愛車を事故で破損させてしまった場合、その事故車を修理をして乗り続けた方が良いのか、どうせなら事故車を廃車にして買い替えした方が良いのか悩んでしまう場合があります。事故車を修理するのか買い替えるのかの判断基準には、いくつかあるために悩んでしまいますよね。判断基準は何か、どう決断すれば損がないか、などをお伝えしていきます。
目次
事故車は修理か買い替えか
事故を起こして破損してしまった事故車を修理して乗り続けるのか、新しい車に買い替えるのか、悩んだ時に取るべき行動をお伝えします。
結論を急がない
愛車が事故車となってしまったら、それまでの姿とは違い痛々しい気持ちになったり、運転していて違和感を感じたりと気が気でないと思います。一刻も早く愛車を何とかしたいと気持ちが焦ってしまいますが、焦る気持ちで結論を急いでしまっては最適な判断、決断ができないことが多くあります。違う選択、判断をしていれば費用が安く済んだのにとか、もっと早く修理ができたのになどと後悔することにつながってしまいます。
愛車が不運にも事故車になってしまった時こそ、一呼吸おいて冷静な目で愛車の破損状況を見るようにしましょう。具体的に愛車の破損状態をどのように対処するのが最適なのかを間違わずに判断するためにも、愛車の状態を冷静に見ることが必要です。
廃車にするメリットとデメリット
事故車となった愛車を修理するのではなく、廃車にして新しい車に買い替えると決断した場合、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
メリット
事故車となった愛車の破損状況があまりにもひどく、下取りや買取では値段がつかないうえに廃車費用が請求されるような場合は、廃車にして、廃車買取専門業者に買い取ってもらいます。
車としての価値がない状態では下取りや買取という車の価値を査定する場に出しても値段はつきませんが、部品取り車としての価値があるならば、部品の価値を査定してくれる廃車買取専門店に買い取ってもらい、廃車にしてしまう方が得になります。
デメリット
廃車のデメリットは、ユーザーの心理面に出てきます。とても大切に世話をしていたペットが死んでしまうと心にポカンと穴があいたようになってしまう状態が、愛車を廃車するユーザーにも起こるのです。車が好きなユーザーほどこの心理面のデメリットは大きくなります。大切に乗っていた愛車がスクラップにされて二度と走れないだけでなく、この世からなくなってしまうのはとても辛いことなのです。
買い替える為の判断基準
愛車が事故によって破損してしまい、修理よりも買い替えた方が良いと決断するには、どのような基準で判断すればよいのでしょうか。
事故車の年数
事故車となった愛車を買い替えると決断する判断理由のひとつ目は、事故車の年数です。新車で購入した車ならば、購入した年=年式となります。中古車で購入した場合は購入した年と車の年式は違います。判断するために見る事故車の年数は、新規登録された年式になります。例えば2008年式の日産ノートを2012年に中古車で購入した場合、見る年数は年式の2008年となります。事故車の年数が、買い替えるかどうかの判断基準になる理由は以下のようになります。
- 年式が13年以上経過すると自動車税が高くなる
- 年式が古い場合、今後も故障などの修理で費用がかさむ可能性がある
- 年式が古い場合、事故車の状態でもお金をかけて修理した数年後でも買取価格や下取り価格が変わらない可能性がある
一部のレアなプレミアムカーを除いて、年式が古ければ古いほど修理をして乗り続けるよりも、買い替えした方が多くのメリットが出ると思われます。
外観に影響が出る
事故車となった愛車の外観(エクステリア)の破損状況が、安い修理費用の板金修理レベルで元のエクステリアに戻るのならば修理の選択になると思いますが、修理では元のエクステリアに戻せないような破損状況の場合、買い替えを決断せざるを得ない場合があります。
見た目が変わってしまうことにユーザーが納得できない場合もありますが、ヘッドライトなどの重要保安部品に不具合が出たり、走行中の空気抵抗からくる操縦の不安定感がでるようであれば、買い替えを決断すべきでしょう。
安全性
事故車となった愛車を買い替える判断基準の一番は「安全性」です。いくら安い費用で修理ができるとしても、エクステリアが元に戻せるとしても、安全に走行できなければ意味がありません。車の買い替えの判断基準となる具体的な安全性は以下のようになります。
- エンジンからのオイル漏れが止まらない
- ハンドルを真っ直ぐにしているのに、真っ直ぐ走らない。
- ハンドルを切っても思い通りに曲がらない
- 走行中、常にブレーキが引きずられている感じがする
- ブレーキの効きが今までよりも悪くなっている
車の基本性能である「走る・曲がる・止まる」を確実に実現できない車は安全な車とは言えません。車の安全性がもっとも損なわれる損傷個所はフレームと言われています。フレームとは骨組みのことです。フレームが曲がったままで元に戻らない場合、車は素直に走らなくなります。それだけで安全性は損なわれます。
事故車を修理した方がいい場合
事故車となった愛車が修理をすることで元の状態に戻せることが前提ですが、修理した方が良いと判断できる場合は、どのような時なのでしょうか。
車検を通して間もない
事故車となった愛車を修理した方が良いと判断する状況のひとつに、次の車検がいつなのかが重要になってきます。例えば新車で購入した愛車が購入してから6ヵ月で事故車となった場合、次の車検は2年6ヵ月後になります。新車以外の場合は2年ごとに車検が来ますので、車検を受けてから6ヵ月で事故車となった場合、次の車検は1年6ヵ月後となります。
車検は、車種にもよりますがおよそ10万円前後~20万円近くの費用がかかってしまいます。車検がすぐに切れるタイミングで事故車となった場合は、わざわざ修理をして次の車検も受けるとなるとかなり大きな出費がかかるため、買い替えという選択にメリットが出ますが、車検を通して間もないタイミングで事故車となった場合は、修理をして次の車検まで乗り続ける選択にメリットが出る可能性が高くなります。
買い替える余裕がない
本当は、事故車になったことをきっかけに新しい車を買い替えたいと思っても、買い替えるだけの貯金がなかったり、無理なローンを組まなければならないような金銭的に余裕がない場合は、買い替えは避けたほうが賢明でしょう。
修理見積もりが安い
事故車となった愛車を修理した場合と、新しい車を買い替える場合のそれぞれの費用を見積もってみて、修理費用の見積もりの方が安い場合は修理を選択した方が賢明です。修理を選択した場合、費用面でのメリットもありますが、今まで乗りなれていた車を乗り続けることができることも大きなメリットとなるでしょう。
事故車を買い替えした方がいい場合
事故車となった愛車を買い替えした方が良いと判断できる場合は、どのような時なのでしょうか。
修理見積もりが高くなる事故
事故車となった愛車を修理せずに、新しい車に買い替える方が良い場合は、買い替えの見積もり金額よりも修理見積もり金額の方が高くなった場合です。修理にいくらお金がかかっても愛車を修理して乗り続けたいという方なら別ですが、費用が安くすむ新しい車を買い替える方を選択することが賢明でしょう。ちなみに修理費用が高くなるパターンは以下のようなものです。
水没
大きな地震が原因の津波や異常気象による豪雨などで、車が水没してしまうことがあります。車は、排気ガスが出るマフラーの高さよりも水位が高くなると、マフラーから水が入り、その水がエンジンにまで到達します。エンジンに水が入ってしまうとエンジンを修理するには分解(オーバーホール)しなければなりませんし、分解しても修理できないこともあります。また室内にも水が入り込み、シートや内装がひどく汚れたり悪臭がついたりします。
自走不能
事故車が自走不能となる原因の多くはエンジン系の故障です。エンジンは車を走らせるための動力を発生させる装置なので、エンジンが動かなくなれば車は自走不能となります。エンジンが動かなくなる故障として多いのが<焼き付き>です。エンジンオイルの劣化や減少など、理由はいくつもありますが、一般的なエンジンはシリンダーという筒の中をピストンという円柱が高速で上下運動しています。
この金属同士の摩擦が軽減されず摩擦部分が金属が溶けるほどの高温となってしまうとシリンダーにピストンが焼き付いてしまい、エンジンは動かなくなってしまいます。こうなるとエンジンはほぼ修理もできない状態となり、エンジンを乗せ換える必要があり、かなりの修理費用がかかります。
精神的原因で車を替えたい
車の買い替え費用よりも修理費用の方が安くても、買い替えを選択する場合があります。それはユーザーの精神的原因によるものです。
例えば交通事故が原因で愛車が事故車となった場合です。事故車となった愛車が、買い替えよりも修理の方が安くて元に戻るとしても、その愛車に乗るたびに交通事故を思い出してしまい、精神的に苦痛になってしまう場合は、いっそのこと事故車を修理せず廃車にして、新しい車を買い替える方が良いかもしれません。
事故車の保険対応について
任意保険には、車両保険というものがあります。車両保険に加入しているとどのようなメリットがあるのでしょうか。
車両保険について
事故車となるパターンはいろいろあります。単なる故障から単独事故によるもの、相手方がいる事故などさまざまです。事故車となった原因によっては、この車両保険の保険金が下りて修理費用を自己負担することなく修理や買い替えができる場合があります。
車両保険には種類がたくさんあり、どの程度の事故内容までを補償するのか、どれだけの費用を負担してくれるのかなどは保険会社や保険の種類、車両の時価額、保険の掛け金によって変わってきます。
一度、自分の愛車にかけている任意保険を確認し、車両保険に加入しているのか、どんな内容の車両保険に加入しているのかを確認してみましょう。
全損の種類
車両保険において、事故車が全損として取り扱われるパターンは3つあります。具体的には以下になります。
- 車が修理不可能なまでに破損をしてしまった場合
- 車が盗難に遭って発見できない場合
- 修理費用が車両保険の保険価額以上になってしまった場合
1の車が修理不可能なまでに破損とは、車のフレームが曲がってしまったり、エンジンが修理では直せないような状態のことで、全損のイメージ通りだと思います。それ以外にも2と3のパターンでも車両保険では全損として取り扱います。3のパターンは気を付けてほしい内容です。
例えば、修理費用は100万円となり、事故車にかけていた車両保険の保険価格が70万円だった場合、事故車が修理可能な場合であっても全損として取り扱われます。
全損として取り扱われた場合、原則として車両保険の保険価額(補償上限)がそのまま支払われます。そのため、先ほどの例でいえば、修理するのに100万円かかるとしても、受け取れる保険金は70万円までとなります。
自分が被害者か加害者か
相手方がいる交通事故が原因で愛車が事故車となった場合、自分が被害者なのか加害者なのかで補償される内容が変わってきます。
もし、自分が加害者の場合は、過失割合に応じて被害者である相手方に対人保険や対物保険で相手方の被害額を補償することになります。自分の愛車の保険金は自分の車両保険からの保険金のみとなります。
しかし、自分が被害者の場合で、加害者である相手方が被害者に対して補償する対人保険や対物保険に入っていれば、過失割合に応じて相手方の保険からも保険金を受け取ることができます。
もし、自分の車両保険の保険金だけでは修理費が足りない場合でも、相手方の保険金がプラスされることで足りない分の修理費がカバーされ、修理費全額が自己負担なしになる場合もあります。
まとめ
大切な愛車の万が一のために車両保険には入るべきでしょう。そして愛車が事故車になった場合、修理で対応するのか、買い替えで対応するのかは、この記事で判断材基準を理解した上で、費用面で判断するのか、精神面で判断するのかをご自身で納得いく形で選択してください。