メルセデス・ベンツのGクラス、通称「ゲレンデ」は、その高級感と圧倒的な存在感から多くの方々から支持され続けている車です。
しかし、一部モデルの新車購入価格が3,000万円を超えるということもあり、なかなか手を出しにくい高級車でもあります。
なぜゲレンデはこんなにも高額なのでしょうか?
本記事では、その理由やゲレンデのメリット・デメリット、さらにどんな人におすすめできるのかを詳しく解説していきます。
ベンツゲレンデとは?
ゲレンデは1979年にドイツの自動車メーカー、メルセデス・ベンツから発売されたSUV車です。
元々は軍用車両として開発され、その角張ったデザインは、発売当初から現代に至るまでほとんど変わっておらず、一目見ればわかる特徴的なデザインをしています。
もともと軍用車両であったものを市販化したという経緯もあり、荒れた道でも走ることのできる本格的なオフロード性能を持ち、アウトドアが好きな方たちからも人気を集めています。
また国内外問わず、セレブや著名人からも人気で、ゲレンデを持つことがステータスにもなっています。
ベンツゲレンデが高い理由
ベンツゲレンデが高い理由はいくつかあります。
それは、ベンツという高級車としての歴史やゲレンデという車種の特徴や生産状況が大きく関わっています。
ということで、ここではベンツゲレンデが高い理由について詳しく解説します。
ブランドとしての価値が高いから
メルセデス・ベンツは、車好きが憧れるブランドではないでしょうか?
Gクラス(ゲレンデ)はベンツの中でも特別なモデルであり、1979年の登場以来、40年以上にわたり世界中のセレブや車好きから愛されてきました。
ベンツには約20種類のモデルが設定されていますが、Gクラスはその中でも上位を争う人気です。
高い安全性能を備えているから
ゲレンデは元々、軍用車両として開発された経緯があり、高強度のスチールを使用した「ラダーフレーム構造」を採用しています。
この構造はオフロード走行に適しているだけではなく、衝突時の安全性能にも優れています。
2019年に行われたユーロNCAPによって実施された安全試験では、ゲレンデは最高評価の五つ星を獲得しています。
下記は実験時の数値です。
テスト合格基準値 | ゲレンデの結果 | |
成人保護性能 | 80%以上 | 90% |
子ども乗員保護性能 | 75%以上 | 83% |
歩行者保護性能 | 60%以上 | 78% |
安全保護装置 | 50%以上 | 72% |
- 成人乗員保護性能:車両が成人乗員をどれだけ効果的に保護できるか評価
- 子ども乗員保護性能:車両が子どもの乗員をどれだけ効果的に保護できるか評価
- 歩行者保護性能:車両が歩行者や自転車自転車利用者をどれだけ保護できるかを評価
- 安全保補助装置:事故を予防したりその影響を軽減したりする車両の安全技術を評価
ゲレンデは各試験項目で基準値を大きく上回っており、ゲレンデの優れた安全性能を証明しています。
また全モデルに標準装備された「レーダーセーフティパッケージ」では、前の車との車間距離を適切に保ちつつ、先行車両が停止した際には、自動でブレーキをかけるなどの最新安全機能が搭載されています。
希少性が高いから
ゲレンデは量産車ではなく、組み立て工程の一部が手作業で行われていることもあり、年間の生産台数に限りがあります。
そのためゲレンデの年間生産台数は約1万台ほどしかありません。
2023年、4〜6月期で同じベンツから販売されているSUV車と販売台数を比べてみます。
- Gクラス(ゲレンデ):約11,100台
- GLAクラス:約65,100台
- GLBクラス:約74,700台
上記のように他のSUV車と比べてもゲレンデの生産台数は少なく、希少性の高さがわかります。
手作業による高品質な生産が必要なゲレンデは、生産台数が少なくなり、その結果、高価格にも繋がっていると考えられます。
限定生産モデルだから
ゲレンデには、限定生産モデルが存在します。
これらのモデルは年間約1万台しか生産されない通常のゲレンデよりも、さらに希少性が高く、高価格になります。
例えば、特別なデザイン要素や装備を備えた「メルセデスAMG G 63 グランドエディション」は2024年2月に発表されたモデルですが、全国限定235台しか販売されず、価格は3,200万円。
他にも、2020年7月に発表され、カタログにはない特別なボディカラーが用意された特別仕様車「マヌファクトゥーア」というモデルは、グレードによって異なりますが、1,549万円〜2,480万円という価格で販売されました。
ベンツゲレンデのメリット
ベンツゲレンデは、高級SUVの中でも特に独自の強みを持っており、多くの方たちから愛され続けている車です。
ここでは、そんなゲレンデを選ぶ際に重要なメリットについて解説します。
高い安全性能と耐久性を備えている
ゲレンデは高い安全性能と耐久性を兼ね備えた車です。
「ラダーフレーム構造」を採用していることで車両全体の剛性が高まり、事故の際にもフレームが衝撃を吸収することで乗員の安全を確保。
さらに、自動ブレーキやレーンキープアシスト、ブラインドスポットモニターが標準装備されているので日常的にドライバーをサポートし、事故を未然に防ぐことができます。
ゲレンデは元々、軍用車両として開発されたこともあり、過酷な条件にも耐えられるよう設計されています。
そのため、耐久性のある素材や部品を使っており、適切なメンテナンスを行えば一般的な乗り換え時期といわれる10年をこえても十分乗り続けられるいわれています。
オフロード性能が高い
ゲレンデはオフロード走行にも強いことで有名です。
頑丈なラダーフレーム構造とリジットアクスルサスペンションが車体の剛性と耐久性を高め、過酷な路面からの衝撃を効率的に吸収し、車体への負担を軽減しています。
さらに、前後左右の車輪の回転差を制御するディファレンシャルロックと、通常よりも2倍以上の駆動力を発揮する低速ギアを備えていることで、悪路での走破性をより高めています。
ゲレンデ特有の四角いボディは単なるデザインではなく、オフロード走行時に車両感覚をつかみやすくなり、狭い道や障害物の多い道でも正確な運転をするための設計です。
資産価値やリセールバリューが高い
ゲレンデは新車価格が1,500万円を超える高級車ですが、中古車市場での人気も高く、リセールバリューが高いことでも有名です。
例えば、2019年モデルのG 63 AMGは、3年経過後でも元の価格の85%の価格を維持しています。
さらに、G 550やG 63などの人気のモデルに関しては3年後の買取価格が元の価格と同じかそれ以上になることも。
中古車市場では、ゲレンデは約600万円〜3,000万円前後で取引されていますが、人気の高いAMGモデルなどは1,000万円以上でもすぐに売れてしまうこともあります。
このように、ゲレンデは一般的な車と比べると長期保有しても価値が下がりにくく、モデルによっては価値が上がるリセールバリューの高さも魅力です。
これが資産価値が高いといわれる理由です。
ステータス性が高いから
ゲレンデは登場してから40年以上、基本的なデザインとコンセプトを守り続けてきた車です。
元々は軍用車として開発され、オフロード走行に強い車として高い需要がありましたが、現在では高級SUVとしてオフロード走行に優れているのはもちろん、ラグジュアリーな内装を兼ね備えた車として、セレブにも人気があります。
ゲレンデは、日本国内はもちろん海外でもその人気は高く、ハリウッドスターやスポーツ選手、芸能人などが所有していることも多いです。
著名人が愛用することでそのステータス性はよりいっそう高くなり、一般的な高級車以上に「特別な車」としての地位を確率しています。
このステータス性もゲレンデが長く支持されている理由です。
ベンツゲレンデのデメリット
ベンツゲレンデには、安全性や耐久性、ステータス性など多くのメリットが存在しますが、どんな車にもデメリットは存在します。
ここでは、ゲレンデを選ぶデメリットについて解説します。
購入価格や維持費が高い
ゲレンデは新車価格が非常に高く、維持費も高いことから富裕層向けの車といえます。
ゲレンデの新車価格は、グレードやオプションパーツによって異なりますが、高いものだと3,000万円以上かかることもあります。
参考に2024年の新車価格をグレード別に見てみます。
- G 350 d:約1,650万円
- G 400 d:約1,750万円
- G 63 AMG:約2,700万円~3,000万円以上
上記のようにゲレンデの新車価格は非常に高く、誰でも購入できる価格とはいえません。
また、中古車市場でも1,000万円以上の高値で取引されています。
これはゲレンデの人気が高く、リセールバリューが高いことを表しています。
さらに、購入後には高額な維持費がかかります。
G 63 AMGの場合、自動車税が約8万8,000円、重量税が約5万円〜8万円がかかります。
他にもメンテナンスコストが年間15万円〜20万円、保険料が年間約15万円〜25万円と、維持するだけでも年間50万円以上の費用がかかります。
さらに燃費のことまで考えるとゲレンデの平均燃費は6〜7km/Lと日常使いには不向きといえるでしょう。
ボディサイズが大きい
ゲレンデの車体サイズは一般的なSUV車などと比べても大きく日常使いには不便さを感じるかもしれません。
例えば駐車スペースです。
一般的な駐車スペースが幅約2,300mmなのに対し、ゲレンデの車幅は1,930mmもあるため、駐車が困難に感じる人もいるでしょう。
都心部では立体駐車場に停める機会も多いかもしれませんが、ゲレンデの車高は1,975mmあることから、車高制限のある駐車場に停める際にも、場所を選ぶ必要があります。
また日本には幅員3.5m未満の狭い道路も多く存在します。
そうした道路で、対向車とのすれ違いでも運転のしにくさを感じるかもしれません。
個性的なデザイン
ゲレンデのデザインは1979年に登場してから基本的なデザイン、コンセプトは変わっていません。
ゲレンデの角張ったデザインは好きな人にはたまらないですが、現代は流線型デザインの車が多く、好みが分かれるデザインです。
ただ、その個性にこそ魅力を感じるユーザーも多く、人気の理由でもあります。
盗難リスクがある
高級車にとって外せないデメリットは盗難リスクです。
ゲレンデはリセールバリューが高いこともあり、盗難リスクも他の車に比べて高くなっています。
車両本体はもちろん、ゲレンデはその部品にも価値があり、盗難後に解体され、パーツ単位で売られることもあります。
こうした状況もあり、ゲレンデには標準でイモビライザー(盗難防止装置)やアラームシステム、タイヤ空気圧監視システムなどのセキュリティ装置が搭載されています。
これに安心せず、シャッター付のガレージへの駐車や、GPS追跡装置の搭載など、対策をすることで、さらに盗難リスクを下げることができます。
ベンツゲレンデおすすめな人
ゲレンデは幅広い層の人たちにとって魅力的な車です。おすすめできるのはどんな人たちなのでしょうか。
まず、ステータスやラグジュアリー感を求める方たちにとってゲレンデは最適な車です。
ゲレンデは世界中の人たちから「特別な車」と認識されており、所有していること自体が成功のシンボルともいわれています。
次に、アウトドア好きやや安全性能を求める人たち。
元々は軍用車として開発されたこともあり、設計段階から荒れた道を走るのに最適な工夫がされています。
また、自動で前方を走る車両との車間距離をキープする「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック」や見えない死角部分をセンサーによって知らせてくれる「ブラインドスポットアシスト」など最新の安全装備が搭載されているので日常使いにも安全性が確保されています。
他には資産価値やリセールバリューを気にする方にもおすすめできます。
このようにゲレンデは様々な人たちにおすすめできる魅力的な車です。
まとめ
この記事では、メルセデス・ベンツのGクラス、通称ゲレンデがなぜ高額なのか、その理由とゲレンデを選ぶメリット・デメリットなどについて解説しました。
ゲレンデは、頑丈なボディと高い安全性能、優れた走行性能が多くの人々から支持されており、資産価値やリセールバリューも高いため、高級SUVの代表格とされています。
一方で、新車購入価格が1,500万円を超え、維持や修理費が高額であること、盗難リスクが高い点には注意が必要です。
日常使いには、コストパフォーマンスの面で他の選択肢もありますが、高級感やステータスを求める方、オフロード走行を楽しみたい方にとっては最適な選択となる車です。
その圧倒的な存在感と走行性能を体験すれば、きっとゲレンデの虜になることでしょう。
ベンツゲレンデQ&A
Q1:ベンツゲレンデはどんな方におすすめですか?
ゲレンデは以下のような方たちにおすすめできます。
- アウトドアが好きな方
- 角ばった無骨なデザインが好きな方
- 安全性を気にする方
- 高いステータスを求める方
- 資産価値の高い車を持ちたい方
Q2:ベンツゲレンデに乗っている著名人は?
ゲレンデに乗っている著名人は多くいます。その中の一部の方を紹介します。
日本の著名人
- 明石家さんま(お笑いタレント)
- 木村拓哉(歌手、俳優)
- オリエンタルラジオ 藤森慎吾(お笑いタレント)
- 朝倉海(プロ格闘家)
海外の著名人
- アーノルド・シュワルツェネッガー(アメリカ・俳優)
- マドンナ(アメリカ・歌手)
- デビッド・ベッカム(イギリス・元サッカー選手)