最近、高齢者が起こした大きな交通事故のニュースが続いた事もあり、高齢者ドライバーの問題がクローズアップされています。
そこで今回は<高齢者が運転しやすい車>について詳しくご紹介していきます。
高齢者が運転しやすい車の選び方
高齢者、特に75歳以上になると認知機能と反射神経が顕著に衰えてきます。この2つは車を安全に運転するために不可欠な能力ですが、高齢者本人には衰えている自覚がない場合も多いです。
<MS&ADインターリスク総研株式会社>が2017年に行った「自動車運転と事故」をテーマとする調査によると、アンケートに応じた80歳以上のドライバーの72%が「運転に自信あり」と答えています。
ドライバーに最大限慎重に運転してもらうのはもちろんですが、「高齢者にとって運転のしやすい車」を用意する事も考えてみましょう。
高齢者の運転にはコンパクトカー・軽自動車が良い
高齢者が運転しやすい車は車体寸法の小さい、コンパクトカーと軽自動車です。車体が大きくなると前後左右の車体感覚が掴みにくくなり、接触事故などを起こしやすくなります。特に高齢者は物理的な感覚が鈍くなって来ていますので、小さな車のほうが扱いやすいでしょう。
維持費が安い車を選ぶ
多くの高齢者は収入に余裕がある訳ではありません。コンパクトカー・軽自動車は車体価格が安く、納める税金も低くなります。
また、車検代も安く燃費も良いので、トータルで見るとかなりの維持費が節約できます。高齢者はミドルサイズ以上のセダンを好む人も多いですが、実用性を重視するのなら高齢者にはコンパクトカー・軽乗用車が向いているでしょう。
高齢者の運転には安全装備が必須
昨今では高齢者ドライバーの起こす重大事故が頻発しています。その中には最新の安全装備が備えられている車両であったならば、事故の規模が小さくなっていただろうと想定される事故もあり、安全装備の無い車両を保有している高齢者ドライバーは早急に乗り換えを検討すべきでしょう。
セーフティー・サポートカーを選ぶ
政府は交通事故を減らすために、運転支援機能が装備した車の普及に取り組んでいます。その普及のために誰にでも分かりやすい基準として、<安全運転サポート車(セーフティ・サポート車)>という制度を設立しました。
特に高齢者ドライバーは衰えた認知能力を補足してくれる、<運転支援機能・安全装備>の有り無しを車選びの判断材料とすべきです。
セーフティ・サポートカーの区分
セーフティー・サポートカーはその車種が「運転支援機能・安全装備をどれくらいのレベルで備えているか」によって、いくつかの段階に分かれています。
すべての運転者に推奨 セーフティ・サポートカー
<被害軽減(自動)ブレーキ>を搭載した自動車を<セーフティ・サポートカー(サポカー)>と呼び、年齢を問わずすべてのドライバーに推奨されています。
被害軽減ブレーキは車両に備えたカメラで進行方法にある物体(車や歩行車)を検知し、「このままでは衝突する危険がある」と判断するとまず警告音などでドライバーに伝えます。さらに衝突の可能性が高まると自動でブレーキを作動させ車両を停止させようとします。
被害軽減ブレーキはあくまでドライバーを補助する機能であって、路面や気象状況によっては十分に効力が得られない場合もあります。被害軽減ブレーキを過信しすぎず、まずはライバー自身が安全運転に注力すべきでしょう。
高齢者向けの サポカーS
<セーフティ・サポートカーS(サポカーS)>とは被害軽減(自動)ブレーキを装備し、さらに<ペダル踏み間違い時加速抑制装置>などの機能を備えた自動車の事です。
サポカーSは被害軽減ブレーキのレベルによって、3つの区分に分けられています。以下は各基準を満たすために装備していなくてはならない条件です。
- サポカーSワイド
<被害軽減(自動)ブレーキ(対歩行者)><ペダル踏み間違い時加速抑制装置><車線逸脱警報><先進ライト> - サポカーSベーシック+
<被害軽減(自動)ブレーキ(対車両)><ペダル踏み間違い時加速抑制装置> - サポカーSベーシック
<低速被害軽減(自動)ブレーキ(対車両)><ペダル踏み間違い時加速抑制装置>
高齢者は判断力、筋肉の衰えもあり、とっさの急ブレーキが苦手です。今から高齢者の運転する車を購入するのなら、「歩行者や他の車両と衝突しそうになった時の急ブレーキ」や「アクセルとブレーキの踏み間違い」への対応装備のある車が望ましいでしょう。
そこで高齢者にオススメなのは、歩行者にも作動する被害軽減ブレーキを装備した<サポカーSワイド>に適合する自動車です。
高齢者が運転しやすい車6選
高齢者が運転しやすいコンパクトカー・軽乗用車で、<サポカーSワイド>に適合する車種を紹介します。
日産 ノート
<ノート>は日産のコンパクトカーで<サポカーSワイド>のモデルです(一部グレードを除く)。
ノートのコンパクトなボディは、高齢者にも扱いやすくボディカラーも22種類もあります。
被害軽減(自動)ブレーキは、日産では<インテリジェント エマージェンシーブレーキ>という名称になっており、一部グレードを除くほとんどのグレードに標準装備されています。
メーカーオプションの<インテリジェント アラウンドビューモニター(移動物 検知機能付)>は、駐車時に上から車を俯瞰して見ているかのような映像をルームミラーに映し出し、周囲の状況が一目で分かるようになります。高齢者ドライバーにも便利な機能です。
・<ノート>の主な仕様
全長 4,100mm
全幅 1,695mm
全高 1,520mm
車体重量 1,030~1,310kg
エンジン排気量 1,198cc
燃費 18.2~37.2km/L
最小回転半径 4.7~5.2m
車体価格 1,421,280~2,640,600円(税込)
乗車定員 5人
トヨタ アクア
トヨタのハイブリッドコンパクトカー<アクア>は、特別仕様車の<S “Style Black”>が<サポカーSワイド>の基準を満たしています。
<S “Style Black”>は<インテリジェントクリアランスソナー(パーキングサポートブレーキ)><トヨタセーフティセンス><スマートエントリー&スタートシステム>を特別装備し、アクアの中でも安全性に重きを置いたグレードです。
<インテリジェントクリアランスソナー>は、フロント2ヵ所、フロントコーナー左右、リヤコーナー左右、リヤ部2ヵ所の計8ヵ所に静止物センサーを配置し、15km以下の低速走行時に静止物に接近するとブザーでドライバーに知らせ、さらに衝突の危険が迫ると自動でブレーキを作動させます。
アクアはハイブリッドカーで安全性にも優れ、落ち着いたエクステリアを持っているため高齢者に非常に人気のあるモデルとなっています。
・<アクア 特別仕様車 S “Style Black”>の主な仕様
全長 4,050mm
全幅 1,695mm
全高 1,455mm
車体重量 1,090kg
エンジン排気量 1,496cc
燃費 34.4km/L
最小回転半径 4.8m
車体価格 2,049,840円(税込)
乗車定員 5人
ホンダ N-BOX
<N-BOX>はホンダの代表的な軽自動車で、<ホンダ・センシング>を標準装備しています。
サポカーSワイドの条件である<被害軽減(自動)ブレーキ(対歩行者)><ペダル踏み間違い時加速抑制装置><車線逸脱警報><先進ライト>をすべて装備。
N-BOXの骨格には衝突時のショックを緩和させるホンダ独自の安全技術<G-CON>が使われています。さらに<コンパティビリティー対応ボディー>を採用していて、衝突時の相手車両へのダメージを減少させています。
ホンダ・センシング、G-CONと安全装備もばっちりで、高齢者にもオススメの軽自動車です。
・<N-BOX>の主な仕様
全長 3,395mm
全幅 1,475mm
全高 1,790~1,815mm
車体重量 890~1,020kg
エンジン排気量 658cc
燃費 23~27km/L
最小回転半径 4.5~4.7m
車体価格 1,385,640~2,274,480円(税込)
乗車定員 4人
マツダ デミオ
<デミオ>は経済性に優れるディーゼルエンジンとスタイリッシュな外観で人気のマツダのコンパクトカーです。
マツダ車の設計には<マツダ・プロアクティブ・セーフティー>という安全思想が取り入れられています。具体的には「アクセルとブレーキの理想的な配置」「少ない視線移動で運転が出来るように配慮された<ヘッズアップコクピット>」「斜め前方を確認しやすいドアミラーの位置」などです。
もちろんデミオには<サポカーSワイド>の基準に必要な安全装備も備わっています。他にも「車線変更時見えにくい斜め後方」からの車両の接近を運転者に通知する<ブラインド・スポット・モニタリング>、駐車場でバックで出る時に左右から接近する車両があると警告してくれる<リヤ・クロス・トラフィック・アラート>などは高齢者にうれしい機能です。
・<デミオ>の主な仕様
全長 4,060mm
全幅 1,695mm
全高 1,500~1,550mm
車体重量 1,020〜1,240kg
エンジン排気量 1,498cc
使用燃料 軽油
燃費 26.4~26.6km/L
最小回転半径 4.9m
車体価格 1,814,400~2,278,800円(税込)
乗車定員 5人
スズキ スペーシア
<スペーシア>はスズキのトールタイプの軽自動車です。スズキの<スズキ セーフティ サポート>は評価の高い予防安全技術で、スペーシアを含め多くの車種が<サポカーSワイド>の基準を満たしています。
スペーシアには<デュアルセンサーブレーキサポート>というスズキ独自の衝突被害軽減ブレーキを装備。フロント部に設置した<ディアルセンサー>のレーザーレーダーで夜間、近距離の人や車を検知し、中・長距離の検知性能の高い単眼カメラとの併用で危険を高精度で察知します。
<高張力鋼板>を多くの部分に使用して強度を高めた軽量衝撃吸収ボディーの<テクト>を採用。フロントシートの横には<サイドエアバック>を全車標準装備としているなど、十分な安全装備を備えています。
・<スズキ スペーシア>の主な仕様
全長 3,395mm
全幅 1,475mm
全高 1,785mm
車体重量 870~920kg
エンジン排気量 658cc
燃費 26.4~28.2km/L
最小回転半径 4.4m
車体価格 1,274,400~1,589,760円(税込)
乗車定員 4人
ダイハツ タント
ダイハツの軽自動車<タント>も<サポカーSワイド>の基準に適合しているモデルです(一部グレードは除く)。
ダイハツの予防安全技術である<スマートアシストⅢ>では歩行者にも対応している<衝突回避支援ブレーキ機能>や、前方の状況を検知しハイビームとロービームを自動で切り替えてくれる<オートハイビーム>などの先進の機能が採用されています。
ディーラーオプションの<高速道路逆走警告>は高速道路での逆走を検知し、ディスプレイと警告音でドライバーに知らせる機能。高速道路入口やサービスエリアの出口など逆走の危険性の高い場所でもドライバーに逆走しないように注意をうながします。<高速道路逆走警告>は高齢者が運転する車にはぜひ装備して欲しい運転補助機能です。
・<ダイハツ タント>の主な仕様
全長 3,395mm
全幅 1,475mm
全高 1,750mm
車体重量 920~1,040kg
エンジン排気量 658cc
燃費 24.6~28km/L
最小回転半径 4.4m
車体価格 1,220,400~1,657,800円(税込)
乗車定員 4人
まとめ
今回は<高齢者の運転しやすい車>についてお伝えしました。購入する自動車を選ぶ時には人それぞれの好みもありますが、やはり高齢者は事故が心配ですので安全装備が充実している車種を優先すべきでしょう。
最近では<サポカーSワイド>に適合したモデルもかなり数が多くなっていますので、今回オススメした車種を中心に検討してみてください。
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