マツダ・MPVは1998年~2016にかけてマツダが製造・販売したミニバンです。現在は新車で購入することはできませんが、中古車ではまだまだ手に入れることが可能です。マツダ・MPVは最終型の3代目でも発売当初の年式では13年落ち、2代目以前となればそれ以上古い車種となります。
年式が古い車で気になるのが税金や消耗部品、修理にかかる維持費です。マツダ・MPVの維持費はどれくらい必要なのでしょうか?購入資金や注意点も含めてご紹介していきます。
目次
マツダ・MPVの特徴
最終型の3代目マツダ・MPVは、キャッチコピー「スポーツカーの発想で、ミニバンを変える」の通り、スポーツカーの発想で開発されたミニバンでした。その特徴をいくつかご紹介します。
パワフルなエンジン
先代の2代目で採用されていたV6エンジンが廃止され、3代目のマツダ・MPVでは2.3リッター直列4気筒エンジンとなり、自然吸気のノンターボエンジンと大排気量エンジンに匹敵するトルクを発揮する「DISI」と呼ばれる直噴ターボエンジンの2種類が採用されました。
その後、2010年には直噴ターボエンジンが廃止され、ノンターボエンジンのみのラインナップとなりました。
L3-VEエンジン
- 形式:水冷直列4気筒DOHC16バルブ
- 最高出力:163ps(120kW)/6500rpm
- 最大トルク:21.4kg・m(210N・m)/4000rpm
- 燃費:10.2km/L(JC08モード)
L3-VDTエンジン
- 形式:水冷直列4気筒DOHC16バルブ直噴ターボ
- 最高出力:245ps(180kW)/5000rpm
- 最大トルク:35.7kg・m(350N・m)/2500rpm
- 燃費:10.2km/L(10モード/10・15モード)
大柄なボディサイズ
3代目マツダ・MPVのボディサイズは2代目よりも大きくなり、全幅は当時の国内ミニバンの中では最大サイズでした。また全長も2010年に登場した3代目エルグランド(現行型)が登場するまではミニバンの中では最長でした。ボディサイズは以下になります。
- 全長:4,860mm
- 全幅:1,850mm
- 全高:1,685mm
広々とした室内サイズ
乗車定員は全グレード8人乗りとなっており、セカンドシートには左右に分かれたキャプテンシートを中央に寄せることで3人掛けを可能にする「KARAKURIシート」が採用されています。
サードシートの格納方式は前倒し式の6:4分割格納が採用され、5人乗車+ラゲッジモードでは5人分のゴルフバッグが積める広さがウリでした。
しかし、2012年11月に8人乗車から7人乗車に変更となりました。マツダ・MPVの室内サイズは以下になります。
- 室内長:2,635mm
- 室内幅:1,565mm
- 室内高:1,210mm
駆動方式
マツダ・MPVの駆動方式はFFのほかに4WDの設定もあります。ミニバンは街乗りだけではなく、旅行などにも使われるシーンが多く冬にはスキーやスノーボードなどの雪道を走行することも想定して4WDがラインナップされています。
4WDのメカニズムはフルタイムで、電子制御アクティブトルクコントロールカップリング方式が採用されています。
ボディスタイル
ボディスタイルは左右にスライドドアを備える5ドアキャブオーバー型で、Aピラーが初代、2代目に比べて傾斜がより大きくなりステーションワゴンのような流麗なプロポーションとなっています。
全長と全幅のサイズが大型化された一方で全高が低いためワイド&ローなスタイルで、まさにスポーツカーの発想で走りを意識したミニバンとなっています。
マツダ・MPVでかかる維持費は年間どのくらい?
愛車を維持していくにはいろいろとお金がかかります。マツダ・MPVを愛車にした場合、1年間でどれくらいの維持費がかかるのかを調べたところ、おおよそ44万円以上が必要だとわかりました。具体的な内容や費用をお伝えします。
税金
愛車の維持費には税金があります。具体的には「自動車税」と「自動車重量税」が維持費に含まれます。それぞれの税金がかかるタイミングと税額を紹介します。
自動車税
自動車税とは、毎年4月1日現在の自動車の所有者に対してかかる税金です。自動車税の税額はエンジンの排気量と新規登録からの経過年数、エコカー減税の有無で決まります。マツダ・MPVの排気量は初代が2.5Lと3.0L、2代目が2.0L、2.3L、2.5L、3.0L、3代目が2.3Lでエコカー減税は対象外となります。それぞれの1年間の自動車税は以下になります。
- 2.0L:39,500円
- 2.3L、2.5L:45,000円
- 3.0L:51,000円
※初代や2代目、そして3代目の2006年式以前のMPVは、新規登録から13年経過しています。その場合は上記税額に+15%重税となります。
自動車重量税
自動車重量税とは、新車購入時および車検実施時にかかる税金です。自動車重量税の税額は車両重量と新規登録からの経過年数、エコカー減税の有無で決まります。マツダ・MPVの車両重量は初代から3代目まで全て2,000kg以下になります。自動車税は2年ごとの車検時に課税されますので、1年間の自動車重量税は以下になります。
- 新規登録から13年以内:32,800円÷2=16,400円
- 新規登録から13年経過~18年以内:45,600円÷2=22,800円
- 新規登録から18年経過以降:50,400円÷2=25,200円
保険
自動車保険には、自動車を運行する上で必ず加入しなければいけない「自賠責保険」と任意で加入する「任意保険」があります。それぞれの保険の特徴をご紹介します。
自賠責保険
自賠責保険は、新車購入時および車検切れの中古車購入時に加入する自動車保険です。自賠責保険は次の車検が来るまでの期間をカバーするような期間設定で作られています。
マツダ・MPVは中古車でしか入手できませんので、中古車購入の場合の2年間(25か月)で加入となります。これを1年間に計算しなおすと以下の保険料になります。
- 初回車検以降:26,680円÷2年=13,340円
任意保険
任意保険は、未加入でも車の購入および運行は可能で車検も受けられます。しかし、自賠責保険だけでは補償しきれない重大な事故を起せば取り返しがつきません。そのため任意保険にも加入することが一般的です。とくに対人保険と対物保険は無制限で加入することをおすすめします。
任意保険は、その車を運転する人の年齢や過去に保険を適用した回数(事故回数とは異なる)、また保険会社や補償内容で保険料が変動します。マツダ・MPVの任意保険料金の一例をご紹介します。
・車種:2014年式 23S Lパッケージ
・保険対象者年齢:30歳以上
・等級:13等級
・免許の種類:ゴールド
・年間走行距離:10,000㎞
・運転者:配偶者限定
・対人賠償:無制限
・対物賠償:無制限
・車両保険:あり
- 保険料:約88,600円
その他費用
愛車を走らせるためにはガソリンが必要で、自宅に駐車場がなければ駐車場を借りる必要があります。新車なら3年後、その後は2年後に車検も受けなければなりません。これらの1年間にかかる費用をおおよそで算出してみました。
ガソリン代
年間走行距離を10,000㎞、レギュラーガソリンの価格を143円/Lとした場合の1年間に必要なおおよそのガソリン代は以下になります。
- 初代:10,000km×143円/L÷8.4km/L=170,238円
- 2代目:10,000km×143円/L÷11.6km/L=123,276円
- 3代目:10,000km×143円/L÷12.2km/L=117,213円
※燃費性能は10モード/10・15モード燃費のカタログ値より
駐車場代
駐車場代は、居住している地域によりばらつきがあります。1か月の駐車場代相場で1番高いのは東京都の31,077円、1番安いのは長野県の4,144円で全国平均は8,288円です。全国平均の駐車場代をもとに1年間の駐車場代を算出すると以下になります。
- 8,288円×12か月=99,456円
※マツダ・MPVは全高が1,550mm以上あるため、機械式立体駐車場などに駐車できない可能性が高く普通車よりも駐車場代が高くつく場合があります。
車検代
マツダ・MPVは中古車での購入になりますので車検は2年毎になります。自動車工場などに車検を依頼した場合の一般的な相場をご紹介します。
・車種:2014年式 23S Lパッケージ
・自賠責保険:26,680円
・自動車重量税:32,800円
・印紙代:1,800円
・点検費用:30,000円
・車検代行料:10,000円
・合計金額:101,280円
- 1年あたりの費用:101,280円÷2=50,640円
消耗品
マツダ・MPVには、消耗品がいくつも使われていて寿命はさまざまです。
年間走行距離が10,000㎞でマツダディーラーで交換対応した場合、エンジンオイルが年1回の交換で約9,000円、ブレーキオイルが車検ごとに交換で約2,500円、ブレーキパッドは30,000kmごとの交換で約6,000円、タイヤは3年ごとの交換で約20,000円、ワイパーブレードが車検ごとの交換で約1,500円ほどになります。
マツダ・MPVの購入時にかかる費用は?
車体価格
現在、マツダ・MPVは生産終了の車種のため中古車でのみ購入可能です。おおよその中古車相場価格をご紹介します。
- 初代:490,000円~626,000円
- 2代目:25,000円~988,000円
- 3代目:30,000円~2,098,000円
オプション
マツダ・MPVは2016年3月に発売が終了されている車種のため、メーカーオプションやディーラーオプションを本体車両に装着して購入することは基本的に不可能となっています。
もし、マツダ・MPVの中古車を購入するマツダディーラーにディーラーオプションパーツの在庫があれば購入および装着は可能です。
自動車重量税
自動車重量税は、車検付きの中古車なら0円、車検無しの中古車なら年式により金額が変わってきます。新規登録から13年以内なら32,800円、13年経過~18年以内なら45,600円、18年経過以降なら50,400円となります。
自動車取得税
中古車での購入の場合の自動車取得税の計算式は以下になります。
課税標準基準額×残価率=取得価額(1,000円未満切捨て)
取得価額×3%=自動車取得税額
※残価率は新車時を1.0として経過年数ごとに決められた残価率があります。
※取得価額が50万円以下の場合は課税されません。
例として、2014年式 23S Lパッケージの中古車が980,000円の自動車取得税は、
980,000円×0.146(5年経過)=143,000円
143,000円×3%=4,292円
となります。
自賠責保険
マツダ・MPVは中古車での購入となりますので自賠責保険は、車検が残っている車両なら0円、車検切れの車両なら2年間分(25か月)の26,680円が必要となります。
リサイクル料金
リサイクル料金は、自動車を解体したあとに出たゴミをリサイクルもしくは廃棄するために必要な料金です。新車、中古車問わず購入時に支払います。マツダ・MPVのリサイクル料金は以下になります。
- 初代:11,760円~13,580円
- 2代目:13,510円~13,820円
- 3代目:14,950円~15,520円
ディーラー代行手数料
マツダ・MPVの中古車をマツダのディーラーで購入する場合の代行手数料は、参考価格の消費税込み69,100円(マツダ公式サイト参照)になります。内訳は以下の内容になります。車庫証明など自分自身で行うことができればその分費用を安くすることも可能です。
- 登録費用
- 車庫証明費用
- 整備費用
- リサイクル法関連費用
- 納車費用
マツダ・MPVの壊れやすいところや注意するべき点
V6エンジン
V6エンジンは、初代と2代目のマツダ・MPVにラインナップされていました。低速から太いトルクが魅力のパワフルなエンジンで人気があったのですが、今では最終年に生産された個体でも13年以上経過しています。自動車税は重税となり維持費が高くなってしまいます。
それだけではなく、マツダ・MPVのV6エンジンはフォード製の低コストで製造されたエンジンのため、トラブルが多く見受けられました。エンジンのトラブルは内容にもよりますが、数万円~数十万円までかかる可能性があり維持費を考えると購入は避けた方が得策でしょう。
足回り
マツダ・MPVの車両重量は初代から全て1,500kgを軽く超えた重量級です。3代目では1,950kgと2トン近いものまであります。車両重量が重たいということはブレーキやタイヤに負担がかかります。
ブレーキパッドの減りが早いのはもちろんのこと、普通の車ならめったに交換しないブレーキローターの摩耗も激しく交換を余儀なくされます。
ブレーキディスクの交換やブレーキキャリパーのオーバーホールもしくは交換となれば6万円以上の出費となります。さらにタイヤの消耗も普通の車よりも激しくなり交換サイクルが早くなりますのでマツダ・MPVの足回りの維持費は多くかかることを意識しておきましょう。
まとめ
マツダ・MPVを購入するためのおおよその金額と維持していくための費用、そして注意点をご紹介しました。
マツダ・MPVはすでに絶版のため程度によっては故障や修理で維持費がかかる可能性が高いですが、低価格で大型のミニバンを手にできるチャンスでもあります。この記事を参考に、マツダ・MPVの購入計画を立ててみてください。