,800年であり、1年あたりの重量税は5,600円となります。
対象外のSクラス場合には、重量税は3年で36,900円、1年では12,300円です。
保険
マーチを維持していく際には、保険も必要です。保険には自賠責保険と任意保険がありますので、それぞれの保険でどのくらいの保険料がかかるのか知っておきましょう。
自賠責保険
自賠責保険は、自動車を所有する人に加入が義務付けられた保険です。そのため、マーチを購入すると加入しなくてはいけません。自賠責保険を支払うタイミングは、新車購入時と車検時です。
新車購入時には3年分、車検時には2年分をまとめて支払います。国の保険ですので、どこで加入しても保険料は一律です。自家用普通自動車のマーチは、新車購入時に36カ月分の35,950円を支払います。
その後2年ごとに24カ月分の25,830円が必要です。9年間マーチを所有したと考えると、9年間の自賠責保険は
35,950×25830×3=113,440であり、1年あたりの自賠責保険は12,604円となります。
任意保険
自賠責保険は強制加入ですが、任意保険は加入するかが選べます。ただし、自賠責保険だけでは事故に十分な補償が受けられません。
そのため、加入を考えるのがいいでしょう。任意保険料は、補償内容や運転者の年齢、等級などで異なります。マーチの場合には、50,000円が相場です。
その他費用
マーチの維持には、ガソリン代や駐車場代、車検代なども必要です。
ガソリン代
マーチのガソリン代を計算するにあたり、年間10,000kmを走行したと考えましょう。また、マーチの燃費はカタログでは21.4km/Lですが、実燃費の場合には15.0km/L程度です。
さらに、ガソリン価格を125円で計算すると、
10,000km÷15.0km/L×125円となり、年間およそ83,300円がかかります。
駐車場代
自宅に駐車スペースが確保できている場合には必要ありませんが、マンションなどの場合には駐車場代がかかることがあります。駐車場代は地域によって異なり、都心では高いのが特徴です。
地方に行くと駐車場は安くなり、最も駐車場代が安いのは長野県だといわれています。全国的な駐車場代の平均は一ヶ月当たり8,000円程度でしょう。
駐車場の契約は1年ごとに更新されることも多く、更新のタイミングで更新料として1カ月分が必要です。これらをふまえて考えると、1年あたりの駐車場代は
8,000円×12カ月+更新料8,000円=104,000円となります。
車検代
マーチの車検時には、検査手数料としての印紙代が1,700円必要です。そのほかに、車検基本料がかかります。車検基本料は車検を依頼する業者によって異なるといえるでしょう。
一般的にディーラーに車検を依頼すると車検基本料が高くなります。また、車検時にオイル交換や部品交換などが必要となるとその分がプラスされます。
年式の古いマーチの場合には、車検時に100,000円程度かかることもめずらしくありません。年式が新しい場合には、車検代は70,000円程度です。
ここで、車両重量1,000kg以下のマーチの車検時にかかる費用の内訳の一例を紹介しましょう。
- 自賠責保険料(24カ月分):25,830円
- 自動車重量税:10,000~16,400円
- 印紙代:1,700円
- 車検整備費用:20,000円
- 車検代行料:10,000円
- 消費税:2,400円
合計:68,230~74,630円
車検は2年ごとに受けますので、1年あたりにかかる車検代は34,115~37,315円です。
その車種の購入時にかかる費用は?
車体価格
マーチの車体価格はグレードによって異なります。
- S:1,151,280円
- S プラムインテリア:1,287,360円
- X Vセレクション:1,375,920円
- X Vセレクション パーソナライゼーション:1,408,320円
- G:1,557,360円
- G パーソナライゼーション:1,589,760円
- ボレロ:1,586,520円
- NISMO:1,603,800円
- NISMO S:1,842,480円
オプション
- ブリリアントホワイトパール(3P)〈特別塗装色〉:37,800円
- エスティーロアルミホイール(10本スポークタイプ):78,922円
- エスティーロ 5本ツイン (ガングレーメタリック)14インチ:83,242円
- プライバシーガラス(UVカット断熱機能付)〈リヤドア、バックドア〉:32,400円
- ナビレコお買い得パック(MM518D-W):257,304円
自動車重量税
自動車重量税は自動車の重量ごとに異なり、新車購入時には3年分をまとめて納めます。エコカー減税の対象車であれば、0.5トンごとに2,500円が課税される仕組みです。
新車購入時には自動車重量税を3年分をまとめて支払います。例を挙げると、エコカー減税対象車であるX Vセレクションの自動車重量税は16,800円です。
自動車取得税
自動車取得税というのは、自動車の取得金額に3%が課税されます。車体価格やオプションによって自動車取得税は異なり、エコカー減税の対象車であれば、減税を受けることが可能です。
Gグレードのマーチであれば、取得価格に対する自動車取得税は23,300円ですが、エコカー減税によって7,800円の減税となります。したがって、自動車取得税として納めるのは15,500円です。
自賠責保険
マーチの新車購入時には36カ月分の自賠責保険をまとめて支払います。そのため、自賠責保険料として35,950円が必要です。
リサイクル料金
マーチを廃車にし、解体・破砕すると、シュレッダーダスト、エアバッグ類といったゴミが残ります。それらはリサイクル必要があり、リサイクルにも費用がかかります。
また、カーエアコンのフロン類を破壊するためにも費用が必要です。これらの費用はリサイクル料金として、新車購入時に支払います。
マーチのリサイクル料金は発売時期によって異なります。
<K13 2010年~>
- シュレッダーダスト:4,520円
- エアバッグ類:1,900~2,050円
- フロン類:1,800~2,000円
合計:8,220~8,570円
<K12 2002年~>
- シュレッダーダスト:4,870~5,180円
- エアバッグ類:2,280~3,040円
- フロン類:2,030~2,120円
合計:9,180~10,340円
ディーラー代行手数料
自動車を新車登録する際には、さまざまな手続きが必要です。これらの手続きは自分ですることも可能ですが、時間と手間がかかります。
仕事などで忙しく、平日に手続きができないことからディーラーは代行を引き受けているのです。ただし、代行には当然手数料がかかります。
ディーラー代行手数料の目安は15,000円です。業者によって代行手数料は異なりますので、いくつかの業者で見積もりを出し、比較してみるのもいいでしょう。
壊れやすいところや注意するべき点
パワーウィンドウの不具合
K12型マーチによく見られるのが、パワーウィンドウの不具合です。ガラスとドアパネルの間に設置されたウェザーストリップの硬化し、ガラスが動く際に抵抗になるのが原因として考えられます。
初期の症状であれば専用の薬剤の使用で直ることもあるでしょう。そのため、修理にもそれほど費用は掛かりません。ただし、ウェザーストリップの交換が必要な場合には、修理代が高額になります。
症状が進行してしまうとパワーユニットやモーターに負担がかかり、メカニカルな故障になってしまう可能性もあるでしょう。この場合の修理代はドア1枚当たり50,000円程度です。
ショックアブソーバーからのオイル漏れにも注意を
新車として購入し、1カ月の新車点検でよくあるトラブルがリヤサスペンションにつけられているショックアブソーバーからのオイル漏れです。
新車として購入したばかりで見つかるため、初期不良か部品自体の不具合であると考えられています。ただし、わずかなオイル漏れの場合には、点検でも見落としがちですので注意しましょう。
オイル漏れが進行してしまい、気づかないうちにショックアブソーバーが抜けていたという報告も多々あります。ショックアブソーバーからオイルが漏れている場合には、ショックアブソーバーの交換が必要です。
新品で1本8,000円程度ですが、初期不良や新しい段階で見つかった場合には無償で交換してもらえます。マーチを長く乗り続けるためにも、新車点検をしっかりと受け、トラブルを未然に防ぐことが大切です。
まとめ
長きに渡って国産のコンパクトカーとしての地位を気づいてきたマーチの維持費は、それほど高くはありません。エコカー減税の対象となるグレードを選択すると、維持費がおさえられるといえるでしょう。
ただし、マーチを長く維持していくと修理代などがかかる可能性もあります。そのため、定期的に点検をしておくと安心です。マーチと長く付き合うためにも、維持費についてしっかりと知っておくことが大切ですね。