ポルシェ初の4ドアセダンとして発売されたパナメーラは、高い走行性能と乗用性が際立つ一台です。幅広いグレード設定でユーザー層も広い印象ですが、パナメーラの維持費はどのくらいかかかるのでしょうか。今回はパナメーラの維持費についてご紹介します。
目次
パナメーラの特徴
走行性能を重視
ポルシェ初の4ドアサルーンとして、2009年にデビューしたパナメーラは、ハイエンドなセダンとしての特徴を持ちつつも、中身はモータースポーツでも戦える走行性能に仕上がっています。
走行性能を重視するポルシェらしいこだわりで、過去にセダン車では味わったことのないような加速感が、パナメーラにはあります。
セダンは後部座席や荷室スペースが広いボディタイプですが、パナメーラの全長は5mを越え、荷室も後部座席もゆったりと設計されています。
スポーティなデザイン
ボディデザインはポルシェならではのスポーティな仕上がりで、高級感とアスリートとしてのポテンシャルを兼ね揃えた仕上がりです。インテリアにおいては、スポーツカーとは一線を画したような重厚さが強調され、シートの座り心地や余裕あるサイズ感は、スイートルームのソファーのようです。
パナメーラにかかる維持費は年間どのくらい?
パナメーラの所有時には、車の性能で費用が決まる維持費と、ユーザーの使用環境が原因となる維持費があります。パナメーラの維持費には、どのような項目があるのでしょうか。
税金
パナメーラを所有する場合は、自動車税・自動車重量税といった異なる性質を持つ税金の支払い義務が発生します。それぞれの税金について、特徴や費用、支払う頻度をご紹介します。
自動車税
パナメーラを所有すると、年に1度自動車税の支払い義務が発生します。自動車税を納付していないと、名義変更や売却はできず、車検を受けることも出来ないため、公道を走ることが出来なくなります。
自動車税は、車の排気量によって金額が定められています。現在発売中のパナメーラは、大きく2,893cc・2,994cc・3,996ccのグレードに分類されます。
自動車税は排気量が500cc上がるごとに税額が上がる仕組みなので、パナメーラの各グレードには、2,500cc以上3,000cc未満の税率と3,500cc以上4,000cc未満の税率が適用されます。
金額を当てはめると、2,893cc・2,994ccのグレードには51,000円の自動車税が発生し、3,996ccのグレードには66,500円の自動車税が発生します。
重量税
パナメーラの自動車重量税は、車検ごとに支払う必要があります。自動車重量税とは、車重に応じた費用が課税される税金で、自動車税同様に支払いを怠ると、車検証を更新することができません。ただ、毎車検ごとなので、初回車検以降は2年に1回の支払い頻度となります。
パナメーラの各グレードの車重を見ると、1,880kg〜2,410kgと最大で500kg以上の差があります。自動車重量税では、500kgずつ税額が上がる仕組みなので、パナメーラには1,500kg以上2,000kg未満の税率と、2,000kg以上2,500kg未満の税率が適用されます。
2000kg未満のパナメーラは、車検時に32,800円の重量税が発生し、1年あたり16,400円支払うことになります。そして車重が2,000kg以上のパナメーラでは、車検時に41,000円の重量税が発生し、1年あたり20,500円支払うことになります。
保険
パナメーラを公道で使用する場合、事故の補償に備えて保険の加入をする必要があります。所有時に契約する保険は、自賠責保険・任意保険の2つに分けられますが、ここではそれぞれの保険の特徴・支払う時期・支払う費用についてご紹介します。
自賠責保険
パナメーラの所有時には、自賠責保険の加入が法律で義務付けられています。公道で走っている車は、自賠責保険の加入が必須であり、未加入の車を公道で走らせると、罰則の対象にもなります。
自賠責保険は、あらかじめ有効期間を設定し、そのぶんの費用を前払いする仕組みとなります。有効期間は、車検と同じ時期であるケースがほとんどです。
車検のタイミングと考えると、初回車検以降は2年に1回支払うことになります。パナメーラの自賠責保険は、2年間分(24ヶ月)で25,830円の保険料が発生し、1年あたりに12,915円自賠責保険料として支払っていることになります。
任意保険
パナメーラの任意保険は、自賠責保険が補えない分の補償をしてくれる保険という位置付けです。任意保険では、補償やサービス内容が多岐に渡ります。しかし補償内容の制限が少なくサービス内容が多いほど保険料は上がっていき、逆に最低限の補償のみだと保険料は安くなります。
任意保険は1年に1回、契約更新をするのが一般的ですが、一括払いか毎月払いかは、ユーザーが選択することができます。そして保険料は、契約内容や保険会社によっても異なります。
下記のような項目を基準に算出され、各ユーザーごとの保険料が設定されます。
- 年齢 :30歳以上
- 等級 :14等級
- 年間走行距離 :11,000km
- 免許の種類 :ブルー
- 運転者限定 :本人限定
- 運転者年齢制限:30歳以上
- 対人賠償 :無制限
- 対物賠償 :無制限
- 車両保険 :つける
- 年間の保険料 :190,800円(毎月15,900円)
あくまで各保険会社の費用を平均化したデータですが、車両保険を付けることによって、月額は10,000円ほど異なります。パナメーラは車両価格が高額なので、車両保険を付けると必然的に保険料も上がります。
その他費用
パナメーラは、グレードによって自動車税や自動車重量税が異なることがわかりましたが、特に使用環境で維持費が変わりやすい部分としてガソリン代が考えられます。そして維持費では、駐車場代や車検費用も想定しておく必要があります。続いては、パナメーラのガソリン代・駐車場代・車検代を検証します。
ガソリン代
通常ではカタログ燃費はJC08モードかWLTC方式での計測数値が明記されますが、パナメーラの場合は、100km走行時の燃費率を計算した数値となります。
パナメーラはガソリン車とハイブリッド車のグレード設定で、それぞれ燃料はハイオクガソリンです。現在ハイオクガソリンは、1リットルあたり151円で、今後もしばらくは大きな変動がないと予想されます。
実際のこのガソリン価格で年間に10,000km走った場合、ガソリン代はどのくらいかかるのでしょうか。パナメーラの燃費と10,000km走行あたりの費用をまとめた項目が下記になります。
- パナメーラガソリン車(カタログ燃費7.4~12.4km/L):約122,000円〜約204,000円
- パナメーラハイブリッド車(カタログ燃費40.0km/L):約38,000円
ハイブリッド車のカタログ燃費は、世界中のハイブリット車を見てもトップクラスですが、ガソリン車とハイブリッド車ではかなり大きな差があります。長距離ユーザーには、パナメーラハイブリッド車の燃費は大きな魅力です。
駐車場代
パナメーラのボディサイズは全長が長いので、前後の幅が狭い駐車場に駐めるときは注意が必要です。
一般的な機械式駐車場ではサイズ規定がありますが、パナメーラのサイズ感であれば使用するのは問題ありません。しかし、都市対応型の駐車場は全体的にコンパクトに設計される傾向にありますので、都市部へ出かける際には、サイズ規定を確認する必要がありそうです。
そしてパナメーラを所有し、月極駐車場の料金を調べるときは、全国平均ではなく、住んでいる都道府県の平均を確認することをおすすめします。
全国の月極駐車場の平均価格は8,288円ですが、下記のように平均価格が5,000円に満たない地域もあれば、20,000円を超えるような県もあります。
大阪府・千葉県・長野県の駐車場平均月額
- 大阪府の月極駐車場平均価格:26,475円(年間317,700,円)
- 千葉県の月極駐車場平均価格:9,713円(年間116,556円)
- 長野県の月極駐車場平均価格:4,144円(年間49,728円)
大阪府は東京都に次いで全国で2番目に駐車場価格が高い地域です。千葉県は東京都の隣ではありますが、房総エリアでは特に相場が安いため、県全体の相場は10,000円以下となっています。長野県は47都道府県の中でも最も相場が安い地域で、気軽に駐車場を借りることができると言えます。
車検代
パナメーラを購入すると、新規購入後3年、その後は2年に1度、車検時期が訪れます。パナメーラの車検には、下記費用が発生します。
- 自動車重量税:32,800円〜41,000円(グレードの車重による)
- 自賠責保険 :25,830円
- 印紙代 :1,200円
- 車検整備費 :20,000円
- 車検代行料 :8,000円
- 消費税 :2,240円※整備費用と車検代行手数料分
- 合計:90,070円〜98,270円
基本的な車検代は以上ですが、車検時には必ずと言っていいほど部品交換や追加整備などが発生します。パナメーラの保証期間内では無償交換できる部品もありますが、無償交換が適用されない場合は、高額な部品代がかかる可能性もあります。特に輸入車は部品が高いので、パナメーラの車検には毎回150,000円以上かかっているユーザーが多いようです。
パナメーラの購入時にかかる費用は?
パナメーラは豊富なグレードラインナップですが、それぞれのグレードの購入費用には、どのような項目があるのかご紹介します。
車体価格
パナメーラ全グレードの新車価格は下記になります。
- 3.0 PDK:1,162万円(税込)
- 4 Eハイブリッド PDK 4WD:1,436万円(税込)
- 4 Eハイブリッド エグゼクティブ PDK 4WD:1,558万円(税込)
- 4 PDK 4WD:1,212万円(税込)
- 4 エグゼクティブ PDK 4WD:1,332万円(税込)
- 4S PDK 4WD:1,628万円(税込)
- 4S エグゼクティブ PDK 4WD:1,799万円(税込)
- ターボ PDK 4WD:2,377万円(税込)
- ターボ エグゼクティブ PDK 4WD:2,590万円(税込)
- ターボS Eハイブリッド PDK 4WD:2,831万円(税込)
- ターボS Eハイブリッド エグゼクティブ PDK 4WD:3,044万円(税込)
オプション
パナメーラの新車を購入する際には、メーカーオプション・ディーラーオプションの中から、ニーズにあったパーツを選択します。オプション品にはドレスアップを目的にしたものや、機能性を高めるものなど、各用途の応じてたくさんのパーツがありますが、特にオプションパーツはじっくり吟味しましょう。
メーカーオプションの取り付けは大掛かりな作業になるケースが多く、サンルーフや連動型のリモコンシステムなど、車体自体の加工が必要だったり配線が複雑化されています。
メーカーオプションは、納車後に追加できるパーツが少ないので、各グレードの標準装備内容も確認しながら、必要なものとそうでないものを時間をかけて選びましょう。
自動車重量税
パナメーラ購入時の自動車重量税は、3年分となりますので、毎車検ごとの自動車重量税とは金額が変わります。2000kg未満のパナメーラは、49,200円の重量税が発生し、車重が2,000kg以上のパナメーラでは、61,500円の重量税が発生します。
自動車取得税
自動車取得税は、取得価格(車両価格×0.9)から3%が課税されます。オプション未装着で純粋に車体価格だけを基準にすると、パナメーラの各グレードには、下記の自動車取得税が発生します。
- 3.0 PDK:313,740円
- 4 Eハイブリッド PDK 4WD:387,720円
- 4 Eハイブリッド エグゼクティブ PDK 4WD:420,660円
- 4 PDK 4WD:327,240円
- 4 エグゼクティブ PDK 4WD:359,640円
- 4S エグゼクティブ PDK 4WD:485,730円
- ターボ PDK 4WD:641,790円
- ターボ エグゼクティブ PDK 4WD:699,300円
- ターボS Eハイブリッド PDK 4WD:764,370円
- ターボS Eハイブリッド エグゼクティブ PDK 4WD:821,880円
自賠責保険
自賠責保険は、3年後の初回車検まで有効期間が必要となります。自賠責保険で定められた契約期間では36ヶ月と37ヶ月が該当しますが、パナメーラの自賠責保険を37ヶ月契約で支払った場合には、36,780円かかります。
リサイクル料金
リサイクル料金は、エアバッグ類・フロン類など、リサイクル可能なパーツを廃車時に回収する費用で、所有者があらかじめ前払いします。パナメーラのリサイクル費用について、公式情報は確認できませんでしたが、20,000円〜30,000円が目安となります。
登録に必要な諸経費
パナメーラを公道で走らせるためには、陸運局でナンバープレートの取得や車検証の作成が必要になります。さらに車庫証明も必要になってきます。これらの事務手続きは慣れていないと煩雑な作業なので、多くの方はディーラーに手続きを代行してもらっています。
新車購入時には主に下記の手数料が発生します。
- 納車準備費
- 新規検査登録手続代行費
- 新規検査登録費
- ナンバープレート取得費
- 車庫証明費
- 車庫証明手続代行費
納車準備費は、引き取り先を販売店にすれば発生しませんが、購入時には各項目の手数料を確認しておきましょう。
壊れやすいところや注意するべき点
輸入車ではエンジンの冷却水漏れが頻発する傾向にありますが、パナメーラも例外ではありません。ホースが劣化することにより起きる現象ですが、放置しておくとエンジンに不具合を及ぼしかねませんので、定期点検の際に細かくチェックしておきたい箇所です。
パナメーラ独自の不具合で言うと、エアサスペンションの不具合も多く報告されています。こちらもホースからのエアー漏れという、経年劣化が原因の不具合ですので、車体に違和感を感じたら早めに診断をしてもらいましょう。
まとめ
今回は、パナメーラの維持費をご紹介しました。ハイレベルな走行性能と快適性を兼ね揃えたパナメーラは、維持費も高額になりがちです。所有時にはかなりのコストがかかってしまいますが、どんなユーザーにおいても、普段からしっかりパナメーラをメンテナンスすることで、部品交換や修理など不要な維持費を抑えることができます。