中古車をこのくらいの予算で購入しようと考えている人は、税金についても知っておく必要があります。なぜなら、中古車を購入する際にもたくさんの税金を支払わなくてはならないからです。
予想外の税金がかかることになり、予算がオーバーしてしまうことはめずらしくありません。そのことにより、欲しい車を諦めることになる人もいるでしょう。
そうなる前に、中古車購入時にかかる税金について知っておくのがおすすめです。今回の記事では、中古車を購入するときに必要となる税金について紹介します。
目次
中古車購入にも税金が必要
中古車を購入する際には車両本体価格とは別に諸費用かかります。諸費用が思いのほか高かった場合には予算におさまらないと感じることもあるでしょう。よって、車を選ぶ際には諸費用についてあらかじめ知っておくことが大切です。
中古車の購入にかかる諸費用には<法定費用>と<販売店の手数料>があります。このなかでも法定費用は主に税金のことです。中古車の購入時に消費税以外の税金がかかることを知らない人も多いでしょう。
しかし、自動車の購入時にはいくつかの税金がかかります。自動車にかかる税金は、車両本体価格や排気量、車検の残りがどのくらいあるかによって異なるのが特徴です。ただ、計算方式は全国共通ですので覚えておくのがおすすめです。
購入時点で必要となる税金
中古車を購入する際に必要となる税金には<自動車税>と<自動車重量税>、<消費税>、の3つがあります。これらの税金はかかるタイミングや課税方式が異なるため、詳しく知っておくと安心です。
自動車税
自動車税というのは、自動車の所有者に課せられる税金です。1年分の前払いが義務付けられていますので、中古車購入時には1年分の自動車税を購入の翌月から、翌年の3月までを月割にして前払いします。
例えば、9月に新しい車を購入した場合には、翌月の10月から翌年の3月分までの6カ月分を納付するスタイルです。中古車の購入時の見積り項目にはその年度の自動車税が計算され、含まれていますので確認してみましょう。
ただし、軽自動車の場合には軽自動車税となり、軽自動車税には月割り制度が設けられていません。購入年度の軽自動車税はかからず、翌年から課税されますので、年度の始めに軽自動車を購入するとお得感がありますね。
自動車税は排気量を基準として求められている
自動車税の基準となるのは<排気量>です。排気量により税額が変動しますので、購入を予定している車の排気量には注目しておくのがいいでしょう。
排気量の多い車というのは、馬力があるためスピードが出やすい車です。上り坂や高速道路でもストレスのない加速が楽しめることから高い人気を誇ります。しかしながら、排気量が多いと税額も上がるため、注意が必要です。
ロータリーエンジンは算出方法が異なる
排気量によって定められている自動車税ですが、ロータリーエンジンを搭載している車の場合には算出方法が異なります。なぜなら、ロータリーエンジンは少ない排気量でも強いパワーを生み出せるからです。
ロータリーエンジンは通常のエンジンの約1.5倍のパワーを持つといわれているため、税額も実際の排気量の1.5倍で計算されています。
例を挙げると、ロータリーエンジン搭載車であるマツダのRX-8は、排気量が1308ccです。しかし、1.5倍の1962ccの排気量としてみなされ、税額は<1500cc以上2000cc以下>の区分として計算されています。
中古車購入にかかる税金を節約する場合には、ロータリーエンジンかどうかもチェックしておくのがいいでしょう。
軽自動車にかかる軽自動車税
軽自動車の場合には排気量にそれほどの差がありません。よって税額は一律です。しかしながら、新規検査を受けた時期によって税額が異なりますので注意しましょう。
平成27年3月31日までの新規検査を受けた場合、自家用の軽自動車には7200円の軽自動車税がかかります。営業用の場合には5500円です。
平成27年4月1日以降に新規検査を受けた自家用軽自動車は10800円、営業用の場合には6900円が課税されます。
購入後の課税のタイミングは4月1日
自動車税は1年に1回、1年分を前払いするスタイルで納める税金です。課税のタイミングとなるのがは毎年4月1日であり、4月1日の時点で車を所有している所有者に税金が課されます。
納付書が届くのは5月の初旬であり、納付期限は5月の末日です。銀行や自動車税管理事務所、都道府県の税事務所などで納付しますが、コンビニでは夜間や休日に関係なく納付できます。
中古車を購入した際には、中古車購入店に諸費用として支払うため問題はないでしょう。ただ、翌年からは納期を過ぎると延滞金が発生する可能性があるため注意が必要です。
延滞すると居住地の都道府県から督促状が届き、最悪のケースでは財産が差し押さえられてしまうことも考えられます。自動車税を納付していないことで車検も受けられないため、期日までに納付することを忘れないようにしましょう。
自動車税の金額
自動車税にはエコカー減税があり、排出ガスや燃費の性能に応じて減税が受けられます。ここからは、エコカー減税適用前の自動車税を排気量ごとに見てきましょう。
- 総排気量1リットル以下:29500円
- 総排気量1リットル超1.5リットル以下:34500円
- 総排気量1.5リットル超2リットル以下:39500円
- 総排気量2リットル超2.5リットル以下:45000円
- 総排気量2.5リットル超3リットル以下:51000円
- 総排気量3リットル超3.5リットル以下:58000円
- 総排気量3.5リットル超4リットル以下:66500円
- 総排気量4リットル超4.5リットル以下:76500円
- 総排気量4.5リットル超6リットル以下:88000円
- 総排気量6リットル超:111000円
自動車税の税率も引き下げへ
2019年10月1日の消費税の増税により、自動車税の引き下げも決定しています。自動車税の引き下げは、排気量が小さい小型車ほど減税の幅が大きくお得感があるでしょう。
全ての排気量において自動車税が引き下げられるのは制度が開始されて以来初めてことであり、非常に注目が集められています。
自動車税の引き下げ幅を排気量別で見ていくと以下の通りです。
- 0.66リットル超~1リットル以下:4500円減税
- 1.0リットル超~1.5リットル以下:4000円減税
- 1.5リットル超~2.0リットル以下:3500円減税
- 2.0リットル超~2.5リットル以下:1500円減税
- 2.5リットル超~:1000円減税
2019年10月1日以降に新規登録した自動車のエコカー減税適用前の自動車税は次のようになります。
- 総排気量1リットル以下:25000円
- 総排気量1リットル超1.5リットル以下:30500円
- 総排気量1.5リットル超2リットル以下:36000円
- 総排気量2リットル超2.5リットル以下:43500円
- 総排気量2.5リットル超3リットル以下:50000円
- 総排気量3リットル超3.5リットル以下:57000円
- 総排気量3.5リットル超4リットル以下:65500円
- 総排気量4リットル超4.5リットル以下:75500円
- 総排気量4.5リットル超6リットル以下:87000円
- 総排気量6リットル超:110000円
身体障害手帳があると自動車税の割引が受けられることも
身体に疾病があり、身体障害手帳を交付されている人のうち、一定の要件を満たしている場合には自動車税の割引が受けられる制度があります。
これは、登録日から1カ月以内に各自治体の税事務所に申請すると自動車税や軽自動車税を安くすることが可能です。各自治体によって対象となる障害の程度や免税額は異なりますので、確認しておくのがいいでしょう。
尚、申請には、車検証と障害者手帳が必要なため、必ず持参してください。
消費税
2014年4月に8%に引き上げられた消費税は、2019年10月1日に10%に引き上げられました。これにより、中古車を購入する際にかかる消費税も10%となったのです。
中古車は高額な買い物のため、2%の増税によって支払う消費税が高くなりました。ただ、政府は先ほども紹介した通り、自動車税を引き下げることで消費者の負担を軽減しています。
廃止になった自動車取得税
これまで、中古車購入時には取得税が課せられていましたが、2019年10月1日の消費税増税に伴い、自動車取得税は廃止となりました。
なぜなら、消費税に加えて自動車取得税を負担するのは二重課税ではないかと問題視されてきたからです。そういった声を受け、2014年4月1日に消費税が5%から8%へと引き上げられたとき、自動車取得税は減税されました。
そして、2019年10月1日に消費税が8%から10%へと増税された際、自動車取得税そのものの廃止が決定されたのです。消費税は増税されましたが、3%であった自動車取得税の廃止は自動車を取得する際の消費者の負担は軽減されることとなりました。
環境性能割は要注意!
消費税の増税に伴い、政府は自動車取得税を廃止することを決定しました。しかし、その代わりとして導入されたのが自動車環境性能割です。
環境性能割は環境性能が高い車であればあるほど税金の優遇が受けられるものであり、環境性能の高い車は非課税になります。非課税の対象となるのは電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)、天然ガス自動車(NGV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、クリーンディーゼル車などです。
ガソリン車やハイブリッド車であっても、2020年度の燃費基準が+20%を達成してる場合には非課税とされています。これらの車を所有している人には極めてお得な制度でしょう。ただし、これ以外の車の場合には課税の対象です。
2020年度燃費基準+10%達成車の場合には1%が課税され、軽自動車であれば非課税となります。2020年度燃費基準達成車は登録車で2%、軽自動車は1%の課税です。
これらに当てはまらない場合には、登録車で3%、軽自動車で2%が課税されてしまいます。営業用車の課税は異なりますが、環境性能割は新車だけでなく中古車にも適用されているのです。
よって、環境性能がそれほど高くない中古車を購入したケースでは、自動車取得税が廃止になっても、結果的に高い税金を支払うこともあるでしょう。
2019年は環境性能割の導入直後であるため、1年間限定で税率が下げられています。通常の税率で1.0%となる区分は非課税であり、2.0%の区分では1.0%。3.0%の区分で2.0%となるためお得です。
軽自動車の場合でも、1.0%の区分は非課税、2.0%の区分が1.0%になるため、2019年に購入すると環境性能割が節約できるでしょう。中古車でも期間限定の割引は受けられます。
環境性能割は実際の購入価格に課せられるのではなく、課税標準基準額に残価率をかけた取得価格に課せられる税金です。取得価格が50万円以下のケースでは非課税として扱われます。
エコカー減税は延長
エコカー減税というのは、政府の定めた環境基準に適用している車において、自動車税と自動車重量税の免税が受けられる制度です。
車検時にも重量税の免税が受けられますが、2019年4月末までに登録した車に適用されると期間が決められていました。しかし、消費税の増税に伴い、エコカー減税の適用期間が2021年4月30日までに延長されています。
エコカー減税が適用されるのは、初回車検分です。電気自動車などの環境性能に特に優れた車は2回目の車検も免税対象となります。よって、年式によっては中古でエコカーを購入した場合でもエコカー減税の適用となることがあるでしょう。
自動車重量税
自動車重量税は、自動車の区分や重量に応じて課税されます。経過年数によっても課税区分が異なり、年式が古くなると重量税も高くなるのが特徴です。
自家用乗用車の場合には、車両重量0.5トンごとに税額が増加しますので、購入を希望する中古車の車両重量をチェックしておきましょう。軽自動車は車両の重量に関係なく一律で、年式が古くなると税額が上がります。
また、自動車重量税は、車検時に次の車検期間までの分をまとめて払うのも特徴でしょう。よって、車検の残っている中古車を購入する際には重量税は必要ありません。車検が切れている車のを購入する際には、次の車検期間までの2年分を支払います。
自動車重量税にはエコカー減税の適用があり、エコカー減税が2021年4月30日まで延長されたことで対象となる車が増えました。エコカー減免適用車の場合には、車両の重量にかかわらず免税です。
エコカーの場合には本則税率となり以下の重量税がかかります。
- 車両重量~500kg以下:5000円
- 車両重量~1000kg以下:10000円
- 車両重量~1500kg以下:15000円
- 車両重量~2000kg以下:20000円
- 車両重量~2500kg以下:25000円
- 車両重量~3000kg以下:30000円
エコカー以外の車で登録から13年未満の重量税は次の通りです。
- 車両重量~500kg以下:8200円
- 車両重量~1000kg以下:16400円
- 車両重量~1500kg以下:24600円
- 車両重量~2000kg以下:32800円
- 車両重量~2500kg以下:41000円
- 車両重量~3000kg以下:49200円
エコカー以外の車で登録から13年が経過した場合の重量税は次の通りです。
- 車両重量~500kg以下:11400円
- 車両重量~1000kg以下:22800円
- 車両重量~1500kg以下:34200円
- 車両重量~2000kg以下:45600円
- 車両重量~2500kg以下:57000円
- 車両重量~3000kg以下:68400円
エコカー以外の車で登録から18年が経過すると重量税は次のようになります。
- 車両重量~500kg以下:112600円
- 車両重量~1000kg以下:25200円
- 車両重量~1500kg以下:37800円
- 車両重量~2000kg以下:50400円
- 車両重量~2500kg以下:63000円
- 車両重量~3000kg以下:75600円
中古車を購入するなら次世代自動車がお得
中古車を購入する際の税金を少しでもおさえようと考えるのであれば、次世代自動車と呼ばれる車を購入するのがいいでしょう。
これまで説明してきた通り、政府は国を挙げて環境適用車に税金の優遇措置を設け、二酸化炭素の排出量の削減を進めています。ガソリンの原料となる化石エネルギーの脱却を進める行動計画を進めることを閣議決定し、<低炭素社会づくり>を目標としているのです。
2050年までには現状から60~80%もの温室効果ガス排出量を削減することを目指し、この目標達成のために次世代自動車の導入を促しています。
2020年までには新車販売のうち2台に1台は次世代自動車にするといった大きな目標も掲げられ、この目標達成のためのに環境性能割などが導入されました。
次世代自動車にあたるのは、ハイブリッド自動車や電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車、クリーンディーゼル車、CNG自動車などです。
これらの車であれば、中古車であってもさまざまな優遇措置が受けられ、購入時の税金が安くおさえられるでしょう。さらに、維持費もかかりづらいことから、コストパフォーマンスにも優れているといえます。
中古車購入の際には、今後の維持費もしっかりと踏まえて車を選ぶ必要があり、次世代自動車の導入は結果的にお得なケースが多いでしょう。
税金だけじゃない!そのほかにも必要となるお金
中古車を購入するときには、税金のほかにもいくつかの公的なお金がを支払わなくてはなりません。<法定預かり費用>や<自動車リサイクル料金>などがそれにあたり、これらのお金も予算として考えておく必要があります。
ここからは、法定預かり費用とリサイクル料金について詳しく説明しましょう。
法定預かり費用
法定預かり費用という言葉は聞き慣れないという人も多いでしょう。法定預かり費用は、印紙代のことをいいます。中古車を購入する際には、検査登録や車庫証明の取得、名義変更など、さまざまな申請において印紙の提出が求められるでしょう。
これらの申請に必要な印紙代をまとめて法定預かり費用と呼んでいます。中古車販売店によっては手数料に法定預かり必要が含まれていることもあり、記載されていないケースもめずらしくありません。
その場合には、法定預かり費用がどうなっているのかを確認しておくのもいいでしょう。また、法定預かり費用には消費税が課税されませんので注意が必要です。
自動車リサイクル料金
自動車リサイクル料金は、2005年1月1日から始まったリサイクル法に基づく費用です。自動車にはエアバッグなどの爆発物やオゾン層を破壊する古いフロンガスを使用したエアコンなどが使われていることがあります。
これらは、正しく処理しないことには環境に影響してしまいますが、処理にはお金がかかるため、廃棄物が不法投棄されることが問題視されていたのです。そこで、自動車メーカーにリサイクルの責任を義務付け、車の所有者にリサイクル費用を負担させることで環境問題に対応しています。
中古車を購入した場合にもリサイクル料金を支払い、リサイクリの義務を前のオーナーから引き継ぐ必要があるのです。また、リサイクル料金は廃車にする人が支払います。よって、リサイクル料金としていったん預け、車を売却する際には戻ってくる仕組みです。
リサイクル料金の金額は?
リサイクル料金は車種やグレードによって異なります。リサイクル料金が必要となるのは<シュレッダーダスト>、<エアバッグ類>、<フロン類>の3物品です。これらの物品のリサイクルに必要な費用と、自動車リサイクルシステムの運営費を含めたものがリサイクル料金としてかかります。
リサイクル料金の相場は、10000円弱~20000円程度です。中古車を購入した場合のリサイクル料金は、購入時か車検時に支払います。支払うタイミングが異なる理由には、中古車がすでにリサイクル料金を払っているかどうかで異なります。
まとめ
中古車の購入では、車両本体価格だけでなく税金の支払いも必要です。2019年10月1日に消費税が10%に引き上げられたことを受け、中古車購入時にかかる税金も変化しています。よって、これまで中古車を購入した経験がある人でも、違った税金が課税されることがあるでしょう。
消費税増税によって取得税は廃止となりましたが、環境性能割といった新しい税金も誕生しています。そのため、全体的に増税したと感じる人も少なくありません。
しかしながら、エコカー減税は延長されることが決定し、次世代自動車には手厚い優遇が受けられるようになっています。これから購入する中古車に次世代自動車やエコカーを選ぶのであれば、かなりの減税が受けられてお得です。