A6は数少ないEセグメントで、メルセデスベンツEクラスやBMW5シリーズと並ぶドイツを代表する中型高級セダンです。
車両価格が1,000万円前後もする高級車ですが、購入後の維持費が気になるところです。今回は、A6の維持費について紹介していきます。
目次
A6の特徴
A6は、ヨーロッパでEセグメントの位置づけにある高級4ドアセダンで、アウディ100の後継モデルです。全長・4,930mm、全幅・1,875mmのサイズスペックですが、アウディ最上級車A8で培ってきたアルミニウム素材を多用することで軽量化を図っています。
日本でのEセグメントはトヨタ・マークXが人気ですが、日本の道路事情に適したサイズスペックが人気の秘密と言えます。
A6に搭載されているエンジンは、【3,000cc TFSI V型6気筒エンジン】で、最高出力 340ps、最大トルク 51.0kgmを発揮して、0~100km/hの加速が5.1秒なので、スポーツカー並みの走行性能を誇っています。
A6の維持費は年間どのくらい?
A6を購入する上で、年間どれくらいの費用が掛かるのかを調べてみました。
税金
A6を購入する時に課税される自動車取得税を除いて、A6を維持していく上で納めなければいけない税金について紹介します。
自動車税
A6に限らず、自動車を所有した全ての人に支払いが義務付けられるのが自動車税です。車検有効期間の有無に関わらず、ナンバープレートを返納しない限り自動車税の納税義務があります。
自動車税は、毎年4月1日の時点で自動車検査証に記載のある所有者に自動車税の納付書が送付されます。自動車税を滞納している場合は、車検を受験することができないので、車検を受ける際には延滞料を含めた自動車税を納付する必要があります。
自動車税の税額は、エンジンの総排気量によって税額が定められています。A6に搭載されているエンジンの総排気量は、【55 TFSI quattro S line】も【55 TFSI quattro debut package】も3,000ccなので、自動車税は【¥51,000-】になります。
A6はH32年基準+20%達成車なのでエコカー減税が適用されるので、新車で購入した翌年のみ、自動車税が¥25,500-になります。
重量税
自動車重量税は、自動車税と違って車検を受ける際に課税が義務付けられている税金で、もし車検を受けないのであれば納税する必要はありません。自動車重量税は、文字通り自動車の重量に応じて課せられる税金で、車検の有効期間分を先に納付しなければいけません。
A6を新車で購入した場合は、3年後の初めて車検が来た時に2年間分の自動車重量税を納付して車検を受けることになります。自動車重量税の支払方法は、自動車重量税額に応じた印紙を自動車重量税納付書に貼り付けて車検時に納付するのが一般的な方法です。
A6はH32年基準+20%達成車ですから、自動車重量税は2年間分で【¥10,000-】になります。
1年間に換算すると、¥10,000-÷2年=¥5,000-/年
保険
自動車には、【自賠責保険】と【任意保険】の大きく分けて2種類の保険があります。自動車を購入した全ての人に加入が義務付けられている保険が【自賠責保険】で、自賠責保険では賠償しきれない金額を補うために任意で加入することができる保険を【任意保険】と言います。
自賠責保険と任意保険について説明していきます。
自賠責保険
自賠責保険は、自動車を所有する全ての人が加入しなければいけない保険で、自賠責保険に加入しなければ一般道を走行することもできませんし、車検を受けることもできません。
自賠責保険は、事故を起こした際に使用できますが補償されるのは人間だけで、相手の車や自分の車はもちろんですが、建物などを壊しても補償は一切ありません。
また、補償額も決して満足の行く金額ではなく、死亡時でも3,000万円しか補償されません。自賠責保険の特徴としては、どの保険会社で加入しても保険料が同じと言うことです。
自家用乗用自動車、軽自動車、小型二輪自動車、原動機付自転車に分けられているだけで、自家用乗用自動車なら車種に関係なく保険料は同じです。車検を受ける時に、車検期間分の自賠責保険料を支払うので、一般的な継続検査の場合は、2年間分(24ヶ月)【¥25,830-】となります。
車検の有効期間と自賠責保険の有効期間は同じ24ヶ月ですが、満了日の時間に大きな違いがあります。車検の有効期間満了日は【深夜24時まで】、自賠責保険の有効期間満了日は【昼の12時まで】で、満了日に12時間のズレが生じてしまいます。
自賠責保険に加入していない車を走行させることは違法ですから、自賠責保険に加入する場合は24ヶ月ではなく、25ヶ月で加入することが通例とされています。
A6を車検受ける際に加入する自賠責保険は、25ヶ月で【¥26,680-】となります。
1年間分に換算しますと、¥26,680-÷2年=¥13,340-です。
任意保険
自賠責保険の補償内容が乏しいため、事故を起こした際に多額の賠償金を請求される恐れがあります。自賠責保険では補償されない【相手の車】【相手の運転者や搭乗者】【事故によって破損した物】【自分や同乗者】【自分の車】などを守る上でも、補償が充実している任意保険に加入しなければいけません。
任意保険は、保険会社によってサービス内容も保険料も全く異なります。任意保険に初めて加入した場合は、6等級から始まり無事故で毎年契約を更新していくことで、保険料の割引きがMAXの20等級まで上がることができます。
契約更新時に、保険会社を変更しても等級の引継ぎは行えるので、補償内容が良く、保険料の安い保険会社を探すことも大切になります。A6のユーザー層は、年齢が高く、富裕層で違反歴や事故歴の無い人と仮定をして、任意保険の料金を1例として紹介します。
- 年齢 :30歳以上
- 等級 :20等級
- 年間走行距離 :9,000km
- 免許の種類 :ゴールド
- 運転者限定 :本人限定
- 運転者年齢制限:30歳以上
- 対人賠償 :無制限
- 対物賠償 :無制限
- 年間の保険料 :¥18,700-
A6のようなセダン系の高級車のユーザーは、本人以外が運転することも少なく、年間の走行距離もそこまで多く走らないと想定してシミュレーションを行いました。A6は車両価格の高い車種のため、車両保険に加入した場合は、年間保険料の約3倍~4倍は高くなると考えて下さい。
その他費用
税金や保険以外で、A6を維持していくために掛かる費用で最も大きな金額を占めるのは、ガソリン代と駐車場代です。故障によって突発的に思わぬ出費が出ることもありますが、ガソリン代と駐車場代は維持費の中でも大きなウェイトを占めます。税金や保険以外で必要となる費用を紹介していきます。
ガソリン代
A6に使用されるガソリンは、【無鉛プレミアムガソリン(ハイオク)】で、ハイオクガソリンの全国平均価格は【¥159.2-】です。
一般的に、1年間の走行距離の目安は10,000kmと言われていますので、1年間に必要なガソリン代を求める計算式は、【1年間の走行距離÷カタログ燃費数値×ハイオクガソリン価格】となります。
A6のカタログでの燃費数値は、【12.3km/L(JC08モード)】なので、先ほどの式にそれぞれ必要な数字をあてはめることで、1年間に使用するA6のガソリン代を求めることができます。
10,000km÷12.3km/L×¥159.2-=¥129,431-(消費税別)
A6の1年間に必要なガソリン代は、【¥129,431-(消費税別)】となります。
ガソリン・灯油価格情報NAVI:https://oil-stat.com/high.html
エンジンオイル交換費用
国産車は走行距離・3,000km~5,000kmでエンジンオイルを交換するの一般的ですが、アウディのような欧州車の場合は、交換時期の目安としている15,000km又は1年までの間はオイルの量を確認しながら定期的に補充していくスタイルが殆どです。
A6は、国産車のようにエンジンルームでオイルの量を確認することができない為、車内のMMIにてオイルレベルを確認する必要があります。
エンジンオイルは、メーカーや種類によって金額が違いますが、A6に推奨されている5W-30のオイルだと、¥2,000-/L、作業工賃が¥1,000-ほどで交換することができます。A6のオイルパンの容量は【6.1L】なので、(6.1L×¥2,000-)+¥1,000-=¥13,200-(消費税別)
A6の1年間に必要なエンジンオイル交換費用は、【¥13,200-(消費税別)】となります。
駐車場代
住む場所や持ち家、賃貸などによって駐車場代は違うので、ハッキリとした金額を維持費として紹介することができません。月極駐車場相場の分かるサイトを見ても、都市部と地方とでは駐車場代にかなり大きな開きがあります。
●北海道と東京都の駐車場平均月額
- 北海道の月極駐車場平均額:¥ 8,000-(¥ 96,000-/年)
- 東京都の月極駐車場平均額:¥36,000-(¥432,000-/年)
同じA6を購入しても、北海道と東京都では駐車場代だけで、年間30万円以上もの差が生じます。東京都で車を所有すると言うことは、地方でマンションを賃貸するのと変わらない金額かもしれません。
車検整備費用
A6を購入すると、初年度登録から10年が経過するまでは、2年に1度の間隔で必ず車検を受けることになります。
今回は大きな修理もなく車検に合格したことを想定した金額で算出していますが、車検時には必ず消耗品の交換があるので10万円~20万円ほどは別途交換部品用に準備しておくようにして下さい。
- 自動車重量税:¥10,000-
- 自賠責保険料:¥26,680-
- 印紙代 :¥ 1,200-
- 車検整備費用:¥20,000-
- 車検代行料 :¥ 8,000-
- 消費税 :¥ 2,240-
- 車検費用合計:¥68,120-
車検は2年に1度なので、1年間の維持費として計算を行うと、【¥68,120-÷2年=¥34,060-/年間】となります。
A6年間の維持費金額
A6の1年間に維持費について調べてきましたが、燃費があまり良くないこともあり、ガソリン代の出費が大きいことがわかります。
- 自動車税 :¥ 51,000-
- 自動車重量税 :¥ 5,000-
- 自賠責保険料 :¥ 13,340-
- ガソリン代 :¥129,431-
- オイル交換代 :¥ 13,200-
- 車検費用 :¥ 34,060-
- その他費用 :¥ 10,000-
- 年間維持費合計:¥256,031-
その他費用として、洗車をするための道具や、ちょっとした消耗部品など日常のメンテンナンスで必要な費用として【¥10,000-/年】計上しています。
この年間維持費合計には、加入条件によって大きく金額が異なる任意保険料と、お住いの地域によって大きく価格が異なる駐車場代は含まれていません。
A6の購入時にかかる費用は?
A6に用意されているグレードは、【55 TFSI quattro S line】【55 TFSI quattro debut package】の2種類があります。A6を新車で購入するときの費用を調べてみましたので、紹介していきます。
車体価格
- 55 TFSI quattro S line :¥9,314,815-(消費税別)
- 55 TFSI quattro debut package:¥8,518,519-(消費税別)
オプション
A6に用意されているオプション装備を紹介します。
- パノラマサンルーフ :¥240,000-
- プライバシーガラス :¥ 70,000-
- リヤコンフォートパッケージ:¥300,000-
- パワーアシストパッケージ :¥160,000-
- アシスタンスパッケージ :¥140,000-
- ドライビングパッケージ :¥380,000-
- 3Dサウンドシステム :¥180,000-
※表示価格には消費税は含まれておりません。
アウディ公式:https://www.audi.co.jp/jp/web/ja/models/a6/a6/equipment.html
自動車重量税
自動車重量税は、新車を購入する時と車検を受けるときに課せられる税金で、車検の有効期間分を先に納付することになります。自動車重量税は、車体の重量によって税額が決められています。
A6の新車を購入した場合は、初回の車検期間が3年なので3年間分の自動車重量税を納めることになります。A6は、平成32年度燃費基準+20%以上達成車なので、自動車重量税50%軽減措置が適用されます。
A6の新車購入時に課せられる3年分の自動車重量税額は、2年分の1.5倍なので【¥15,000-】です。
自動車取得税
自動車取得税は、平成26年4月以降に登録・納車の自家用自動車に課せられる税金です。取得価額は車両本体の他にも、簡単には取り外すことのできないエアコンやカーナビなどのパーツについても取得価額として3%が課税されます。
A6は、平成32年度燃費基準+20%以上達成車なので、自動車取得税の特例措置として50%軽減措置が適用されます。オプションは無しと言う条件で今回は算出します。
- 55 TFSI quattro S line :(¥9,314,815-×0.9×3%)×50%=¥125,750-
- 55 TFSI quattro debut package:(¥8,518,519-×0.9×3%)×50%=¥115,000-
自賠責保険
A6を新車で購入した場合、最初の車検までの期間が3年なので、自賠責保険も36ヶ月若しくは37ヶ月で加入することになります。自賠責保険と車検の有効期間満了のズレについては、先ほど説明したので省かせて頂きます。
A6を新車で購入する場合の自賠責保険料は、37ヶ月分の【¥36,780-】となります。
リサイクル料金
A6を新車で購入する際、解体するときの処理料金としてリサイクル料金を預託金として支払うことが義務付けられています。リサイクル料金の預託を行った証明として、リサイクル券が発行されるので自動車検査証と一緒に大切に保管して下さい。
- 55 TFSI quattro S line :¥16,930-
- 55 TFSI quattro debut package:¥16,930-
アウディリサイクル料金表:https://www.audi.co.jp/dam/nemo/jp/service_accessory/info_top/recycle/newcar_ajhp_my17_170911.pdf
登録に必要な諸経費
A6を新車で購入した場合、車庫証明や名義変更の手続きを管轄の警察署や陸運局で行わなければいけません。A6の登録に必要な諸経費の内容と費用を紹介します。
- 新規検査登録費用 :¥ 3,320-
- 新規検査登録手続代行費用:¥25,000-(消費税別)
- 車庫証明費用 :¥ 2,600-
- 車庫証明手続代行費用 :¥14,000-(消費税別)
- ナンバープレート :¥ 1,600-
※代行費用、車庫証明費用、ナンバープレート代などは、店舗や地域によって金額は異なります。
A6の壊れやすいところや注意するべき点
現行のA6は、2019年に発売されたばかりで故障やリコール情報もまだ出ていません。以前のA6に関して最も多いトラブルは、エンジンオイルの消耗が激しいと言うことです。
国産車のように頻繁にエンジンオイルを交換するのではなく、エンジンオイルの交換時期が来るまでは、エンジンオイルを継ぎ足しながら乗るのがドイツ流。
その為、最初は粘り気のあるエンジンオイルが、熱や摩耗によって水のようにサラサラな状態になってしまい、オイル交換する頃にはオイル本来の役割を果たせなくなっています。
エンジンの仕組み上、エンジンオイルが多少減ることは仕方の無いことですが、1,000km走行で0.5L以上減る場合は修理が必要となります。
燃焼室へエンジンオイルが上がる量を抑える役割をしている【オイルセパレーター】を交換することで治ることがありますが、最悪の場合はピストンリングやピストン本体を交換するケースもあります。
オイルセパレーターの交換は、部品代と工賃を含めても5万円前後で済みますが、ピストン本体を交換する場合は50万円以上もの修理代が必要となります。過走行車に良くあるトラブルでは、ミッションの不具合が多く、ギアやシフトポジションが動かなくなったりするケースが良くあります。
大体の場合は、コントロールユニットを交換することで解決しますが、修理代で20万円前後必要となります。日頃の定期点検で、不具合が出る前に消耗部品を交換することができれば、大きな故障を未然に防ぐことができます。
エンジンオイルの減りを少しでも抑えるなら、今までよりも硬めのエンジンオイルとオイル添加剤を併用して、通常よりも油膜を強くすることでエンジンオイルの減りを抑えることができます。
まとめ
A6の維持費について紹介してきましたが、どのメーカーでも販売台数が伸び悩んでいるEセグメントですが、車の内容としては申し分のない車種です。
新車の価格が1,000万円前後の高級車なので、新車で購入することが難しく、中古車だと故障の心配もあるので購入後の維持費が重要になります。
A6は故障したときの部品代も高く、国産車の感覚で安易に購入してしまうと、維持するのが大変になるかもしれません。今回紹介した年間の維持費は、大きな故障が無いことを前提として算出していますので、A6を維持していくなら修理代として50万円は最低でも蓄えておく必要があります。