国内で販売しているプジョーの中で、その大半を占めるモデルが206シリーズでした。プジョーの中心モデル206をベースに、遊び心を加えたクーペカブリオレが206CCです。
206シリーズの販売は終了していますが、206CCの魅力と維持費を紹介していきます。
206CCの特徴
206CCはプジョー主力モデル206のオープンカーモデルで、2001年5月から2007年7月まで日本で販売されていました。サイズ的には大変コンパクトで、全長3,810mm×全幅1,675mm×全高1380mmなので、日本の道路事情や駐車場にも問題なく適応しています。
206シリーズよりも全高が低く、シートポジションも25mmほど低いため、スポーツモデルらしい雰囲気を満喫することができます。
実用性が高い車種とは言えませんが、荷室容量は思ったよりも大きく、オープン状態で175L、ハードトップを閉めた状態なら410Lもあります。
日本では、1,600cc直列4気筒DOHCエンジンに、ルノーやシトロエンでお馴染みの4速ATを組み合わせたモデルが設定されています。現在主流となっているトランク内にハードトップを格納する電動格納式ハードトップは、プジョーが世界で初めて206CCに採用したとされています。
●1,600cc直列4気筒DOHC
- グレード :グリフ/1.6 AT
- 最高出力 :108ps
- 最大トルク :15.0kgf・m
206CCでかかる維持費は年間どのくらい?
206CCのグレードには、1,600cc直列4気筒DOHCを搭載した【グリフ】と【1.6 AT】の2グレードが用意されています。206CCの維持費として、年間どれくらいの費用が掛かるのかを調べてみましたので紹介します。
税金
206CCを購入後、維持していく上で課せられる税金について紹介します。
自動車税
自動車税とは、自動車を所有した全ての人に支払いが義務付けられている税金で、税額はエンジンの総排気量によって定められています。自動車税は、車検有効期間の有無に関わらず、ナンバープレートを返納しない限りは、所有者に納税する義務があります。
毎年4月1日の時点で、自動車検査証に記載のある所有者宛てに、自動車税納付書が送付されます。何らかの理由で自動車税を滞納している車は、車検を受けることができないので、車検を受ける時には延滞料を含めた自動車税を全て納付する必要があります。
206CCに採用されているエンジンの総排気量は、1,600ccなので自動車税は【¥39,500-】です。
重量税
自動車重量税は、自動車税と違って車検を受ける時に課せられる税金ですが、車検を受けなければ自動車重量税を納める必要はありません。自動車重量税は、自動車の重量に応じて課せられる税金で、車検の有効期間分を車検を受ける前に納付しなければいけません。
206CCを新車で購入した場合は、初めての継続車検時に車検有効期間である2年間分の自動車重量税を納付してから車検を受けることになります。206CCの車両重量は1,210kgなので、自動車重量税は【¥24,600-/2年】になります。
1年間分に換算すると、【¥24,600-÷2年=¥13,300-/年】です。
保険
自動車に関する保険は、大きく分けて【自賠責保険】と【任意保険】の2種類があります。自動車を購入した全ての人に加入が義務付けられているのが【自賠責保険】で、自賠責保険では賠償しきれないため、任意で加入することができる保険を【任意保険】と言います。自賠責保険と任意保険について説明していきます。
自賠責保険
自賠責保険は、自動車を所有する全ての人へ加入が義務付けられた保険で、自賠責保険に加入しなければ一般道を走行することもできませんし、車検を受けることもできません。自賠責保険は、人に対して適用することができる保険で、車本体や建物などを壊しても補償は一切されません。
自賠責保険は、死亡時でも3,000万円しか補償されないので、補償額は決して満足の行く額ではありません。
自賠責保険は、保険料が決められているので、どこの保険会社で加入しても保険料は同じです。車検を受ける時に、車検期間分の自賠責保険料を支払うので、一般的な継続検査の場合は、2年間分(24ヶ月)【¥25,830-】となります。
車検の有効期間と自賠責保険の有効期間は同じ24ヶ月ですが、満了日の時間に違いがあります。車検の有効期間満了日は【深夜24時まで】、自賠責保険の有効期間満了日は【昼の12時まで】で、満了日に12時間のズレが生じています。
自賠責保険に加入していない車は公道を走ることができないので、自賠責保険に加入する場合は24ヶ月ではなく、25ヶ月で加入することが通例とされています。
206CCの車検時に加入する自賠責保険は、25ヶ月で【¥26,680-】で、1年間分に換算しますと【¥26,680-÷2年=¥13,340-/年】になります。
任意保険
自賠責保険は、人に対してのみ保険が適用されますが、補償内容が乏しく、事故を起こした時に自賠責保険だけでは、全てを賠償することが不可能です。自賠責保険では補償されない【相手や自分の車】【相手や自分の搭乗者】【事故によって破損した物】などを補償するためにも、補償内容が揃っている任意保険に加入しておく必要があります。
任意保険は、サービス内容によって保険料も保険会社によって全く異なります。任意保険に初めて加入した場合は、6等級から始まりますが、無事故で保険を使わなかった場合は、保険契約を更新すると等級が上がって保険料が安くなります。
保険契約更新時に保険会社を変更しても、等級の引継ぎは行えるので補償内容が良く、保険料の安い別の保険会社を探すことで維持費を抑えることができます。
スポーツタイプのオープンカーで実用性に乏しい206CCですが、ユーザーの4分の1が女性ユーザーと言うことを踏まえて、任意保険の料金を1例として紹介します。
●206CCの料率クラス:対人・3/対物・4/搭乗者・5/車両・5
- 年齢 :26歳以上
- 等級 :11等級
- 年間走行距離 :9,000km
- 免許の種類 :ブルー
- 運転者限定 :本人限定
- 運転者年齢制限:26歳以上
- 対人賠償 :無制限
- 対物賠償 :無制限
- 年間の保険料(車両保険無し):¥ 45,500-
- 年間の保険料(車両保険有り):¥109,300-
206シリーズが国内販売されていた当時、プジョーの販売台数の約60%が206シリーズが占めていました。日本国内でプジョーの主力モデルだった206シリーズですが、運転しやすいサイズ感とオープンカーに憧れる働く女性からの高い支持を受けていたのが206CCです。
女性の多くは、保険内容については妥協せず、保険料よりもしっかりとした補償を受けられるかどうかが、保険会社選びの重要なポイントです。
その他費用
206CCを維持するために税金や保険以外で掛かる費用で、最も大きなウェイトを占めるのは、ガソリン代と駐車場代です。故障や事故などで大きな出費に見舞われることもありますが、ガソリン代と駐車場代は維持費の中でも大きなウェイトを占めています。税金や保険以外で必要となる費用を紹介していきます。
ガソリン代
206CCに使用する燃料は【無鉛プレミアムガソリン(ハイオク)】で、ハイオクガソリンの全国平均価格は【¥161.2-/L】です。一般的に1年間に走る距離は、10,000kmと言われていますので、1年間に必要なガソリン代を求める計算式は、【1年間の走行距離÷カタログ燃費数値×燃料価格】となります。
●グリフ/1.6 AT(カタログ燃費数値・10.3km/L)
10,000km÷10.3km/L×¥161.2-=¥156,505-
ガソリン価格情報NAVI:https://oil-stat.com/high.html
エンジンオイル交換費用
206CCのエンジンオイル交換時期は、他のプジョーと同じで1年又は10,000kmと推奨されています。エンジンオイルは、左の数字と右の数字の差が大きいほど価格が高いとされていますが、メーカーが206CCに推奨しているエンジンオイルは5W40で、価格は¥3,000-/L前後です。
206CCのエンジンオイルの量は【3.3L】と容量的には少なく、交換工賃は¥3,000-ほどが相場になっています。206CCのエンジンオイル交換の料金は、【(3.3L×¥3,000-)+¥3,000-=¥12,900-(消費税別)】です。
プジョー適合オイル:http://www4.total.fr/asia-oceania/japan/automotive_lubricants/product_information/NT0009F952.pdf
駐車場代
日本国内で輸入車販売台数が多い地区は、首都圏・東海圏・近畿圏に集中しています。その中で、首都圏・東海圏・近畿圏に属さない福井県が、毎年安定して上位に顔を出しています。不思議な感覚ですが、福井県は世帯当たりの自動車保有台数が全国No.1の自動車依存県とも言えます。
人口に対して自動車保有台数が多い福井県は、駐車場の利用率も多いのではないでしょうか?福井県の月極駐車場代を調べてみましたので、1例として紹介します。
●福井県の月極駐車場平均月額
- 福井県の月極駐車場平均額:¥5,563-(¥66,756-/年)
日本の主な立体駐車場のサイズは、全長5,000mm×全幅1,850mm~1,900mm×高さ1,550mm~1,600mmが最も多く、全長3,810mm×全幅1,675mm×全高1,380mmのコンパクトサイズの206CCは、問題なく駐車することができます。
ただ、206CCはオープンカーなので悪戯される可能性もありますし、雨ざらしにするとルーフなどのパッキンの痛みが早まり、雨漏りの原因にもなります。福井県のような地方では屋外駐車場も多いのですが、できれば屋根の付いた駐車場や立体駐車場のような屋内駐車場で保管することをオススメします。
車検代
206CCを購入すると、初年度登録から10年が経過するまでは、2年に1度の間隔で必ず車検を受けることになります。今回は大きな修理もなく車検に合格したことを想定した金額で車検費用を算出していますが、車検時には必ず消耗品の交換があるので206CCの場合は、20万円ほどは交換部品用に準備しておくようにして下さい。
- 自動車重量税:¥24,600-/24ヶ月
- 自賠責保険料:¥26,680-/25ヶ月
- 印紙代 :¥ 1,100-
- 車検整備費用:¥30,000-
- 車検代行料 :¥10,000-
- 消費税 :¥ 3,200-
- 車検費用合計:¥95,580-
車検は2年に1度なので、1年間の維持費として計算を行うと、【¥95,580-÷2年=¥47,790-/年】となります。
年間の維持費合計
- 自動車税 :¥ 39,500-/年
- ガソリン代 :¥156,505-/年
- オイル交換代 :¥ 12,900-/年
- 車検費用 :¥ 46,190-/年
- 年間維持費合計:¥255,095-/年
※上記の金額には消費税は含まれていません。
この年間維持費合計には、加入条件によって大きく金額が異なる任意保険料と、お住いの地域によって大きく価格が異なる駐車場代は含まれていません。
206CCの購入時にかかる費用は?
206CCを新車で購入するときの費用を調べてみましたので、紹介していきます。
車体価格
- 1.6 AT :¥2,552,778-(消費税別)
- グリフ AT:¥2,790,741-(消費税別)
日本での価格は300万円を切る価格なので、国産車を購入する感覚でプジョー206CCに乗ることができます。尚、206CCは販売が終了したモデルなので現在は新車で購入することはできません。
自動車重量税
自動車重量税は、新車を購入する時と車検を受けるときに課せられる税金で、車体の重量によって税額が決められています。206CCの新車を購入した場合は、初回の車検期間が3年なので、3年間分の自動車重量税を新車契約時に納めることになります。
206CCの新車購入時に課せられる3年分の自動車重量税額は、【¥36,900-/3年】です。尚、206CCは販売が終了したモデルなので現在は新車で購入することはできません。
自動車取得税
自動車取得税は、平成26年4月以降に登録・納車の自家用自動車に課せられる税金です。取得価額は車両本体の他にも、簡単には取り外すことのできないエアコンやカーナビなどのパーツについても取得価額として3%が課税されます。オプションは無しと言う条件で今回は算出します。
- 1.6 AT :(¥2,552,778-×0.9)×3%=¥68,925-
- グリフ AT:(¥2,790,741-×0.9)×3%=¥75,350-
自賠責保険
206CCを新車で購入した場合、初めての継続車検までの期間が3年なので、自賠責保険も36ヶ月または37ヶ月で加入することになります。自賠責保険と車検の有効期間満了のズレについては、先ほど説明したので省かせて頂きます。
206CCを新車で購入する場合の自賠責保険料は、37ヶ月分で【¥36,780-】となります。尚、206CCは販売が終了したモデルなので現在は新車で購入することはできません。
登録に必要な諸経費
206CCを新車で購入した場合、車庫証明や名義変更の手続きを管轄の警察署や陸運局で行わなければいけません。206CCの新車購入登録に必要な諸経費の内容と費用を紹介します。
- 検査登録手続代行費用:¥35,000-
- 車庫証明費用 :¥ 2,600-
- 車庫証明手続代行費用:¥25,000-
- 納車費用 :¥35,000-
- ナンバープレート代 :¥ 1,500-
- 消費税 :¥ 7,600-
- 諸経費合計 :¥106,700-
※手続き代行費用、車庫証明費用、ナンバープレート代などは、店舗や地域によって金額は異なります。
尚、206CCは販売が終了したモデルなので現在は新車で購入することはできません。
206CCの壊れやすいところや注意するべき点
206CCの壊れやすいところや注意するべき点は、輸入オープンカーに良くあるルーフの開閉トラブルです。206CCのオープンの仕組みは、電動で最初にトランクが開いてからトランクの中にルーフが格納されてるようになっています。トランクが開いた状態で、ルーフを格納している途中で止まってしまうトラブルが起こります。
油圧ポンプを開閉するリレーが壊れているだけならそれほど修理代も掛かりませんが、ハイドロリックパワーユニット本体が壊れている場合は、修理代で20万円~30万円ほど掛かります。
その他では、ソレノイドバルブの故障でATミッションが3速から4速に行かなくなったり、イグニッションコイルの劣化で走行性能が著しく低下したり、インジェクターの故障でトルクが無くなり走行不能になったりと、細々と故障が続く場合があります。
全て部品交換によって改善できる故障ですが、国産車よりも部品代や作業工賃も高いのが難点です。渋滞中や走行中に故障すると大変危険なので、細目に点検を行って事前に不具合箇所を発見することが危険回避のポイントになります。
また、206CCには盗難防止のためにイモビライザーが純正で付いているのですが、キーの複製が本国でしかできない仕組みになっています。206CCが万が一、盗まれてもキーを一緒に盗まれない限りはエンジンが始動できないのですが、キーを紛失すると厄介なことになるので、キーの紛失には十分注意して下さい。
まとめ
206CCは、新車の価格や維持費の面では国産車と変わりませんが、修理代やメンテナンス費用が国産車よりも206CCの方が掛かるかもしれません。
206CCを維持していくためには、消耗品や修理代のために費用をあらかじめ準備しておく必要があります。206CCは販売が終了している車ですが、女性にも乗りやすい大きさので、輸入車やオープンカーに初めて乗る人にとっては、入門モデルに向いています。