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軽自動車の自動車税はなぜ安い?軽自動車の税金が優遇される理由

軽自動車と普通自動車では、自動車税をはじめとした税金面や各手続きで違いが見られます。なぜこのような制度の違いがあるのか、気になりますよね。そこで今回は、なぜ軽自動車の自動車税が安いのかという理由をはじめ、軽自動車にかかる税金について、少し掘り下げてご紹介します。

目次

軽自動車の自動車税が安い理由

まずは、軽自動車の自動車税がなぜ安いのかについて、検証します。

車を所持しやすくする背景がある

軽自動車の税金に優遇措置が取られた歴史は長く、今から半世紀以上前の1958年に制定されています。そして、軽自動車という車の規格は、日本独自のものです。そのため、昔から軽自動車だけ税金が安いので、排気量が大きいアメリカの車は日本で売れないと言われています。

これはアメリカ国家も指摘していることで、確かに日本の自動車市場のシェアを見てみると、軽自動車が過半数に近い割合を占めるようでは、アメリカ車にとっては不利に感じます。このような状態を受けて、アメリカからは公平な競争原理を生み出すためには、軽自動車税を増税する必要があるのではないか、という声が挙がっているのです。

軽自動車税に関しては、数回税額の改定が行われていますが、直近では平成27年度に改定が行われています。この増税に関しては、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の交渉も、影響した原因の一つではないかと言われています。

増税が行われていますが、軽自動車は他の車種と比較すると、いまだに税金面では優遇されている状況です。ただ、公平な競争を求める背景が世界的にあるので、今後も海外からの指摘が続くかもしれません。

維持費も安いため所有しやすい

軽自動車という規格作られた当時は、戦後の復興からひと段落し高度経済成長期へ移行する段階で、車の必要性が訴えられていました。経済の発展と人々の生活には、今後車が欠かせなくなると判断されましたが、当時の生活水準では一般市民に車を購入する余裕はありませんでした。

そこで、なるべく車が広く普及するように、普通自動車より手軽に所有できる車の規格を作るという流れで、軽自動車という新たな項目が誕生したのです。

軽自動車という規格を定義したのは当時の通産省で、国を挙げて車を普及させることが当時の目的でした。制度が始まった段階では、現在とは軽自動車の排気量と規格は違い、走行性能も低く最低限の機能しか有していませんでした。

当時の車の位置付けは、庶民が憧れる贅沢品というものでしたが、軽自動車に関しては生活に密着した親和性の高いものにする必要があったのです。

軽自動車にかかる税金「軽自動車税」

続いては、軽自動車にかかる税金として代表的な軽自動車税についてご紹介します。

軽自動車税の概要

軽自動車税は、車の普及を目的にして、1958年に制定されています。軽自動車という区分を制定した目的は、先述した通りですが、軽自動車は排気量とサイズで基準を設けています。

2019年現在では、排気量が660cc以下、全長3,400mm以下・全幅1,480mm以下・全高2,000mm以下の車が対象となります。もし、排気量が660cc以下であっても、規定のサイズを超えている場合は、普通自動車として認定されます。

そして、普通自動車の場合は自動車税を納付します。排気量が500cc上がるごとに課税額が上がっていき、6000ccを超える車は、111,000円を毎年納税する必要があります。軽自動車税と比較すると、約10倍もの差が発生します。

自動車税と軽自動車税は異なり一般的に言われる軽自動車は四輪自動車ではありますが、税の枠組みとしては、中型自動2輪の免許で乗ることができるバイクなどと同じカテゴリーになります。原動機付き自転車やバイクも、軽自動車税を毎年納付する必要があるのです。

支払う税額

軽自動車税は、毎年4月1日時点の所有者に課税されます。納付が行われていないと、車検を受けることができず、公道を走れなくなります。

そして軽自動車税は、税率の改定により1958年の制定から、数回納税額が上がっています。直近では、第二次安倍政権による平成26年度税制改善大綱により、平成27年4月1日以降に新車登録される車両に限って、軽自動車税のみ増税されました。

乗用・自家用の四輪以上の軽自動車には、平成27年3月以前に登録された車の課税額の約1.5倍となる10,800円の軽自動車税が課税されます。さらに平成28年4月1日以降から、新車登録から13年を超過した車両に買い替えを促す制度とも言える経年車重課が新設されました。

軽自動車にかかる税金「自動車重量税」

続いて、軽自動車税にかかる税金の自動車重量税について、ご紹介します。

自動車重量税の概要

自動車重量税は、1971年に施行された自動車重量税法という制度によって、課税されるようになりました。自動車が公道を安全に走るためには、道路や橋のメンテナンスが必要となります。そしてこれらは、自動車の重量によってかかる負荷が違います。

確かにインフラ整備のために、自分が負荷を与えている分を負担するという観点で考えると、軽自動車とミニバンが同じ金額であるのは不平等ですよね。そのため、重量ごとに異なる課税額を負担して、道路や橋のメンテナンスへ財源を振り分けているのです。

自動車重量税は、届出軽自動車と検査自動車が対象となり、自動車検査証(車検証)の交付を受けるユーザーや、車両番号の指定を受けるユーザーに対して課せられます。自動車重量税は、自動車税と同様に車を所有していると課せられる税金です。

ただ、自動車の所有に関して、こんなに複雑な税金制度があるのは、日本だけとも言われています。自動車重量税と自動車税は、二重課税ではないかという批判もあることから、今後制度の見直しなども、考えられます。

支払う税額

自動車重量税の課税標準は自動車の数量に応じて、そして税額は自動車の区分ごとの重量に応じて、それぞれ定められています。軽自動車の場合は、もともと決まった規格があるために、金額はどの車種であっても一律です。

自動車重量税は自動車税と違って、毎年課税されるものではありません。自動車を新規登録または新規届出した場合や、継続検査や構造等変更検査を受けて、自動車検査証(車検証)もしくは届出済証の交付を受ける際に納付します。

原則として、収入印紙を購入し所定の納付書に貼付して納付しますが、こちらの手続きは車検を依頼した業者が代行してくれることがほとんどです。軽自動車に課せられる自動車重量税は、2019年現在の制度で一年あたり5,400円となります。

また、新車登録から13年または18年を経過した車については、環境負荷の観点から自動車税と同じく、重加算税が適用されます。登録から13年を経過した軽自動車には1年あたり7,450円、そして登録から18年が経過した軽自動車には1年あたり7,600円の税金が課せられる計算となります。

軽自動車にかかる税金「自動車取得税」

続いては、軽自動車にかかる自動車取得税についてご紹介します。

自動車取得税の概要

自動車取得税は、1968年に創設された、自動車の購入時にかかる地方税です。自動車の取得者であるユーザーは、取得価額を課税標準として税額を計算し、都道府県に申告納付する必要があります。

対象となるのは、50万円以上の車を購入の場合、車の規格や新車・中古車を問わず発生します。逆に言えば、50万円以下の価格の軽自動車であれば、課税されません。

しかし、自動車取得税には、消費税との二重課税を指摘する声や、購入時のハードルを少なからず上げていることから、若者の車離れにもつながっているのではないか、という批判も起きています。そのため自動車取得税は、2014年4月の消費税が増税されたことに伴い、税率が引き下げられています。

さらに、消費税10%へ増税の時には、自動車取得税は完全に廃止されることが決定しています。

支払う税額

自動車取得税における取得価額とは、実際に自動車を購入する際に支払った金額ではありません。車種・グレード・仕様ごとに定められた基準額に、新車時からの経過年数に応じた残価率を乗じた金額となります。そのため、新車と中古車では、同じ金額で購入した車であっても、基準となる金額が違うのです。

例えば自家用普通乗用車の場合、新車時には車両本体価格に0.9を掛けた金額が、基準額となります。そして1年経過すると更に残価率0.681を掛け、以降は半年ごとに残価率が下がり、6年以上を経過すると残価率は0.1となります。そのため、中古車などで実際の購入価格が50万円を上回っていたとしても、残価率の計算で50万円以下であれば、自動車取得税を納める必要はありません。

自動車取得税の2014年4月から適用されている税率は、原則として、自家用自動車が3%、営業用自動車と軽自動車は2%となっています。同じ軽自動車であっても、価格に応じた課税額となりますので、注意が必要です。

そして消費税が10%に増税される段階で自動車取得税は廃止されますが、新たに環境性能割という制度の適用が予定されています。環境性能割とは、平成27年度と平成32年度の燃費基準に達している車を対象に、事前に定めた税率を割引する制度となります。

消費税の増税は2019年10月に予定されていますので、その前後に軽自動車の購入を考えている方は、しっかり確認をしておく必要があります。

軽自動車の自動車税が安くなる

最後に軽自動車の自動車税が安くなる減免優遇制度についてご紹介します。

エコカー減税

エコカー減税とは、環境性への配慮と車の購入促進を目的とした、減税制度です。リーマンショックに端を発した、世界同時不況の影響で市場が冷え込む懸念があった、自動車業界の活性化を目的にした側面もあります。

エコカー減税は、環境性能において一定の基準を満たした車に対して、自動車重量税・自動車取得税が軽減されます。国土交通省が定める排出ガスと燃費基準に伴い、性能の高い車の税金は優遇されるのです。

ただこのエコカー減税は単年度ごとの制度となります。年度ごとに減税額や基準は変わりますので、しっかり把握しておく必要があります。

中古車特例

エコカー減税は、中古車でも一定の基準を満たした車であれば、免税・もしくは減税される、中古車特例があります。燃費性能や排ガス性能に応じて、自動車取得税の価額が控除されるのです。

対象となる中古車は、電気自動車・燃料電池自動車・プラグインハイブリッド自動車・クリーンディーゼル乗用車・天然ガス自動車となります。
一定の基準を満たした車であれば、自動車取得税の価額について最大45万円の控除を受けることができます。

ただこちらもエコカー減税同様に、単年度ごとの流動的な制度となります。購入する年度によって、控除される額が変わることもありますので、ご注意ください。

グリーン化特例

グリーン化特例は、排出ガス性能や燃費性能が優れた自動車に対して、各基準に応じて自動車税・軽自動車税の税額を減免する制度となります。2018年度のグリーン化特例に沿って考えると、対象となる車種には50%~75%の減税が適用されています。

グリーン化特例の条件を満たしている車には、減税が適用されるのは購入時の自動車税ではなく、翌年分の自動車税となります。一方で、新規登録等から一定年数が経過した車に対しては、重加算税が適用されます。

ガソリン車やLPG車は新規登録から13年、そして、ディーゼル車は新規登録から11年が経過した段階で、重加算されます。

まとめ

今回は、なぜ軽自動車の自動車税が安いのかという理由をはじめ、軽自動車にかかる税金についてご紹介しました。軽自動車の税金が普通自動車より優遇されていたのは、自動車を一般市民に普及させる意味合いがあったことがわかりました。

しかし、社会情勢も変わり、日本に関しては車の税金が非常に多いことも指摘されています。税制度は常に変動することが考えられるため、動向を注視しましょう。

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