今年度予定されている増税について、どのくらい生活に影響があるのか気になっている方は多いと思います。もちろん車業界への影響も例外ではありません。
今回は2019年の増税が車業界へどんな影響を与え、具体的にどの様な項目が変わってくるのかご紹介します。
2019年の増税が車業界に及ぼす影響
ここ日本では、何か物を購入するときに消費税を支払っています。
消費について、広く公平に負担を求める間接税として、日本では1989年に初めて導入されました。導入当初は3%の税率でしたが、社会情勢や景気に変化に伴って、増税が行われてきました。そして2019年にも増税が予定されているのです。
消費税が8%から10%へ変更
2019年6月現在で、消費税は8%に設定されています。高額な商品ほど影響が大きく、車や住宅の様に価格が高額になる程、消費税の負担は増えてきます。
例えば1,000万円の商品を購入した時には、消費税は8%なので80万円発生する計算です。平均月収で踏まえて考えると約3ヶ月分にもなる計算です。
ちなみに消費税は先進国の大部分で導入されていますが、日本の税率はまだ低い方だとも言われています。特にヨーロッパ各国の税率は高めに設定されている傾向が見られます。参考までに下記が2018年時点のヨーロッパ各国の消費税率です。
- デンマーク:25%
- スウェーデン:25%
- ノルウェー:25%
- ドイツ:19%
- イタリア:22%
- フランス:20%
特に北欧諸国での消費税率の高さが目立ちますが、その他の税金が発生しないなど、社会福祉のインフラが整っている背景があります。
日本においても、今後さらなる増税もささやかれていますが、保険料・年金・教育費など増税に関連して改正していくべきポイントがないと、人々の生活は苦しくなっていくだろうと予想されます。
増税はいつから始まる?
もともと消費税率は、3%から5%、そして8%へと徐々に増税されてきました。現在の税率には2014年4月に引き上げられましたが、当初の予定では翌年の2015年10月に、10%に増税される予定でした。
ただ、増税によって生活基盤や経済情勢に与える影響を懸念し、政府は2度に渡って増税を先送りしたのです。
消費者や事業主としては、消費税が抑えられることは有難いことですが、ついに今年度、消費税が10%に引き上げられることになりました。2019年6月現在では、2019年10月1日から増税される予定となっています。
現状で政府の見解としては、リーマンショックレベルの世界的な経済不況が起こらない限り、予定通り10月に消費税を10%に引き上げるものとしています。すでに10月1日からの、軽減税率制度やポイント還元制度の細部も確定し、各方面での準備が着々と進行しています。
この様な背景や状況を見ても、よほどのことが起きない限りは、2019年10月1日より増税となるでしょう。
車購入時や維持費への影響
まず単純に消費税が発生する項目の税率が変わります。詳しくは後述しますが、車の購入時と維持費の各項目には、消費税の課税対象となる項目があります。これらが8%から10%に変更されるので、必然的に支払い金額も上がってしまいます。
また車の購入時には、増税に伴い新たな税制度も導入されます。これまで車の購入時には、50万円以上の新車や一定の基準額以上の中古車には、自動車取得税が発生しています。
しかし、増税に伴いこの自動車取得税は廃止されます。その代わりに、新たに環境性能割と言う税項目が追加されます。環境性能割も、基本的な性質は自動車取得税と同じで、車の購入時に車体価格に応じて課税されます。
ただし、環境負荷軽減(燃費基準値達成度など)によって、非課税・1%・2%・3%と、支払い税率が異なります。車種ごとにこれは異なるので、2019年10月以降に車を購入する場合は、注意が必要です。
またエコカー減税とも似た性質を持つことから、エコカー減税にどの様な影響が出るのかも注視されています。車の税制度は基本的には単年度ごとの基準となるので、増税以降も変更される可能性があり、動向を注視する必要があるのです。
増税後の車に関する費用をシミュレーション
続いて2019年の増税が行われた後、車を購入・所有する時にどの様に費用が変わっていくのか、具体的な金額の例も出しながらご紹介します。
購入時の消費税が反映される項目
まず車の購入時には、車体価格やオプション費用が消費税の課税対象となります。例えば車体価格が400万円の車に、オプション品を50万円分追加したと考えます。その際に費用としては、下記の様に変わってきます。
消費税が8%の場合
- 車体価格400万円:消費税32万円
- オプション50万円:消費税4万円
- 合計:486万円
消費税が10%の場合
- 車体価格400万円:消費税40万円
- オプション50万円:消費税5万円
- 合計:495万円
この様にわずか2%の違いでも、10万円ほど消費税によって高くなる計算となります。自動車取得税の廃止や環境性能割の状況も気になるところですが、車を買い替える時期を単純に消費税だけで考えるのならば、間違いなく増税前が良いことになります。
維持費で消費税が反映される項目
車を所有していると、税金や保険料に加え、ガソリン代・駐車場代・車検費用などが維持費として発生します。税金や保険料に関しては、2019年の増税は影響がありませんが、税制度や法改正に伴い常に変動する可能性はあります。
また任意保険においても、所有者によって保険料は異なりますが、今後社会情勢の変化に伴い、費用が上がることも十分に予想されます。ガソリン代は常に仕入れ値やガソリン税とのバランスで、相場が調整されているので、今回の増税では大きく影響は出ないものと考えられます。
消費税が関係してくる項目として、特に注意したいのは日常のメンテナンス費用や車検の部品交換費用です。車は定期的に消耗品を交換する必要があります。一番頻度が高いものではオイルが挙げられますが、オイルをはじめとした消耗品を購入する時には、消費税が発生します。
オイル・タイヤ・バッテリーなど、少しでも費用を抑えたいのであれば、増税前に部品をストックしておくのも一つの手だと考えます。エンジンなど重要な部品に比べると費用は安いですが、特に交換時期が近づいている方は、増税前に整備しておくと良いでしょう。
車の売却時に増税分は反映される?
車の売却時にも、ユーザーは消費税を受け取る権利があります。基本的に査定業者は税込価格での金額提示となります。したがって、内訳を細かく聞かない限りは、増税後もあまり査定額に影響が出ないものと思われます。
消費税が上がるから買取価格も上がると言う訳ではないと考えます。中古車は相場を参考に価格が決まるので、消費税よりも相場の上がる時期に売却した方がメリットが大きいと考えます。
さらに車の買い替えなどでは、新たに購入する車の価格も検討しなくてはいけません。もし買い替えをするために車を売却するのであれば、時期を引き伸ばさずに、増税前にアクションを起こした方が良いかもしれません。
2019年の増税で車のベストな買い時は?
続いて、2019年の増税に伴う、車のベストな買い時をご紹介します。
増税前に車の購入価格が変化する
2014年に消費税が5%から8%に増税された時の状況を見ると、増税前の新車価格は安くなっていたようです。増税前にキャンペーンを展開していた店舗が多いことから、駆け込み需要にもつながったようです。
確かに店舗側の心理を考えると、増税後に一台一台の価格が上がったからといって、結局は税金によるところですので、店舗の利益が大きく上がる訳ではありません。
それよりも、増税前に購買意欲が上がっていることを見越して、価格を安くするキャンペーンを展開する方が、店舗にとって利益が拡大すると見越しているのでしょう。したがって今回の増税時にも、増税前にはお得なキャンペーンが行われることが予想されます。
納車時期もしっかり考慮
中古車であれば、すでに店舗にある車を購入するので、納車時期は比較的短く済みます。ただ、注文を受けて工場から出荷する新車は、納車時期も注意しなくてはいけません。平均的な新車の納車は1ヶ月〜2ヶ月と言われますが、人気車種であれば半年後というケースもあります。
2019年10月1日に増税が予定されていますが、それ以降の納車になる場合は、消費税の項目がどうなるのかしっかり確認をしておきましょう。特に、9月などギリギリの時期での契約に関しては、登録が増税後の10月以降になる可能性が高いです。
その場合には、消費税分の値引きが発生するのかも含めて、ディーラーと交渉すると良いでしょう。
2019年で車を購入するタイミングがベストなのは8月?
増税前には車の購入をしたいのであれば、9月末までに登録をする必要があります。そのため、遅くともディーラーでの商談は7月には行った方が良いでしょう。もし納車時期が遅いと言われる車であれば、すぐにでも契約することをオススメします。
もし納車時期がそんなに遅くないのであれば、8月初旬に契約すると良いでしょう。先述したキャンペーンですが、登録のことなども考慮し、7月末から8月上旬に集中するのではないかと考えます。
キャンペーン時期には、各店舗に課されるノルマが高くなる傾向にあるので、一台でも多く車を売りたい状況の中で、特別なサービスが発生する可能性も高くなります。
2019年の増税に伴う車購入時に注意したいポイント
最後に、増税時期に車の購入を行うと想定し、ディーラーとの交渉で注意したいポイントをご紹介します。
値引き交渉が厳しくなりそう
駆け込み需要を想定してキャンペーンを展開する店舗も多くなりますが、基本的には店舗としては1円でも多く売りたい心理も持っています。特に増税の直前である9月には、売り手市場になることが想定されるため、値引きが引き締め傾向に転換する可能性も考えられます。
基本的に値引きは、車が売れない時期に大きくなる傾向があります。そのため、増税直前の時期は多くの店舗にとって決算時期でもありますが、例年ほどの値引きは期待できないかもしれません。
そういった点を踏まえて考えても、やはり増税前に交渉するのは7月あたりがオススメだと言えます。
悪徳業者にも注意!
増税に伴う車の税制度の変更は、まだまだ一般ユーザーには情報が少ない状況です。基本的にディーラーや優良業者であれば、変更点も細かく説明してくれると思いますが、中にはこの税制度の変更に狙いをつける、悪徳業者も存在するかもしれません。
特に内訳に対して、細かな説明がない業者には注意が必要です。最悪の場合、不必要な費用を払わされることや、税金の支払いに不備が出ることも考えられます。
後々トラブルに発展しないためにも、契約前に各項目をしっかり確認しておきましょう。
結論を急がない
車は高額で、あまり頻繁には行わない買い物です。単純に税金が安いからといって、しっかり考えずに増税前に車選びをすると、後々のカーライフに影響を及ぼすことも考えられます。
もちろん購入費用が安く済むことも大切ですが、長いカーライフを考えると維持費も大切です。じっくり車の機能が、生活環境にマッチするか検討しながら車選びをすることが大切です。
まとめ
今回は、今回は2019年の増税が車業界へどんな影響を与え、具体的にどの様な項目が変わってくるのかご紹介しました。今後も税制度は変動することが予想されますが、単純に消費税の面だけで考えると、増税前に車の購入した方がお得です。
しかし車とは長く付き合うことを想定する必要があります。後々のカーライフのこともしっかり考えつつ、購入計画を立てましょう。