事故を起こした車には価値がないと思っていませんか?一度事故に遭ってしまったから、もう廃車にするしかないと考える方は多いと思います。
しかし、事故に遭ってしまっても買取価格が付くことは意外と少なくありません。廃車処分にする前に事故車を高く売るためのコツを知っておきましょう。
事故車は修理か売却か廃車か
事故を起こしてしまった車の扱いには、3つの方法があります。修理してそのまま乗り続けるか、中古車として売却するか、廃車にするかです。
廃車となれば価値がなくなってしまい、処分費用などもかかります。車を直すにしても軽微な故障ならいいですが、大きな修理となれば費用がかさむでしょう。
そうなるとやはり一番良いのが、車を売却し、次の購入費用に充てることです。
事故車を売却するときに判断材料となるポイント
事故車を売却する時には、次のようなポイントを考慮して検討しましょう。場合によっては、そのまま手元に残しておく方がいい事もあるからです。
愛着があるか
やはり、長く乗ってきた車には愛着が湧くものです。気に入っているのに手放してしまうと、後々後悔することもあります。
また、車にはさまざまな思い出が詰まっているので、「事故を起こしてしまっても愛着があって、売るのは抵抗がある」というなら、できる限り修理して乗り続ける方がいいでしょう。
ただし、フレームまで損傷しているような大きな事故の場合、かかる費用も膨大になり修復歴が付いてしまいます。いくら愛着があっても、費用をかけて直すのは外装などの軽い部分までに留めておいた方が経済的な負担は少ないです。
修復によるリスクはどうか
車の修復技術がどれだけ進歩したとしても、一度壊れた状態を完全に元通りに戻すことはほぼ不可能です。
見た目ではわからなくても、直した部分から劣化が進行したり、同じところが再び壊れてしまうというリスクもあります。
特に、フレームまで影響のあるような大きな損傷を負った車は修復歴が付いてしまうため、査定額に大きく影響します。実際に、同じ車でも修復歴の有無で買取金額が半減してしまうということもよくあります。
また、車は年式が古くなればなるほど買取価格が下がります。トラブルがあった車はただでさえ買取査定に影響が出るため、せっかく修理をしてその後長く使えても、年式が古い車であればわざわざ修理するメリットはほとんどありません。
よほど愛着がある車なら別ですが、売却を考えるのであれば、市場価値がつきにくい車を修復するリスクというのは大きいでしょう。
修理費・保険金にたいする経済状況はどうか
損傷した車の修理にかかる費用は車種や事故状況によってまちまちですが、大きな事故の場合、費用が100万円単位でかかってくることもあります。
状況によっては保険金が支払われることもありますが、保険金額というのは車の時価総額によって変動します。年式の新しい車であれば保険金で費用を賄えるかもしれませんが、古い車だと保険金で出せる上限額が費用を下回ってしまうという事もあります。
自費で直すとなると、経済的に大きな負担になることも多く、修理を検討する際は、費用と保険金、経済状況のバランスを考えるのが大切です。
十分な保険金が支払われるなど、修理しても金銭的に痛手がない場合や、納得いく費用であれば修理する価値はあるでしょう。
事故歴のある車は買取査定額が下がる
事故を起こしているからといって売れないわけではありませんが、やはり事故歴のない車と比べると買取査定額は下がってしまいます。
車の買取査定に影響を及ぼす事故歴とはどのようなものか、さらに車の買取においてどう扱われるのかというポイントをまとめました。
そもそもどこからが事故歴か
事故歴というのは、事故や災害などに巻き込まれ、何らかの損傷を負った経歴がある車の事です。
つまり、事故を起こしたという事実がある車は全て事故歴ありの車になります。ところが、事故歴があったからといって、必ずしも査定に影響が出るわけではありません。
重要なのは修復歴で、これは大きく査定にかかわってきます。修復歴とは、自動車公正取引協議会が定めたもので、車の骨格部にかかわる9カ所の修理を行った場合を指します。修復歴がつく故障部位は次の9カ所です。
1.フレーム (サイドメンバー)
2.フロントクロスメンバー
3.フロントインサイドパネル
4.ピラー
5.ダッシュパネル
6.ルーフパネル
7.ルームフロアパネル
8.トランクフロアパネル
9.ラジエータコアサポート
これらの修理や交換を行った車は修復歴ありとなります。外装のへこみや傷などは、骨格に影響する損傷ではないため、たとえ事故で付いたものであっても修復歴には含まれません。
逆に、事故歴の事を修復歴と勘違いしている方も多いのですが、修復歴がある車が必ずしも事故車というわけではないのです。
買取店によって事故歴ありとなしが別れることも
事故歴というのは非常に曖昧で、買取店によって扱いが異なります。前述したように、業界で明確に定義されているのは修復歴です。
そのため、修復歴がなければ事故歴として扱わないこともあれば、骨格に影響しない軽微な修理でも、原因が事故であれば事故歴とすることもあります。
一般的には、修復歴がある車を事故車として扱う業者が多いですが、買取査定の際はトラブルのある車の扱いに慣れている業者を選ぶのがおすすめです。まずは複数の業者に査定を依頼して判断してもらうといいでしょう。
廃車費用がかかる場合も
修理費用がもったいないから廃車にしようと考える方は多いですが、廃車する場合も何かと費用がかかります。
永久抹消登録を行うには自動車の解体が必要なので、解体費用が1~2万円発生します。もしも車が動かない場合は、解体業者までのレッカー費用も数千円から数万円かかるでしょう。
廃車手続きを依頼すれば代行費用がかかりますし、個人で手続きするにしても時間と手間がかかります。
単純に廃車にするといっても、かかる費用と手間のリスクは意外と大きいのです。
事故車を高く売るポイント
車の処分で最も損しない選択肢は、やはり売却することです。事故車であっても、ポイントを抑えれば思った以上の高値で売却できる可能性があります。トラブルのあった車を高く売るために重要なポイントをまとめました。
市場価値によって
一度事故を起こした車は、無事故車と比べればどうしても価値が下がってしまいます。どれだけ軽微なものであっても購入をためらう材料になりますし、車体の骨格に影響を及ぼすような修復歴があればなおさら市場価値は下がります。
しかし、自動車の修復技術というのは年々進化しているため、修復歴があっても十分に乗り続けられる車もたくさんあります。走行距離が短いなど、車の状態が良ければ市場価値はゼロではありません。
また、車というのはパーツや素材など、車自体に価値があります。自動車としての市場価値が低くても、パーツや素材でみれば市場に大きな需要があることも多いです。
複数社で査定を受ける
愛車にどの程度の価値があるかを調べるには、やはり査定を受けるのが一番です。プロの目でしっかり査定してもらう事で、愛車の現在の市場価値がわかります。
ここでポイントとなるのが、1社ではなく複数の業者に査定してもらうことです。車買取に慣れていない方は、見積もりを大手の1社だけに依頼して納得してしまいがちですが、それは非常にもったいないです。
複数社で査定を受ければ、それぞれの見積もりから愛車の相場が大体わかるので、相場から大きく外れた価格で買い叩かれる可能性が少なくなります。
また、業者間で競い合わせることで買取金額がアップするため、愛車の価値を最大限まで高めることができます。
国内で需要がなくても海外で需要がある場合も
日本国内では過走行の車や事故車は敬遠されがちですが、海外の場合、日本で価値が付かないような車でも普通に使用されていることが多いです。そのため、中古車の輸出に強い業者によって思わぬ査定額がつくということもあります。
買取業者といっても得意分野は様々です。複数社に査定してもらうという事は、国内市場を中心としている業者だけでなく、海外に強い、外車に強いなど、色々な観点から車を査定してもらえるというメリットもあります。
自分の車の良さを伝える
事故の経歴というマイナスポイントをカバーするためには、それ以外のメリットをアピールすることが一番です。どれだけ大切に愛車を使っていたか、どのような点が良かったかなど、愛車の良さは積極的に業者に伝えていきましょう。
自分の車の良さは、使っていた本人が一番よく知っています。基本的に事故車の査定というのは修復歴など、車そのものの状態を中心にチェックするため、内装の綺麗さやオプションパーツの有無などは見落とされがちです。
たとえば、禁煙車は中古車市場の需要が高いので、煙草を吸っていないというのは好印象になります。また、オプションパーツも買取価格に上乗せされることが多いので、アピールしないのはもったいないです。
細かい事でもアピールポイントを伝えたことで、事故車でも思わぬプラス査定が付いたという事も珍しくありません。遠慮してしまうとせっかくのチャンスを逃してしまうので、事前に伝えたいポイントをまとめておくのをおすすめします。
修復せずに売る
事故車はしっかり修理した状態でないと売れないというイメージがあります。しかし、実際には修復しないで売る方が損しないことがほとんどだというのは意外と知られていません。
修理をしてから買取に出すとなると、査定の減額分より修理代の方がかかってしまうということが多く、修理費用をかけただけ損する場合があります。
つまり、修理代を買取で回収するのはほぼ不可能なので、事故車を出来るだけ高値で売りたいなら、お金をかけてわざわざ修復するのは避けた方がいいかもしれません。
買取業者は、買い取った事故車を自社で修理することができます。業者が修理をすれば、個人が修理するより費用がかかりません。そのため、実は修復の有無は、車の価値にそれほど大きな影響を及ぼさないのです。
年式が新しく走行距離も短い車であれば、修復すればまだまだ車としての価値はあります。業者は車の状態を判断して、修復して売れるものは自社で修理して販売し、利益を得ます。
もし中古車としての利益が出ない場合でも、パーツや素材として専門の業者に売却すれば利益はでるので、個人がわざわざ手間と費用をかけて修理してから売るのは非常にもったいないでしょう。
0円としか査定されない場合に廃車を考える
事故車を廃車にするのは、車の価値が全くなく、0円としか査定されない場合です。しかし、どんな車であっても何らかの価値が付く場合が多く、完全に0円と査定されることは意外と少ないです。
自走しないレベルの損傷など、もしも中古車買取業者に0円と査定された場合でも、まだあきらめるのは早いです。車のパーツや素材に価値がある可能性もあるので、廃車買取業者やスクラップ業者に査定を依頼してみましょう。
自分でお金をかけて廃車にするのは最終手段です。まずはできるだけ価値を付けてくれる業者を見つけるのが大切です。
事故車の部品や素材には意外と価値がある
自動車としての価値がない車は、部品や素材を扱う専門業者に転売されます。パーツごとに分解され、修理用パーツや素材のリサイクルなど、事故車であっても使える部分はたくさんあります。
特に、海外で日本の中古車の人気が高いため、修理用パーツの需要は年々高まっています。自走しない事故車でも、パーツ単位で見れば利用価値がある部分も多いので、廃車買取業者などに見積もりをお願いしてみてはいかがでしょうか。そこで査定額が付く可能性も十分考えられます。
まとめ
事故にあった車だから売れないと判断してしまうのは、非常にもったいないです。ただ気付いていないだけで、あなたの愛車にはまだまだ価値が眠っているかもしれません。
事故車であっても、複数の業者に見積もりを依頼することで、思わぬ価値が付くことがあります。愛着のある車だからこそ、しっかり値段が付く業者を選びたいものです。
場合によっては修理をするより売却してしまった方がお得な事も多いので、まずは複数社に見積もりを依頼することをおすすめします。