2010年に衝撃的なデビューを果たしたホンダのCR -Z。このモデルは販売台数自体は少ないものの発売以来多くの注目を集めました。ハイブリッドシステムによる快適な走りと低燃費。それでいてスポーツ走行を楽しみたい層にもアピールできるという稀なコンセプトは実に贅沢なものです。それだけに流通量が少なく、人気も高いという高価買取の条件を満たしています。
ただし油断は禁物です。いくら車種がいいからといっても高い評価を得なければ高くは売れません。そこで、査定評価を下げないコツもお伝えします。
目次
ハイブリッド搭載ホンダのCR-Zの特徴
CR -Zの魅力を一言で表現するなら、ハイブリッドエンジンによる低燃費、快適な走りもスポーティーな走りも楽しめる個性的な車ということになります。それまでのハイブリッド車といえば、燃費つまり環境性能に配慮したエコな車が一般的なイメージでした。ホンダはそこに、「走る楽しさ」を追求するモデルを投入してきたのです。
エンジン
この車のエンジンは、1.5Lのi-VTEC搭載エンジンに100V(後に114V)薄型DCブラシレスモーターを組み合わせて118〜156PSを発生させるハイブリッドシステムとしています。
ちなみにi-VTECとは、シリンダー内のガソリンの入り口(バルブ)を制御するシステムです。低回転時は2つある入り口のうち一つを休止し、高回転時には両方使います。こうすることで低回転時にはトルク重視のエンジン特性、高回転時には出力重視のエンジン特性となるのですね。実はi-VTECだけでもかなり快適なエンジンなのですが、さらにここに電動モーターが加わります。
電動モーターは、低回転時に最大トルクを発揮し一定の回転数まで維持した後、回転数が上がるほどトルクが落ちる特性なのです。
ですから、低回転に強いモーターと高回転に強いガソリンエンジンを組み合わせたハイブリッドエンジンは実はスポーツ走行に向いているのです。そこに目をつけて、快適で気持ちのいいエンジンと専用6MT、パドルシフト機能付きCVTを組み合わせてスポーティな走りを実現したのです。
デザイン性
また、往年のCR–Xを思わせるフォルムも魅力的ですね。遠くから見てもそれとわかる個性的なデザインで、大き過ぎず小さ過ぎず、走りや燃費には興味がなくてもデザインで惹かれることもあるのではないでしょうか。
これだけ至れり尽くせりのCR−Zにも弱点があります。それは、2+2のシートということで、後席は大人が乗るのには少し窮屈かもしれません。ただハッチの荷室は大きめなので、後席を倒してたくさん荷物を積むことはできます。
快適な走行と低燃費の両立
CR -Zには走行シーンに合わせてECON、NORMAL、SPORTの3種類から選べる3ドライブモードシステムを採用しています。
電動モーターやCVT、パワステ、エアコンを制御することで、車の走行性能を変化させるシステムです。
NORMAL を基準としたときに、ECONは快適性や低燃費を強調したモード、SPORTは走りを強調したモードとなります。
そして注目すべきは、快適でスムーズに走り、なおかつ低燃費を実現しているのです。
カタログ値でガソリン1Lあたり20~22km前後と、ハイブリッド車は30km以上当たり前に走る時代においてはやや出遅れ気味ともいえます。ですが、快適性や走行性能を考えれば仕方ないのかもしれません。
マニュアル車のような感覚が楽しめるパドルシフト搭載
CR -Zのトランスミッションは、6MTとCVTから選べるのですが、これが実に悩ましいところ。なぜかというと走りを楽しむならマニュアルと思いきや、CVTがとても良くできているからです。ハンドルの脇についているパドルを操作することで、マニュアル車のような感覚が楽しめるのです。クラッチの操作がいらない分、ハンドルに集中できるメリットもあります。
CVTは本来、無段階変速装置(自転車のベルトのようなもの)なので、ギアチェンジとはいえないのですがシフトチェンジの感覚を再現したものということになるようです。
現在のモータースポーツシーンでも、3ペダルは影を潜め、パドルシフトが一般的になりつつあります。むしろトップスポーツになればなるほどパドルシフトに移行しています。
こちらは、ギヤボックス内にあるギヤの変速を、ハンドルに付いているパドルで操作するというだけで構造的にはマニュアル車に近いものになります。構造は違えどもパドルで操作するのは同じですから、自家用車でF1の気分が味わえます。昔ながらの3ペダルMTも気持ちのいいものですし、どちらが良いか迷ってしまいますね。
CR-Zが高額買取されるホンダの販売事情
CR -Zが欲しいという声が多いためか、中古市場では高値安定です。逆をいえば、高額買取が期待されます。
これには理由があり、ホンダはCR -Zの販売に力を入れてきませんでした。同じハイブリッドならインサイトの方がよく売れたのもあるでしょう。後席が狭いのも、低燃費と走りを実現している点も幅広いユーザー層にアピールできるものではありません。つまり、ピンポイントにファンがいる、ちょっとマニアな存在だったのです。
そのような存在感が、かえって車好きの心をくすぐるのかもしれませんね。
デビュー当時も月間1,000台を目標にしていましたが、自家用車の販売目標としては少ない数字です。発売当初は一気に売れたものの、その後は停滞の一途を辿ったため、中古市場での希少価値が高く人気も落ちません。結果、需要と供給のバランスで高値が付いたというわけです。
高額買取を維持するCR-Zの相場推移
登場したのが2010年と新しいこともあり、高額買取を維持してきたCR -Z。発売年度が新しいことでリセールバリューが高い車種といえます。中古市場(買取ではなく販売額)でも以前は2~300万円台が普通で100万円を切ることはあまりありませんでした。近年になり低年式車になると100万円を切る車両がでてきたという状況です。
これには理由があります。
2012年のマイナーチェンジで、ハイブリッドに欠かせない充電バッテリーが、ニッケル水素バッテリーからリチウムイオンバッテリーに変更されています。変更後は、電動モーターの出力も100Vから114Vに変更され出力が向上しました。
それにより後期型が人気ということもあります。さらに影響するのは、新車で購入するとバッテリーは5年間又は10万kmのメーカー保証が受けられるのです。
しかし、低年式車だとその保証が切れてしまって受けられません。つまり、新しいバッテリーを積んでいる又はメーカー保証が受けられる年式であればそれだけで高値が期待できます。
CR-Zを高く買い取ってもらうには
ではどのようなことに気をつければCR-Zを高く買い取ってもらえるのでしょうか?ここからは、高価買取のためのポイントをまとめてみました。
買取査定は、ちょっとしたことで査定金額が変わるもの。条件に当てはまっていたら高額査定が期待できます。
走行距離は4万km以内が理想的
バッテリーの保証は10万kmとはいえ、8~9万kmも走っていたら買い手は警戒してしまいますね。どんなに丁寧に乗って、メンテナンスをマメに行ってもそれがわかるのは整備士ぐらいでしょう。やはり走行距離は少ないに越したことはありません。
だいたい4万km以内に収まっていれば理想的といえるでしょう。
軽量アルミホイール装備
装備面でのポイントは軽量アルミホイールです。「α」ではオプション設定、「αマスターレーベル」や特別仕様では標準装備でした。17インチのアルミホイールは見た目もおしゃれで人気があります。走りを志向する買い手からしてもカッコいいだけでなく、走行性能の向上も魅力的です。このようなニーズが高いことを考えると、買取業者も評価せざるを得ないでしょう。
人気グレードはαファイナルレーベル
人気の高いグレードはやはりα ファイナルレーベルでしょう。2017年初頭の販売中止決定を受けて製作されたグレードだけに、ホンダも気合を入れて作り込んでいます。内外装の専用装備と専用カラーが選べるとともに販売期間が短く、希少性が非常に高いのです。つまり高年式で、流通台数が少ないのです。もし、このグレードを所持していたらチャンスです。
CR-Zの買取額を下げるのはステアリング周りの汚れ
CR-Zのステアリング周りにはたくさんのスイッチがついています。ステレオ、クルーズコントロール、走行モードの切り替えなどサポートシステムが詰まっているのです。ここの汚れが目立つと評価を下げてしまうことがあります。よく触る部分なので汚れやすいですが、日頃から清潔に保つようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?CR−Zは、快適性、走り、燃費、積載性といった様々なニーズを上手に満たした贅沢なコンセプトで人気を博しました。
しかし、販売台数が伸びなかったCR−Zは中古市場では流通量が不足気味なので、売りたい人にとっては好機とみるべきでしょう。希少性の高い車だけに、大切に長く乗ってあげられるのが一番とは思いますが、買取を考えている人はぜひ参考にしてくださいね!