武骨で力強いスタイリングで、まさにオフロード車といった風格をもつジープ。アメ車のなかでも人気があり、本格的なオフロードが楽しめるタフな構造もしっかりと持ち合わせている車です。
今回は、そんなジープブランドの特徴を紹介しつつ、ジープの買取について説明しましょう。モデル別の平均買取相場や高く買い取ってもらうためのポイントなどを徹底解説します。
目次
クライスラー社が手掛けるジープの特徴
ジープはアメリカ合衆国に拠点を置く自動車ブランドです。自動車ブランドは様々なジャンルの車を製造することが多いですが、ジープが製造する車のジャンルはクロスオーバーSUVのみ。
フェラーリやランボルギーニなど、スーパーカーの製造を専門としている自動車ブランドがあるように、ジープもクロスオーバーSUVの製造を専門としている、いわばスペシャリストなのです。
ジープといえば、軍隊などで使用されている4輪駆動車が思い浮かびませんか?
それもそのはず、ジープは元々第2次世界大戦中に米国陸軍の要請により製造が開始された小型4輪駆動・軍用車が元祖なのです。
大戦後に製造元であるウィリス・オーバーランド社がジープという名称を商標登録し、世界中にその名が知れ渡りました。現在はクライスラー社がジープの商標権を所有しています。
ジープの発売元クライスラー社とは
ジープの商標権がクライスラー社に移ったのは1987年のこと。クライスラー社はかつてGM、フォードと並んでビッグスリーと称されたアメリカ合衆国最大の自動車メーカーでした。
しかし、アメリカ合衆国の金融危機をきっかけとした、世界的な大不況の影響により倒産。再建後はイタリアの自動車メーカーであるフィアットが持ち株比率を引き上げ、クライスラーを完全子会社化しました。
2018年現在、クライスラー社はフィアット・クライスラー・オートモビルズの傘下として、北米市場を中心に自動車を販売しています。
ジープの各現行モデルの特徴
ジープは現在、6車種を日本市場で展開しています。それぞれの特徴を簡単に解説します。
ラングラー
ラングラーはジープを代表する本格クロスカントリー車です。良い意味で古臭い、無骨で力強いスタイリングを特徴としています。日本のみならず、世界中で最も人気のあるジープです。
ニューラングラー
約10年間に渡って販売された、ラングラーのフルモデルチェンジを遂げた姿がニューラングラーです。2017年末に北米で発表され、日本では2018年11月に発売されたばかりの新型モデルとなっています。
チェロキー
ラングラーと双璧をなす、ジープのクロスオーバーSUVがチェロキーです。伝統の姿を守り続けるラングラーとは対照的に、現代風のスタイリッシュな外観を採用しています。
グランドチェロキー
チェロキーよりもさらに大型のクロスオーバーSUVがグランドチェロキーです。パワートレインやインテリアなど、あらゆる面でチェロキーを凌駕しています。チェロキーよりも落ち着きのある精悍なスタイリングが特徴です。
レネゲード
ジープの親会社であるフィアットとの共同開発によって誕生したコンパクトクロスオーバーSUV、それがレネゲードです。個性のあるスクエアボディとジープ伝統の丸目フェイスを特徴としています。
コンパス
レネゲードが登場するまでは、ジープのエントリーモデルとして販売されていました。ラングラーの弟分のようなポジションに位置するレネゲードに対し、コンパスはチェロキーの弟分のようなポジションに位置しています。そのため、チェロキーと同様の革新的かつスタイリッシュなスタイリングがコンパスの魅力です。
ジープの一番人気モデルと特徴
ジープがこれまで日本市場で販売していた車種の中で、1番人気があるモデルはラングラーです。
ラングラーはジープが日本市場に参入してから現在まで、一貫して高い人気を集めています。特に2007年から2017年にかけて販売されていた、JK型・3代目ラングラーを魅力に感じている人が多いようです。
その理由はやはり、高い悪路走破性と無骨なスタイリングでしょう。特に昨今は丸みを帯びたスタイリッシュな外観のクロスオーバーSUVが多いため、ラングラーの角張ったデザインは唯一無二の存在です。
ラングラーには3ドアモデルと5ドアモデルがありますが、日本で人気の高い5ドアモデルはラングラーアンリミテッドと呼ばれています。また、ラングラーが搭載する3.8L V型6気筒エンジンは最高出力284馬力、最大トルク35.4kgmを発生します。
パワフルなエンジンが駆動輪にパワーを伝えることで、どんな悪路だって力強く走り抜けてしまうのです。ラングラーと同様のオフロード性能を有している車種は、世界中を探しても数えるほどしかありません。
ジープの各モデルの平均買取相場
続いて、ジープがラインナップする各モデルの平均買取相場を紹介します。ジープは耐久性の高さが知られていることや日本での人気が高いことが関係して、アメ車の中でも特に平均買取相場が高いです。
ジープの買取価格はグレードや年式、走行距離、車の状態によって査定額が大きく変動します。そのため、これから紹介する平均買取相場に関しては、あくまで参考程度にご覧ください。
ラングラーの平均買取相場
- 1,180,000円〜3,530,000円
JK型・3代目ラングラーは2007年から10年以上に渡って販売されています。ジープの売れ筋モデルなので流通量が豊富。中古車市場での希少価値は高くありません。グレード展開も幅広く、年式が古い車両や過走行車両も多いので買取相場に大きな開きがあります。
チェロキーの平均買取相場
- 1,490,000円〜2,260,000円
KL型・5代目チェロキーは2013年から販売されています。中古車市場での流通量はラングラーに次いで豊富です。KK型・4代目チェロキーから大胆に変化して、好みの分かれるスタイリングになったことと、元々の新車価格がそれほど高価ではないことが関係して、平均買取相場はあまり高い方ではありません。
グランドチェロキーの平均買取相場
- 2,050,000円〜5,350,000円
WK2型・4代目グランドチェロキーは2010年から販売されています。ラングラーの次に長寿のモデルとなっており、平均買取相場が幅広くなっています。ただし、2014年に実施されたマイナーチェンジによって外観を中心に大きな変更が加わったことで、2014年以降の年式のモデルは平均買取相場が高い傾向にあります。
レネゲードの平均買取相場
- 1,140,000円〜2,030,000円
発売してわずか3年のBU型・レネゲード。ボディサイズが比較的コンパクトであることや新車価格が安価なこともあり、発売したての割には中古車市場での流通量が豊富です。もちろん、新車価格が安い分、ラングラーやグランドチェロキーと比べて平均買取相場が安くなっています。
コンパスの平均買取相場
- 1,980,000円〜2,440,000円
2017年に発売したばかりのMP型・2代目コンパス。レネゲードに次いで新車価格が安いモデルですが、発売したばかりなので平均買取相場は高めです。世界中でトレンドとなっているスタイリッシュな外観を採用していることや、中古車市場での流通量の少なさが関係しています。
※ニューラングラーは発売したばかりなので、買取相場の情報なし
ジープの最新買取相場
ここからは、ジープの最新買取相場の一例を紹介しましょう。
- <ジープ・グランドチェロキー ラレード 4WD>
年式:平成23年(2011年) 走行距離:2.0万km カラー:ホワイト系
新車価格:398.0万円 買取価格:199.4万円 残価率:約50% - <ジープ・チェロキー リミテッド 4WD>
年式:平成23年(2011年) 走行距離:7.0万km カラー:グリーン系
新車価格:378.0万円 買取価格:102.3万円 残価率:約27%
ジープを乗り換えるタイミングは5万キロが目安
ジープを乗り換えるタイミングは5万キロ前後が目安です。中古車市場では走行距離が5万キロをオーバーすると、価格が大きく落ちる傾向にあります。
また、ジープを新車で購入すると3年間のメーカー保証がついてきます。これにオプションで2年間の延長保証をプラスすることができるのですが、年間走行距離が1万キロだと考えると、保証期間が切れるタイミングで走行距離がちょうど5万キロ前後ということになります。
保証期間が切れるとメンテナンスが行き届いていない車両も出てくる(オーナーにもよりますが)ため、5万キロを高価買取のボーダーにしているのでしょう。
ちなみに、ジープは年式の古いモデルでも人気があるので、走行距離が10万キロをオーバーしていても値はつきます。しかし、これはメンテナンスが行き届いていることが前提なので、メンテナンスが行き届いていなければ高価買取は難しいです。
ジープを高く買い取ってもらうポイント
ジープを高く買い取ってもらうために、抑えておきたい3つのポイントを紹介します。これから紹介するポイントに該当する車両であれば、高価買取が期待できるかもしれません。
ジープのグレードは新しい年式のものと低走行
ジープに限ったことではありませんが、基本的には年式が新しい車両や低走行の車両が高く買い取ってもらいやすいです。また、人気グレードであるかどうかでも買取価格は大きく変動します。
例えば、ラングラーアンリミテッドには大きく分けて「スポーツ」と「サハラ」、2種類のグレードがラインナップされています。このうち、日本で人気が高いのは「サハラ」です。
同じ年式、走行距離、状態のラングラーアンリミテッドでも、「サハラ」というだけで、少なくとも20~30万円は高く買い取ってもらいやすいです。参考までに、ジープ各モデルごとの高く買い取ってもらいやすいグレードを記載しておきます。
- ラングラー:サハラ
- チェロキー:リミテッド
- グランドチェロキー:サミット、SRT8
- レネゲード:リミテッド、トレイルホーク
- コンパス:リミテッド
ジープの人気カラー
ジープ以外のアメ車や欧州車は、1車種に10~15種類のボディカラーを設定していることも珍しくありません。しかし、ジープは多くても5~6種類程度なので、基本的にはどのボディカラーをチョイスしても問題はないです。
その中で特に人気が高いボディカラーはやはり、「ブライトホワイト C/C」でしょう。ホワイト系のボディカラーはジープに限らず、どんな車でも人気があります。
特にラングラーの「ブライトホワイト C/C」はブラックのフェンダーとホワイトのボディでメリハリがつき、カッコよく見えるので一貫して人気があります。ホワイト系のボディカラーと同様に、ブラック系などの定番カラーも人気です。
参考までに、ジープ各モデルごとの人気ボディカラーを記載しておきます。
- ラングラー:ブライトホワイト C/C,ゴビ C/C
- チェロキー:グラナイトクリスタルメタリック C/C,ブライトホワイト C/C
- グランドチェロキー:ブライトホワイト C/C,アイボリートライコート
- レネゲード:アルパインホワイト C/C,アンヴィル C/C
- コンパス:ヴォーカルホワイト P/C,ミニマルグレーメタリック C/C
4WDのMT車が人気
ジープはモデルによって駆動方式が異なっています。FF(前輪駆動)、FR(後輪駆動)、4WD(4輪駆動)の3種類がありますが、最も人気が高い駆動方式は4WDです。
ジープといえば4駆のイメージが強いので、人気が高いことにも頷けます。昨今は駆動方式にこだわらない人も増えていますが、高価買取の傾向にあるのはやはり4WDですね。
さらに、ジープには車種によって様々なトランスミッションが採用されていますが、4WDとMT(マニュアル・トランスミッション)の組み合わせは高価買取が期待できます。ジープのMT車はオフロード走行を楽しむマニアに人気があり、中古車市場での流通量も多くありません。
そのため、高値でも購入する人が多いので希少価値がとても高いのです。あくまで中古車市場での売れ筋はAT車ですが、MT車も高く買い取ってもらえるということは覚えておきましょう。
ジープの買取前は必ず洗車をする
ジープを買い取ってもらうときは、査定前に必ず洗車をしておきましょう。オフロード車であるジープは、車高が高くタイヤハウスが大きく設計されています。
そのため、オフロードを走行していなくても、フェンダー内やボディの下回りに泥などが付着しやすいです。きちんと洗車して泥などをあらかじめ落としておくことで、査定時の余計な減点がありません。
外装だけでなく、室内の汚れもチェックしておいてください。フロアマットやシートの清掃はもちろん、丁寧に拭き掃除しておくことで、大切にしている車両だと思わせるのです。
そうすることで、買取価格の大幅な変動こそありませんが、多少の査定額アップが期待できます。
まとめ
ジープの買取について、徹底解説しました。アメ車や欧州車は新車時の価格は高いですが、買取価格は暴落してしまうことが多いです。
しかし、ジープは持ち前の耐久性の高さや、いつの時代も色褪せないスタイリングのおかげで、比較的高値で買い取ってもらうことができます。今回お伝えした情報を踏まえて、より高いジープの買取価格を引き出してください。