ポルシェを象徴するスポーツカーの911は、革新的な技術とこだわりの強い造形美で、揺るぎない伝統を作ってきました。高額な車だという印象が強い911ですが、年間の維持費はどのくらいかかるのでしょうか。
そこで今回は、911の維持費についてご紹介します。
目次
911の特徴
初代モデルが登場して約半世紀となる911は、これぞジャーマンスポーツカーだと世界的に認められた、ハイスペックスポーツカーです。ベンツ・BMWなど名だたるメーカーからスポーツカーはたくさん販売されていますが、911はワンランク高いステージで戦っているようにも見えます。
一目見ただけで911だと分かるシルエットは、独自性が強く美術品のような美しさも感じます。近年のモデルでは、ワイド&ローというコンセプトが強調され、車内空間の広さや見た目の迫力がさらに増した印象です。
インテリアの素材は、軽量化を最優先した材質がメインですが、高い耐久性を持ち、デザインや発色にも妥協がないため、オリジナルの高級感をまとっています。
プレミアムスポーツカーの名にふさわしい911は、日本の富裕層の中でも憧れの一台であり、いつかは911のハンドルを握りたいと考えている方は多いことでしょう。
911にかかる維持費は年間どのくらい?
スポーツカーは維持費がかさむイメージが強いですが、スポーツカーの王道とも言える911は、どのくらいの維持費が年間かかるのでしょうか。
税金
911のエンジン排気量やサイズ感は、大衆車の中でもそんなに際立つわけでもないので、税金に関しては911が持たれているイメージより安いかもしれません。まず、911の自動車税と自動車重量税についてご紹介します。
自動車税
911の自動車税は、毎年収める必要があります。自動車税は毎年4月1日時点の所有者に課税され、車の排気量によって税金は異なります。911には排気量以上のパワーを体感できるエンジンが搭載されていますが、実際のグレードごとの排気量は、2,981cc~3,996ccです。
このハイスペックな走行性能を公道で味わうためにも、毎年自動車税はきちんと納めなくてはいけません。自動車税の金額は排気量が500cc上がるごとに高くなり、911の場合は1,981ccのグレードが、1年あたり51,000円となり、3,996ccのグレードは1年あたり66,500円の自動車税がかかります。
重量税
自動車重量税とは、道路整備のために活用される税金です。自動車重量税は車の重量によって税額が加算され、ミニバンや4WD車が高くなりがちです。自動車重量税は車検と同じ頻度で課税されますので、自動車税とは支払うタイミングが異なります。
911はグレードごとに車重が異なり、1,430kg〜1,640kgとなっています。自動車重量税は500ccの範囲で課税額が適用され、1,000kg以上1,500kg未満と1,500kg以上2,000kg未満では税額が変わります。
911に関しては1500kg未満のグレードが24,600円の自動車重量税となり、1年あたり12,300円かかります。そして911の1,500kg以上のグレードは32,800円で、1年あたり16,400円の自動車重量税がかかります。
保険
911を公道で運転する際には、自賠責保険が必ず必要です。また、自賠責保険の補償内容はあくまで最低限のものですので、任意保険の加入も考えなくてはいけません。続いては、911の自動車保険についてと、保険料をご紹介します。
自賠責保険
911の自賠責保険はどの保険会社で加入しても、費用や補償内容は一緒です。自賠責保険とは、法律で定められた車の登録に必須な保険で、加入していない場合に公道を走ると、罰則の対象にもなります。
自賠責保険は、事故の際に対人補償が可能なのですが、上限が決まっているため、事故や補償が必要な金額を受け取ることのできない側面もあります。
自賠責保険はあらかじめ前払いし、契約期間を車検時に更新する仕組みです。911の自賠責保険料は、次回の車検が行われる2年間有効で、25,830円となります。したがって、1年あたり12,915円の費用がかかっています。
任意保険
自賠責保険に関しては補償内容の上限がありますが、任意保険は無制限での補償が受けることもできるサービスです。
保険料やプランを自由に選択することが可能で、自賠責保険のように補償金の上限を設定するプランも可能です。そして対人補償だけでなく、対物・車両補償も可能で、契約内容によっては故障時のロードサービスを受けることもできます。
保険料はプランや内容によって様々ですが、911の安全性に加え下記のような基準で算出されます。
- 年齢 :30歳以上
- 等級 :15等級
- 年間走行距離 :5,000km
- 免許の種類 :ブルー
- 運転者限定 :本人のみ
- 運転者年齢制限:30歳以上
- 対人賠償 :制限なし
- 対物賠償 :制限なし
- 車両保険 :つける
- 年間の保険料 :109,200円(毎月9,100円)
911自体の安全性は低くありませんが、車両保険を付けることによって、保険料は高額になります。車両保険をつけなければ半額ほどで済みますが、修理費が高額になることも考慮すると、付けた方が安心だと言えます。
その他費用
911は本格的なスポーツ走行が楽しめますが、ガソリン代がどのくらいかかるのか気になるところです。また税金や保険料以外に、駐車場代や車検代も維持費として考えなくてはいけません。911にはそれぞれいくら維持費がかかるのでしょうか。
ガソリン代
911はハイオクガソリンを燃料としています。例えば911で10,000km走った時には、どのくらいガソリンが必要なのでしょうか。ハイオクガソリンは現在1リットル151円が平均価格です。そして911のカタログ燃費は、グレードごとに7.2~12.8km/Lとなっています。
これらの数値を計算すると、911で10,000km走るためには、約118,000円〜約210,000円のガソリン代がかかる計算です。911のユーザーで年間走行距離が10,000kmを超える方は少ないですが、排気量が大きなグレードほど燃費は悪いので、ガソリン代が多く発生してしまいます。
駐車場代
駐車場の全国平均月額は8,288円ですが、都道府県で見ると、相場が全然違うことに気づきます。下記に一部の県の駐車場価格を抜粋しましたが、各県の事情も踏まえながら、月極駐車場の平均価格をご紹介します。
福岡県・静岡県・徳島県の駐車場平均月額
- 福岡県の月極駐車場平均価格:11,798円(年間141,576円)
- 静岡県の月極駐車場平均価格:6,353円(年間76,236円)
- 徳島県の月極駐車場平均価格:5,253円(年間63,036円)
福岡県は九州で唯一、平均価格が10,000円を超え、特に福岡市・北九州市の相場が高騰している印象です。静岡県は自宅に駐車スペースを確保している方が多く、駐車場は利用しやすい価格帯です。そして徳島県は四国で最も安い平均価格なので、安く駐車場を借りることが出来そうです。
車検代
911の車検は、整備業者によっても費用は異なりますが、しっかり整備してもらうことを考慮すると、911に詳しい業者であることが前提となります。輸入車専門業者に依頼した場合は、下記の費用が相場となるようです。
- 自動車重量税:24,600円〜32,800円
- 自賠責保険料:25,830円
- 印紙代金 :1,200円
- 車検整備費:25,000円
- 車検代行費 :10,000円
- 消費税 :2,800円※整備費と車検代行費分
- 合計:89,430円〜97,630円
この費用に加え、忘れてはならないのが部品交換や追加整備の費用です。消耗品も含め、911の部品は高額になるため、普通に消耗品の交換だけでも150,000円以上になります。また調達に時間がかかる部品もあるため、車検の有効期限より余裕を持って、一度見積もり依頼すると良いでしょう。
911の購入時にかかる費用は?
911は様々なグレードが設定されていますが、購入時にはどのくらい費用がかかるのかをご紹介します。
車体価格
- GT3:2115万円(税込)
- GT3 PDK:2115万円(税込)
- GT3 RS PDK:2692万円(税込)
- カレラ:1244万円(税込)
- カレラ: GTS PDK: 1788万円(税込)
- カレラ PDK: 1309.1万円(税込)
- カレラ4:1372万円(税込)
- カレラ4 GTS PDK:1888万円(税込)
- カレラ4 PDK: 1437.1万円(
- カレラ4S:1647万円(税込)
- カレラ4S PDK:1712.1万円(税込)
- カレラS:1519万円(税込)
- カレラS PDK:1584.1万円(税込)
- カレラT PDK:1432万円(税込)
- タルガ4 GTS PDK:2154万円(税込)
- タルガ4 PDK:1610万円(税込)
- タルガ4S PDK:1913万円(税込)
- ターボ PDK:2267万円(税込)
- ターボS PDK:2630万円(税込)
オプション
911はグレードが非常に多く、オプション品によっては装備ができないグレードもあります。人気のオプションはナビやポルシェ独自のサービスを受けることができるコネクティビティですが、まず気になるオプションが、欲しいグレードに装着可能か確認するところから始めましょう。
911は車体価格が高額ですが、オプション品も国産車と比べると割高な印象です。911のメーカーオプションを複数選択すると、もう一台車が購入できるくらいの費用にもなりかねませんので、911の購入に関しては、予算管理をより厳密に行う必要があります。
自動車重量税
911の新車購入時は、1500kg未満のグレードが39,600円の自動車重量税がかかり、1,500kg以上のグレードでは49,200円となります。
自動車取得税
911の取得税は、車両価格×0.9を取得価格とし、そのうち3%が自動車取得税として課税されます。グレードごとの取得税は割愛しますが、車両価格は車体価格ではなくオプション品も含めた車両全体の総額となります。
自賠責保険
911購入時の自賠責保険料は、初回車検までの契約が必要で、37ヶ月契約をする場合には36,780円かかります。
リサイクル料金
リサイクルが可能な911の部品は、廃車の際に取り外しを行いますが、これらの処理を行うための費用となります。911のリサイクル費用は、グレードごとに21,190~23,290円で、廃車にせず売却した場合には、リサイクル料金は還付されます。
登録に必要な諸経費
911の登録をディーラーに委託する場合の費用や納車にかかる手数料は、下記になります。
- 車庫証明費
- 車庫証明代行費
- 納車費
- 新規検査登録費
- 新規検査登録代行費
- ナンバープレート取得費
各販売店によって金額は異なるので、見積もりでしっかり内容を把握しておきましょう。
壊れやすいところや注意するべき点
911に関しては、消耗品の劣化が早いため、定期メンテナンスの頻度を増やす必要がありそうです。特にエンジンオイルの減りが早く、バッテリー上がるが早く起こるという評価が多かったので、一般的な交換頻度より早く交換するという心積もりも必要かもしれません。
また、DMEリレーという燃料系の制御パーツも、壊れやすいという声が多かったです。DMEリレーが故障するとエンジンが全く始動しなくなるため、予備をひとつ車内に置いておくと良いでしょう。DMEリレーはヒューズボックスの中にあり、簡単に交換することができます。
まとめ
今回は、911の維持費をご紹介しました。911は維持費も部品も高額になりがちですが、所有しているだけでプレミアム感を味わえる特別な車です。
唯一無二の走行性能を堪能するためには、ある程度の予算を確保する必要がありますが、購入時に維持費のシミュレーションをしっかり行い、後悔しないカーライフを送りましょう。