長い間、同じ車に乗っていると、エンジン音が大きくなったり、エアコンの効きが悪くなってしまったりと様々な不具合が発生します。多くのこういった不具合は、修理して治すことが可能ですが、どうしても修理ができない場合は廃車にするしかありません。
廃車になると、引き取ってもらうのにお金がかかる場合もありますが、買取してくれる場合もあります。
そこで今回は【廃車の買取】について徹底解説します!10年、15年と同じ車に乗っていれば、そろそろ廃車を視野に入れる必要があります。愛車を手放すのは名残惜しいですが、廃車の準備を進めていきましょう。
価値の付かないイメージのある廃車ですが、買取店の選び方次第では価値を付けて買い取ってもらえるのです。今回は【廃車を買取してくれる理由】をはじめ【廃車買取の注意点】や【廃車の買取業者を選ぶポイント】まで詳しくご紹介していきます!廃車の知識をしっかりと抑えて、快適なカーライフを送りましょう!
廃車の原因
まずは「そもそもなぜ廃車が存在するのか?」「なぜ廃車になるのか?」といった素朴な疑問に答えていきます。文字通り「廃れた車」という意味があるのですが、廃車の原因にはさまざまなものがあります。具体的なものをいくつか挙げているので、以下のことを抑えておきましょう。
年数が経つことによる「経年廃車」
まず、廃車になる原因として最も多いのが【経年廃車】です。経年廃車とは、文字どおり「年数が経ったことでの老朽化などによる廃車」のこと。当然ながら、長いあいだ車に乗っていると、あらゆるパーツが古くなっていき、だんだんと性能が落ちていくわけです。代表的なのがエンジン。車の原動力であるエンジンも、時間が経てば性能が下がっていきます。その他にもホイールやブレーキ、ラジエーターなどといったパーツに支障が生まれてくることでしょう。10年あるいは100,000kmを超えた車に乗っている場合、そろそろ廃車を視野に入れておく必要があります。
不意の故障などによる「余剰廃車」
2つ目の原因として挙げられるのが【余剰廃車】です。又の名を「用途廃車」とも言われており、主にトラブルや不意の故障などによる廃車を指します。直せる範囲の故障であれば直しても良いのですが、思いのほか費用がかさんでしまうケースも多いです。後になって「故障を直すくらいなら新しい車を買った方が良かった・・・」となることもあるので、費用面を視野に入れながら「故障を直してこのまま乗り続けるのか?」「それとも廃車にするのか?」をしっかりと考えていく必要があるでしょう。
また、年式の古い車種やマイナーな車種の場合、「修理しようと思ったけど部品がない」というケースも考えられます。その場合、廃車にせざるをえないこともあるので、珍しい車を持っている場合は注意しておきましょう。
事故や災害による「事故廃車」
3つ目の原因として考えられるのが【事故廃車】です。文字どおり「事故や災害によって処分せざるをえなくなった廃車」のことを指します。交通事故によって車の骨組み部分であるフレームが大きく損傷したり、エンジンが機能しなくなったりすると、廃車を考えなければなりません。
また、冠水などによって車が水没してたことで動かなくなったり、地震などによって故障を招いたりと、災害によって廃車にせざるをえないケースもあります。
交通事故や災害の場合、車への負担がかなり大きいです。たった一回の事故や災害でも大きなダメージを受け、それが原因で使い物にならなくなるケースが多いです。
廃車を買取してくれる理由
専門の買取店に持って行けば、たとえ廃車であっても買い取ってもらうことが可能です。そこで「なぜ廃車なのに買い取ってもらえるのか?」という疑問が生まれますよね。もう車としては機能しないのに、なぜ買い取ってもらえるのか。それらの疑問について具体的に解説していきます。
廃車には「車そのものの価値」がない
廃車とは「廃れた車」を意味しています。先述したように、すでに使い物にならなくなった車が廃車として持ち込まれるため、基本的には「車そのものの価値」がありません。ほとんどの廃車は、運転すらままならないため、「運転する以外の方法」で利用する必要があります。それゆえに【廃車専門の業者】が存在するわけです。専門業者は、特殊なルートで廃車を再利用することで、出来る限り価値を付けてユーザーからの買取を可能としています。
海外で需要がある
廃車は日本国内での需要がほとんどありませんが、海外での需要はまだまだ期待できます。なかでも廃車は、東南アジアやアフリカなどの「後進国」と呼ばれる国々に対して多く輸出されており、高い金額で取引されているのです。なぜ廃車が後進国で売れるかというと、これらの国々は鉄道などの「交通インフラ」が整っていません。そのため、止むを得ず車を使うしかないのです。東南アジアなどの市街地を見ても分かりますが、車やバイクの数がとにかく多く、道路はいつも渋滞となっています。
またハイエースなどの「ひとまわり大きいワゴン車」はタクシーとしての役割を果たしており、現地では【金を生んでくれる車】として重宝されているわけです。要するにビジネスに役立つ車種は、日本国内では廃車であっても、海外では高い人気を集めているということです。
さらに、世界的に見ても「メイドインジャパン」の信用はきわめて高いです。例えばトヨタの車を例に挙げると、東南アジア諸国の道路を見渡すと、いたるところにトヨタ車が走っています。またホンダ車なども見かけます。日本車は「ブランド」や「性能」ともに世界トップクラスを誇っており、信頼されているのです。
「鉄・スクラップ」としての価値がある
「廃車は車そのものとしての価値がない」と説明しましたが、逆に【鉄やスクラップとしての価値は残っている】と言えます。言ってしまえば自動車は「鉄の塊」なのです。車本体のままでは価値を生みませんが、スクラップ工場などでプレスすることで鉄の塊へと形を変え、それを利益にすることが可能になります。スクラップ工場などに持って行った場合でも十分に価値は付きます。車としての価値がゼロだったら車でも、鉄の塊にすることによって数万円の価値が付くケースもあるのです。
またスクラップにする場合、「年式」「走行距離」などは一切関係ありません。どんな車であってもプレスしてしまえば関係ないのです。そのため、損傷がひどい車や使用できない車であっても買取金額が付くわけです。
代車などの目的に利用できる
基本的にもう使用できない廃車ですが、その中でも「自動車としてもう一度使える廃車」が存在します。例を挙げるとすると、年式が15年前のものでも走行距離が100,000km以内のものであれば、廃車になっていたとしても、整備工場などでしっかりとメンテナンスを行うことで再び走行が可能となるのです。
ただ、こうして再利用される廃車は、基本的に一般向けには販売されません。大衆向けに売り出すのではなく、中古車販売店における「代車」として利用したり、訳あり低価格の車販売を専門に行っている業者などに流したりします。
廃車買取時の注意点
続いて【廃車買取をするときの注意点】をご紹介します。廃車買取は、一般的な車買取と比べて「車を持っていく業者」「売ったあとの流通ルート」などが大きく異なるのです。それに伴っていくつか覚えておきたい注意点があるので、ここで解説していきます。
車の所有者が誰なのか確認する
廃車時に確認しておくべきなのが【車の所有者】です。車検証の「所有者欄」に記載されているのでしっかりと確認しておきましょう。所有者は必ずしも本人とは限りません。ディーラーやローン会社が所有者となり、本人は「使用者」に位置付けられているケースもあるので注意が必要です。車の廃車は「所有者」にしかできないので、事前にきちんと確認しておきましょう。
リサイクル料を確認する
リサイクル料を支払っているかどうかも確認しておく必要があります。リサイクル料は、車を廃車にする際のリサイクルにかかるお金のことです。またそのリサイクル料は「廃車を依頼する人物」が負担する決まりになっています。
ただ、リサイクル料は車の購入時にすでに支払っているケースがほとんどです。その証拠書類として「リサイクル券」というものが手元にあるはずなので、しっかりと確認しておいてください。もし失くしてしまった場合は、「自動車リサイクルシステム」のHPにて専用ページを印刷することで代用可能です。
還付金の有無を確認する
車を手放すときに忘れがちなのが【還付金】です。なかでも「自動車税」や「自賠責保険料」は還付金を受け取れる可能性があります。自動車税の場合、毎年4〜5月に1年分を「前払い」するシステムになっているため、年度末までに車を売却した場合、還付金として残った額を受け取れるわけです。ただ、これは普通自動車に限った話です。軽自動車だと還付金は発生しないのでよく覚えておきましょう。
キャンセル料について確認する
廃車契約のキャンセル料が発生するのかしないのかも確認しておきましょう。キャンセル料の発生有無は買取店によって異なります。なかでも「自力で走ることができない車両」「車両移動に人員が必要な車両」の廃車を依頼したのにも関わらず、キャンセルをした場合はキャンセル料が発生します。契約については口約束でも成立するので十分に注意しましょう。車買取では、複数の買取店に査定依頼を出しているケースもあります。その場合、契約を焦ってはいけません。「依頼するときは再度連絡します」という風に伝えましょう。
解体費用について確認する
廃車の際には【解体費用】についても確認しておきましょう。解体費用とは、文字通り「自動車を解体するためにかかる費用」のことです。基本的に解体費用はかかりませんが、業者によっては請求してくるところもあります。
また解体費用は「リサイクル券」を持っていれば原則不要になります。もしリサイクル券を失くしている場合でも、一度登録されているため再度費用を支払う必要はありません。あくまでも「買取」を依頼しているわけですから、そこで解体費用を支払っていては元も子もないですよね。業者によってシステムが異なるので、事前によく確認しておいてください。
廃車の買取業者を選ぶポイント
それでは最後に【廃車の買取業者を選ぶポイント】をご紹介します。廃車を手放すとき、普通の業者に持っていっても、門前払いをされるか価値が付けられないのがオチです。そうならないためには、最初の「業者選び」がきわめて重要になります。損しないためにも、以下のポイントを確認しておきましょう。
リサイクル工場を所有しているかどうか
廃車の買取業者を見極めるための重要なポイントとして挙げられるのが【自社でリサイクル工場を所有しているかどうか】です。また、リサイクル工場があればOKというわけではなく「国が認可した工場」である必要があります。
そもそも国から認可を受けていなければ車の解体はできません。そのため、車を廃車にする際、リサイクル工場を所有していない業者に依頼すると「廃車買取業者」と「解体業者」の2つに足を運ばねばならず、時間・コスト共に大幅なロスとなってしまうわけです。そうすると正しい査定すらも受けられません。正しい方法でより安全に廃車買取を依頼するためには、業者のホームページなどを確認しながら、国からの認可を受けているかどうかを見ておきましょう。
税金や保険周りの説明をしているかどうか
先述しましたが、自動車にまつわる税金や保険料は【還付】されるケースがあります。その旨について業者側がきちんと説明しているかどうかもチェックしておきましょう。必要書類の準備を除いた一連の手続きは業者側が行ってくれることになりますが、廃車手続きにて発生した還付金については、基本的に依頼者に戻さなければなりません。それを知っているのにも関わらず、還付金の説明がなかったり、説明があいまいになっている場合は要注意です。本来還付金となるはずのお金を「手数料」と偽って着服する悪徳業者も存在するので、十分に注意してくださいね。
海外と取引している業者かどうか
廃車買取業者選びのひとつの基準にしておきたいのが【海外と取引しているかどうか】です。先述したように、廃車は海外で需要があります。そのため、海外に販売ルートを持っている業者は利益を出している可能性が高く、高い買取金額を付けてくれやすいと言えます。さらに欲を言えば「ひとつの国だけでなく複数の国に輸出ルートを持っている業者」を選ぶのがオススメです。販売先が多ければ多いほど利益も生み出しやすくなりますので、「海外」というキーワードも意識しながら廃車買取業者を選びましょう。
「廃車にした後」のことまで教えてくれる業者かどうか
「この車を廃車にした後どうなるか」を教えてくれる業者を選びましょう。サービスの質が低い業者だと、ここの説明がおざなりになっていることが多いです。優良企業であれば、この車をどのように扱って、どのようにリサイクルするかまで、初心者にも分かりやすく教えてくれるはず。基本的にユーザーとのコミュニケーションが親切で、説明も詳しくしてくれる業者は信用しても大丈夫です。逆に少しでも違和感を抱いたら、一度立ち止まって、分からないことは全て聞くようにしましょう。
異常に高い買取金額を提示していないかどうか
廃車買取時によくあるトラブルの原因のひとつに【異常に高い買取金額を提示してくる】があります。高額査定を受けると嬉しい気持ちになりますが、これが落とし穴になっている可能性があるので要注意です。最初に高い査定額を提示して契約まで結ばせておきながら、後になって「車に不具合が見つかった」「査定額が下がるかもしれない」と言って大幅に減額するわけです。ある意味詐欺のような手口ですよね。このような悪徳業者も存在しているので十分に注意しましょう。
悪徳業者が混じっていることがあるので注意
今や中古車市場はかなり大きな規模になっています。それに伴って買取店も急増しており、全国各地どこにでも店舗がありますよね。廃車買取店も同じです。自動車の数に比例して買取店の数も増えているため、その分「悪徳業者」も増加しています。
上記で説明したように税金や保険の説明がきちんとなされているのか、認可を受けた工場を持っているのか、異常に高い買取金額を提示してこないか、など気をつける点はいくつもあります。快適なカーライフを送るためにも、業者選びには慎重になるべきです。注意深く業者を見ながら、廃車手続きを進めていってくださいね。
まとめ
廃車の買取について徹底解説しました!いかがでしたか?
価値が付かないイメージのある「廃車」ですが、業者選びによっては買い取ってもらえるのです。「廃車だからどうせお金にならない・・・」と諦めるのはまだ早いですよ。ぜひ今回ご紹介した方法を参考にしながら、業者選びを進めてみてください。
きっと廃車という言葉以上の価値をつけてもらえることでしょう。ただ、注意点もいくつかあるので、それらもしっかりと抑えつつ、スムーズに愛車を売却しましょう!