若者に大人気の86(はちろく)はトヨタのスポーツクーペです。スポーツカー好きなら誰もが知っており、わが手に入れたいと思うことでしょう。そんな86の年間維持費を調べてみましょう。86オーナーに求められている費用項目と算出方法をご紹介します。
目次
86の特徴
トヨタとスバルの共同開発によって生まれたスポーツカーである86は国産スポーツカー部門で年間4桁以上の販売実績を誇る人気車です。86はファンにとって神格化されている<AE86型カローラレビンスプリンタートレノ>が名前の由来となっています。
86の魅力として次の3つが特徴的です。
- トヨタとスバルの得意な最高技術の組み合わせによる直観ハンドリングFR
- コンパクト&軽量&低重心&低慣性の安定した走行性能
- タイヤ4本収納可能な便利で広い空間設計
グレードやオプション価格によって料金設定はかなり異なります。86セダンのエンジンには2種類のものが使われており、走行状況によって最適な走行性能に切り替えてくれる便利な車です。ドライブにもアウトドアにも様々なシーンで活躍してくれる車と言えるでしょう。
86の基本スペック
- 新車価格:262.3~496.8万円
- サイズ:全長4.24m~4.34m×全幅1.78m~1.82m×全高1.3m~1.33m
- エンジン駆動方式:RF
- エンジン排気量:1998㏄
- 燃費:11.8~12.8㎞/L
86でかかる維持費は年間どのくらい?
86のオーナーには年間どのくらいの維持費が求められるのでしょうか。
税金
維持費の中で最も重要度の高いものは税金です。
自動車税
毎年4月1日の時点で自動車を所有しているすべての人に課される税金が自動車税です。自動車税は車の用途と排気量によって税額が決められています。
2019年9月31日までに購入した新車と2019年10月1日以降に購入した新車では税金が異なりますので注意してください。消費税が10%に替わると同時に自動車税は減額されています。
86の排気量は2,000㏄なので、2019年9月31日までに購入した新車に課される自動車税は39,500円です。2019年10月1日以降に購入された新車の自動車税は36,000円です。
トヨタ86はエコカー減税の対象車ではありません。ですから、自動車税が減税されることはありません。毎年39,500円もしくは36,000円の自動車税を支払います。
重量税
自動車重量税は車種やグレード別の重量によって0.5tごとに決められています。86の総重量は1,210~1,270kgですから1t超1.5t以下の重量税がかかります。86の自動車重量税は次の通りです。
≪エコカー減税対象外≫
新車登録後~13年 | 13年経過 | 18年経過 | |
1年自家用 | 12,300円 | 17,100円 | 18,900円 |
2年自家用 | 24,600円 | 34,200円 | 37,800円 |
3年自家用(新車新規登録時) | 36,900円 | ー | ー |
自動車重量税は新車購入時と車検時に支払うようになっており、自ら納税する必要はありません。そのため、年間維持費としては1年分である12,300円を考えて貯金しておくと良いでしょう。
保険
税金と同じように重要度の高い維持費は保険です。
自賠責保険
自賠責保険は自動車損害賠償保障法によって加入が義務付けられています。強制保険とも呼ばれており、自賠責保険に加入していない車で運転することは法律違反となります。自賠責保険は万が一事故が生じた時に人間の補償のみが契約内容となっているものです。
他人にけがをさせたり死亡させたりした時に最高3000万円まで損害賠償の支払いが保証されます。
自賠責保険は4種類の車種系統と保険契約期間によって決められています。の車種系統は普通乗用車ですので自賠責保険料は次のようになります。
契約期間 | 12カ月 | 13カ月 | 24カ月 | 25カ月 | 36カ月 | 37カ月 |
契約金額 | 15,520円 | 16,380円 | 25,830円 | 26,680円 | 35,950円 | 36,780円 |
自賠責保険の継続加入の際は1カ月余分に支払わなければならないため、13カ月・25カ月・37カ月の契約期間が存在しています。
自賠責保険はいろいろな契約期間がありますが、主に24か月か36カ月がすすめられます。ですから一回に払う自賠責保険は25,830円または35,950円です。1年間にかかる費用として計算する際には15,520円を基本に考えると良いでしょう。
任意保険
自動車保のなかでも個人の意思で決定できる保険がこの任意保険です。保険会社やプランによって料金は異なります。自賠責保険では対応しきれない対物補償保険や人身傷害補償保険、搭乗者傷害保険などを契約できます。
特に、形式別料率クラスによって任意保険の料金は異なります。形式別料率クラスとは車の形式ごとの事故実績にもとづいて4つの項目で9段階評価されているものです。これまで保険金支払いが必要となる事故の回数が少ないほど評価は小さくなり、料率クラスの数字が小さいほど保険料が安くなりますので、購入時の参考にできます。また、セルフで保険料を計算する際に役立つの料率クラスを表で簡単にご紹介しましょう。
対人賠償責任保険 | 対物賠償責任保険 | 搭乗者傷害保険 | 車両保険 | |
ZN6 | 4 | 4 | 3 | 5 |
この表で示されている料率クラスは、保険始期が2019年1月1日から2019年12月31日のものに限定されます。
86の平均保険料は26,030円です。では、保険料見積もりを様々な年齢、グレード、走行距離から簡単に表でご紹介しましょう。
車両保険クラス | 年間走行距離 | 免許 | 等級 | 運転者年齢 | 保険料 |
なし | 3,000㎞ | ブルー | 0 | 20歳以下 | 177,700円 |
一般 | 16,000㎞ | ゴールド | 20 | 26歳以上 | 89,200円 |
一般 | 9,000㎞ | ブルー | 12 | 30歳以上 | 98,000円 |
一般 | 5,000㎞ | ゴールド | 20 | 30歳以上 | 61,800円 |
なし | 3,000㎞ | ゴールド | 20 | 30歳以上 | 24,300円 |
任意保険は保険料を節約できる大きなポイントです。保険会社ごとに保険料の設定はかなり異なりますのでいろいろな会社で見積もりを取ったほうが良いでしょう。また、補償内容で何を重視するかによって保険料が万単位で異なりますので注意してください。
その他費用
税金や保険以外にも一年間に必要な費用にはどのくらいのものがあるのでしょうか。
ガソリン代
ガソリン代は誰もが分かっているどうしても必要な費用です。車を動かすためにはガソリンが必要だからです。86の実燃費は公表されているカタログの燃費とあまり変わりありません。
スポーツカーといえばハイオク燃料を使うというイメージがありますが86もハイオクを給油します。ハイオクはオクタン価が高いので燃料が燃えにくエンジンを長持ちさせることができるので、給油する燃料の種類を間違えないようにしましょう。
現在、全国平均のハイオク価格は142.1円です。(2020年10月月現在)では、これをもとに1年間のガソリン代を算出してみましょう。86の燃費を11.8km/Lで計算しています。
・年間走行距離が10,000㎞の場合
約847L×142.1円=120,359円(約120,000円)
・年間走行距離が30,000㎞の場合
約2,541L×142.1円=361,076円(約361,000円)
・年間走行距離が50,000㎞の場合
約4,210L×142.1円=598,241円(約600,000円)
86の1年間のガソリン代は約130,000~140,000円となります。ただし、どこのガソリンスタンドを使うのかや支払方法や車を利用する頻度によってガソリン代は節約できることもあります。
駐車場代
駐車場を必要とする方は、年間維持費の中に駐車場代も含めましょう。月極駐車場は全国平均で月8,000円が必要です。そのため、年間で必要な駐車場代は次のようになります。
約8,000円×12カ月=約96,000円(更新料が必要なところもあります。)
車検代
車を安全に維持していくために必要な費用として車検代もあります。車検は2年に1度受けることが義務付けられています。新車購入時からは3年後に初めての車検が行われます。車検切れした車が公道を走ることは許されていません。
では、86の車検費用はどのくらいかかるのでしょうか。簡単に最低の目安となる車検費用をご紹介します。
自動車重量税 | 24,600円~ |
自賠責保険料 | 25,830円~ |
印紙代 | 1,200円~ |
車検整備費用 | 17,690円~ |
車検代行料 | 0円~ |
車検費用合計 | 69,320円~ |
ですから、年間維持費には69,320円の3分の1(約24,000円)または2分の1(35,000円)を計算すると良いでしょう。法定費用は変化ありませんが、どこで車検を受けるのかによって万単位で料金は変わります。また、修理や部品交換が必要になると+50,000~150,000円が必要になることもあると覚えておきましょう。
86の購入時にかかる費用は?
86を新車購入するときにはどのような費用がかかるのでしょうか。
車体価格
86の車体価格はグレードによって次のように異なります。
- 特別仕様車 GT“British Green Limited”:3,318,840円
- GT“Limited・Black Package”:3,423,600円
- GT“Limited”:3,250,800円
- GT:2,981,880円
- G:2,623,320円
- GR:4,968,000円
中古車で86を購入するとなると、どれほどの費用が掛かるのでしょうか。いくつか例をご紹介しましょう。
- 86GTリミテッド 年式2020:335.0万円
- 86G 年式2020:438.0万円
- 86GT 年式2018:277.0万円
- 86GR 年式2018:424.5万円
86は中古車であっても人気が高いため新車とあまり変わらない金額が必要になります。つまり売却するときにもリセールバリューが高いということです。
オプション
86をさらに便利にい美しくカスタマイズするためにオプションを追加購入することができます。トヨタの純正アクセサリーのオプション価格を表でご紹介します。
ドアミラーストライプ | 6,480円 |
LRDフォグランプ | 47,520円 |
インテリアパネルシルバー | 25,920円 |
革調シートカバー | 52,920円 |
盗難防止機能付きナンバーフレームセット | 7,128円 |
スポーツライブロガー | 91,800円 |
自動車重量税
86を新車購入するときに必要な自動車重量税は3年自家用プランとなります。3年後に控えている車検までの3年間の重量税を支払わなければならないからです。そのため、86の購入時に支払う重量税は36,900円です。
自動車取得税
自動車取得税とは、50万円以上の自動車を購入した時、または譲り受けた時に必要となります。86の自動車取得税はグレード別に設定されています。
しかし、2019年10月に消費税が10%に引き上げられると同時に自動車取得税は廃止されました。代わりに環境性能割という制度が生まれています。
環境性能割は、燃費基準値達成度などの環境に与える負荷の度合いに応じて課税される税金です。
トヨタ86で環境性能割が1%になるエコカー対象車は次の通りです。
- GT“Limited・Black Package”
- GT“Limited”
- GT
- G
86の環境性能割は21,800円~28,500円です。
自賠責保険
86の購入時に支払うべき自賠責保険は3年後の車検時まで契約期間が切れないようにしなければなりません。そのため、86の自賠責保険料は36カ月用の36,780円です。
リサイクル料金
国が定めた自動車リサイクル法に基づいて新車購入時にはリサイクル料金を支払わなければなりません。86のリサイクル料は次のように決まっています。
- ZN6系(2012年):7,540~10,050円
リサイクル料金にはシュレッダーダスト、エアバッグ、フロン、情報管理、資金管理などの費用が含められています。購入時にはリサイクル料金合計額に+420円が必要です。
ディーラー代行手数料
新車購入時に最も節約できるのが代行手数料です。新車購入時に車体価格を大幅に上回る費用が見積もり提出されて驚いた人は少なくありません。その際にディーラー代行手数料を削って出来るだけ予算を抑えることができます。
ディーラー代行手数料には次のようなものがあります。
- 納車費用:10,000円~
- 検査登録代行費用:15,000円~
- 車庫証明代行費用:5,000円~
- 下取り車手続き代行費用:5,000円~
- 下取り査定量:0円~
すべてをディーラーに任せると新車購入費に+30,000円~必要となります。自分でディーラーまで足を運び新車を購入することや下取りは無料の業者を自力で探して持っていくことなど工夫を凝らせば新車購入時の費用をお30,000円以上削減できるでしょう。
壊れやすいところや注意するべき点
86の修理個所としてよく取り上げられる部分は次の3つです。
- エアコンプレッサーの故障:修理費用50,000~120,000円
- センサーの不具合;修理費用10,000~200,000円
- オルタネーターの故障:修理費用50,000円~
86を長年乗り続けようとすると不具合や故障が生じてしまうのはどうしようもないことです。しかし、その為のたくわえをしておかなければいざ修理が必要になったときに路頭に迷うでしょう。修理費用として最低でも50,000円は必要ということですから、常に50,000~100,000円の修理予算を立てておくことをお勧めします。
86は大学生にも維持できる?
バイトしながら学校に通う大学生でも86を維持することは可能なのでしょうか。大学生が86を維持していくためには生活費や交際費を除いて+約30,000円程度の経済的なゆとりが必要です。
ガソリン代や駐車場代が状況によって値上がりすることを考えるとさらに維持費が必要になるでしょう。また、大学生は年齢ゆえに任意保険の金額が非常に高い傾向にあります。
大学生で86を維持することは不可能ではありませんが、毎月の維持費を安定して稼げる収入減が必要です。できるだけ安く維持しようとして任意保険に加入しないことはおすすめしません。
86を維持するために必要な年収は300万円
86は200万円台から購入できるトヨタのスポーツカーです。スポーツカーとはいえ、年間維持費はファミリーカーでおなじみのワンボックスカーやセダンなどの車と変わりありません。維持費とカーローンの支払いを含めて考えても年収300万円ほどあれば維持が可能です。
年収300万円以上であり、生活に経済的な余裕があるのなら86の足回りやエクステリアをカスタムしてスポーツカーならではの楽しみ方をするのもOK。86のカスタムパーツは様々なメーカーが販売しているので、年収に合わせていろんな楽しみ方ができますよ。
86の維持費を節約する3つの方法
86をできるだけ安く維持するためにどのような工夫ができるのでしょうか。2年に一回は必ずやってくる車検や加入がすすめられている任意保険の金額をできるだけ削減するためにできることを紹介しましょう。
ユーザー車検で車検費用節約
ディーラーなどの正規業者に依頼するのではなく、車検を自分で行うことによって維持費を節約できます。自分でやるとしても検査方法が分かるように車検当日は自動車検査員がついてくれます。
ユーザー車検が他の車検方法と比べてどれほど安いのかを表で比較してご紹介しましょう。
法定費用 | 車検基本料金 | 合計車検料金 | |
ユーザー車検 | 32,770円 | 0円 | 約32,770円 |
ディーラー | 32,770円 | 約40,000円 | 約72,770円 |
車検専門店 | 32,770円 | 約20,000円 | 約52,770円 |
車検費用のうち法定費用は一律ですが、車検の基本料金やその他もろもろの費用は車検をどこでするかによって異なります。自分で車検をして必要最低限のメンテナンスだけで済ませれば他の車検店舗に行くよりもはるかに料金を安く抑えられるのです。
任意保険の条件を見直す
1年間のうち支払わなければならない維持費の一つは任意保険料です。自賠責保険では補いきれない部分を任意保険でカバーすることができるため加入することが強く勧められています。
任意保険は補償内容を自分で選ぶことができます。できるだけ安い保険料で契約できるように年齢区分や補償内容の条件を見直してみましょう。特に運転する人の条件を絞ることによって任意保険料を節約できますよ。
まとめ
トヨタ86は若い人にとってはもちろんのこと幅広い年代に愛され魅了してきた人気スポーツカーです。いつかは86に乗りたい、86でドライブを楽しみたいという願いを持っている若い人も少なくないでしょう。
86のオーナーに求められる年間維持費や修理費用、購入時の初期費用などをしっかり考えて維持できるかを注意深く判断するようにしましょう。そうすれば思いっきり86の快適な走行性能を実感しながらドライブを楽しめるでしょう。