自動車を新車・中古車に限らず購入する場合は、自動車を保管する場所の確保ができなければ購入することができません。また、購入する以外でも他人から譲り受けたり、住所が変わったりした場合にも、車庫証明を取得する必要があります。
今回は、車庫証明を取得するために必要な書類や手続き方法などを紹介していきます。
車庫証明とは?
車庫証明とは別名「自動車保管場所証明」とも言いますが、自動車を登録する際に「車庫法(保管場所法)」という自動車の保管場所の確保等に関する法律によって、車庫証明を取得することが義務付けられています。
車庫法の第1条と第11条に「一般道路を自動車を保管場所として使用してはいけない」ことや、「自動車の保管場所を確保するように定められている」ため、車庫法を守らない自動車の所有者に対しては法律で罰せられることになります。
このような理由から自動車の所有者は、道路以外の場所に自動車を保管することができる場所を確保するため、車庫証明を必然的に取得することになります。
車庫証明を取得する目的としては、自動車の保管場所を確保して「自動車の駐車に関する規制の強化」「公道などへの無断駐車の防止」「道路使用の適正化」「道路における危険の防止」「道路交通の円滑化」などがあります。
このように車庫証明は、「自動車購入」「引越し等による保管場所の変更」「駐車場の場所変更」などで必要となります。
普通自動車の車庫証明
普通自動車には車庫証明が基本的には必ず必要となりますが、同居の親族から車を譲り受けた場合などで、駐車する保管場所が変わらないときには、車庫証明の手続きをしなくても良い場合もあります。
普通自動車で、「車を購入したとき」「車を譲り受けたとき」「車の保管場所住所が変更になったとき」に、車庫証明が必要になります。
軽自動車の車庫証明
基本的には車庫証明が必要なのは普通自動車のみが対象で、軽自動車では不要と思っている人も居るかもしれません。軽自動車の車庫証明が不要な地域が多かったのですが、市町村合併などによって、軽自動車でも車庫証明が必要な地域も増えてきています。
普通自動車と違って、軽自動車は「保管場所届出」がなくても名義変更をすることもできますが、届出をしてない場合や虚偽の届出をした場合などは「10万円以下の罰金」が科せられることがあります。
また、軽自動車の場合は、地域によって軽自動車検査協会で手続きを行った後に、管轄の警察署へ車庫証明の届出が必要な場合もありますが、軽自動車検査協会に車庫証明を提出しなくても、名義変更や住所変更などの手続きを行うことができます。
車庫証明の申請に必要な書類
保管場所の所在図・配置図は、自宅と保管場所として使用する駐車場の位置を地図で説明することと、駐車場の簡単な見取り図を寸法を含めて記入しなければいけません。
どちらとも地図や駐車場の配置図などが用意できる場合は、保管場所の所在図・配置図へ直接貼り付けてもOKですが、手書きで記入しても問題ありません。
自動車保管場所証明申請書
自動車保管場所証明申請書の入手方法は、「管轄の警察署」か「警察署のホームページからダウンロード」の2つの方法があります。自動車保管場所証明申請書を入手するのに費用は掛かりませんが、都道府県によって書式が異なる場合があります。
書式が違うことで、車庫証明の申請を受け付けてくれない警察署もあるため、必ず管轄の警察署で自動車保管場所証明申請書を貰うようにして下さい。
- 自動車検査証を見ながら「車名」「型式」「車台番号」「自動車の大きさ」を記入していきます。
- 現在住んでいる自宅の住所を正確に「自動車の使用の本拠の位置」へ記入して下さい。
- 自動車を保管する駐車場の住所を正確に「自動車の保管場所の位置」へ記入して下さい。
※保管場所と自宅の住所が同じ場合は、「同上」と記入するだけでも可。
※マンションやアパートの場合は、自宅と駐車場の住所が異なる場合があるため、念のため管理会社へ確認するようにして下さい。 - 〇〇警察署長殿の「〇〇」のところへ管轄の警察署を記入して下さい。
- 「申請者」へ自動車の使用者する人の住所・氏名・電話番号などを記入して下さい。
- 枠外にある「使用権限」は、申請する車庫の所有者に〇をつけ、「連絡先」へ所有者の氏名・電話番号を記入して下さい。
※「他人」へ〇を付けた場合には使用承諾書、「共有」へ〇を付けた場合には共有者全員の使用承諾書が必要となります。 - 「新規代替」へは、初めて使う車庫の場合は「新規」、既に証明書の交付を受けている車庫の場合は「代替」へ〇を付けて下さい。
※「新規」へ〇を付けた場合には、車両番号を記入する必要はありません。
保管場所標章交付申請書
保管場所標章交付申請書は、自動車保管場所証明申請書と一緒に管轄の警察署へ提出する書類ですが、警察署の窓口で自動車保管場所証明申請書を受け取った場合は複写になっているため、保管場所標章交付申請書へ直接記入することはありません。
警察署サイトからダウンロードした場合には記入しなければいけませんが、記入する方法は自動車保管場所証明申請書とほとんど同じと考えて頂いて構いません。
- 自動車検査証を見ながら「車名」「型式」「車台番号」「自動車の大きさ」を記入していきます。
- 現在住んでいる自宅の住所を正確に「自動車の使用の本拠の位置」へ記入して下さい。
- 車を駐車する駐車場の住所を正確に「自動車の保管場所の位置」へ記入して下さい。
※駐車場と自宅の住所が同じ場合は、「同上」と記入するだけでも可。
※マンションやアパートの場合は、自宅と駐車場の住所が異なる場合があるため、念のため管理会社へ確認するようにして下さい。 - 〇〇警察署長殿の「〇〇」のところへ管轄の警察署を記入して下さい。
「申請者」欄の日付は、車庫の確認が取れてから記入するため、申請の手続きを行う時点では車庫証明が取れるかどうか分からないので、記入することができません。車庫証明ができあがって受取にいったときに日付を記入することになっています。
保管場所の所在図・配置図
どちらとも地図や駐車場の配置図などが用意できる場合は、保管場所の所在図・配置図へ直接貼り付けてもOKですが、手書きで記入しても問題ありません。保管場所の所在図・配置図の記入方法を簡単に説明します。
- 手書きで保管場所の所在図を書く場合には、自宅と保管場所を分かりやすく記載しなければいけません。
- 自宅と保管場所が離れている場合には、自宅と保管場所を直線で結び、おおよその直線距離を記入して下さい。
※例えば、自宅近くに〇〇学校や駅がある場合は分かりやすいので必ず記入して下さい。
保管場所の所在図を書く時のポイントは、自宅と保管場所を中心に地図を書くことや、できるだけ明確に場所が分かるように目印となる建物や店舗を記入することが大切です。また、分かりやすく書くために定規を使って綺麗に書くことをオススメしますが、定規を使用しなくても特に問題はありません。
- 自動車を保管する場所の見取り図を作成します。
- 保管する場所を真上から見た感じで配置図を作成していきます。
- アパートなどで同じ敷地内にたくさん駐車する場所がある場合には、どの位置に駐車するのかを明確にする必要があります。
- 駐車場の入り口(間口)の寸法を記入して下さい。
- 駐車する場所の「全長」「全幅」の寸法を記入して下さい。
※当然ですが、駐車する場所よりも所有する自動車が大きくはみ出してしまう場合は車庫証明が取得できないことがあるので注意して下さい。
保管場所の配置図を書く時のポイントとしては、保管する場所に車が綺麗に納まることが重要です。万が一、道路に面している駐車場の場合は、道路に車がはみ出てしまうと車庫証明の許可が取れません。駐車することが可能なのかを実際に警察が現場を確認するため、嘘や偽りの無いように作成して下さい。
保管場所使用権原疎明書面(自認書)
保管場所使用権原疎明書面(自認書)とは、自動車を保管する場所が自分の所有する本人名義の場合に必要となる書類です。
- 保管場所証明申請の場合(普通自動車の登録)は、「証明申請」の欄へ〇を記入して下さい。
※自宅の住所に変更が無く保管場所だけを変更する場合や、軽自動車の場合には「届出」に〇を付けて下さい。 - 自動車を保管する土地や建物の両方とも本人名義の場合は「土地」「建物」の両方へ〇を記入して下さい。
- 警察署長殿の欄へ管轄の警察署を記入して下さい。
- 「日付」「住所」「氏名」「電話」へ自動車を保管する場所の土地所有者が記入を行い、認め印で構いませんので捺印して下さい。
保管場所使用承諾証明書
保管場所使用承諾証明書とは、自動車を保管する土地の所有者が本人以外の名義の場合に必要となる書類です。
- 「保管場所の位置」へ、自動車を保管する場所の住所を記入して下さい。
※駐車場に名称が付いている場合は、〇〇駐車場と記入して下さい。 - 「保管場所の使用者」欄には、現在住んでいる自宅の住所を正確に記入して下さい。
- 「保管場所の契約者」欄には、駐車場を使用する者と駐車場を契約する者が同じ場合は「同上」と記入して下さい。
※駐車場を使用する者と駐車場を契約する者が異なる場合には、契約者の「住所」「氏名」を記入して下さい。 - 「使用期間」欄には、駐車場の契約期間を記入するのですが、月極などで期間自体が決まっていない場合には契約日から2年間で記入するなどして下さい。
※あまりにも使用期間が短い場合は、車庫証明が受理されないことがあるため、最低でも半年以上の期間を記入するようにして下さい。 - 「駐車場の所有者又は管理委託者」欄には、自動車を保管する土地の所有者か保管場所を管理している者の「住所」「氏名」「電話」を記入して、捺印をして下さい。
※万が一、訂正をする場合には捺印した印鑑を訂正印として使用して下さい。
保管場所使用承諾証明書は、持ち家などでも土地の名義だけが夫婦で異なる場合があります。使用期間なども不動産会社で駐車場を借りる場合は、契約期間が決まっていることが多いので、そのまま期間を記入すればOKすが、身内などから借りるときは期間が決まっていません。
期間が決まっていない場合でも無期限とは記載することができないため、適当でも構いませんから1年~2年など必ず期間を記入するようにして下さい。複雑な場合には、警察署で確認をしてから書類を用意するようにして下さい。
車庫証明の手続き
もし、他人から自動車を譲り受ける場合や個人売買をした場合には、自分で車庫証明の書類を準備する必要があります。車庫証明に必要な書類は、最寄りの警察署にて無料で貰うこともできますし、警察署のホームページからダウンロードすることも可能です。
車庫証明に必要な書類を準備することができたら、自動車を保管する場所を管轄している警察署の「車庫証明係」へ書類を提出します。ここで間違えてはいけないのは、住んで居る住所を管轄している警察署ではなく、自動車を保管する土地を管轄している警察署で車庫証明の手続きを行わなければいけません。
車庫証明の書類を警察署へ提出してから交付されるまでの期間は警察署によって異なりますが、普通自動車の場合は3日~5日程度で、軽自動車の場合は即日発行されます。殆どの場合は、車庫証明を提出するときに警察署の方で手続きが完了する日にちを教えてくれますので、交付日が分かったら警察署へ取りにいくことで手続きは完了します。
・保管場所標章番号通知書
・保管場所標章
車庫証明を申請することができる条件
自動車の保管場所として申請するには、色々な条件をクリアしなければいけません。簡単に言いますと駐車場の場所は、どこでも申請することができない!と言うことです。
・自動車を保管する場所は、使用の本拠の位置から直線距離で半径2km以内の範囲に限ります。
・自動車を保管・駐車することができる道路以外の場所であること。
・道路から支障なく出入りが可能なこと。
・道路などにはみ出さず、自動車全体を収容できる保管場所であること。
・自動車の保管場所として使用することができる権限があること。
車庫証明交付後にすべきこと
車庫証明は、名義変更や住所変更をするために必要な手続きで、車庫証明の交付を受けても手続きが完了した訳ではありません。自動車検査証の記載内容を変更しなければいけないため、警察署で交付された自動車保管場所証明書を持参の上、管轄の陸運支局で自動車検査証の変更手続きを行うようにして下さい。
交付された自動車保管場所証明書には有効期間が設けられていて、交付日から30日以内に自動車検査証の記載変更を行う必要があります。また、警察署で車庫証明書の交付時に発行された丸いステッカー(保管場所標章)を、自動車後部の良く見える場所に貼って下さい。
保管場所標章の再発行申請
このように、保管場所標章を損傷したり、自動車への貼り付けが不完全になった場合には、保管場所標章を再発行することができます。保管場所標章の再発行申請について紹介します。
保管場所標章の滅失
保管場所標章を自ら剥がすことは、通常ではあまりないことかもしれません。良くあるのは、リアウィンドウやテールゲートに保管場所標章を貼っていて事故を起してしまい、テールゲートを修理・交換するときに保管場所標章を滅失しなければいけない状況があります。
また、保管場所標章は繰り返し貼り付けができない構造のため、貼り付けを行うときに失敗をしてしまって滅失するしか方法がなくなってしまう場合もあります。このように何らかの理由で保管場所標章を滅失してしまった場合でも、再発行申請を行うことができます。
保管場所標章の損傷
保管場所標章は、基本的に車外へ貼り付けるため、雨や太陽の熱などで年月が経過すると自然と劣化してしまいます。保管場所標章の再発行申請で1番多いケースが経年劣化による損傷で、印字されている文字が見えなくなってしまいます。
保管場所標章の再発行申請の法律
保管場所標章を良く見て頂くと分かりますが、円の下半分に「保管場所標章番号」「保管場所の位置」「保管場所標章を交付した警察署長」が記載されています。
車庫法の「自動車の保管場所の確保等に関する法律・第6条3項」に「自動車の保有者は、前項前段の保管場所標章が滅失し、損傷し、又はその識別が困難となつた場合その他国家公安委員会規則で定める場合には、当該自動車の保管場所の位置を管轄する警察署長に、その再交付を求めることができる」と書かれています。
車庫法でも再発行を義務付けている訳ではありませんし、保管場所標章を再交付せずに損傷したまま放置していても法律によって罰せられることはありません。しかし、警察に貼っていないことを指摘されるかもしれませんし、何よりも汚いので車がボロく見えてしまうため、できる限り再発行申請を行うことをオススメします。
保管場所標章の再発行申請手続き
保管場所標章の再発行申請の手続きは、最初に交付手続きを行った「保管場所の位置」を管轄する警察署で行って下さい。再交付に必要な「再交付申請書」を警察署の窓口でも受け取ることは可能ですが、各都道府県の警察署交通課窓口や都道府県警察のホームページからダウンロードすることも可能です。
保管場所標章の再発行申請手続きに必要な金額は、各都道府県によって異なりますが、保管場所標章の金額と同じ¥500-~¥610-ほどです。
車庫証明に掛かる費用
車庫証明の費用
車庫証明の費用は軽自動車と普通自動車でも金額が大きく異なりますが、全国一律ではなく都道府県によって車庫証明の金額が異なります。下記の金額は申請手数料と標章交付手数料の合計金額で、軽自動車は鳥取県が¥610-、普通自動車は岡山県の¥2,830-が最高金額で、どちらも中国地方になっています。
・車庫証明費用(軽自動車) :¥ 500-~¥ 610-
・車庫証明費用(普通自動車):¥2,500-~¥2,830-
車庫証明の手続き費用
車庫証明の手続きを行うには、必要な書類を揃えてから管轄の警察署へ出向く必要があります。自分で手続きを全て行うことで費用を抑えることはできますが、平日に動くことが難しい人は第3者へ委託することも可能です。委託する場合は、車庫証明代行手続き費用が車庫証明費用とは別に必要となりますが、行政書士事務所や自動車販売店によっても車庫証明代行手続き費用に差があります。
・行政書士事務所で車庫証明手続きを委託した場合:¥10,000-前後
・自動車販売店で車庫証明手続きを委託した場合 :¥8,000-~15,000-ほど
自分で車庫証明手続きを行えば無料ですが、自動車で移動した場合はガソリン代も必要ですし、バスや電車を使っても多少の交通費は掛かります。自動車を購入した場合でも、車庫証明だけを自分で行うことで経費を抑えることができます。
また、車庫証明は非課税ですが、車庫証明の手続き費用には消費税が掛かるため、上記の金額よりも更に高くなってしまいます。車庫証明の手続きは、やってみると意外と簡単ですし、経費の節約を兼ねて1度自分で行って見るのも経験として良いのではないでしょうか?
まとめ
車庫証明の取り方を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?車庫証明は警察署に行かなければいけないこともあり、少し敷居が高いイメージを持っていた方も多いのではないでしょうか?最初に必要な書類を揃えたり、聞きなれない言葉が並んだ書類に記入をしなければいけないことで戸惑うかもしれませんが、1度やってみると意外と簡単に記入することができます。
また、手続きを行う警察署の窓口も「車庫証明係」なので、身構える必要もなく市役所に行くようなイメージと同じです。引っ越しや結婚などで車庫証明の手続きを自分で行う場面がきても、今回紹介した「車庫証明の取り方」を参考にして頂ければ、スムーズに手続きを行うことができます。
車庫証明の申請に必要な書類には、「自動車保管場所証明申請書」「保管場所標章交付申請書」「保管場所の所在図・配置図」「保管場所使用権原疎明書面(自認書)または、保管場所使用承諾証明書」などがあります。
車庫証明の申請に必要な各書類の入手方法や書き方などを紹介していきます。