世界中のスポーツカーファンからの注目を集める日産のフェアレディZ。スポーツカーらしいルックスと、パワフルな走りによって常に多くの人を魅了し続けている1台です。
フェアレディZは車体価格も高いことから、憧れの車と考える人も多いでしょう。そんなフェアレディZは、維持費もやはり高いのでしょうか。そこで、フェアレディZの維持費について詳しく解説していきます。
フェアレディZの特徴
1969年に誕生したフェアレディZは、デザインや走り、クオリティにこだわり、国産スポーツカーのとして君臨し続けているクルマです。
何度もモデルチェンジを繰り返し、長い歴史の中で、そのパフォーマンスを進化させ続けてきました。また、長きに渡ってユーザーと絆を深め、スポーツカーの楽しみを伝え続けています。
1989年の4代目の登場後、世界を相手に戦うことを視野に入れ、日産は走りの性能を重視するようになりました。その結果、フェアレディZの生産は2000年に一旦終了します。
しかしながら、フェアレディZの生産終了を悲しんだファンは予想以上に多く、生産の再開を求める声が高まります。その結果、2002年にはスポーツカーとしての魅力を大幅にアップさせて復活を果たしました。
フェアレディZの歴史
初めてフェアレディが登場したのは1969年。初代S30が日産の北米躍進の足掛かりとなりました。日産がアメリカに進出するきっかけとなったのです。初代S30は直列6気筒エンジンと4輪ストラットサスを採用しています。
外国メーカーのスポーツカー、ポルシェ911やEタイプと比較できるパフォーマンスを披露しました。日本ではさらに「432」や「240Z-G」なども登場しラインアップが充実。
日本ならではの安くて壊れない堅実なイメージと高性能なスポーツカーという名目を世界にとどろかせたのがフェアレディZです。1989年には4代目のフェアレディ「Z32」が登場しました。
5台目フェアレディZ(Z33)が登場したのは2002年です。199年にルノーと提携を結ぶことによって日産は業績不振から復活し、イメージリーダーとしてZ33が開発されました。初代のデザインを彷彿させるスタイルでなり、バールーフは廃止。
スポーツ性に特化していたフェアレディZは年々改良が進められ、使いやすいバランスのとれたスポーツモデルカーとして人気を集めています。
フェアレディZ現行モデルのスペック
現在販売中のフェアレディZにはどのようなモデルがあるのでしょうか。それぞれのスペックについて簡単に表にまとめて紹介します。
新車価格 | サイズ(全長×全幅×全高) | 車両重量 | 燃費(JC08モード) | |
ベースグレード(MT) | 397万円 | 4,260㎜×1,845㎜×1,315㎜ | 1,500kg | 9.1㎞/L |
ベースグレード | 405万円 | 1,510kg | 9.2km/L | |
Version T | 480万円 | 1,530kg | ||
Version S | 484万円 | 1,520kg | 9.1km/L | |
Version ST(MT) | 519万円 | 1,540kg | 9.0km/L | |
Version ST | 530万円 | 1,550kg | 9.1km/L |
(2019年7月1日に販売された現行モデルです。)
フェアレディZの魅力
1969年に初代モデルが登場して以来、改良を進めながら長期間、世界中で愛されているフェアレディZ。ファンがいつの時代もついている3つの魅力を紹介しましょう。
[box class=”blue_box” title=”フェアレディZの魅力”]- ポルシェに挑む「GT-R」エンジン
- 身近で手の届きやすい高性能なスポーツカー
- 漫画やドラマでよく登場するあこがれの存在
フェアレディZのエンジンはV型6気筒エンジンです。アクセルを踏めばドライバーの意志をしっかりくみ取ってくれるかのような人馬一体の走りを見せてくれます。
高性能なスポーツカーですが、価格は外国メーカーのスポーツカーと比べて3分の1という安さ。ハイスペックでも買い求めやすいので人気が衰えないのです。
TVやアニメ、ドラマや漫画でフェアレディはよく登場します。日本を代表するスポーツモデルとして多くの人の目に留まり、それだけ注目されてきたのです。
フェアレディZでかかる維持費は年間どのくらい?
税金
維持費の中でも、大きな金額となるのが税金です。フェアレディZの税金には自動車税と重量税があり、それぞれに課税方法が異なります。
自動車税
自動車税は総排気量によって課税される税金です。フェアレディZの総排気量は3.696Lとなり、自動車税は1年あたり65,500円かかります。
なお、フェアレディ―Zはエコカー減税の対象車ではありませんので、減税は受けられません。
重量税
自動車重量税は自動車の区分や重量、経過年数に応じて課税される税金です。自家用の自動車は車両重量0.5トンごとに税額が増えます。また、新車購入時には3年分をまとめて納め、その後、車検時には2年分を納めるスタイルです。
車両総重量1,650kgのフェアレディZは、新車購入時の重量税が36,900円です。車検時には2年分として32,800円がかかります。
フェアレディZを9年間所有した際の重量税は36,900円+32,800円×3となり、総額で134,400円が必要です。1年あたりで計算すると、年間およそ14,900円を納めます。
ただし、重量税は新車登録から13年を経過すると高くなりますので注意しましょう。13年経過したフェアレディZの2年分の重量税は45,600円で、18年を経過すると50,400円になります。
保険
フェアレディZの維持費として忘れてはいけないのが保険です。万が一の事故を考えると加入しておくのが安心でしょう。保険には自賠責保険と任意保険の2種類がありますので、それぞれについて詳しく紹介します。
自賠責保険
自賠責保険は、自動車損害賠償責任保険の略です。原動機付自転車を含むすべての自動車に加入が義務付けられているため、強制保険と呼ばれることもあります。
自賠責保険に加入していない自動車は公道で走れません。もし、自賠責保険に加入していない自動車を公道などで運転した場合には1年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。さらに、免許停止といった厳しい処分も下されるのです。
自賠責保険は国の保険ですので、どこで加入しても保険料は変わりません。フェアレディZの場合には、自家用普通自動車に分類され、新車購入時に36カ月分を支払います。
36カ月分の自賠責保険料は35,9503円です。さらに車検ごとに24カ月分の25,830円を支払う必要があります。フェアレディZの自賠責保険を9年間払うと
35,950円+25,830円×3となり、総額は113,440円です。これを1年あたりに換算すると、12,604円になります。
任意保険
自賠責保険は加入が義務付けられている保険ですが、自賠責保険だけでは万が一の事故の際に補償しきれないことも多いでしょう。
なぜなら、自賠責保険は被害者の救済のための保険だからです。そのため、自賠責保険は物や車などの損物に対しての補償がなく、運転者本人がケガをした場合なども補償されません。
そういった理由から、任意保険に加入する人が多くみられます。任意保険は、補償内容や等級、運転者の年齢などで保険料が異なり、平均すると年間60,000円程度です。
保険料は更新のタイミングで見直すと安くなることもあります。
その他費用
フェアレディZの維持費にはガソリン代や駐車場代、車検代などもあります。
ガソリン代
フェアレディZを維持する際、気になるのはガソリン代でしょう。パワフルな走りが魅力のフェアレディZの燃費性能はカタログ燃費で9.0km/Lです。実燃費では6.3km/Lにまで落ち込みます。
さらに、フェアレディZはハイオク仕様のため、ガソリン価格も160円程度と高額です。年間10,000kmを走行したと考えると10,000km÷6.3km/L×160となり、1年間におよそ254,000円のガソリン代がかかります。
駐車場代
駐車場代は、地域によって異なります。都心では高く、地方では安いといえるでしょう。また、セキュリティの高さでも価格に違いができます。
フェアレディZは高級スポーツカーとして人気がありますので、盗難などを避けるためにもセキュリティ面のしっかりとした駐車場を選ぶのがいいでしょう。
全国の平均的な駐車場代は月当たり8,000円程度です。しかし、セキュリティの高い駐車場であれば10,000円程度かかると考えましょう。
さらに、駐車場代は1年ごとに契約を更新することも多く、更新料として1カ月分も必要となります。これらをふまえて考えると、年間に駐車場としてかかる費用の総額は130,000円です。
車検代
新車登録から3年後、その後2年ごとに車検を受ける必要があります。車検整備費用は代行料も含めて40,000円程度ですが、オイル交換やタイヤ交換などの費用が加算されることも多いでしょう。
長年乗り続けたフェアレディZの場合には、交換する部品が増えることから車検代の合計が100,000円をこえることもあります。
フェアレディZの車検を、車検業者に依頼した際の費用の内訳は以下の通りです。
- 自賠責保険料(24カ月分):25,830円
- 自動車重量税:32,800円
- 印紙代:1,800円
- 車検整備費用:25,000円
- 車検代行料:10,000円
- 消費税:2,800円
合計:98,230円
車検は2年ごとに受けますので、1年あたりにかかる車検代は49,115円となります。
フェアレディZの購入時にかかる費用は?
車体価格
フェアレディZの車体価格はグレードによって異なります。
[box class=”glay_box” title=”フェアレディZの価格一覧”]- フェアレディZ [6MT]:3,979,800円
- フェアレディZ [7M-ATx]:4,059,000円
- フェアレディZ Version T:44,802,600円
- フェアレディZ Version S:4,848,800円
- フェアレディZ Version ST [6MT]:5,198,600円
- フェアレディZ Version ST [7M-ATx]:5,308,600円
- フェアレディZ NISMO[6MT]:46,409,700円
- フェアレディZ NISMO [7M-ATx]:6,519,700円
オプション
- ウェルカムランプ(レディッシュオレンジ色):14,966円
- ムーディーイルミネーション(レディッシュオレンジ色):19,286円
- キッキングプレート(イルミネーション機能付:LED付・赤橙色発光):39,559円
- フロアカーペット(ラグジュアリー:消臭機能付):38,880円
- ドライブレコーダー:38,190円
- ETCユニット ビルトインタイプ 音声ガイドモデル (BM12-S):25,974円
自動車重量税
自動車重量税は車の車両重量に応じて金額が決められています。フェアレディZはエコカー減税の対象車ではないため、自動車重量税の減免はありません。
新車購入時に支払うのは自動車重量税は36カ月分ですので、49,200円を支払います。
自動車取得税
自動車取得税は取得金額に対して3%が課税される税金です。そのため、選択したグレードやオプションによって取得金額が異なります。
一例を挙げると、フェアレディZ(2WD)6MTのオプションなしの取得税は約97,600円です。
ただし、2019年10月から自動車取得税は廃止され、代わりに環境性能割がスタートしました。環境性能割は自動車を取得するために支払う費用に+0.5~3%が課税されます。
環境性能割に関しても、自動車取得税のときと同じようにエコカー減税が適用されます。フェアレディZはエコカー減税対象者ではないので、環境性能割は3%が適用されます。
自賠責保険
新車購入時の自賠責保険は36カ月分をまとめて支払います。そのため、35,950円が必要です。
リサイクル料金
リサイクル料金にはシュレッダーダスト、エアバッグ類、フロン類のの3つがあります。これらは車種型式によって異なりますので、どのくらいのリサイクル料金が必要になるかを確認しておきましょう。
<Z34>
- シュレッダーダスト:4,670~5,490円
- エアバッグ類:1,700~3,050円
- フロン類:1,600~2,030円
合計:7,970~10,570円
<Z33>
- シュレッダーダスト:8,040~8,060円
- エアバッグ類:2,280~3,040円
- フロン類:2,030~2,120円
合計:12,350~13,220円
ディーラー代行手数料
フェアレディZを新車で購入する際には車庫証明書の発行や、新車登録の手続きなどが必要です。これらの手続きをディーラーに任せるとディーラー代行手数料がかかります。
ディーラー代行手数料の相場は15,000円程度です。手続きを自分で行った場合にはディーラー代行手数料は発生しません。
ただし、管轄の陸運局などは平日に行く必要があり、時間と手間がかかります。
壊れやすいところや注意するべき点
ラジエーターファンのトラブル
Z33で多いトラブルに、ラジエータファンのモーターが故障するといったトラブルがあります。モーターが故障するとファンも止まることからオーバーヒートしてしまう可能性が高いでしょう。
渋滞などでオーバーヒートしてしまうことも多く、深刻な事態を招きます。ラジエーターファンのモーターの交換には10,000円程度が必要です。
クラッチペダルの不具合
Z33のMT車で多いトラブルにクラッチペダルが戻らないことが挙げられます。これは、クラッチマスターシリンダーが故障することで起こるトラブルです。
クラッチマスターシリンダーは、クラッチを切る際に必要となる部品で、故障するとクラッチが切れなくなります。その結果、走行不可能になってしまうのです。
クラッチフルートの交換でなおるケースもありますが、クラッチマスターシリンダーとクラッチオペレーティングシリンダーを交換するのがいいでしょう。
クラッチマスターシリンダーの交換は23,000円程度であり、クラッチオペレーティングシリンダーの交換には17,000円前後かかります。
デフマウントブッシュ
フェアレディZの故障事例によく挙げられているのはデフマウントブッシュです。中に封入されているグリスが飛び出してしまうと、デフマウントブッシュ本来の性能が良好ではなくなるので、車に悪影響が及びます。
フェアレディZのデフマウントブッシュは負荷がかかりやすく破損しやすいと言われています。デフ本体が40kgほどあるのですが、車体に3点支持で支えられており、オフセットで固定されているので余計です。
デフマウントブッシュ単体であれば、純正品が約15,000円程度、デフマウント交換機具は20,000円近くします。
デフオイルの噴出
フェアレディZでサーキット走行をするとデフオイルの油温が上昇するので、デフオイルが噴出するという不具合もあります。
デフオイルの噴出を対策するためには、空冷フィンつきのデフカバーや、デフカバーを容量アップする必要があります。デフオイルの油温が高くなること自体は、通常走行にそれほど大きな影響は出ないので安心してください。
ドアアウターハンドル
フェアレディZ33の故障事例はドアアウターハンドルが壊れるのが多く報告されています。ハンドル内部が損傷してしまうとドアが開けられなくなってしまい、ドア解除のための費用も掛かります。
アウターハンドルの部品が弱く、Z33のドアの重量に耐えきれなくなってしまうことが原因です。できるだけアウターハンドルの寿命を持たせるには丁寧な開閉操作を心がけることが一番。
ドアハンドルの単体費用は約10,000円。工賃は修理工場によって異なりますが5,000円程度です。
まとめ
フェアレディZにはエコカー減税の対象ではなく、ハイオクエンジン仕様車ですのでかなりの維持費がかかります。それでも憧れのフェアレディZを手にしたいという人も多いでしょう。
年間にかかる維持費をきちんと知れば、維持費の心配をすることなくフェアレディZが楽しめます。長くフェアレディZと付き合うためにも、維持費についての知識を高めておきましょう。