BMWの誇る本物のスポーツカーである<M3>。その並外れた走行性能と同じく、販売価格も突き抜けているモデルです。
今回はM3を所有する事でかかる維持費をくわしく解説していきます。また、購入時にかかる費用も合わせて紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
M3の特徴
BMWの<Mモデル>は、BMWのグループ会社である<BMW M社>が開発を担当しているモデルです。<BMW M社>は元々モータースポーツを担当していた会社で、現在ではMモデルの開発、モータースポーツ部品の生産などを行っています。
M3はその<M社>が手掛けた車種ですから、本格的なサーキット仕様の車に仕上がっています。M3は良くある<スポーツグレード>のようなものではなく、サーキットに持ち込んでもそのままレース走行ができる性能が十分に備わっているのです。ですから、M3は3シリーズとはまったく別の車種として扱われています。
M3は1985年に初代が発売されて以来、4回のフルモデルチェンジを行いつつ長年販売されてきた人気モデルでしたが、2018年に一時的に生産停止となっています。ヨーロッパで義務付けられる事になった新燃費計測モード「WLTP」への対応が原因のようです。
しかし、M3の新型が発売されるのは既定路線のようで、2019年中の販売開始が噂されています。ここでは現時点での最終型である、第5世代(2014~2018年)のM3の費用について紹介します。
M3のグレード
第5世代のM3はセダンのみのラインナップで、パワートレインも<3リッターツインターボ>の1つだけです。<コンペティション><CS>などの特別仕様車も存在しますが、生産台数が極端に少なくなっています。
M3のスペック
M3の主な仕様は以下の通りです。
ボディタイプ セダン
全長 4,671~4,685mm
全幅 1,875~1,877mm
全高 1,424~1,430mm
ホイールベース 2,812mm
最小回転半径 5.9m
車体重量 1,585~1,640kg
総排気量 2,979cc
駆動方式 FR
シフト 7AT
乗車定員 5名
M3の燃費効率
M3は燃費を追及したモデルではありません。燃費を気にするユーザーはM3には関心を示さないでしょう。
・3リッター直列6気筒DOHCツインターボエンジン 11.9~12.2kg/L
M3でかかる維持費は年間どのくらい?
ここでは第5世代(2014~2018年)のM3の費用について紹介します。
税金
自動車にかかる税金は購入時に支払う<自動車取得税>の他に、<自動車税><自動車重量税>があります。
自動車税
<自動車税>は、車のエンジン排気量に応じて税額の決まっている地方税です。M3のエンジン排気量は2979ccですから、「2.5リットル超~3リットル以下」の税額となります。
毎年4月1日の時点の車両の所有者に自動車税の支払い義務があります。購入時には、月割り税額で購入の翌月から年度末までの税額を納めます。
・M3の1年間にかかる自動車税 51,000円
「2.5リットル超~3リットル以下」1年分 51,000円
重量税
<自動車重量税>は自動車の重量にかかる国税で、0.5トン単位で税額が決まっています。新車購入時と車検時に、次の車検までの期間の重量税をまとめて支払います。
・M3の1年間にかかる自動車重量税 16,400円
「1.5トン超~2トン以下」2年分 32,800円
保険
自動車の走行には保険加入が必須です。
自賠責保険
<自賠責保険>は<自動車損害賠償保障法>によって、すべての自動車に加入が義務付けられています。加入しないで車の走行をすると罰則もありますので、必ず加入するようにしてください。
自賠責保険は加入期間を長くしたほうが1ヵ月あたりの保険料が安くなるため、車検証の有効期間分を加入期間とするのが一般的です。
・M3の1年間にかかる自賠責保険料(車検時2年契約の場合) 約12,915円
25,830円(24ヵ月分)÷2=約12,915円
任意保険
自賠責保険は交通事故の被害者の身体的損失を補償する保険で、自分のケガや物的な損害への補償はありません。万一の事態に備えて任意保険に加入する事が必要です。
任意保険料はドライバーの年齢性別、事故歴、等級などを元に算出されるので、条件により幅広い金額になります。M3の場合は5~30万円程度に収まる事が多いようです。M3のような高級車は、車両保険に加入すると保険料が高くなってしまいます。
・M3の1年間にかかる任意保険料 およそ5~30万円ほど
その他費用
税金、保険以外のM3でかかる費用を見てみましょう。
ガソリン代
自動車で必ず発生する費用がガソリン代です。ここではM3で1年間に5,000kmを走行したとして、かかるガソリン代を算出してみます。ガソリン価格はここ1年間の全国平均価格である<153.1円>を使用します。
- M3の1年間にかかるガソリン代 約62,617~68,895円
5,000km÷<11.9~12.2>(1L当たりの走行距離)=約409~450
<409~450>×153.1円=約62,617~68,895円
駐車場代
駐車場代は地域によって相場が違いますが、ここでは全国平均価格「1ヵ月約8,200円」を使って年間の駐車場代を算出してみます。
8,200円×12ヵ月=98,400円
・M3の1年間にかかる駐車場代 98,400円
車検代
車検にかかる費用は、主なものに税金などの<法定費用>と<検査・整備費用>の2つがあります。この2つに、修理の必要な部品の代金と工賃が加わります。まずはM3の法定費用を見てみましょう。
・自動車重量税 2年分 32,800円(1.5トン超~2トン以下)
・自賠責保険料 25,830円(24ヵ月分)
・印紙代 1,100円(指定工場)
自動車重量税は次回の車検までの2年分を納めます。自賠責保険料も次回車検時までの期間を加入期間とするのが一般的です。
上記の法定費用はどこの業者に依頼しても税額や保険料に変わりはありませんが、車検と同時に行う<24ヵ月点検>と車検の代行費用は業者により料金に差が出ます。BMWディーラーの車検料金は高めですが、利用する人が多いのでここではディーラー車検の相場を紹介します。
・BMW2年定期点検 33,000円程度
・測定検査料 19,000円程度
・下廻りスチーム洗浄 9,000円程度
・事務手数料(車検代行費用)15,000円程度
ディーラー以外の業者にすれば、費用をもう少し安く抑える事も可能です。5年落ち以上の車両を購入すると、修理交換の必要な部品がかなり出てくる事が想定されます。上記の費用以外にも最低でも10万円以上の部品の修理交換料金がかかると見積もっておいてください。
・M3の車検にかかる費用 約135,730円程度+部品修理代金
M3の購入時にかかる費用は?
ここではM3第5世代(2014~2018年)の購入費用について紹介します。
車体価格
現在はM3の購入は中古車になりますので、実際に販売されていた中古車の価格を紹介します。
- 2018年式 (平成30年式)<M3>アルピンホワイト 新車時価格 1,209万円
車体販売価格 798万円 走行距離 1.1万km 車検残り期間1年7ヵ月 修復歴なし - 2017年式 (平成29年式)<M3>アルピンホワイト 新車時価格 1,185万円
車体販売価格 758万円 走行距離 1万km 車検残り期間 1年 修復歴なし - 2017年式 (平成29年式)<M3 コンペティション>ブラックサファイア 新車時価格 1,256万円
車体販売価格 928万円 走行距離 1.2万km 車検残り期間 1年6ヵ月 修復歴なし - 2014年式 (平成26年式)<M3>オースティンイエロー 新車時価格 1,104万円
車体販売価格 518万円 走行距離 3.7万km 車検残り期間 5ヵ月 修復歴なし
M3の中古車購入では、やはり第5世代で状態の良い<3年落ち走行距離3万km以内>の車両がおすすめです。3年落ち程度までの車両ならば、700~900万円ほどの相場になっているようです。
オプション
中古車なので購入時にオプション品を付ける事は出来ませんが、ネットで流通しているオプション品もあるようです。
・M3の購入時にかかるオプション代金 およそ0~10万円
自動車重量税
中古車購入では、購入車両に車検の残っている場合は重量税は納める必要がありません。車検切れの車両を購入する時には、車検時に重量税を支払います。
・M3の購入時にかかる自動車重量税 0~32,800円
「1.5トン超~2トン以下」2年分 32,800円
自動車取得税
<自動車取得税>は、自動車の購入時に支払いが義務付けられている税金です。中古車では車体の新車時の販売価格に、経過年数によって定められている<残価率>を掛けた金額を<取得価額>とします。取得価額の3%を取得税額として納めなければなりません。
M3の<2016年式>の中古車を購入したとして取得税を算出してみます。新車登録時から「2年7ヵ月経過」をした車両の残価率は<0.316>になります。
- M3(2016年式)の購入時にかかる自動車取得税 およそ10万7千円程度
1,132万円×0.316(残価率)=357.7万円(取得価額)
357.7万円×3%=10万7千円
自賠責保険
中古車の購入時には、購入の翌月から年度末までの自賠責保険料を月割り税額で支払います。
・M3の購入時にかかる自賠責保険料 5,870円(1ヵ月分)~25,830円(24ヵ月分)
リサイクル料金
自動車の購入時には、将来に車両を廃棄する時のためのリサイクル料金の支払いが義務付けられています。中古車の購入でも支払い義務があります。
シュレッダーダスト料金 11,520円程度
エアバック類料金 4,320~5,050円程度
フロン類料金 21,000円
情報管理料金 230円
資金管理料金 480円
合計 18,650~19,380円程度
・M3の購入時にかかるリサイクル料金 18,650~19,380円程度
ディーラー、業者代行手数料
中古車を購入すると、購入した店舗(ディーラー・業者)では車両の引き渡しまでに様々な手続きをします。その代行費用を支払わなければなりません。
主な項目としては、<車両登録代行費><車庫証明代行費><納車費用><クリーニング費>などです。M3を購入する場合の代行手数料は、およそ20~40万円ほどになります。
・M3の購入時にかかるディーラー、業者代行手数料 20~40万円程度
壊れやすいところや注意するべき点
BMWの故障で多いのがオイル漏れで、M3も例外ではありません。<タペットカバーパッキン><オイルフィルターケース><オイルパン>辺りが漏れを起こしやすい部分です。
かかる修理代は故障個所にもよりますが、およそ4万~10万円程度になります。日頃から地面へのオイル漏れがないか注意して見るようにしてください。
まとめ
今回は<M3>の維持費についてお伝えしました。税金関係は外車だからと言って高くなる訳ではない事がお分かり頂けたでしょうか。現在ではBMWも故障が少なくなりましたが、いざ修理箇所が出た場合はやはり国産車よりは費用が高くなります。
BMWの中古車の購入ではあまり状態の良くない車両を入手してしまうと、修理費がとんでもない金額になってしまう事も珍しくありません。幸いM3は生産停止からあまり時間が経っていませんので、コンディションの良い車両が出回っています。M3は車両を十分に吟味して購入するようにしてください。