RCZは、空気抵抗を考えて作られたダブルルーフと呼ばれる特殊な形状のルーフが特徴のスポーツクーペです。
RCZは2010年~2015年という短期間の販売になってしまいましたが、販売台数も多く無いため、RCZのレア度を高めることになるかもしれません。今回は希少性高まるプジョー・RCZの維持費について紹介します。
目次
RCZの特徴
RCZは、アウディTTを意識して作られたと言われていますが、全体的な雰囲気は正直よく似ています。空気の流れを意識して作られたダブルルーフのデザインと、シルバーメタリックピラーとのコントラストが、より一層スポーティ感を演出しています。
RCZのグレードは、特別仕様のカーボンルーフモデルや、限定車として日本国内で150台のみ販売された1.6 Rなどがありますが、基本的には1,600cc 直列4気筒DOHC直噴ターボエンジン(156ps)を搭載した【1.6】と、1,600cc 直列4気筒DOHC直噴ターボエンジン(200ps)を搭載した【1.6 左H 6速MT】の2タイプが用意されています。
尚、2,000ccディーゼルエンジンのラインナップもありますが、日本で販売されることはありませんでした。RCZに搭載されている1,600cc 直列4気筒DOHC直噴ターボエンジンは、グループPSAとBMWの共同開発によって誕生したダウンサイジングエンジンです。1,600ccの小排気量ながら2,000ccクラスに匹敵する走行性能で、ドイツでは主流となっているエンジンです。
●1,600cc 直列4気筒DOHC直噴ターボエンジン
- グレード :1.6 AT
- 最高出力 :156ps
- 最大トルク :24.5kgfm
●1,600cc 直列4気筒DOHC直噴ターボエンジン
- グレード :1.6 左H MT
- 最高出力 :200ps
- 最大トルク :28.0kgfm
RCZが2015年で廃止となった背景には、プジョーの業績不振により販売が安定している車種以外の整理を行うため、生産コストが高く販売台数も数千台/年しかないRCZがラインナップから外れることになりました。
需要の少ないスポーツタイプを販売するよりも、需要のある車種に絞って販売促進を行う方針になったためです。RCZのような特殊なスポーツタイプの車は、将来的には価値が上がる可能性が高いので、今後も注目を集めることでしょう。
RCZでかかる維持費は年間どのくらい?
RCZを維持費するためには、年間どれくらいの費用が掛かるのかを調べてみましたので紹介します。
税金
RCZを維持していく上での税金の種類ついて紹介します。
自動車税
自動車税とは、自動車を所有した全ての人に、支払いが義務付けられている税金で、税額はエンジンの総排気量によって定められています。自動車税は、車検有効期間の有無に関わらず、ナンバープレートを返納しない限り、所有者には納税する義務があります。毎年4月1日の時点で、自動車検査証に記載のある所有者宛てに、自動車税納付書が送付されます。
何らかの理由で自動車税を滞納している車は、車検を受けることができないので、車検を受ける時には延滞料を含めた自動車税を全て完納する必要があります。
RCZに採用されているエンジンの排気量は1,600ccのみなので、自動車税は【¥39,500-/年】となります。
重量税
自動車重量税は、車検を受ける時に課せられる税金ですが、車検を受けなければ自動車重量税を納める必要はありません。自動車重量税は、車両重量に応じて課せられる税金で、車検を受ける前に納付しなければいけません。
RCZを新車で購入した場合は、初めての継続車検時に車検有効期間である2年間分の自動車重量税を納付してから、車検を受けることになります。RCZの車両重量は全てのタイプが1,500kg以下なので、自動車重量税は【¥24,600-/2年】です。
1年間に換算すると、RCZの自動車重量税は【¥24,600-÷2=¥12,300-/年】となります。
保険
自動車に関する保険は、大きく分けて【自賠責保険】と【任意保険】の2種類があります。自動車を購入した全ての人に加入することが義務付けられている保険が【自賠責保険】で、自賠責保険では賠償しきれないため、任意で加入することができる保険のことを【任意保険】と言います。自賠責保険と任意保険について説明していきます。
自賠責保険
自賠責保険は、自動車を所有する全ての人に加入することが義務付けられている保険で、自賠責保険に加入しなければ一般道を走行することもできませんし、車検を受けることもできません。
自賠責保険は、人に対して適用することができる保険で、車や建物など人以外には一切の補償がありません。自賠責保険は、死亡時でも3,000万円しか補償されないので、補償額としては決して満足の行く金額ではありません。
自賠責保険は、保険料が決められているので、どこの保険会社で加入しても保険料は同じです。車検を受ける時に、車検期間分の自賠責保険料を支払うので、一般的な継続検査の場合は、2年間分(24ヶ月)【¥25,830-/2年】となります。車検の有効期間と自賠責保険の有効期間は同じ24ヶ月ですが、満了日の時間に違いがあります。
車検の有効期間満了日は【深夜24時まで】、自賠責保険の有効期間満了日は【昼の12時まで】で、満了日に12時間のズレが生じています。
自賠責保険に加入していない車は公道を走ることができないので、自賠責保険に加入する場合は24ヶ月ではなく、25ヶ月で加入することが通例とされています。RCZの車検時に加入する自賠責保険は、25ヶ月で【¥26,680-】となります。
1年間分に換算しますと、【¥26,680-÷2年=¥13,340-/年】です。
任意保険
自賠責保険は、人に対してしか保険が適用されず、補償内容自体も乏しいため、事故を起こした時には自賠責保険だけでは、全てを賠償することはまず不可能です。
自賠責保険では補償されない【相手や自分の車】【相手や自分の搭乗者】【事故によって破損した物】などを補償するためにも、補償内容が揃っている任意保険に加入しておく必要があります。
任意保険は、各保険会社によってサービス内容が異なるので、保険料金も大きく異なる場合があります。任意保険に初めて加入した場合は、6等級から始まりますが、1年の間で1度も保険を使わなかった場合は、保険契約を更新すると毎年等級が上がって、保険料が安くなる仕組みになっています。
また、事故を起こして保険を利用してしまうと、翌年の保険を更新するときに等級が下がってしまうので、保険料金が上がってしまいます。ちょっとした事故の場合は、保険を使った方が良いのか?使わない方が良いのか?考える必要があるのでご注意下さい。
保険契約更新時に、別の保険会社へ変更しても、それまでの等級を引継ぐことができるので、補償内容や保険料を毎年見直すことで維持費を抑えることができます。
RCZは、スポーツカーなので任意保険の料率として比較的高い部類に入ります。日常使いでは決して利便性が良い車とは言えず、ユーザー層も車好きの人に限られるため、RCZは特殊な車種と言えます。年齢層も比較的若く、事故率の高いスポーツカーと言うことを加味した上で、任意保険の料金を1例として紹介します。
●RCZ 1.6 MTの料率クラス:(対人)4(対物)3(搭乗者)4(車両)7
- 年齢 :26歳以上
- 等級 :15等級
- 年間走行距離 :11,000km
- 免許の種類 :ブルー
- 運転者限定 :本人限定
- 運転者年齢制限:26歳以上
- 対人賠償 :無制限
- 対物賠償 :無制限
- 年間の保険料(車両保険無し):¥ 36,500-
- 年間の保険料(車両保険有り):¥118,500-
RCZは、車両保険に加入するのとしないとでは、保険料金が約3倍も違います。事故率が高い車種なので、万が一に備えて車両保険へ加入するようにして下さい。
その他費用
RCZの維持費の中で、税金や保険以外で大きなウェイトを占めているのは、ガソリン代と駐車場代です。税金や保険以外で必要となる費用を紹介していきます。
ガソリン代
RCZに使用されるガソリンは、【無鉛プレミアムガソリン(ハイオク)】で、ハイオクガソリンの全国平均価格は【¥161-/L】です。一般的に1年間に走る距離は、10,000kmと言われていますので、1年間に必要なガソリン代を求める計算式は、【1年間の走行距離÷カタログ燃費数値×燃料価格】となります。
●1.6 AT(カタログ燃費数値・11.5km/L)
10,000km÷11.5km/L×¥161-=¥140,000-
●1.6 左H MT(カタログ燃費数値・13.2km/L)
10,000km÷13.2km/L×¥161-=¥121,970-
ガソリン価格情報NAVI:https://oil-stat.com/high.html
エンジンオイル交換費用
RCZのエンジンオイル交換時期は、他の輸入車と同じで1年若しくは10,000kmと推奨されています。RCZは輸入車ですから、日本の気候に合わせて開発された車ではないため、高温多湿の日本の気候ではオイル交換の時期にも気を付けなければいけません。
特に日本の夏は欧州と比べても大変暑く、昔と違って最近の日本では40℃を超える日も多くあります。温度があがるとエンジンオイルの油温も上がるため、高温時でも粘度を保てる高性能オイルへ半年毎には交換することをオススメします。
RCZに使用するエンジンオイルは¥3,000-/L、オイルの量は【4.0L】で、交換工賃が¥3,000-ほどが相場になっています。
RCZのエンジンオイル交換の料金は【(4.0L×¥3,000-)+¥3,000-=¥15,000-(消費税別)】です。
駐車場代
RCZは、全長・4,290mm×全幅・1,845mm×全高・1,360mm、最低地上高・120mmなので、日本の立体駐車場でも十分に駐車することが可能なサイズなので、駐車場で困ることはありません。
東京都内でも駐車場代の相場は、住む地域によって大きく異なります。月極駐車場相場の分かるサイトを参照に、東京23区と東京23区以外の駐車場代相場を調べてみましたので紹介します。
●東京都内の駐車場平均月額
- 東京都23区の月極駐車場平均額 :¥29,425-(¥353,100-/年)
- 東京都23区以外の月極駐車場平均額:¥13,714-(¥164,568-/年)
東京都内でも、東京23区と東京23区以外とでは2倍近く駐車場代に差があります。維持費を抑えることを考えると、東京23区以外へ駐車場を借りて必要な時だけ車を利用する方が良いかもしれません。
車検代
RCZを購入すると、初年度登録から10年が経過するまでは、2年に1度の間隔で必ず車検を受けることになります。今回は大きな修理もなく車検に合格したことを想定した金額で車検費用を算出しています。
- 自動車重量税:¥24,600-/24ヶ月
- 自賠責保険料:¥26,680-/25ヶ月
- 印紙代 :¥ 1,200-
- 車検整備費用:¥30,000-
- 車検代行料 :¥10,000-
- 消費税 :¥ 3,200-
- 車検費用合計:¥95,680-
車検は2年に1度なので、1年間の維持費として計算を行うと、【¥95,680-÷2年=¥47,840-/年】となります。また、RCZは車検で交換する消耗部品や作業工賃が高いので、¥200,000-ほどは最低でも余分に用意しておく必要があります。
年間の維持費合計
- 自動車税 :¥ 39,500-/年
- ガソリン代 :¥121,970-/年~¥140,000-/年
- オイル交換代 :¥15,000-/年
- 車検費用 :¥46,240-/年
- 年間維持費合計:¥222,710-/年~¥240,740-/年
※上記金額には消費税は含まれていません。
この年間維持費合計には、加入条件によって大きく金額が異なる任意保険料と、お住いの地域によって大きく価格が異なる駐車場代は含まれていません。
RCZの購入時にかかる費用は?
RCZに用意されていたグレードはベースとなる2グレードで、その他で限定車や特別仕様が7タイプほど販売されていました。2015年に販売が終了しているので、RCZを新車で購入することはできませんが、もし新車でRCZを購入した場合に掛かる費用を調べてみました。
車体価格
- 1.6 AT :¥4,031,889-(消費税別)
- 1.6 左H MT :¥4,259,259-(消費税別)
- 1.6 カーボンルーフパック AT :¥4,300,000-(消費税別)
- 1.6 インテグラルレザーパック AT :¥4,280,556-(消費税別)
- 1.6 カーボンルーフインテグラルレザーパック MT:¥4,668,519-(消費税別)
- 1.6 R 左H MT :¥5,000,000-(消費税別)
- 1.6 GTライン AT :¥4,069,445-(消費税別)
- 1.6 GTライン MT :¥4,314,815-(消費税別)
- 1.6 RファイナルVer. MT :¥5,100,000-(消費税別)
オプション装備
RCZのオプションや純正アクセサリーは、日本で用意されることはなかったので、購入することができませんでした。自分好みのカスタムビルドはできませんが、当時パッケージグレードを予約して購入するしか方法がなかったようです。
自動車重量税
自動車重量税は、新車を購入する時と車検を受けるときに課せられる税金で、車両重量によって決められた税額を車検の時に納付します。RCZの新規検査期間は3年なので、3年間分の自動車重量税を新車契約時に納めることになります。
RCZの新車購入時に課せられる3年分の自動車重量税額は、【¥36,900-/3年】となります。
自動車取得税
自動車取得税は、自動車を取得したときに課される税金で、新車・中古車を購入したときだけではなく、車を貰った場合でも課税されます。
自動車取得税は、自動車税と違って地方税にあたるため、税金を納めるのは都道府県になります。取得価額は車両本体の他にも、簡単には取り外すことのできないエアコンやカーナビなどのパーツについても取得価額として3%が課せられます。
- 1.6 AT :(¥4,031,889-×0.9)×3%=¥108,861-
- 1.6 左H MT :(¥4,259,259-×0.9)×3%=¥112,000-
- 1.6 カーボンルーフパック AT :(¥4,300,000-×0.9)×3%=¥116,100-
- 1.6 インテグラルレザーパック AT :(¥4,280,556-×0.9)×3%=¥115,575-
- 1.6 カーボンルーフインテグラルレザーパック MT:(¥4,668,519-×0.9)×3%=¥126,050-
- 1.6 R 左H MT :(¥5,000,000-×0.9)×3%=¥135,000-
- 1.6 GTライン AT :(¥4,069,445-×0.9)×3%=¥109,875-
- 1.6 GTライン MT :(¥4,314,815-×0.9)×3%=¥116,500-
- 1.6 RファイナルVer. MT :(¥5,100,000-×0.9)×3%=¥137,700-
自賠責保険
RCZを新車で購入した場合、初めての継続車検までの期間が3年なので、自賠責保険も36ヶ月若しくは37ヶ月で加入することになります。自賠責保険と車検の有効期間満了のズレについては、先ほど説明したので省かせて頂きます。
RCZを新車で購入する場合の自賠責保険料は、37ヶ月分の【¥36,780-】となります。
登録に必要な諸経費
RCZを新車で購入した場合、車庫証明や名義変更の手続きを管轄の警察署や陸運局で行わなければいけません。RCZの新車登録に必要な諸経費の内容と費用を紹介します。
- 検査登録手続代行費用:¥35,000-
- 車庫証明費用 :¥ 2,600-
- 車庫証明手続代行費用:¥25,000-
- 納車費用 :¥35,000-
- ナンバープレート代 :¥ 1,500-
- 諸経費合計 :¥99,100-
※手続き代行費用、車庫証明費用、ナンバープレート代などは、店舗や地域によって金額は異なります。
RCZの壊れやすいところや注意するべき点
RCZのトラブルで多く報告されているのは、エンジンチェックランプ点灯です。エンジンチェックランプが点灯するには色々な原因があるため、何に不具合が生じてチェックランプが点灯するのかを調べる必要があります。多くの場合は、点火時期がズレることでチェックランプが点灯することがあります。
RCZは、タイミングベルトではなく、チェーンが使用されていますが、チェーンだから切れることもないと安心していてはダメです。タイミングチェーンが伸びてしまったことにより、バルブタイミングに誤差が生じてチェックランプが点灯してしまいます。
タイミングチェーンを交換することで改善できますが、今後の対策としてはエンジンオイル交換を細目に行うことで予防することができます。
また、RCZはウォーターポンプやアウトレットハウジングからの漏れも多いため、タイミングチェーンを交換すると同時にその周辺の部品を交換しておくことで、作業工賃を抑えることができます。
高圧燃料ポンプや水温計などの故障でも、engine fault警告灯が点灯するため、冷却水の減り具合を日頃から注意しておくことで大切です。冷却水の減りが気になる場合は、早めにサービス工場へ相談するようにして下さい。
まとめ
RCZの維持費について紹介してきましたが、RCZはすでに販売終了している車両のため、現在は新車で購入することはできません。すでにRCZを購入済の方は、RCZの弱点でもある水周りのチェックを日頃から怠らないように注意して下さい。
RCZは大衆車と違って専用パーツの多い特殊な車種なので、良く壊れる箇所の部品供給情報を集めることも大切です。長い期間、RCZを維持していく予定の場合は、安価なリビルト品が出回っている間に少しずつ購入しておくことも長い目で見た場合、維持費を安く済ませることに繋がります。