走行性能よりも、実用性や燃費性能を重視した最近の軽自動車業界。そうした軽自動車市場は最近、飽和状態になってきて、軽自動車スポーツカー時代がやって来ています。2シーター軽スポーツカーのS660や、アルトワークスの復活によって軽自動車界も活気が出ています。今回は、軽自動車スポーツカーに焦点を当てて紹介していきます。
目次
スポーツタイプの軽自動車とは
1980年代は、軽自動車も走りを追求した車がどんどん市場に出てきて、軽自動車でどれだけ早く走ることが出来るのか楽しんでいるような時代でした。
40代~50代の男性には懐かしいかもしれませんが、1980年代は軽ホットハッチスポーツカー時代で、アルトワークス、ミラTR-XX、ミニカダンガンの人気が高く、パワーに関しては文句なしでした。軽スポーツカーのゼロからの加速は、普通のスポーツカー以上の体感が魅力で、バブル時代の象徴と言えば軽スポーツカーと言っても過言ではありません。
軽の規格でスピード性を追求
1980年代頃が軽スポーツカーの全盛期で、どの自動車メーカーも軽量化&パワーを追求するあまり、歯止めが効かなくなっていた時代でした。ボディが軽い軽自動車で、パワーばかりが優先されてしまい安全性能が追い付いていなかったのも事実でした。
バブル全盛期の軽自動車パワー競争に歯止めをかけるため、1987年には軽自動車の最高出力・64馬力が上限とされる自主規制が行われました。この規制によって、軽自動車パワー競争に終止符が打たれて、ワゴンRの軽トールワゴン時代が到来することになります。
人気をけん引した平成のABCトリオ
軽自動車界のパワー競争が落ち着いてきた頃、バブル時代終盤に軽2シータースポーツカー時代が到来しました。その時におもちゃのミニカーの世界から飛び出してきたような3台の車が<AZ-1><ビート><カプチーノ>でした。この3台の頭文字をとって【平成のABCトリオ】と呼んで、今でもコアなファンの間では絶大な人気を誇っています。
マツダ<オートザムAZ-1>
軽スポーツカー時代で最も斬新なスタイルで登場したのがAZ-1です。リアミッドシップターボエンジンに、軽自動車では初となるガルウィングドアを採用して、風貌と走りは軽自動車とは思えないほどでした。
ミニカーの世界から飛び出してきたようなAZ-1ですが、発売からたった3年で販売が終了してしまい、今後レア度があがる軽スポーツカーの1台です。
ホンダ<ビート>
NSXと同時期に開発が進められたミッドシップフルオープンカー・ビート。平成のABCトリオの中で、唯一ターボ車ではなくNAエンジンに拘り続けたホンダらしい軽スポーツカーです。軽自動車自主規制値・64馬力を目一杯使ったレスポンス重視のMTRECエンジンは、F1のような弾ける音が今でも人気があります。
スズキ<カプチーノ>
ジムニーのパワートレインに、スポーツカーの代名詞でもあるロングノーズ・ショートデッキを採用した軽スポーツカーを代表する1台。軽自動車では贅沢とされていた4輪ダブルウィッシュボーン式の足回りを採用、走りを極限まで追求した結果、超ライトボディで車重700kgを実現。平成のABCトリオの中でも圧倒的なパワーと走りで現在でもモータースポーツ界で活躍しています。
スポーツタイプ軽自動車の魅力
コンパクトカーでも車両重量は1,000kgほどですが、軽スポーツカーはそれよりも100kg以上軽く作られています。軽ければ軽いほど走行性能を上げることができるので、64馬力の縛りの中でも乗用車以上の走りが味わえるのが軽自動車スポーツカーの魅力となっています。
カッコイイデザイン
軽自動車スポーツカータイプの魅力は、格好いいデザインにあります。ここ最近では、攻撃的なデザインのアルトワークスの復活や、世界的にも人気があるジムニーなど、軽自動車も個性的なデザインの車が注目を浴びています。
軽自動車スポーツカーの格好良さは、車高が低くて、いかにも早そうな顔つきなど、男性的なデザインが軽スポーツカーでは人気があります。おもちゃ感覚で、見た目で軽自動車を選ぶのも最高の楽しみだと言えます。
実用性もある
実用性も兼ね備えた軽自動車スポーツカーも多数存在しています。普段は街乗り重視だけど、いざとなったら快適に走りを楽しみたい人には、走行性能と実用性の両方を兼ね備えた軽自動車ということで、最近でも普通のグレードに加えてカスタム系のスポーツタイプが用意されています。
キャストスポーツやN-ONEなど、軽トールワゴンにしてスポーツカーの要素を兼ね備えた、まさに軽自動車界の「二刀流」。こうした二刀流の軽自動車も人気があります。
中古車になっても人気がある
軽自動車は、普通車と比べても値落ちの幅が少なく、経済的に優れた車です。その中でも特に軽自動車スポーツタイプは、値落ちがしにくく、年数が古くなっても希少性が重要となるので、買取り価格も急激に上がったりします。
AZ-1などは、国内に30台ほどしか存在しないとも言われていますので、今後大切に所有しているだけで高価買取が狙える可能性を秘めています。中古車になっても人気がある軽自動車スポーツカーは、販売している間が買い時かもしれません。
スズキのスポーツタイプ軽自動車
ダイハツと並んで軽自動車の2大メーカーの一つのスズキ。スズキを代表するスポーツタイプ軽自動車、<アルトRS>と<アルトワークス>を紹介します。
アルトワークス
アルトワークス専用チューニングエンジンを搭載して復活。日本を代表するモンスター軽自動車と呼ばれています。絶大な人気で、リセールバリューが最も高い軽自動車です。
サイズ
全長 :3,395mm
全幅 :1,475mm
全高 :1,500mm
ホイールベース:2,460mm
燃費
●ガソリン車
カタログ燃費:22.0km/L~23.6km/L(JC08モード)
車内空間
室内長さ:2,040mm
室内幅 :1,255mm
室内高さ:1,215mm
デザイン
アルトワークスのデザインの特徴は、カーボン調素材を多用しているので、高級感と走りを追求したエクステリアデザインです。ブラックに塗装されたアルミホイールが、更に重厚感が増して、一目でアルトワークスと分かるデザインになっています。
リセールバリュー
●2016年 ベースグレード AT
買取価格 :¥1,000,000-~¥1,100,000-
新車価格 :¥1,398,000-(消費税別)
リセールバリュー:72%~79%
●2016年 ベースグレード MT
買取価格 :¥1,000,000-~¥1,300,000-
新車価格 :¥1,398,000-(消費税別)
リセールバリュー:72%~93%
※買取価格は、ディーラーの下取り参考サイトを利用していますので、あくまでも参考程度に捉えて下さい。
アルトターボRS
アルトワークスに搭載されたエンジンは、アルトターボRSのエンジンをベースにチューニングされたものです。走行性能はさすがにアルトワークスには劣りますが、軽自動車の中ではトップクラスの性能を誇っています。
サイズ
全長 :3,395mm
全幅 :1,475mm
全高 :1,500mm
ホイールベース:2,460mm
燃費
●ガソリン車
カタログ燃費:24.6km/L~25.6km/L(JC08モード)
車内空間
室内長さ:2,040mm
室内幅 :1,255mm
室内高さ:1,215mm
デザイン
アルトワークスと見比べても遜色のないエクステリアで格好いいアルトターボRSですが、インテリアもブラックをベースに赤いステッチが入っていて通常のアルトとの差別化を図っています。
リセールバリュー
●2016年 RS 2WD
買取価格 :¥520,000-~¥620,000-
新車価格 :¥1,198,000-(消費税別)
リセールバリュー:43%~52%
●2016年 RS 4WD
買取価格 :¥575,000-~¥675,000-
新車価格 :¥1,301,000-(消費税別)
リセールバリュー:44%~52%
価格参考サイト:http://tradein.nissan.co.jp/SUZUKI/ALTO/2016/
※買取価格は、ディーラーの下取り参考サイトを利用していますので、あくまでも参考程度に捉えて下さい。
ダイハツのスポーツタイプ軽自動車
日本の軽自動車業界で最も充実しているのがダイハツです。ダイハツが作るスポーツタイプ軽自動車は、コペンのように高級感のある高性能&高機能が売りと言って良いでしょう。
コペン
初代から受け継いでいる開閉式電動ハードトップのアクティブトップが魅力的なコペン。低重心・全車ターボエンジン搭載で走行性能抜群の1台です。
サイズ
全長 :3,395mm
全幅 :1,475mm
全高 :1,280mm
ホイールベース:2,230mm
燃費
●ガソリン車
カタログ燃費:22.2km/L~25.2km/L(JC08モード)
車内空間
室内長さ: 910mm
室内幅 :1,250mm
室内高さ:1,040mm
デザイン
2代目コペンは、ボディパネルが脱着構造になっているので、コペンを購入した後でも自分の好みのエクステリアに着せ替えることができます。ボディの着せ替えができる車はコペン以外にないので、最大の特徴です。
リセールバリュー
●セロ CVT
買取価格 :¥1,005,000-~¥1,125,000-
新車価格 :¥1,765,000-(消費税別)
リセールバリュー:57%~64%
●セロS MT
買取価格 :¥1,005,000-~¥1,125,000-
新車価格 :¥1,970,000-(消費税別)
リセールバリュー:51%~57%
価格参考サイト:http://tradein.nissan.co.jp/DAIHATSU/COPEN/2016/
※買取価格は、ディーラーの下取り参考サイトを利用していますので、あくまでも参考程度に捉えて下さい。
キャストスポーツ
ムーヴをベースにして作られたキャストですが、3タイプの中から好みのキャストが選べるようになっています。コペンに採用されている足回りが採用されて、コーナリング性能は軽トールワゴンの中でもトップクラスです。その3タイプの中でもスポーツ性能に特化したのがキャストスポーツです。実用性を兼ね備えた軽トールワゴンスポーツタイプです。
サイズ
全長 :3,395mm
全幅 :1,475mm
全高 :1,600mm
ホイールベース:2,455mm
燃費
●ガソリン車
カタログ燃費:24.6km/L~24.8km/L(JC08モード)
車内空間
室内長さ:2,005mm
室内幅 :1,320mm
室内高さ:1,245mm
デザイン
キャストスポーツは、レッドがアクセントになっているエアロバンパーが特徴で、全体的にスポーツタイプを強調したデザインになっています。
リセールバリュー
●スポーツ SAⅡ 2WD
買取価格 :¥825,000-~¥935,000-
新車価格 :¥1,500,000-(消費税別)
リセールバリュー:55%~62%
●スポーツ SAⅡ 4WD
買取価格 :¥860,000-~¥970,000-
新車価格 :¥1,615,000-(消費税別)
リセールバリュー:53%~60%
価格参考サイト:http://tradein.nissan.co.jp/DAIHATSU/
※買取価格は、ディーラーの下取り参考サイトを利用していますので、あくまでも参考程度に捉えて下さい。
ホンダのスポーツタイプ軽自動車
日本のスポーツカーと言えば伝説の頭文字【S】。S360、S500、S600、S800、S2000そして現在は、軽自動車で最高スペックを誇るS660。F1で培った技術を市販車にフィードバックさせるホンダに注目です。
S660
ホンダミッドシップスポーツカーの伝説を継承した、軽スポーツカー最高スペックのS660。平成のABCトリオの1台だったビートから、約20年ぶりのホンダ2シーター軽スポーツオープンカーです。
サイズ
全長 :3,395mm
全幅 :1,475mm
全高 :1,180mm
ホイールベース:2,285mm
燃費
●ガソリン車
カタログ燃費:21.2km/L~24.2km/L(JC08モード)
車内空間
室内長さ: 895mm
室内幅 :1,215mm
室内高さ:1,020mm
デザイン
ライバル車・コペンと違って、ルーフは車外に出ないと開閉できないタイプでトランクもなし。空力抵抗を考えた流れるようなサイドのライン。実用性を全て捨てて、走りを追求したデザインが逆に贅沢なS660です。
リセールバリュー
●アルファ CVT
買取価格 :¥970,000-~¥1,160,000-
新車価格 :¥2,019,000-(消費税別)
リセールバリュー:48%~57%
●アルファ 6MT
買取価格 :¥990,000-~¥1,180,000-
新車価格 :¥2,019,000-(消費税別)
リセールバリュー:49%~58%
価格参考サイト:http://tradein.nissan.co.jp/HONDA/S660/2016/
※買取価格は、ディーラーの下取り参考サイトを利用していますので、あくまでも参考程度に捉えて下さい。
N-ONE
ホンダの初の軽自動車の血を引く、Nシリーズの第3弾として発売されたN-ONE。軽自動車の中で、唯一N-ONEワンメイクレースが開催されていることでも、N-ONEのスポーツ性能としての評価が高いことがわかります。スポーツカーと実用性を兼ね備えたオールマイティーな軽自動車です。
サイズ
全長 :3,395mm
全幅 :1,475mm
全高 :1,545mm~1,630mm
ホイールベース:2,520mm
燃費
●ガソリン車
カタログ燃費:23.0km/L~28.4km/L(JC08モード)
車内空間
室内長さ:2,020mm~2,045mm
室内幅 :1,300mm
室内高さ:1,240mm
デザイン
愛嬌たっぷりの丸いライトが印象的なデザインで、Nシリーズの中では最もNらしい個性的なエクステリアが特徴です。親しみあるデザインで、男女問わず人気がある軽自動車です。
リセールバリュー
●モデューロX
買取価格 :¥785,000-~¥885,000-
新車価格 :¥1,757,000-(消費税別)
リセールバリュー:45%~50%
価格参考サイト:http://tradein.nissan.co.jp/HONDA/NONE/2016/
※買取価格は、ディーラーの下取り参考サイトを利用していますので、あくまでも参考程度に捉えて下さい。
まとめ
軽自動車のスポーツカーを中心に紹介してきましたが、自主規制64馬力の狭い世界の中で、限界まで性能を引き出して高いパフォーマンスを発揮させている各メーカーに脱帽です。
実用性を兼ね備えたタイプから、実用性を捨てて遊び心に徹したタイプまで、バブル崩壊後に衰退した軽自動車のスポーツカーの時代が再び到来してきている雰囲気があります。
維持費が安いにも関わらず、安全性能も高く、シニア世代にも軽自動車スポーツカーブームがやってきています。セカンドカーとして気軽にスポーツカーを所有できることも魅力になっているのかもしれません。