新車は高いので、中古車の購入を検討する人もいるでしょう。しかし、中古車といっても安い買い物ではありませんので、少しでも費用を抑えたいものです。中古車を安く購入できる時期はあるのでしょうか。
この記事では、中古車を安く購入できるお得な買い時をはじめ、中古車価格の決まり方や購入するうえでの注意点などについて詳しく解説します。
中古車の価格が決まる要因
中古車の価格が決まる要因は二つあります。ひとつは「需要と供給のバランス」、もうひとつは「車両状態」です。それぞれについて解説します。
需要と供給のバランス
需要と供給のバランスというのは、中古車を購入したい人(需要)と販売される中古車の数(供給)の割合です。このバランスによって中古車の販売価格は上がったり下がったりします。その関係は以下のように示せます。
- 中古車を購入したい人(需要)<販売される中古車の数(供給):中古車の販売価格が下がる=安く購入できる
- 中古車を購入したい人(需要)>販売される中古車の数(供給):中古車の販売価格が上がる=安く購入できない
中古車を購入したい人よりも販売される中古車の数が上回ると、販売店は販売価格を下げて中古車が売れるようにします。逆に、中古車を購入したい人が販売される中古車の数を上回ると、販売価格を下げなくても中古車を売りやすいので安くならないのです。
この関係は、中古車全体でというよりも車種によります。最近では、90年代のスポーツカーが人気ですが、中古車としての販売台数が少ないにもかかわらず、購入したい人が多いため、中古車価格が高騰しているのが、その一例です。
車両状態
新車の場合、同車種の同グレードであれば販売価格は同じですが、中古車の場合は違います。理由は、車両状態にバラつきがあるためです。中古車の価値は以下の要因で左右され、販売価格が決まります。
- 走行距離:長いほど価値が下がる
- 修復歴の有無:有る場合、価値が下がる
- 外装や内装の状態:凹み・キズ・汚れ・改造があるほど価値が下がる
- カラー:不人気なカラーほど価値が下がる
中古車は上記の要因で査定され価値が決まるため、同車種・同グレードであっても販売価格に差が出るのです。
中古車のお得な買い時はいつ?
中古車を安く購入できるお得な買い時は、おもに5つの時期。それぞれについて解説します。
需要が下がる4月
3月は各自動車メーカーの決算期で、ディーラーは決算期までの販売台数に応じて、自動車メーカーから報酬金を受け取っています。つまり、ディーラーは新車をたくさん販売するほど、自動車メーカーから多くの報奨金が受け取れるのです。
そのためディーラーは、決算期の3月には新車を安い価格でどんどん販売していきます。また、3月は新生活開始前で車を購入する人も多くなり、新車の販売が活発になります。その結果、新車の購入が促進されることで、買い替えで下取りした中古車が増えるのです。
そして4月になると、新車の買い替えで増えた中古車が市場に多く出回るのですが、新生活が始まっている時期でもあるため、車を購入する人が減少します。この重要が下がる4月は、供給過多となった中古車を1台でも多く販売するために、中古車販売店は中古車価格を下げる傾向にあるので狙い目です。
ボーナス支給前の5月と11月
ボーナスはある程度まとまった金額なので、ボーナスをあてにして大きな買い物をする人もおり、中古車の購入もこの例に当てはまります。
そのためボーナス支給前の5月と11月は、中古車を購入しようとする人は少なくなります。そこで中古車販売店は、購買意欲をかき立てるために値引き幅を大きくする傾向になるので、中古車を安く買える可能性が高まります。
年式が古くなる1月
車の年式は新年を迎えるごとに更新され、そのタイミングは1月1日です。中古車は年式が新しい「高年式」ほど価値が高くなるので、1月1日を超えるとすべての中古車の年式が1年増え、価値が下がります。
そのため1月は、同じ中古車でも1ヶ月前の12月より安く購入できる可能性があります。また、「新春大売り出し」などを行う時期でもありますので、1月は中古車を安く購入しやすいでしょう。
モデルチェンジ後
車は発売されてから、おおよそ2年~3年の周期でマイナーチェンジ、おおよそ4年~6年の周期でフルモデルチェンジが行われます。このモデルチェンジが行われた後に中古車を購入するのが狙い目です。
マイナーチェンジは、フロント・リヤ周りのデザイン変更をはじめ、装備などの見直しが行われる小変更、フルモデルチェンジは、ボディのデザインまでそっくり丸ごと変更されことをいいます。
このマイナーチェンジやフルモデルチェンジが行われた後は、それまで最新だった中古車が旧型となるため、中古車価格が下がる傾向にあり、とくにガラッと大きく変わるフルモデルチェンジ後の方が、中古車価格は下がる可能性が高いです。
しかし、車種によっては「前のモデルの方がかっこよかった」などの理由で、人気が高いままの場合は、価格も下がりにくいので注意しましょう。
SUVは春~夏、オープンカーは冬
車には多くのボディタイプが存在しますが、なかには季節によって中古車価格が変動するものがあります。具体的にはSUVやオープンカーです。
SUVは一般的な車種よりも雪道などの走破性が高く、荷物をたくさん積めるので、冬に需要が高まり、中古車価格が上がる傾向にあります。そのため、冬以外の春~夏の季節が購入の狙い目となるでしょう。
オープンカーは屋根を開けて解放感を満喫しながらドライブを楽しむ車種のため、春や秋など過ごしやすい季節に需要が高まり中古車価格が上がる傾向にあります。しかし、冬は寒さで屋根を開ける機会が減るため、需要が下がり中古車価格も下がるので狙い目です。
安い中古車を購入する時の注意点
中古車を安く購入できたと喜んでいても、すぐに故障やトラブルが発生して多額の修理費用が発生しては意味がありません。安い中古車を購入する時には、以下のことに注意してください。
走行距離
安い中古車の多くは、走行距離が長くなりがちです。最近の車は昔に比べて、性能や耐久性が向上しているため、過走行といわれる10万km以上走行した中古車でも、トラブルなく走行できます。
この走行距離10万kmというものが、中古車を選ぶうえでのひとつの目安になります。その理由は、交換や補修する部品が多く発生するからです。走行距離10万kmで交換や補修が必要となる、代表的な部品とおおよその費用は以下になります。(費用は車種や対応する場所により変動あり)
【エンジン回り】
- タイミングベルト:交換で3万円~
- フューエルフィルター:交換で1万円~
- ウォーターポンプ:交換で2万円~
- オルタネーター:交換で5万円~
【足回り】
- ショックアブソーバー:交換で10万円~
- ブーツ・ブッシュ:交換でブーツ2万円~、ブッシュ10万円~
- ブレーキローター:交換で6万円~
- ブレーキキャリパー:補修で4万円~
【外装】
- ウェザーストリップ:1万円~
走行距離10万kmを越えていても、これらが交換・補修済みであれば安心感は高いですが、手を付けられていない中古車なら安くても避けるべきです。また、やっかいなのが走行距離10万km直前の中古車。交換や補修時期がきていないため、まったく手が付けられていないことが考えられます。
走行距離が10万kmに近い中古車で安く販売されている場合、部品の交換や補修がすでにどれだけ対応されているのかを必ずチェックしましょう。
年式
車を所有すると、自動車税と自動車重量税を必ず納税しなければなりません。自動車税は毎年5月ごろ、自動車重量税は2年ごとの車検時に納税の時期がきます。この自動車税と自動車重量税は、車の初年度登録からある年数を経過すると税額がアップします。
自動車税は、ガソリン車なら13年、ディーゼル車なら11年を経過すれば約15%ほど金額がアップ。ただし、ハイブリッド車と電気自動車は対象外です。
自動車重量税は、ガソリン車・ディーゼル車関係なく13年を経過すれば11,400円/0.5t(2年分)、さらに18年を経過すると12,600円/0.5t(2年分)まで税額が上がります。なお、エコカーなどの減税対象車は対象外です。
初年度登録から13年以上経過している中古車は、購入価格が安くても維持費となる税金が高くなるので注意が必要です。
修復歴
修復歴とは、車の骨格に当たるフレーム部分を交換もしくは修正・補修したもので、車にとって重要な箇所が修復されているかの履歴のことをいいます。中古車販売店は、必ず購入者へ事前に修復歴があることを告知しなければなりません。
しかし、中古車販売店によっては告知せずに販売するところもあるようです。見た目がキレイで走行距離も多くないのに相場より安い場合は、修復歴があるかも知れません。車に詳しい人と一緒に中古車をチェックできない場合は、購入を避けた方が賢明です。
車検
車は2年ごとに車検を受ける必要があります。その費用は車種や車の状態で変わりますが、2リッターの普通車なら約10万円~20万円ほど。販売される中古車は、この車検が残っているものと切れているものが混在しています。
中古車販売店の多くは、車両価格だけを表示しているので、その価格を見て「安い」と思っても、車検が切れていたら約10万円以上の費用がプラスされるため、結局安くなかったとなる場合があります。中古車価格を見る場合、車検費用も含めてチェックするようにしましょう。
アフターサービス
新車であっても故障やトラブルは起こるものなので、中古車はさらに故障やトラブル発生の可能性が高くなります。せっかく安く購入しても、故障やトラブルのたびに出費があるようでは困りものです。
最近では、中古車でも年数や走行距離に応じた保証をつけて販売されているものが増えてきています。このような保証があり、故障やトラブルが発生したときにしっかりと対応してくれるような、アフターサービスの充実度もチェックしましょう。
試乗
外装の凹みやキズ、内装の汚れや破れなどは見た目でわかりますが、実際に運転してみないとわからない不具合もあるため、購入前に必ず試乗することをおすすめします。
走行距離も少なく、外装・内装ともにキレイで良好なコンディションの中古車が安く購入できたとしても、実際に運転したら「ハンドルが右に取られる」とか「ブレーキが引きずっている感じがする」などの不具合があるケースも考えられます。
購入後だと、後でクレームを入れても「購入されてからそうなったのでは?」と返されて修理対応してもらえない可能性もあります。しかし、試乗すれば先に不具合に気づけるため、事前に修理対応してもらう、購入自体を避けるなど、未然にトラブルを回避することができるのです。
リセールを考えた中古車選びのポイント
購入した中古車を一生乗り続けるなら別ですが、いずれ乗り換えを考えているなら、リセールバリューを考えて中古車を選びましょう。ここでは、リセールを考えた中古車選びのポイントを具体的に紹介します。
車種
まず最初は車種選びです。車種ごとの人気には差があるため、リセールバリューを考えた場合、人気の高い車種を選びましょう。
人気が高い=欲しがる人が多い=需要が高い、ということになり、需要と供給のバランスで説明したように、買取や下取りに出した場合、需要が高い車種=高く売れる可能性が高くなるのです。
グレード
多くの車には、シンプルな装備で車両価格を抑えたグレードから、至れり尽くせりの装備で車両価格が高い上級グレードまで、同じ車種でも何種類ものグレードがあり、このグレードによってもリセールバリューは左右されます。
一般的に、グレードの高さとリセールバリューの高さは比例します。なぜなら、グレードが高いほど当時の新車価格も高く、装備が充実しているほど人気も高いからです。リセールバリューを考えるなら、最上位のグレードを選ぶようにするのが賢明でしょう。
カラー
車のカラーによっても、リセールバリューは左右されます。一般的にいわれるリセールバリューの高いカラーは「白」や「黒」で、これはほとんどの車種に当てはまり、理由は「誰でも無難に乗れるから」。白や黒だとクセがないため、欲しい人が多い=需要が高いということになるのです。
逆に、赤や黄色といった奇抜な色は欲しがる人が少ないため、リセールバリューは下がる傾向にあります。ただし、一部のスポーツカーなどは、奇抜な色の方が人気で高く売れる場合もあります。
まとめ
中古車は新車よりも安く購入できるとはいえ、安い買い物ではないので、少しでも安く購入できるに越したことはありません。ここで紹介した、お得な買い時のタイミングで狙っている中古車を安く購入してください。
また中古車は、新車と違って同じ車種でもコンディションはすべて違うため、よくチェックする必要があります。安い中古車を購入する時の注意点で紹介した内容を実践して、安心できる中古車を購入できるといいですね。