車選びの際に注目するであろう<安全装置>。メーカーや車種によってはオプション設定となる安全装置ですが、メーカーによって何か変わるのでしょうか。国産主要メーカーの自動車安全装置や特に注目されている自動ブレーキの特徴について解説します。
外国メーカーの安全装置はどのようなものでしょうか。安全装置を比較して本当に安全な車を見分けていきましょう。
[myphp file=article-cta-parts-s]安全な車に乗るには安全装置のチェックが必須
新車発売している最新グレードの車は、どの車種も最先端技術を搭載した安全装置を標準装備するようになっています。自動車の安全技術は国内にとどまらず世界中で進化を遂げており、交通人身事故件数は年々減少しています。
しかし、高齢者による人身事故はたくさん起きています。2018年度の報告によると、75歳以上の高齢者ドライバーが交通事故の第一当事者となった交通死亡事故は全体の事故件数の14.8%を占めており、過去最多の結果となっています。
そのため、判断力が鈍くなっている高齢者でも安全運転ができるようにサポートしてくれる安全装置に多くの人の注意が寄せられているのです。安全な車に乗り安全運転を心がけるためには、車を購入する際に安全装置がどれほど充実しているかをチェックすることは非常に重要であるといえるでしょう。
主要メーカーの自動車安全装置を比較
昨今、自動車メーカーは安全装置や運転支援システムをさらに強化することに集中して取り組んでいます。メーカーごとの基本的な安全装置を搭載するだけではなく、さらに安全装置を強化した車種を広げていくことを多くの自動車メーカーが表明しています。安全装置が充実していることはドライバーにとってプラスとなりますが、メーカーごとにどのような特徴があるのか、簡単に比較しながらご紹介しましょう。
ホンダ
ホンダが提供している安全装置は<Honda SENSING>という名称です。自動ブレーキだけではなく衝突回避するための様々な機能が装備されている安全運転をサポートしてくれるパッケージとなっています。オプション装備の車種やグレードもありますが、最新のグレードにはHonda SENSINGが標準装備されるようになっています。
Honda SENSINGにはホンダの本来のシティブレーキアクティブシステムに加えて衝突軽減ブレーキを搭載することによって、より広い範囲で作動し出来る限り衝突事故を回避してくれるでしょう。
Honda SENSINGはミリ波レーダーと単眼カメラの2つのセンサーを組み合わせることで、乗用車の場合は120m前方まで把握することができるとても優秀な安全装置です。また、カメラによる検知は車体ではなく歩行者や白線、道路標識をいち早く認識して警告してくれるため、さまざまな危険や事故を未然に防ぐサポート力の強い安全装置といえます。
トヨタ
トヨタの安全装置は<Toyota Safety Sence>という名称で搭載されています。Toyota Safety Senceが搭載されている車でグローバルに出荷されているものは2015年3月の時点ですでに1000万台に到達していました。日本中だけでは2018年には300万台という数字を出しており、世界中で消費されているトヨタメーカーの9割の車両はToyota Safety Senceを標準装備しているといえます。
Toyota Safety Senceはグレードアップを図り、夜間の歩行者や自転車など発見しづらい対象物を早めに検知して事故を防ぐ予防事故システムとなっています。さらに安全装置を強化したハイブリッドカープリウスには後方接近者を感知し、点滅とブザーによる注意喚起を促してくれるリヤクロストラッフィックアラートも選択できます。
日産
日産はセーフティサポートカーの中でもさらにスペシャルな安全装置を搭載している車を<サポカーS>と呼んでいます。サポカーSには自動ブレーキ、車線逸脱抑制装置、誤発進抑制といった基本的な安全装置を標準装備されています。
Honda SENSINGに準じた安全装置ともいえますが、プロパイロットには自動運転や自動駐車支援システムも含まれており、日産では<インテリジェントモビリティ>と総称されています。
日産の安全装置の機能は単眼カメラのみによって行われています。ミリ波レーダーは使用されていませんが2016年に行われたJNCAP予防安全性能評価ではASV++ランクを負獲得しているため、安全運転のサポート機能は充実しているといえるでしょう。
スバル
スバルの安全装置は<アイサイト>です。アイサイトの主な機能は次の通りです。
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- ステレオカメラ
左右2つのカメラで状況を立体的に把握し、対象となる車や歩行者、自転車との距離や移動速度を正確に認識することができます。物体の形状を認識できるので、何かがある、ではなく何があるかをはっきり把握できる装置です。
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- プリクラッシュブレーキ
衝突の危険を感知したら警告を行い、回避操作が行われなかった場合は自動的に減速、または停止するブレーキシステムです。
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- 前者追従機能付クルーズコントロール
0㎞/h~100km/hの幅広い車速域で追従が可能です。
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- アクティブレーンキープ
走行車線両側の区画線を認識し、操作をアシストします。
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- AT誤発進抑制制御・AT誤後進抑制制御
前方または後方の障害物を検知し、誤ってアクセルを踏み込んだ際に警報音で警告します。エンジン出力を弱め制御することで、誤発進または誤後進による衝突事故を防止します。
安全装置の代表格<自動ブレーキ>とは
どの自動車メーカーでも安全装置の代表格となっているものは自動ブレーキです。衝突被害軽減ブレーキともいわれていますが、自動車が前方または後方の障害物を自動的に感知し衝突に備えるシステムのことを総称して<自動ブレーキ>と呼びます。
今や、自動ブレーキの標準装備は新車購入時のポイントとなっていることでしょう。自動ブレーキを搭載している車は政府が安全な車として認めているサポカーに分類されています。では、国産メーカーではどのような自動ブレーキを搭載しているのでしょうか。
国産メーカー自動ブレーキ性能比較表
メーカー名 | 対歩行者検知(昼) | 対歩行者検知(夜) | 対車両検知 | 対自転車検知 |
トヨタ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
日産 | 〇 | × | 〇 | × |
ホンダ | 〇 | △ | 〇 | × |
マツダ | 〇 | × | 〇 | × |
スバル | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
三菱 | 〇 | × | 〇 | × |
国産メーカー自動ブレーキ作動速度比較表
メーカー名 | 対車両作動速度 | 対歩行者作動速度 |
トヨタ | 10~180㎞/h | 10~80km/h |
日産 | 10~80㎞/h | 10~60㎞/h |
ホンダ | 5㎞/h~上限なし
(前走車) |
5~80㎞/h |
マツダ | 4~80㎞/h | 10~80㎞/h |
スバル | 1~160㎞/h | 1~80㎞/h超 |
三菱 | 5~180㎞/h | 5~65㎞/h |
外国メーカー別自動ブレーキの比較
自動ブレーキをはじめとする安全装置を充実させ、補充しようとしているメーカーは日本のものだけではありません。世界中の自動車メーカーは安全装置をさらに最新技術を搭載したものに進化させようと努めています。ここでは外国メーカーの提供している安全装置<自動ブレーキ>の機能を比較してみましょう。
メルセデスベンツ
メルセデスベンツの安全装置は<PRE-SAFEブレーキ>です。日中の車両と歩行者に対応している自動ブレーキです。メルセデスベンツには飛び出し検知機能付きブレーキアシストプラスが装備されており、飛び出しを検知したら音とディスプレイで警告があります。
ブレーキを踏めばブレーキ圧が高まりますが、もし、ドライバーがブレーキを踏まなければ衝突をできるだけ回避するためにPRE‐SAFEブレーキが作動するという仕組みになっています。自動ブレーキが作動する際にはシートベルトの巻き上げも行われます。また、助手席のシートポジションを修正し、万が一衝突した際にもできるだけ安全を確保できるようになっている点がメルセデスベンツの安全装置の特徴といえます。
作動速度:対車両<7~200km/L>・対歩行者<7~72km/L>
アウディ
アウディの安全装置は<プレゼンスシティ>と呼ばれています。フロントにカメラを設置することによって前方の車両と歩行者を検知し警告してくれる安全装置です。国内メーカーの自動ブレーキの作動範囲と同じように作られているため、日本で走行する際には申し分のない自動ブレーキと言えるでしょう。
アウディには自動ブレーキ以外にもターンアシストやトラフィックジャムアシストと呼ばれる安全装置も搭載されています。右折時に対向車と接触しないように、万が一の際には緊急ブレーキが作動します。また、渋滞が起きたときや、高速運転時に前走車に追従できるようなアシスト機能も搭載されているため、安全運転を楽に行えるといえます。
ただし、アウディの自動ブレーキ<プレゼンスシティ>は夜間走行時の歩行者発見や対向車認知また自転車には対応していません。ですから、夜間に走ることが多いという方にとってはあまり利点はない安全装置となりえるでしょう。日中の長距離運転が多い方や普段使いで基本的な安全装置だけでよいと考える方であればよいものです。
フォルクスワーゲン
フォルクスワーゲンの安全装置は<フロントアシスト>です。さらに歩行者検知対応シティエマージェンシーブレーキ機能がついているため、車両だけではなく歩行者を早めに検知することができます。フロントアシストの一番の特徴は対車両作動速度域が非常に広いことです。エンブレムに内蔵されているレーダーが使用され、非常に広い範囲で車を検知し衝突を回避することができるでしょう。
歩行者に関しても5km/hから検知できるため、高速走行が可能な道路であっても歩行者を見逃して接近してしまうことを防げるでしょう。ただし、フロントアシストは昼の車両と歩行者にのみ対応しており、夜間走行時に自動ブレーキを作動させることはできません。
作動速度:対車両<5km/h~全速度域>・対歩行者<5~65km/h>
ポルシェ
ポルシェの安全装置は<ポルシェアクティブセーフティシステム>という名称です。この案z年装置は車間距離が急速に近づいた際に音で警告を表示し、シートを振動させることでドライバーに認知させます。ドライバーが気づいて急ブレーキをかけることができればブレーキ圧が高まり、衝突を回避できるというシステムです。
ポルシェ全グレードに標準装備されているものではなく、マカンにオプション選択できる安全装置です。また、ポルシェアクティブセーフティシステムは昼の対車両のみであって、歩行者には対応していません。歩行者に対する安全装置を重視したいのであればカイエンに標準装備されている<予測的歩行者保護>というシステムが適しているでしょう。
作動速度:対車両<30km/h~240km/h>
プジョー
プジョーの安全装置の名称は<アクティブセーフティブレーキ>です。レーザーセンサーによって前方にある障害物を検知できます。検知して警告したもののドライバーが適切な操作を一定時間行わなければ、自動的にブレーキが作動することになります。
ただし、プジョーの自動ブレーキの作動速度は低速であるため、街中をゆったりと走っているときや渋滞中などでしか対応できない可能性があるでしょう。
作動速度:対車両<5km/h~30km/h>
ルノー
ルノーの安全装置の名称は<エマージェンシーブレーキサポート>です。アクティブブレーキとも呼ばれていますが、日中の明るい時間帯で対車両に対応している自動ブレーキです。自動ブレーキが作動する前にSDW車間距離警報システムが作動するため、前方走行車との距離を時間で知ることができます。
衝突を回避するために表示と音声の両方で警告してくれますが、ドライバーが迅速に安全な減速が出来なかった場合には自動ブレーキであるエマージェンシーブレーキが作動するという仕組みです。ルノーの自動ブレーキは歩行者や自転車にはまだ対応していません。
作動速度:対車両<5km/h~140㎞/h>
安全装置の優秀性は自動車アセスメントでわかる
この車は安全だと判断する決め手となるものは何でしょうか。同じように安全装置が標準装備されている車種であればなおさら悩むことでしょう。安全装置の優秀性を知るためには政府による評価をチェックすることが助けになります。ここではポイントとなる一つの評価について紹介しましょう。
それは自動車アセスメントです。自動車アセスメントとは<Japan New Car Assessment Program>の略称であり、JNCAPとも呼ばれています。日本では1996年から独立行政法人自動車事故対策機構が自動車アセスメントを行い、安全面で信頼できる車のデータを導き出しています。
自動車アセスメントでは、被害軽減ブレーキ、車線逸脱抑制装置、車線はみ出し警報、後方視界情報、ペダル踏み間違い時加速抑制、高性能前照灯などが評価の対象となっています。車を購入する前に、国土交通省が公開してくれている自動車アセスメントのデータをチェックしておくと、安全装置の充実した車を選びやすくなるでしょう。
まとめ
安全性能が高い車は近年どんどん新モデルが登場しています。事故を起こしたときに乗員を保護するだけではなく事故防止機能も付属した安全装置は進化し続けています。メーカーごとに名前の違う安全装置のそれぞれの特徴を理解して車を選びましょう。安全装置の優秀性をチェックし、運転手も乗員もみな安心してドライブを楽しめるようにしましょう。
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