各自動車メーカーの正規販売店であるディーラーが扱う中古車は、他の中古車販売店などで購入するよりも割高な価格設定です。しかしその分、ディーラーの行き届いた整備によって良好なコンディションの中古車が多く、安心感があります。
このディーラーで販売されている良質な中古車を少しでも安く購入するための、値引き交渉は可能なのでしょうか。ここでは、ディーラーが販売する中古車をお得に購入できる値引きの交渉術をご紹介していきます。
目次
ディーラーの中古車と中古車販売店の中古車の違い
ディーラーが販売している中古車は、なぜコンディションの良いものが多いのでしょうか。そして同じ中古車でも、中古車販売店が販売している中古車とは、どのように違うのでしょうか。
これらを理解していただくために、それぞれの特徴をお伝えします。
ディーラーが販売している中古車の特徴
各自動車メーカーの正規販売店であるディーラーは、基本的に新車を中心に取り扱い販売しています。新車を購入するユーザーの中には、前に乗っていた車を下取りに出して買い替える人もいます。この下取りされた車の中でコンディションの良いもののみを厳選し、中古車としてそのディーラーで販売されるのです。
元々コンディションが良好なうえに、メーカーが独自に定めた厳しい基準でその車を点検・整備・クリーニングされます。そのためディーラーで販売される中古車は、品質が一定以上の高水準で保たれており全体的に良質なのです。
またディーラーが販売する中古車には、新車と変わらないくらいの保証やアフターサービスが付けられています。そして、これらの中古車を「認定中古車」と呼んでいます。
中古車販売店が販売している中古車の特徴
中古車販売店が販売している中古車は、買い替えで下取りした車や買取した車の中で、再販できそうな車を中古車として販売しています。また中には、オートオークションで落札した車を中古車として販売している場合もあります。
そのため中古車販売店は、複数メーカーの中古車を豊富に取り扱っているのです。これによりユーザーは、1店舗だけで各メーカーの中古車を見て比較検討することができます。また中には、スポーツカー専門やクロカン専門、輸入車専門など特定のタイプや車種に特化した中古車販売店があります。
価格はディーラーの中古車に比べて安い傾向にありますが、保証やアフターサービスが中古車販売店ごとに違いがあるため注意が必要です。
ディーラーが販売している中古車のメリット・デメリット
ディーラーが販売している中古車の特徴から、購入するユーザーにとってのメリットとデメリットを見てみましょう。
メリット
車のコンディションが良好である
ディーラーで販売される中古車のほとんどは、新車を購入するユーザーから下取りした車です。そして、その下取りした車の中には、このディーラーもしくは系列ディーラーから新車で購入されたものもあります。
さらに、そのディーラーで新車時から定期的な点検やメンテナンスをされている車もあり、このような車は点検履歴など素性がはっきりしているので安心です。
また、ディーラーで使用されていた試乗車や展示車が中古車として販売されることもあります。そのディーラーでとくに注力して販売する新車では、購入を検討しているユーザーへアピールするために試乗車や展示車を用意します。
しかし、その新車販売がひと段落すると試乗車や展示車は不要となり、これらがディーラーで中古車として販売されるのです。試乗車や展示車はアピールのために用意された車のため、上級グレードでディーラーオプション装着済みが多く走行距離は少ないので、とてもお得な中古車といえるでしょう。
さらにディーラーが扱うお得な中古車としては「登録済未使用車」というものがあります。これはナンバーはついているが走行していない車のことです。
ディーラーは月末や決算月に販売目標を達成すると、メーカーからインセンティブ(報奨金)がもらえます。あと少しで達成する場合に、ディーラー自身で新車を購入し販売目標を達成させることがあります。その時に発生するのが登録済未使用車なのです。
ボディカラーやグレード、オプションなどを選択することはできませんが、コンディションは新車と同じでありナンバーも付いているので納車も早く、新車価格より割安で購入できるというメリットがあります。
品質が安定している
ディーラーは、メーカーが独自に定めた厳しい基準をクリアした中古車だけを販売しています。
まず下取りなどで仕入れた車が、中古車として販売できるコンディションかどうかを点検します。厳しい点検をパスした車は、次にエンジン回りや足回りなど隅々までしっかりと整備され、最後にはボディから内装まできれいにクリーニングされます。
そのためディーラーが販売する中古車の品質は、とても安定しているのです。
購入後も手厚いサポートが受けられる
ディーラーが販売する中古車は「認定中古車」と呼ばれ、充実した保証や手厚いサポートを受けることができます。
メーカーやディーラーによって違いはありますが、1年間走行距離無制限や最長3年間の保証がついたり、購入後も定期的に点検やメンテナンスの案内をしてくれたりします。
このことからディーラーが販売する認定中古車は、購入後も安心できる中古車だといえるでしょう。
デメリット
高めの価格設定
ディーラーが販売する認定中古車は、他の中古車販売店などの中古車に比べて価格は高い傾向にあります。価格が高くなる大きな理由は、ブレーキパッドやゴムブッシュなどの消耗パーツを厳しい基準で検査し、まだ使えるとしても、より安全・安心を考え新品に交換し、高品質を保つためです。
また、ディーラーはあくまでも新車販売がメインのため、並行して販売する中古車の値段が安いことで新車が売りにくくなることを避けたい思惑もあります。
仮に中古車が売れた場合でも、ある程度の利益を確保する必要があるなどの理由から、高めの価格設定となるのです。
取り扱いの車種が限られる
ディーラーが販売する認定中古車のほとんどは、自社ブランドの車種となります。自社以外のブランドの場合でも、子会社や関連会社のブランド車種となり、他社ブランドはほとんどありません。
そのため、ディーラーで複数のメーカーから中古車を選ぶことは、ほとんどできない状態です。
ディーラー販売の中古車を値引きする交渉術5つ
ディーラーが販売する認定中古車でも値引き交渉は可能です。ただし、必ず値引きしてくれるわけではありません。ここでは、ディーラーが販売する認定中古車の値引きが実現する可能性を上げるための交渉術を5つご紹介します。
ディーラーの決算期に購入する
まずは購入時期を見極めましょう。ディーラーの認定中古車はいつでも購入可能ですが、購入時期によって値引きできる可能性は変わってきます。値引きできる可能性が高い時期はディーラーの決算期です。
ディーラーには販売ノルマが決算期ごとにあります。また個々のセールスマンにも販売ノルマが同じようにあります。セールスマンの場合、この販売ノルマを達成すれば、自身の給与アップや昇進にプラスとなるのです。
今期の販売ノルマをまだ達成していないセールスマンであれば、何とかしてでも販売につなげてノルマを達成しようとするので、値引き交渉を有利に進められます。
最も効果的な時期は3月で、次は9月です。なぜなら、ほとんどのディーラーでは3月が決算期であり9月が中間決算期にあたるからです。
もし、決算期に購入できない場合は、中古車市場の価格が下がりやすい時期を狙うとよいでしょう。その時期は4月中旬~5月になります。この時期は、決算期で新車購入したユーザーから下取りした中古車の量が需要よりも多くなり在庫過多となるためです。
今日決めるとアピールする
ディーラーへ出向き、セールスマンに声をかけられた時に「本当はいくつかのディーラーを見て回って自分に合う車を探したいけど、今日しか時間が取れないからどこであっても今日決めるつもりです。」と伝えてみましょう。
そしてセールスマンに予算を聞かれたら、実際に考えている予算よりも5~10万円ほど低い金額を伝えるのです。
セールスマンは、当日即決を考えていて予算金額もはっきりしているお客であれば、商談成立する可能性が高いと考えます。また、そのお客が他のディーラーも見て回るとなれば、他店で決められるという焦りも出ます。
そこでセールスマンは「ここで頑張れば即決で決めてくれそうだ」と考え、こちらが伝えた予算に合わせてくれるか、予算よりも多少の値引きをしてくれるかもしれません。
こうなれば、予算通りにしてもらえただけでも5~10万円値引きしてもらえた状態と同じでお得ですし、もし値引きしてもらえたら、さらにお得な状態となります。
諸費用をカットする
中古車を購入する場合、いろいろな諸費用がかかります。この諸費用の中には、必ず支払わなければならない「法定費用」と、対応によってはカットできる「代行費用」があります。
法定費用には、自動車税(種別割)・自動車重量税・環境性能割・自賠責保険料・ナンバー代・印紙代等です。これらは車検残の有無、車両重量、排気量など購入する中古車によって金額は変わります。
代行費用とは、ディーラーがユーザーに代わって車の登録手続きなどを行ってくれたことに対して支払う費用です。具体的には、登録代行費用・車庫証明代行費用・納車費用などがあります。
これらの代行費用はディーラーによって金額がまちまちで普通車の場合、登録代行費用は約10,000円~30,000円ほど、車庫証明代行費用は約10,000円~30,000円ほど、納車費用は20,000円~50,000円ほどです。
この代行費用をユーザー自身が行うことで、カットすることを狙います。
まず登録代行費用は、購入した車を公道で走れるようにするためにナンバー取得するための手続きです。ユーザーが住む地域の陸運支局に作成した必要書類を提出します。この時にかかるナンバープレート代などは必要です。
車庫証明代行費用は、ユーザーが住む地域を管轄している警察署へ出向き、車庫証明を取得します。申請手数料と標章代は自己負担です。
納車費用は、車を自宅まで届けてもらうのにかかる費用です。ユーザー自身がディーラーへ出向いて取りに行くことでカットできます。
陸運支局や警察署は平日にしか対応してくれませんので、平日に時間を作らなければなりません。平日にお仕事している人は、休みを取る必要がありますので注意が必要です。
オプションパーツなどで値引き交渉する
車両自体の値引きが困難な場合、欲しいオプションパーツを無料もしくは値引きサービスしてもらうとか、購入したあとに補修しようと考えている箇所を無料もしくは安くで修理してもらえないか交渉してみます。
オプションパーツですが、値段の安いものなら無料サービスしてもらえる可能性があり、値段の高いものなら値引きしてもらえるかもしれません。仮に値段が高いオプション品でも、一般的に人気が低いものであれば大きな値引き、もしくは無料サービスも期待できるでしょう。
補修については、内容によって対応が変わってきます。あまり手間がかからない内容であれば、無料もしくは安く対応してくれるかもしれませんが、込み入った内容になれば費用も高くなるため断られる可能性が高いです。
どちらにしても値引き額としては少ないかもしれませんが、可能性はありますので忘れずに交渉しましょう。
ディーラー取り扱いのオートローンを利用する
もし、中古車を現金一括ではなくオートローンで購入することを検討しているのであれば、ディーラーが取り扱っているオートローンを利用することを検討しましょう。ディーラー取り扱いのオートローンを利用することで、いくらかの値引きに期待が持てます。
なぜなら、ディーラー取り扱いのオートローンが利用されれば、ディーラーにはローン会社からバックマージンをもらえるからです。そのバックマージン分全額とまでは行きませんが、その一部を値引きしてもらえるかもしれません。
ディーラー取り扱いのオートローンを利用する場合、金利が何%なのかを必ず確認しましょう。なぜなら、ディーラー取り扱いのオートローンを利用したことで値引きされたとしても、その値引き金額よりも金利の方が高くつくようであれば本末転倒になるからです。
まとめ
ディーラーが販売する中古車である「認定中古車」は、メーカーの信用第一という考えがあるため、たとえ中古車であっても手を抜かず、厳しい基準で点検・整備・クリーニングを行い、購入後もユーザーに安心して乗ってもらうために手厚い保証やサポート・アフターサービスを行ってくれます。
これらのことからディーラーが販売している中古車は、安心して購入することができるのです。
ディーラーで中古車を探す場合、そのメーカーのブランド車種からしか選択できませんが、メーカーが決まっているのであれば、それはデメリットにはならないでしょう。
他の中古車販売店よりも割高にはなりますが、今回ご紹介した値引きの交渉術を実践していただき、少しでもお得にディーラーで認定中古車を購入しましょう。