目次
カーシェアとは?
カーシェアとは、正式名称を「カーシェアリング」と言いまして、会員登録を行った人だけが決められた車を借りることができる車のシェアサービスの事を言います。
カーシェアは、イギリスを中心に欧州地域で広まったサービスで、レンタカーと良く似たサービスですが、レンタカーのように長時間の契約を結ぶ必要が無く、10分単位で利用ができることからレンタカーよりも利便性が良く、利用料金も安く設定されています。
カーシェアの利用方法
カーシェアを利用したい場合は、「インターネット」もしくは「電話」にて、会員登録を行う必要があります。カーシェアの利用方法を流れと共に説明していきます。
●会員登録
インターネットで会員登録を行う際は、各カーシェア会社のホームページから会員登録を行うことができます。
インターネットの環境が無い場合は、電話で申し込みを行い、自宅へ郵送されてくる会員登録用書類に必要事項の記入を行い、記入した書類をカーシェア会社へ返送してから会員登録の手続きを行います。
インターネットで会員登録を行っても、利用できるまでには約1週間ほど掛かかるため、電話で会員登録を行う場合は、会員登録完了までにかなりの日数が掛かることを頭に入れておく必要があります。
●会員登録に必要なもの
- 会員登録する本人の運転免許証
- 会員登録する本人名義のクレジットカード
※学生割引などを実施している場合は、学生証が必要になります。
●会員登録記入事項
- 会員登録申込人及び登録運転者の氏名
- カーシェア予約する時に必要な暗証番号
- 会員登録申込人及び登録運転者の自宅住所
- 会員登録申込人及び登録運転者の携帯電話番号
- 会員登録申込人及び登録運転者の生年月日
- 会員登録申込人及び登録運転者の性別
- 連絡を取ることができるメールアドレス
- 会員登録申込人及び登録運転者の運転免許証情報記入
- 緊急連絡先
- 加入利用料金プランの選択
- 会員登録申込人及び登録運転者の運転免許証写真ファイルのアップロード(表・裏)
●会員カードの発行
会員登録の手続きが完了したら、カーシェア会社よりカーシェア用ICカードが発行されます。
●カーシェア予約
カーシェアを利用する時は、最寄りのカーシェアステーションや希望車種などを検索して、インターネットもしくは電話で予約することができます。使用する用途によって、好みの車を選択することができるので、ステーション検索を行うときに車種の選択も行って下さい。
ミニバンが必要なのに、近くのステーションにはコンパクトカーしかない!と言うことも起きるかもしれないため、利用する予定日が分かり次第、早めに検索を行い早めに予約をするようにするのがポイントです。
予約が完了したら、予約した予定日・予約時間にステーションへ出向いて下さい。
カーシェア会社から届いた会員カードなど使ってドアロックを解錠して、利用者認証を行うことで車を使用することができます。車を使い終わったら元のステーションへ車を駐車して返却します。エンジンキーは、所定の位置へ戻して、会員カードを使ってドアロックの施錠を行います。
また、ガソリン代は利用料金に含まれている場合が多く、給油を必要とする場合はガソリン給油専用のカードなどが備わっているので、そのカードを使って給油を行います。
給油を行う場合は、ガソリンスタンドが指定されているため、事前に確認するようにして下さい。カーシェアは、多くの人が利用するため、タバコやペットがNGとなっているのでその点もご注意して下さい。
カーシェアのコスト
カーシェア料金
一般的なカーシェアでは、通常料金として下記の範囲の金額になっています。
●通常料金
- 10分~15分 :¥150-~¥400-
- 距離料金(1km):¥ 15-~¥ 20-
●長時間パック料金
- 6時間パック :¥4,000-~¥ 8,500-
- 12時間パック:¥6,000-~¥10,000-
- 24時間パック:¥8,000-~¥12,000-
- 夜間パック :¥2,000-~¥ 6,000-
通常料金は、コンパクトカーとミニバンとでは利用料金が異なるため、料金の幅に大きな差があります。また、各カーシェア会社によっても設定している利用料金が異なるため、上記の金額はあくまでも目安と考えて下さい。
長時間利用する場合は、お得なパック料金を設けている会社が多いのですが、これも車の種類や各カーシェア会社によって設定金額は異なります。実際にご利用になる場合には、各カーシェア会社のホームページなどで利用システムを確認するようにして下さい。
カーシェアの維持費
ヴィッツを1日・1時間カーシェアした場合の利用料金は、以下の金額になります。
1時間のカーシェア料金
・時間料金:¥200-×4=¥800-
・距離料金:¥15-×5km=¥75-
1日のカーシェア料金=¥875-
1ヶ月のカーシェア料金
・¥875-×30日=¥26,250-
1年間のカーシェア料金
・¥875-×365日=¥319,375-
5年間のカーシェア料金
・¥319,375-×5年=¥1,596,875-
車購入費用
先ほどの「カーシェアの維持費」で利用したコンパクトカー・ヴィッツを新車で購入した場合のコストについて紹介していきます。
トヨタ ヴィッツ F Mパッケージ(2WD CVT)購入費用
車を購入する時に1番掛かるコストと言えば、新車購入に掛かる費用です。普通車の中で最も小さなコンパクトカー・ヴィッツで、1番安価なグレード「F Mパッケージ 」を購入すると仮定して、新車購入費用を1例として紹介します。
- 車両本体価格 :¥1,203,400-
- ナビゲーション:¥ 107,250-
- 自動車税 :¥ 8,300-
- 自動車重量税 :¥ 24,600-
- 自賠責保険料 :¥ 36,780-
- 環境性能割 :¥ 19,600-
- 販売諸費用 :¥ 66,939-
- リサイクル料金:¥ 9,000-
- 任意保険料 :¥ 50,000-(強制ではありません)
合計:¥1,525,869-(消費税抜き ¥1,350,660-)
ヴィッツを購入した場合、強制ではありませんが任意保険料が必要になります。任意保険は、加入条件によって保険料が大きく異なるため、目安として1年間・¥50,000-にしています。
車購入の維持費
新車を購入しても、その後に掛かる費用が大きな負担になります。新車購入後、ヴィッツを維持していくために必要な金額について紹介してきます。
各項目計算内容
●ガソリン代算出方法
ガソリン代については、毎日買い物で「5km」走行すると仮定して、レギュラーガソリンの料金は「1L=¥140-」で算出しています。
ヴィッツの燃費は、カタログ値に記載のある「21.6km/L」で計算しています。もちろん、1日の走行距離が5kmではないかもしれませんが、今回は「カーシェアの維持費」の項に合わせて5kmで設定しています。
・1ヶ月の走行距離 :5km(1日の走行距離)×30日=150km
・1ヶ月に必要なガソリン量:150km(1ヶ月の走行距離)÷21.6km/L(ヴィッツの燃費値)=6.94L
・1ヶ月に必要なガソリン代:6.94L(必要なガソリン量)×¥140-(レギュラーガソリン価格)=¥972-
●任意保険料
任意保険は、強制加入ではないのですが、車を所有しているユーザーの約80%以上の人が加入している保険です。任意保険料は、年齢や所有する車種によっても保険料に大きな差があります。
ここでは、平均的な任意保険料の目安として年間・¥50,000-とさせて頂きます。尚、任意保険は無事故の場合には毎年保険料が安くなるのですが、ここでは一定の保険料で算出しています。
●メンテナンス代
車を購入すると、日常のメンテナンスとして「オイル類交換費用」「洗車費用や洗車道具費用」「備品購入費用」「定期点検費用」などの費用が掛かります。
エンジンオイルの交換は、オイルの劣化を防ぐため、車を全く使用しない状態でも交換する必要があります。エンジンオイル交換の目安としては、走行距離が延びなくても半年に1度エンジンオイルの交換を行う事とします。
毎月決まった費用が掛かる訳ではないので、メンテナンス代として年間・¥20,000-としておきます。
●自動車税
自動車税は、所有している車の総排気量によって税額が決まっていますが、ヴィッツ(1,000cc)の場合は税額・¥29,500-で、毎年納めなければいけません。
●車検費用
ヴィッツを新車で購入した場合、「初回の車検は3年後」で「2回目の車検からは2年ごと」に車検を受けなければいけません。
車検に掛かる費用は整備内容によって異なりますが、コンパクトカーのヴィッツクラスの平均的な車検費用は¥80,000-ほどが一般的な費用です。
●駐車場代
駐車場代は、地域によって相場が大きく異なります。1ヶ月¥3,000-ほどで駐車場を借りることができる地域もありますが、東京などの都心部では¥30,000-以上必要な地域も多くあります。
ここでは、車を所有することが難しく、カーシェアの需要が高い都心部の平均的な相場として、1ヶ月・¥20,000-で駐車場代を算出します。
1ヶ月の維持費
・ガソリン代 :¥ 972-
・任意保険料 :¥ 50,000-÷12=¥4,167-
・メンテナンス代:¥ 20,000-÷12=¥1,667-
・自動車税 :¥ 29,500-÷12=¥2,458-
・車検費用 :¥160,000-÷60=¥2,667-
・駐車場料金 :¥ 20,000-
1ヶ月の維持費合計金額:¥31,931-
1年間の維持費
・ガソリン代 :¥ 972-×12=¥ 11,664-
・任意保険料 :¥ 50,000-
・メンテナンス代:¥ 20,000-
・自動車税 :¥ 29,500-
・車検費用 :¥160,000-÷ 5=¥ 32,000-
・駐車場料金 :¥ 20,000-×12=¥240,000-
1年間の維持費合計金額:¥383,164-
5年間の維持費
・ガソリン代 :¥ 11,664-×5年=¥ 58,320-
・任意保険料 :¥ 50,000-×5年=¥ 250,000-
・メンテナンス代:¥ 20,000-×5年=¥ 100,000-
・自動車税 :¥ 29,500-×5年=¥ 147,500-
・車検費用 :¥160,000-(初回+2回目)
・駐車場料金 :¥240,000-×5年=¥1,200,000-
5年間の維持費合計金額:¥1,915,820-
また、不意のトラブルで修理代が加算される恐れもありますが、最低限の維持費として参考程度に捉えて下さい。
カーシェアと車購入のコスト比較
カーシェアと車購入した時のコストについて調べてみましたが、正確な金額を算出することは不可能なため、大雑把な金額となってしまったことを御理解下さい。「1ヶ月の維持費」「1年間の維持費」「5年間の維持費」で比較すると、車購入するよりもカーシェアで車を借りる方が圧倒的に安く済みます。
単純な見方をすると、ヴィッツを新車で購入する初期費用で、カーシェアを5年間利用することができます。カーシェアは、必要な時だけ使うため、費用を節約することができますが、車を購入した場合には所有し続けるだけでも毎月お金が掛かります。
新車ではなく安価な中古車を購入しても、新車と同じように維持費は掛かるため、コスト面だけを比較するとカーシェアに勝つことは不可能と言っても良いでしょう。
カーシェアのメリットとデメリット
メリット
カーシェアを利用するメリットは、これまで紹介してきた通り、車を利用する費用が非常に安いと言うことです。車を所有していると動かすだけでも燃料代が必要になりますし、車を保管する駐車場も確保しなければいけません。
カーシェアなら車を所有する時に掛かる維持費が全く掛かりませんし、ガソリン代も利用料金に含まれているため、必要のないカーシェア会社が殆どです。
カーシェアでは、お金の面以外でも様々なメリットがあります。
デートの時は、お洒落なスポーツタイプの車をシェアすることも可能です。利用する用途によって借りる車を自由に選択することができるのもカーシェアの魅力の1つです。
車を所有していても、1日に車に乗っている時間や走行距離は実際には少ないので、必要な時だけ車を借りるカーシェアは非常に効率が良いシステムと言えます。
デメリット
カーシェアは、メリットばかりが目に留まりますが、少なからずデメリットも存在します。平日では、利用したい時に予約をすれば高確率で車を借りることができますが、土日や連休ではカーシェアを利用する人が多く、借りたい車種や最寄りのステーションで借りれないこともあります。
また、利用するしないに関わらず、月額基本料として¥1,000-前後支払う必要のあるカーシェア会社もあります。
あまり利用しない人用のプランを設けているカーシェア会社もありますが、そのようなプランの場合は時間料金や距離料金が割高になっていることが殆どです。支払プランは、利用頻度を良く考えてカーシェア会社を選択しなければ、レンタカーで借りた方が安いケースもあります。
また、土日や連休で混み合っている場合は、次に借りる人が待っているので利用時間をしっかりと守る必要もあります。
これが非常に重要で、都心部では平日でも渋滞が至る所で発生しています。大丈夫だと思った時間でも渋滞にハマってしまい、返却時間に間に合わないことがあります。
カーシェアではチャイルドシートは用意されていないので、車は所有していないけど、チャイルドシートを自分で用意しなければいけません。たとえチャイルドシートを持っていても、設置するのは意外と重労働で、頻繁にカーシェアを使う人には取り付け・取り外しの作業が大変です。
近所にステーションがあれば良いのですが、少し離れた所のステーションで予約をした場合は、車が置いてあるステーションまでチャイルドシートを持って行かなければいけません。
また、タバコやペットもNGなので、6歳未満のお子様とペットがいる家庭では、カーシェアで車を借りることが難しいかもしれません。
このように、レンタカーほどカーシェアのインフラは整っていないので、不便を感じることも多々あります。地方ではカーシェアを取り扱っているステーションも少ないので、借りに行くだけでも億劫に感じるかもしれません。
まとめ
カーシェアと車購入のどちらが良いのか?色々な面から比較をしてきましたが、お金の面だけを比べると圧倒的にカーシェアの方が安いのは事実です。車を購入すると、時間を気にする事無く、好きな時に運転することができますが、カーシェアでは「いつ」「何時から?」「何時まで?」など、事前に予定を決めなければいけません。
車を購入すると維持費がかなり高くなりますが、車を所有している優越感やいつでも自由に好きなだけ運転することができる楽しみがあります。
時間に縛られず、自由に車に乗りたい人は車を購入した方が良いですし、お金を掛けずに万が一、予約が一杯で借りれなくても問題の無い人や、行動する時間が決まっている人は、早め早めに予約することが可能なのでカーシェアが向いています。
今後は、レンタカーやカーシェア以外に、トヨタとソフトバンクが提携して戦略を立てている新しい輸送手段「Maas」が日本でも導入されようとしています。輸送新サービス・Maasは、例えば病院に行く場合に「タクシーの送迎」「病院の予約」「タクシー料金と病院の受診料の一括決済」などのサービスを一括で行うことができます。
また、月額定額料金や使い放題など、Maasには様々なサービスが今後用意される予定です。輸送新サービス・Maasは、フィンランドでは既に国民に浸透しているサービスで、公共交通機関の需要が増えて、車の使用が減る傾向にあります。
輸送新サービス・Maasが日本で浸透すれば、個人の車購入が減少するのは確実ですが、バスや電車などの公共交通機関とカーシェアを併用することで、ライフスタイルを豊かにすることができます。
そのような事から、必要な時だけ車を利用することができる「カーシェア」が都市部を中心に急増しています。
今回は、カーシェアが良いのか?車を購入するのが良いのか?費用面なども含めて紹介していきます。