4WD、それも輸入車の4WDに乗ってみたいと憧れる方も少なくないのではないでしょうか。輸入車にも4WD車は多数ラインナップされているため自分にはどの輸入車4WDが合っているのか悩んでしまいますよね。
毎年雪山にスキーやスノーボードを楽しみに行くので4WDが必要な人やアウトドアが趣味で山や海へよく出かけるので4WDが必要な人、住んでいる地域が雪深いので4WDが必要な人など4WDが必要な理由もさまざまです。
目次
4WDのメリット・デメリット
4WDのメリット
雪道や砂地などの滑りやい道でも走行できる
動力が前輪もしくは後輪だけに集中する2WDでは、動力が伝わる車輪が滑ってしまうと動けなくなります。2WDに比べて4WDは4輪全てに動力が伝わることで、どこかの車輪が滑っても他の車輪が動力を伝えて滑りやすい道でも前に進むことが出来ます。
走行安定性が高い
前輪もしくは後輪だけで走行する2WDに比べて4輪全てで動力を伝えて走行する4WDは走行安定性や加速性が高くなります。路面をとらえる面積が単純に倍になるからです。
4WDのデメリット
新車価格が高い
4輪全てに動力を伝えるために2WDでは不要なパーツや機構を追加する必要があります。そのパーツ分だけ2WDよりも4WDの新車価格は高くなってしまいます。
車体重量が重く燃費が悪い
2WDでは不要なパーツや機構が追加される4WDは、その分の重量が増えてしまいます。車は車体が重いと走らせる動力が多く必要になり燃料をたくさん消費します。また4輪全てに動力を伝えることで4WDは2WDに比べて燃費が悪くなります。
車種別おすすめの4WD車
クロスカントリー
メルセデス・ベンツ・Gクラス
輸入車の中でトップクラスの人気を誇るクロカン4WDは、メルセデス・ベンツ・Gクラスです。2018年にフルモデルチェンジ並みの大幅な改良が施されました。日本仕様でのラインナップは3.0L直6ディーゼルターボの「G350d」、4.0LV8ツインターボの「G550」、G550よりもパワーアップしたAMG仕様となる「メルセデスAMG G63」の3モデルが用意されています。
メルセデス・ベンツ・Gクラスの4WDシステムは「4MATIC」と呼ばれるもので、フルタイム4WDです。常時四輪に駆動力を最適に配分しオフロードはもちろん、オンロードの雪道、凍結路などでも力強い走りと高度な安定性を発揮してくれます。さらに、フロント・センター・リアに搭載される3つのディファレンシャルロックが、どんな過酷な地形でも走行できる優れたオフロード性能を発揮してくれます。
ジープ・ラングラー
輸入車のクロカン4WDと言われて連想するのは、ジープ・ラングラーではないでしょうか。エクステリアは昔の軍用のジープを彷彿とさせる無骨なデザインを取り入れつつもボディ角には丸みをつけて街中でも違和感がないルックスに仕上がっています。ボディカラーは赤やオレンジなども採用しオシャレ感が高いクロカン4WDとなっています。
ジープ・ラングラーの4WDシステムは「セレクトラックフルタイム4×4システム」と呼ばれるもので、マニュアルで切り替える伝統的なパートタイム4×4(4WD)に加えて自動的に前後輪に駆動力を分配するフルタイム4WDシステムを採用しています。「4H AUTO」の選択では路面コンディションに応じて自動で前後輪に駆動力を配分するフルタイム4WD、「4H」または「4L」の選択ではセンターデフをロックしてさらに強力なトラクションを発生させ悪路走破性能を高めるパートタイム4WDとなります。
SUV
ランドローバー・レンジローバーイヴォーグ
伝統的にSUVの4WDを製造してきたランドローバーから、レンジローバーのコンパクト版として2011年に登場したのがランドローバー・レンジローバーイヴォーグです。2019年にはフルモデルチェンジが行われ現行型は2代目となります。日本仕様では2.0Lディーゼルエンジンと2.0Lガソリンエンジンがラインナップされています。
ランドローバー・レンジローバーイヴォーグの4WDシステムは「アクティブドライブライン」と呼ばれるもので、街中のような舗装された道路を走行する時は4WDからFF(前輪駆動)へ自動的に切り替えて燃費向上を図ります。もし、スリップなどを検知するとわずか0.35秒以内に4WDへ自動で切り替わります。アクティブ・ドライブラインはタッチスクリーンで作動確認することが出来ます。
ポルシェ・マカン
最近のポルシェは高級SUVに力を入れておりポルシェ・カイエンが大ヒットしました。その弟分として登場したのがミドルクラスSUVのポルシェマカンです。今ではポルシェの中で一番売れている車種となっています。グレードはNAエンジンの「マカン」、「マカンS」とターボエンジンの「マカンターボ」の3種類が用意されています。全てATの4WDとなります。
ポルシェ・マカンの4WDシステムは新世代の「電子制御多板クラッチ式」でありFRをベースとしています。通常はほとんど後輪駆動のFRですが前輪にも常に10~20%程度の駆動が配分されていることがメーター内のインジケーターでリアルタイムに見ることが出来ます。アクセルの踏み加減に応じて前輪への駆動配分が増えていき、アクセル全開近くになるとグリップ状態でもほぼ50:50の4WD状態となります。
BMW・X5
BMWのSUVはXシリーズにあたり、コンパクトサイズのX1~LLサイズのX7までラインナップされています。その中でX5は5シリーズベースのミドルクラスSUVであり、Xシリーズの中でも非常に人気が高いモデルです。室内空間の広さもエンジンのパワーも必要にして十分なゆとりあるものとなっています。
BMW・X5の4WDシステムは「BMW xDrive」と呼ばれるもので、これはBMWの4WD車全てに採用されている4WDシステムです。常に走行状況をセンサーなどで把握し最適なトルク配分を先回りして行うというものです。悪路や雪道など4WDを必要とする場面ではもちろんのこと、コーナーリングにおいて不安な挙動も察知し安定した走行を実現してくれます。
悪路や雪道を走らないドライバーでも、山道などの曲がりくねったワインディングロードの走行が苦手ならば、このBMW xDriveを選択することをおすすめします。
ミニ・クロスオーバー
イギリスのコンパクトカーと言えばミニ。現在はBMWの傘下になりボディーサイズは大きくなりましたが、エクステリアやインテリアはローバーミニ(クラシック・ミニ)を踏襲したデザインになっています。4WDのSUVが欲しいけど大きなサイズは運転が大変と思う女性ドライバーにはおすすめの1台でしょう。
ミニ・クロスオーバーの4WDシステムは、前輪駆動(FF)をベースに状況に応じて前後の駆動トルクを無段階式に分配するという4WDシステムです。滑りやすい路面などで前輪のトラクションが失われグリップが不十分になった場合には、最大で100%のトルクを後輪に配分させることができます。
ステーションワゴン
ボルボ・V90
ボルボの中でもハイクラスなステーションワゴンとなるV90は、全長が約5mの4,935mm、全幅が1,890mmとかなり大きなボディサイズとなっています。そのため室内空間も広くラゲッジスペースも十分に確保されており泊りがけの旅行やテントなどを積んでキャンプなどにも余裕で出かけることが出来ます。
ボルボ・V90の4WDシステムは「プレチャージ式電子制御AWDシステム」と呼ばれるもので、発進時からパワーを瞬時に4輪の間で分割する4WDシステムです。乾いた直線路の安定走行時には95%のトルクを前輪に配分し、後輪にはあらかじめ80N・mのトルクを配分することで状況に応じて瞬時にトルクの最大50%を配分します。
アウディ・A4アバント
アウディのミドルクラスのステーションワゴンと言えばアウディ・A4アバントです。世界での販売台数が200万台を超えるほどの人気モデルでもあります。アウディ・A4アバント4WD仕様のエンジンは2.0L直4ターボで185 kW (252 PS)を発生するA4の中ではハイエンドなエンジンのみを搭載しています。
アウディ・A4アバントに搭載されている4WDシステムはアウディ独自の「quattro(クワトロ)」と呼ばれるもので、路面状況によってトルク配分をダイナミックに可変制御し、卓越したトラクションコントロールとコーナーでの優れた回頭性を実現します。雪道や悪路走行はもちろん、雨で濡れた路面や舗装されていない砂利道とどんな道でも安定して安心して走行が可能です。
フォルクスワーゲン・パサートオールトラック
ミドルサイズのフォルクスワーゲン・パサートヴァリアントをベースに4WD化した車がフォルクスワーゲン・パサートオールトラックです。ヴァリアント譲りの広いラゲッジスペースと室内空間、優れた安全性能を有しながらパワフルなクリーンディーゼルエンジンとフルタイム4WDを搭載しています。
フォルクスワーゲン・パサートオールトラックの4WDシステムは「4MOTION」と呼ばれるもので、トルクスプリット式のフルタイム4WDです。通常走行時では前輪をメインに後輪には10%のトルクを分配、そこから路面の変化に応じて0~100の間で前後輪のトルクをバリアブルに変化させます。オフロード走行時に左右輪の回転差が生じた場合でも瞬時に空転を防ぐオフロードスイッチや前輪の荷重不足を感知するとトラクションを取り戻すXDSも備えています。
セダン
メルセデス・ベンツ・Cクラス
輸入車セダンの中で多くのドライバーに支持される人気車種のひとつにメルセデス・ベンツ・Cクラスがあります。メルセデスベンツというネームバリュー、大きすぎないミドルクラスの扱いやすさ、安全性の高さなどから街中でもメルセデス・ベンツ・Cクラスのセダンはよく見かけます。
メルセデス・ベンツ・Cクラスの4WDシステムは「4MATIC」と呼ばれるもので、フルタイム4WDとなっています。Cクラスの4MATICは、全天候型フルタイム4WDシステムとして前輪31%:後輪69%という厳密に計算されたトルク配分で、優れたトラクション性能を発揮します。
4MATICとともに装備される「4ESP」は、滑りやすい路面では空転したタイヤをロックし、他のタイヤに最適なトルクを伝達し悪路登坂時などに優れた効果を発揮します。またカーブからの加速時などでも各タイヤのスリップを防ぎ安定した走行姿勢を保ってくれます。
BMW・M340i xDrive
BMWの3シリーズはコンパクトなボディにスポーツ走行が楽しめる味付けになっていて、走りを楽しみたい人にとても人気の車種です。国内モデルとして初めて搭載した最新技術の「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」が搭載されるグレードでもあります。その3シリーズのセダンの中でもBMW・M340i xDriveは、新型3シリーズセダンの頂点に位置する高性能グレードとなります。
BMW・M340i xDriveの4WDシステムは「BMW xDrive」と呼ばれるもので、常に走行状況をセンサーなどで把握し最適なトルク配分を先回りして行うというものです。悪路や雪道など4WDを必要とする場面ではもちろんのこと、コーナーリングにおいて不安な挙動も察知し安定した走行を実現してくれます。今までの4WDを必要とする場面だけでなく、ドライビングのアシストもしてくれるような4WDと思えばよいでしょう。
クーペ
アウディ・A5スポーツバック
クーペスタイルのほとんどが2ドアの中、アウディ・A5スポーツバックは最近流行りの4ドアクーペで、とても美しく上品で高級感あるボディデザインが特徴です。インテリアは水平基調のデザインでスポーティーかつ上質な仕上がりとなっています。オシャレなミドルサイズセダンの4WDをお探しの方にはおすすめの1台でしょう。
アウディ・A5スポーツバックに搭載される4WDシステムはアウディ独自の「quattro(クワトロ)」と呼ばれるもので、路面状況によってトルク配分をダイナミックに可変制御し、卓越したトラクションコントロールとコーナーでの優れた回頭性を実現します。雪道や悪路走行はもちろん、雨で濡れた路面や舗装されていない砂利道とどんな道でも安定して安心して走行が可能です。
メルセデス・ベンツ・E53 4MATIC+Coupé
メルセデス・ベンツのエグゼクティブクラスクーペと言えばEクラスになります。Eクラスクーペの4WDを選択するとなればメルセデス・ベンツ・E53 4MATIC+Coupé一択となりますが、オーナーには十分な満足を与えてくれる車です。価格は1,200万円オーバーと少々お高いですが、それ以上の価値が十分に詰まった4WDクーペでしょう。
メルセデス・ベンツ・E53 4MATIC+Coupéの4WDシステムは「4MATIC」と呼ばれるもので、全天候型フルタイム4WDシステムとなています。前輪31%:後輪69%という厳密に計算されたトルク配分で、優れたトラクション性能を発揮します。4WDでありながら、後輪駆動(FR)ベース車ならではの素直なハンドリングとステアリングフィールを楽しむことが出来ます。4MATICは伝導ロスの少ない高効率な機構なので常に安定した走行を実現してくれます。
4MATICとともに装備される「4ESP」は、滑りやすい路面では空転したタイヤをロックし、他のタイヤに最適なトルクを伝達し悪路登坂時などに優れた効果を発揮します。またカーブからの加速時などでも各タイヤのスリップを防ぎ安定した走行姿勢を保ってくれます。
ジャガー・F-TYPE
イギリスの高級輸入車ブランドであり1980年代~90年代にル・マンなどのモータースポーツでも活躍したジャガー。このジャガーから発売されているクーペタイプはジャガー・F-TYPEです。5つのグレードが用意されており上位グレードの「F-TYPE R COUPÉ」と「F-TYPE SVR COUPÉ」の駆動方式は4WDとなっています。
ジャガー・F-TYPEの4WDシステムは電子制御クラッチを使ったオンデマンド4WDで、通常はFRの後輪駆動ですがリアタイヤがグリップを失うと最大で50:50の比率まで前後輪のトルク配分を変化させる仕組みとなっています。雨の日や雪の日、凍てついた道路などでリアタイヤが滑るとフロントタイヤにトルクがかかり何事もなかったかのように走り出してくれるでしょう。
しかし、ジャガー・F-TYPEの「F-TYPE R COUPÉ」と「F-TYPE SVR COUPÉ」に4WDを採用したのは雪道を安全に走行するとか悪路を楽々と走破するためのものではないのです。この2グレードのエンジンパワーはそれぞれ550psと575psと大パワーなのです。この大パワーをどちらか2輪だけで伝えるには限界があります。600ps近い大パワーを漏れなく有効に生かすためにこの2グレードは4WDを採用しているのです。
まとめ
自動車業界のテクノロジーはとても進化していてほとんどの輸入車の4WDは自動化され運転状況や道路状況をドライバーよりも先回りして最適な駆動方式を選択するまでになってきています。
今の自分はどのような目的で4WDに乗るのかをよく理解したうえで、その目的にマッチした4WD車を選択すれば間違いはないでしょう。