車の購入には、中古車と新車の2つの選択肢があります。中古車は価格が安いけれど、誰も乗っていない新車に乗りたいという人もいるでしょう。中古車と新車、どちらを選ぶのがいいか迷ってしまいますよね。
そこで、中古車VS新車と題し、それぞれの特徴を比較してみました。かかる費用やメリット、デメリットなどについても詳しく紹介します。
目次
中古車と新車で異なる費用
中古車か新車かを考えるとき、まず思いつくことには、かかる費用があるでしょう。車両本体価格はもちろんのこと、自動車の購入や所有には、ほかにもいくつかの費用が必要です。
車両本体価格のほかに、自動車にかかる費用には次の3つが挙げられます。
- 税金
- 初期費用
- 維持費
これらを比べていくと、中古車と新車のどちらがどれだけ得かがわかります。そこで、これらの費用を中古車と新車それぞれのケースに分けて調べてみました。
自動車の購入時にかかる税金
中古車の購入時にかかる税金には次の2つが挙げられます。
- 消費税
- 自動車税
新車の購入時にかかる税金は次の通りです。
- 消費税
- 自動車税
- 自動車重量税
消費税は2019年10月1日に増税され、10%となりました。よって、中古車の購入時には10%の消費税が課せられます。ただし、消費税の増税に伴い、これまで課されていた自動車取得税が廃止となったのです。
ただし、自動車税の納税義務は残されています。自動車税とは、排気量によって計算される税金です。排気量が大きければ自動車税が高く、排気量の小さい車は自動車税が安く設定されています。
中古車であっても新車であっても同じものとして課税されますので、自動車税の税額は中古車と新車で違いがありません。ただし、課税のタイミングが毎年4月1日という点には気を付けるのがいいでしょう。
年度の途中で購入した場合には自動車税が安くなる
自動車税は毎年4月1日の時点で車を所有している人に課せられる税金です。よって、4月1日以降に車を購入した場合には、年度末までの分を月割で納付します。
また、購入した翌月分から自動車税が課せられるため、9月に新しい車を購入した場合には翌月の10月から翌年の3月分までを納付することになるのです。
これは中古車でも新車でも同じですので、どちらがどれだけお得だとはいいきれません。ただ、購入した月の自動車税が課せられないことから月初めに購入すると中古車でも新車でも約1カ月分の自動車税が節約できます。
ただ、軽自動車の場合には月割制度がなく、年度の途中で購入すると翌年からの課税となりさらにお得だといえるでしょう。
中古車の購入時には自動車重量税はかからない?
中古車と新車にかかる税金を比べると、中古車の場合には自動車重量税がかからないことが分かります。自動車重量税は車検時に次の車検までの分を納める税金であり、車検の残っている中古車を購入した場合には支払う必要がないのです。
しかしながら、車検の残っていない中古車を購入する場合には自動車重量税がかかるため注意しましょう。
新車購入時にかかる自動車重量税とは
自動車重量税とは、自動車の車両重量によって課せられる税金です。次の車検までの分をまとめて支払いますので、新車購入時には3年分の自動車重量税が必要となります。
自動車重量税の税額は、500kg以下の車で12,300円です。1,000kg以下で24,600円、1,500kg以下で36,900円と車両重量0.5トン毎に高くなっていきます。
ただし、自動車重量税にはエコカー減税の制度が設けられていますので、エコカー減税に該当する車を新車で購入した場合には免税となることもあるでしょう。
減税率には25%や50%もあり、エコカー減税に該当する新車を購入する場合には、それほどまでに自動車重量税はかかりません。
しかしながら、エコカー減税に該当しない大型車の場合には、2,000kg以下で49,200円、2,500kg以下で61,500円など、かなりの自動車重量税が必要です。
自動車の購入時にかかる初期費用
自動車を購入する際には、自賠責保険料などの国に支払うお金や、販売店に支払う手数料などが初期費用として必要です。この初期費用は中古車購入時と新車購入時で違いがあるのでしょうか。
自動車を購入する際にかかる初期費用について調べてみました。
中古車の購入時にかかる初期費用
中古車の購入時にかかる初期費用は以下の通りです。
- 自賠責保険料
- リサイクル料金
- 車庫証明費用
- 登録費用
- 納車費用
中古車購入時の自賠責保険料
自賠責保険というのは、車を所有する人に加入を義務付けている国の保険です。加入が義務付けられていることから強制保険と呼ばれることもあります。
国の保険ですので、保険料はどこで加入しても一律で、次の車検までの分を前払いするスタイルです。よって、中古車購入時には、車検の残り分を支払うことになるでしょう。
もし、車検が1年残っている中古車を購入する場合には、1年分を支払います。車検が残っていない車を購入する際には、次の車検までの2年分が必要です。
中古車購入時のリサイクル料金
リサイクル料金は、自動車が廃車になった際に出る不要な部品を適切に処理するための費用です。自動車を購入するユーザーが支払うものであり、中古車の場合には、以前のユーザーから引き継ぐ形で支払います。
ただし、廃車にする車の最終所有者に課せられる料金であるため、車を売却する際には戻ってくると考えましょう。リサイクル料金は車によって異なり、購入する車のリサイクル料金がいくらになるのかは販売店に相談するとわかります。
中古車購入時の車庫証明費用
自動車を所有する際には、車の保管場所を明らかにした車庫証明が必要となるケースが多いでしょう。この車庫証明の取得には3,000円程度の費用がかかります。
ただ、軽自動車の場合には車庫証明が不要な地域も多く、必ずしも必要となる費用ではありません。
中古車購入時の登録費用
中古車を購入する際には、前のオーナーから名義を変更する必要があります。これは、管轄する陸運局に申請するものであり、新しいオーナーの登録やナンバー代などを合わせると5,000円程度がかかるでしょう。
登録の代行を販売店に依頼することもできますが、代行手数料がかかります。代行手数料は販売店によって異なり、登録費用と合わせて15,000円程度が相場です。
ただし、販売店によっては50,000円といった高額な代行手数料を求めてくるところもありますので、注意するのがいいでしょう。
中古車購入時の納車費用
納車時に車を販売店まで取りに行けないという場合にかかるのが納車費用です。また、複数店舗を抱える大型の中古車販売店の離れた店舗で車を購入し、自宅近くの販売店まで車を持ってきてもらう際にも納車費用がかかることがあります。
納車費用は距離によって異なることも多く、あまりにも自宅から離れた店舗で車を購入すると納車費用が高くつくケースも多いでしょう。
新車の購入時にかかる初期費用
新車購入時には次の初期費用がかかります。
- 自賠責保険料
- リサイクル料金
- 登録代行費用
- 車庫証明取得代行費用
- 納車費用
新車購入時の自賠責保険料
新車購入時には、次の車検までの3年分の自賠責保険料を支払います。普通自動車の場合には36カ月分で35,950円、軽自動車であれば36カ月で34,820円が必要です。
新車購入時のリサイクル料金
リサイクル料金は原則として新車購入時に支払います。購入する車種によってリサイクル料金が異なるため、どのくらいの費用が必要かはディーラーに確認しておくのがいいでしょう。
新車購入時の登録代行費用
新車を登録する際には、管轄の陸運局でナンバーを取得しなければなりません。ただ、陸運局は平日にしか開いていないため、登録をディーラーに依頼することも可能です。この時にかかるのが登録代行費用であり、15,000~30,000円が相場だといわれています。
新車購入時の車庫証明取得代行費用
購入した新車の保管場所を証明する車庫証明の取得も、ディーラーが代行してくれることがあります。この際に必要となるのが車庫証明取得代行費用です。
代行を依頼すると10,000~20,000円程度かかりますので、時間があるという人は自分で申請してみましょう。
新車購入時の納車費用
購入した新車を自宅まで運んでもらうときにかかるのが納車費用です。また、新車の保管場所から販売店舗まで車を輸送してもらう際にも納車費用がかかることがあります。
自分で販売店まで車を取りに行ける場合には、納車費用がかからないケースもあるでしょう。見積りに記載されている納車費用の内訳は、しっかりと確認しておくことが大切です。
かかる維持費にも違いがある
自動車を購入する際にかかる費用は、中古車と新車でそれほどの差はみられませんでした。しかし、維持費となるとどうでしょうか。ここからは、中古車と新車の維持費について検証してみましょう。
中古車の維持費
中古車は以前誰かが使用していた車ですので、製造から年数が経っていることが多いでしょう。また、いくつかの部品が劣化していることもあり、部品の交換などで維持費がかかりやすくなります。
故障がみられるようになると、修理の必要にも迫られるでしょう。中古車を購入した際には保証がつけられていることが少なく、部品の交換や修理は実費というケースは多いものです。
そのほかにも、年式の古い中古車を購入した場合には、車検ごとに支払う自動車重量税が高くなることにも注意しましょう。自動車重量税は13年が経過すると高くなり、18年が経過した車ではさらに上がります。
そういった意味からも、中古車は維持費がかかりやすいといえるでしょう。
新車の維持費
新車は誰も使用していない車ですので、故障が少なく修理の必要がそれほど多くありません。また、新車にはメーカー保証が付いているため、消耗品以外の交換が保証されます。重要な部品においては5年または100000kmの走行で保証が受けられるなど充実した保証内容が期待できるのです。
そのほかにも、新しく発表されたエコカーなどは燃費性能に優れているため、ガソリン代などがおさえられるでしょう。自動車重量税においても、エコカー減税の適用となることが多く、維持費がかかりにくいのが特徴です。
カーローンはどうなる?
自動車は高い買い物ですので、購入時にはカーローンを利用する人も多いでしょう。その際には、金利にも注目しておくことが大切です。
新車の場合には、ディーラー系列のクレジット会社によるカーローンが利用できます。ディーラーのカーローンは、自動車会社による金利の補てんが受けられ、金利が安くなるのが魅力です。
一方で、中古車の場合には販売店でローンを組んでも金利は補てんされません。その結果、販売店のローンを利用すると、金利が高くなってしまうでしょう。
しかしながら、銀行のカーローンは金利が1~2%と低く、新車・中古車を問わず利用できます。よって、中古車購入の際には、金融機関でのローンも視野に入れるのがおすすめです。
中古車と新車にはそれぞれにメリットやデメリットがある
中古車と新車にはそれぞれに異なったメリットとデメリットがあります。これらを知っておくことで、自分はどちらを選ぶのがいいのかがわかるでしょう。
ここからは、中古車と新車のメリットとデメリットを紹介します。
中古車のメリット
中古車のメリットには以下の3つが挙げられます。
- 安く車が購入できる
- 手続きが終わればすぐに納車が可能
- 希望する車が見つかりやすい
安く車が購入できる
中古車を選ぶ理由として車両本体価格が安いことを挙げる人も多いでしょう。車両本体価格の安さは中古車の最大のメリットです。人気車種でも一度誰かの手に渡ったことで価格が下がり、人気の低い車の場合には新車と変わらない性能でも驚くほど価格が安くなる車もあります。
そういった理由から、新車で買うよりも高いグレードの車に、同じ予算で乗れる可能性が高くなるといえるでしょう。価格が安いことでローンにも通りやすくなり、車を手に入れるハードルが下がります。
手続きが終わればすぐに納車が可能
車を契約してから納車までにはさまざまな手続きが必要です。この手続きに要する期間は、中古車でも新車でも10日前後だと考えましょう。
ただ、新車の場合には契約後に製造する受注生産が基本ですので、メーカーオプションを取り付ける作業などで納車までに3週間から1カ月程度待たされることがあります。
その点、中古車は修理などの必要がない場合には1~2週間で納車が可能です。よって、すぐに車が必要だという場合にも対応しやすいといえるでしょう。
希望する車が見つかりやすい
新車はモデルチェンジをすると旧モデルの製造を行わなくなります。よって、在庫がなくなってしまうと、旧モデルを新車で見つけるのは難しくなるでしょう。
その点、中古車は年式やモデルに関係なく販売しているため、非常に選択肢が豊富です。大手の中古車販売店などは全国に店舗を展開していることから在庫が多く、希望する車種も見つかりやすくなります。
中古車のデメリット
中古車のデメリットは次の通りです。
- 多少の汚れやキズは避けられない
- 事故車を購入してしまうリスクがある
多少の汚れやキズは避けられない
自動車は使用していると、多かれ少なかれ汚れやキズがついてしまいます。そのため、中古車には汚れやキズが避けられないといえるでしょう。
新品のように完璧な車を目指すのは難しいとはいえますが、汚れやキズの具合を自分でしっかりとチェックし、納得してから購入することが大切です。
事故車を購入してしまうリスクがある
中古車のなかには、事故を起こし修復した履歴のある車も存在します。このような修復歴のある車の場合には、販売店はその事実を消費者に伝える告知義務があるのです。
しかし、事故を起こした車でも骨格部分などを修復していない場合には修復歴があるとはみなされず、告知義務の対象外となります。よって、事故を起こしたことを知らずに購入してしまう可能性も高いでしょう。
新車のメリット
新車を購入するメリットは次の通りです。
- 保証期間が長い
- 自分好みの車に仕上げられる
- エコカー減税が適用されやすい
保証期間が長い
新車にはメーカー保証がつけられており、消耗品以外の故障が保証されます。保証期間も購入から3年または60000kmなどと長く、安心して車に乗れるのが魅力です。重要な部品に関しては保証期間が長くなるケースも多く、一般的には5年または100000kmまで保証が受けられます。
自分好みの車に仕上げられる
中古車の購入時にはカーナビの取り付けやフロアマットの変更などといったディーラーオプションがつけられます。一方、新車は注文を受けてから生産されることが多く、生産時にメーカーオプションをつけることが可能です。
内装をレザーに変更することや、サンルーフの取り付け、ボディカラーの変更などは新車購入時のみにできるオプションであり、自分好みの車に仕上げられるのがメリットです。
エコカー減税が適用されやすい
エコカー減税とは、特定の条件を満たした車において自動車重量税の減税措置が受けられることです。エコカー減税の適用となるのは電気自動車やハイブリットカーのほかに、低燃費車や低排出ガス車なども含まれています。
条件を満たしている場合には中古車でもエコカー減税の適用になりますが、新車のほうが圧倒的に対象車種が多いといえるでしょう。よって、新車を選ぶと動車重量税が安くなりやすく、維持費がおさえられます。
新車のデメリット
新車にもいくつかのデメリットがあります。
- 車両本体価格が高い
- すぐに納車できないことが多い
- モデルチェンジ前の車は手に入りにくい
- 売却時期によっては損をすることもある
車両本体価格が高い
新車の最大のデメリットは車体本体価格の高さでしょう。新車はこれまで誰も乗っていない分だけ価格が高くなりますが、それだけではありません。
充実した安全性能などの消費者が求めるニーズが高くなることで、開発費などにかかる費用が上乗せされ、車両本体価格に反映されているのです。しかしながら、それだけの優れた機能がつけられていますので、値段相応の価値はあるといえます。
すぐに納車できないことが多い
新車は基本的に受注生産が行われているため、契約後に生産されます。メーカーオプションなどを取り付ける場合にはその分だけ製造工程が長くなり、納車までに時間がかかってしまうのです。
人気車種の場合には生産が追い付かず、契約から納車までに1年がかかる車もみられます。車を待つ楽しみがあるともいえますが、すぐに車を手に入れたいという人は、デメリットに感じるでしょう。
モデルチェンジ前の車は手に入りにくい
新車はなるべく在庫がでないよう、契約や注文を受けてから生産されています。そのため、フルモデルチェンジやマイナーチェンジを行った際には、旧モデルが生産されなくなり、早い段階で市場から姿を消してしまうのが特徴です。
一昔前のモデルなどは新車として手に入りにくくなり、中古車で探す方法しかないというケースも多くなります。どうしてもこのモデルが新車で欲しいという場合には、購入するタイミングが非常に重要です。
売却時期によっては損をすることもある
新車は、長く乗り続けることでメリットが生まれるといわれています。これは、新車を購入してすぐに売ると、相場が大きく下がるからです。
新車購入から1年未満で車を売却すると、50万円以上も値下がりすることがあり、大幅に損をしてしまうといえるでしょう。ただ、購入直後には急激に相場が下がるものの、その後の下降は緩やかになります。
よって、長く乗り続けると、それほど値段が下がったと感じにくくなるのです。よって、短期間しか車に乗らないという人は中古車を選ぶのがいいでしょう。
どんな人が中古車や新車に向いている?
ここまで、新車と中古車にかかる費用の違いやメリット、デメリットについて説明してきました。ただ、どんな人が中古車に向いていて、どんな人が新車を選ぶべきなのでしょうか。
ここからは、中古車に向いている人と、新車に向いている人を紹介しますので、どちらが自分に当てはまっているのかをチェックしてください。
中古車に向いている人
中古車に向いているのは、車の購入費用をできるだけおさえたい人です。中古車であれば、安く車が購入できますので、それほど多くのお金をかけずに車が所有できます。また、すぐに車が欲しいという人も中古車を選ぶのがいいでしょう。
旧モデルになってしまった車や、クラシックカーなどを求める人も中古車に向いています。中古車は販売されている種類も多いため、たくさんの在庫から自分にぴったりの車を見つけたいという人にもぴったりです。
新車に向いている人
誰も乗っていない新品の車に乗りたい人は新車を選ぶのがいいでしょう。新車の場合には傷や汚れがなく、自分が最初のオーナであるという所有する喜びも満たせます。
また。新車は自分好みにカスタマイズができるといったメリットもあり、自分好みの車を1から作り上げたい人にもぴったりです。そのため、車に強いこだわりがある人からも選ばれています。
さらに、新車には手厚い保証が付いていることが多いため、とにかく安心して車に乗りたいという人にもおすすめです。
まとめ
中古車と新車の違いについて紹介してきましたが、中古車VS新車として考えると、それぞれにメリットとデメリットがありどちらがいいとはいいきれません。
ただ、中古車か新車かを決める際には、自分がどちらに向いているのかをしっかりと見極めておくことが大切でしょう。どのような目的で、どんな車に乗りたいのかを考え、どのくらいの予算が出せるのか、どんな保証が必要なのかを事前に考えることが重要です。
そうすることで、中古車と新車のどちらを選ぶのがいいのかがわかります。