車のバッテリーには寿命があります。車のバッテリーの寿命は、2年とか3年と言われることが多いですが、実際はどうなのでしょうか?寿命は少しでも延ばしたいと思うものです。車のバッテリーの寿命を延ばす方法はあるのか、逆に寿命を縮めてしまう原因は何なのか。最終的に車のバッテリーに寿命が来れば交換となります。今回は、車のバッテリーの寿命について、そして寿命がきた時の交換についてお話したいと思います。
目次
車のバッテリーの寿命は2~3年とよく言われるけれど本当?
車のバッテリーは、いつまでも永遠に使えるものではなく寿命があります。一般的に言われている車のバッテリーの寿命は2年~3年ほどです。これはバッテリーの保証期間からも読み取れます。だいたい24か月(2年)で長いものなら36か月(3年)に設定されています。
ただし、これは一般車向けのバッテリーの場合です。ハイブリッド車の補機バッテリーの保証期間は24か月(2年)がほとんどで一般車と変わりないですが、アイドリングストップ車用のバッテリーの保証期間はほとんどが18か月(1年半)と短めになっています。
アイドリングストップ車のバッテリーの保証期間が他のバッテリーに比べて短い理由としては、発進するたびにセルモーターを回してエンジンを始動させるため、他のバッテリーよりも負荷が多くかかるためです。
バッテリーの保証期間から読み取れる寿命はあくまでも一般的なものであり、車の乗り方や電装品の使い方次第でバッテリーの寿命は変化します。アイドリングストップ車の場合、アイドリングストップをOFFにすればバッテリーへの負荷は減り寿命は延びるかも知れません。同じ車で同じバッテリーを使っていたとしても、1年ちょっとで寿命が来ることもあれば、3年経っても寿命が来ないこともあるのです。
寿命の表現は月数や年数の期間だけ表示している場合と、期間と走行距離の両方を示しているものがあります。両方表示している場合、期間か走行距離のどちらか一方が先に到達した時点で保証期間は終了しますので注意しましょう。
車のバッテリー上がりと寿命の違い
バッテリー上がりと言われる症状とバッテリーの寿命が来た状態はどちらも電力がなく、セルモーターが回らずエンジンがかけられなかったり、ヘッドライトやルームランプが点灯しない、パワーウィンドウが動かないなどの症状は同じです。
バッテリー上がりと寿命の違いは「再び充電することができるかできないか」と言うことになります。一度電力を失ったとしても再び充電ができるバッテリーは再度使用可能です。寿命がきたバッテリーは充電する能力を失っているのでいくら充電を試みても充電されません。
もし愛車のバッテリーの電力が無くなってしまった場合、充電することで単なるバッテリー上がりなのか寿命が来たのかを判断できます。一般的な乗用車は12Vのバッテリーを使っていて、新品の時は12V以上の電圧があります。ですので、12V以上に充電されれば寿命はまた来ていないと判断でき使用可能でしょう。
しかし、そのバッテリーがもうすぐ2年や3年を経過するような使用期間であったり、バッテリー上がりの原因によっては、寿命と考えて早めに交換した方が良い場合もあります。
最近の車はエンジン制御のコンピューター化や盗難防止のセキュリティ機器、そしてナビやオーディオのメモリーをバックアップするために、車を走行させていない時やイグニッションをONにしていない時でも、常に微量の電力をバッテリーから消費しています。
そのため昨日まで問題なく動いていた車が、翌朝になって急にセルモーターが回らずエンジンがかからない、「バッテリーの突然死」に遭遇してしまうかも知れません。このような急なトラブルで困らないようにするためです。
車のバッテリーの寿命を延ばす方法
バッテリーの寿命を延ばすためには、バッテリーの電力が十分にある状態を維持し続けることになります。具体的な方法をいくつかご紹介します。
定期的な点検と充電を行う
定期的にバッテリーの点検を行います。点検内容はバッテリー液の残量が適量であるか、電力は十分にあるかなど。もしバッテリー液が不足していれば精製水(蒸留水)を補充し、電力が不足していれば充電を行うことで寿命を延ばすことが出来ます。3ヵ月~6ヵ月のペースで点検するのが良いでしょう。
暖機運転をしっかり行う
今の車のエンジンは昔に比べて製造精度が高くコンピューター制御されており、暖機運転無しで走り出すことが可能なため、十分な充電が行われないうちにバッテリーの電力を消耗していることがあります。
暖機運転というのは、いわゆるエンジンの準備運動なので行った方が良いのです。暖機運転でエンジンを動かしている間は、発電機であるオルタネーターが発電を行いますので、バッテリーは充電されることになります。
ただし、暖機運転中にエアコンやオーディオを付けていると、オルタネーターの電力がそちらに取られてバッテリーは充電されないので、暖機運転中は電装機器はOFFにしておきましょう。
定期的な走行を心がける
週末だけ車を使うファミリーカーよりも、毎日のように乗られている営業車の方が調子が良かったりします。車のような機械ものは、それなりに動かしておく方がコンディションを保てるからです。バッテリーに関しては、常にオルタネーターで発電された電力がバッテリーに送られ充電されます。
毎日は無理でも、ある程度の日数を定期的に走行することを心がけてみましょう。また、バッテリーの充電を考えて走行するときは、可能な限りエアコンや電装機器はOFFにしておきましょう。
取り外して保管する
冬の間など長期間にわたり車に乗らない場合でも、車にバッテリーを取り付けたままにしておくと、少しずつ電力が消耗されます。バッテリーを車から取り外して保管することで、バッテリーの電力消耗を抑えます。ただし、バッテリーを車から取り外すと制御しているコンピューターやナビ、オーディオのメモリーが消えてしまいますので注意が必要です。
車のバッテリーの寿命を縮めてしまう原因
車のバッテリーの寿命を縮めてしまう原因は「充電不足」と「放電過多」です。それぞれの具体例をご紹介します。
充電不足
渋滞する道を走る機会が多い
渋滞でノロノロ運転になるとエンジン回転数が下がるためオルタネーターの発電量が下がります。しかし頻繁にブレーキランプが点灯するなど、電装品類は常に作動しているため、オルタネーターで発電された電気はバッテリーの充電に回せず、逆にバッテリーの電力が消費されバッテリーの充電が不足してしまいます。
夜間走行する機会が多い
昼間の走行に比べて夜間は、ヘッドライトや車内のイルミネーションを点灯させるために電力消費量が大きくなります。そのため夜間走行する割合が多い車や、夜間にしか走行しない車のバッテリーは充電が不足しがちになります。
近所の買い物に毎日乗る
毎日乗ることは車にとってもバッテリーの充電にとっても良いことなのですが、近所の買い物のような近距離の場合は逆効果になります。近距離走行ではオルタネーターの発電する電力よりも、電装品類の電力商品の方が上回ることが多いからです。
たまにしか乗らない
車に乗らない期間の方が長いということは、エンジンをかけてオルタネーターを稼働させて発電する機会が少ないので、バッテリーは充電不足に陥ります。
放電過多
頻繁にエンジンを始動させている
1日のうちにエンジンの始動を何度もさせるような乗り方は、バッテリーの電力を大きく消費します。エンジンを始動させためにはセルモーターを駆動させるのですが、その時に使われる電力はバッテリーからの電力のみであり、消費される電力も大きいのです。また頻繁にエンジンを始動させるということは、一度の走行距離は少ないため、オルタネーターからの充電もままならないので、余計にバッテリーの電力は減少します。
消費電力の大きな電装品を装着している
社外品のカーオーディオなど、オルタネーターの発電量よりも消費電力が大きな電装品を使い続けると、バッテリーはオルタネーターからの電力で充電できない上に、バッテリー自体の電力も消費されてしまうため、バッテリーの電力はどんどん減少していきます。
猛暑や極寒で走る機会が多い
夏の猛暑が続く日や雪国などの極寒地域で車を利用する場合、長時間にわたりエアコンを使用することになります。また気温差が激しいために強めにかけることにもなります。エアコンの電力消費量は大きいため、エアコンを長時間そして毎日のように使用すると、オルタネーターの発電だけでは追い付かずバッテリーの電力も使うこととなり、バッテリーの電力は減少する一方なのです。
車のバッテリーが寿命を迎える前兆現象
バッテリーの寿命の定義は「充電する能力を失い、充電しても充電できない状態」になった時です。というこは、バッテリーに寿命が来たときは、バッテリーの電力が使われるだけ使われ続けて、いつかは無くなってしまうという流れになります。
しかし、このような現象はバッテリーに寿命が来た時だけではなく、バッテリーの充電不足や放電過多によっても起こるため、バッテリーの寿命を症状だけで見抜くのは難しいのです。しかし寿命かも知れない前兆を具体的に知っておけば、実際に起こった時にすぐに対処することができ、トラブルを未然に防ぐことが出来ます。
セルモーターの回転が弱くなる
セルモーターはバッテリーの電力のみで動かすものです。セルモーターの回転がいつもより弱いと感じたら危険信号です。
パワーウィンドウの動きが遅くなる
パワーウィンドウはエンジンがかかっているときはもちろん、エンジンが始動していない状態の「イグニッションON」でも作動します。エンジンがかかっているときはオルタネーターの電力でも動くため、エンジンが始動していない状態のイグニッションONの状態で確かめます。パワーウィンドウの動きがいつもより遅いと感じたら危険信号です。
パワーステアリングが重たくなる
電動モーターを使ってアシストしているパワーステアリングに限りますが、いつもよりステアリングが重たいと感じたら危険信号です。
ライト類が暗い
エンジンを始動する前のイグニッションONの状態で、インパネに点灯する警告灯類の明るさがいつもより暗いとか、エンジン始動後にヘッドライトの明るさがエンジンの回転数で変化する(回転数が高いと明るく、低いと暗い)と感じたら危険信号です。
ホーンの音が小さい
ホーンは頻繁に使うことが無いので普段と比べにくいと思いますが、バッテリーの電力が落ちるとホーンの音量は小さくなります。簡易的に今のバッテリーの電力がどれくらいなのかを知る方法として、エンジンを始動せずヘッドライト、ウインカー、ブレーキランプを点灯させてホーンを鳴らすという手法があり、この時ホーンの音が小さかったり鳴らない時は危険信号です。
バッテリー液の減りが早い
バッテリー液が減少するメカニズムは、バッテリーの容量以上に充電エネルギーが加えられる「過充電」の時に、バッテリー液の水の分子が電気分解により酸素ガスと水素ガスになり、ガス抜き穴から放出されるためです。バッテリーの寿命が近づけば充電容量も減少しますので、バッテリー液の減りが早くなれば、そろそろ寿命と考えて良いでしょう。
バッテリー本体が膨張している
バッテリーは経年劣化すると、内部で化学反応が起こることでガスが発生し、バッテリー本体が膨張します。この場合は寿命が確定しています。
車のバッテリーの交換方法と費用
バッテリーが寿命を迎えてしまったら交換となります。交換方法はディーラーやカー用品店に依頼する場合と自分で交換する場合があります。それぞれの方法と費用をご紹介します。
ディーラーやカー用品店に頼んだ場合
車に詳しくない人は、車を購入したディーラーや近くのカー用品店に依頼して交換してもらうのが無難で安心です。ただし、寿命が来てからでは車を動かせないので持っていくことが出来ません。無料で取りに来てくれるなら良いですが、料金をさらに取られるか、取りに来てくれない場合もあります。寿命の前兆が来たらすぐに持ち込むようにしましょう。
費用は車種や依頼するところによって違いがあります。工賃は一般車やアイドリングストップ車で1,000円ほど、ハイブリッド車では3,500円ほど。バッテリー本体は選ぶメーカーや性能によって5,000円~30,000円ほどと開きがあります。純正品なら15,000円~20,000円くらいが相場になります。
自分で交換する場合
自分で交換する場合は工賃が無くなりますので、依頼するよりも安くなります。費用を安くあげるもよし、その分の費用をバッテリー本体代に回して、以前よりも性能が良いものを選ぶことも可能です。ただし、感電による怪我やショートさせて車を故障させないよう十分に注意しましょう。
まず事前に、ゴム手袋(絶縁対策)、工具(ナットを外すためのレンチ)を用意します。メモリーをバックアップしたい場合はバックアップ電源も用意します。そして購入した新品のバッテリーです。
ボンネットを開け、バッテリーを見つけます。バッテリー上部をステーで固定されていますので、レンチを使って2か所のナットを外しステーを外します。
メモリーをバックアップしたい場合は、バッテリーを外す前にバックアップ電源を接続します。後でバッテリーからバッテリーケーブルを外すので、取り外しの邪魔にならないところに接続します。先にプラス側のバッテリーケーブルにバックアップ電源のプラスを接続、次にマイナス側のバッテリーケーブルにバックアップ電源のマイナスを接続します。
バッテリー端子からバッテリーケーブルを取り外します。必ずゴム手袋を着用して作業しましょう。先にマイナス側から外します。レンチがが端子やボディなどの金属に触れないように注意しましょう。次にプラス側を外します。どちらのバッテリーケーブルも端子に触れないように注意しましょう。
バックアップ電源がバッテリーケーブルから外れないように気を付けながら、古いバッテリーを上から引き抜くように取り外します。そして購入した新品バッテリーを入れます。
バッテリー端子にバッテリーケーブルを取り付ける順番は、プラス側を先に取り付けます。必ずカバーも元に戻して装着しましょう。そしてマイナス側を取り付けます。バッテリー端子とバッテリーケーブルが外れないようにしっかりナットを締め付けます。
最後にバッテリー上部をステーを取り付けて固定します。1か所を集中してナットを締め付けるとバランスが悪くなりますので、ナットはある程度締め付けたら反対側も同じくらい締め付けるように交互に締め付けましょう。バッテリーを手で動かそうとしても動かなければ、取り付け完了です。
まとめ
知らないうちにバッテリーの寿命を迎えてしまうと、車は動かなくなり大変困ることになります。このようなトラブルを未然に回避するためにも、バッテリーの寿命はどれくらいの年月が経つと来るのか、寿命が来るかもしれない具体的な前兆はどんなものかを知っておくことが大切です。