車を持っているけれど、今は乗らないという人は、ムダな維持費が掛からないように、廃車にしておくのが望ましいです。大好きな車だから手放したくない……でも修理にお金がかかるから、今は乗れない。仕事で海外へ行くから、その間、自動車税や保険料などが掛からないようにしたい。
いろいろなケースで、愛車を廃車にする方が良い場合があります。廃車にしたいけれど、どうすればいいのか分からない。業者に頼むと、費用が掛かるのでは?そのような不安がある人は必見の廃車情報を徹底解説します。
廃車の種類について
廃車では、購入した際に行った車両登録を外すために、抹消登録の手続きをしなければなりません。車両登録とは、所有者の氏名等個人情報や車台番号などを申請し、ナンバープレートの交付を受けることで、公道を走る許可を得るためのものです。
廃車というのは、解体やスクラップにすることを含め、購入時に取得した車両登録を外して抹消することです。この抹消登録には、永久・一時・輸出という三種類があります。
永久抹消登録
永久抹消登録とは、車両登録されて公道を走っていた車が、事故により大破するなどして修理が困難となり、解体を行った場合にする手続きです。永久抹消は、災害によって車が破壊され、やむなく解体をした場合にも行います。永久抹消登録は、すでに解体が終了した車に対して行う手続きです。
愛車の解体を請け負ったリサイクル業者から、解体終了の報告を受け、その後15日以内に、手続きを済ませることが必要です。
自分で解体してパーツを売るなら必要
事故車や不動車など、不要になった車を引き取ってもらう際に行う永久抹消登録ですが、今では事故車を高く買取ってくれる業者も増えたため、手続きもすべて業者がしてくれます。車いじりが得意で、自分で車を解体して、パーツをネットオークションなどに売る場合は、永久抹消登録を申請しなければなりません。
一時抹消登録
一時抹消登録は、愛車を乗らないけれど大切に保管しておきたいなど、一旦廃車にしておく場合に行います。不幸にも愛車が盗難に遭ってしまった時にも、一時抹消で登録を外しておけば、自動車税などを無駄に支払わなくて済みます。一時抹消をした車に、また乗りたいときには、中古新規登録を申請することで、公道走行が可能です。
貴重なクラシックカーなどを所有しているカーマニアは、乗らずに保管する時期には一旦抹消し、一般公道を走るラリーなどに参加する際に、再びナンバーを取得して出場します。
輸出抹消登録
輸出抹消登録とは、車を海外へと輸出する場合に、行わなければならない手続きです。海外へと運んだ愛車を自分が運転するという場合にも、船積みをする車には、輸出抹消登録が必要になります。輸出抹消登録をした場合は、<自動車リサイクル料>が免除となり、購入時に必要なリサイクル料を返してもらえます。
輸出しようとする車に、車検がまだ残っていても、<自動車重量税>は返金されません。
永久抹消登録について知るべきポイント
事故によって車が大破してしまったり、災害によって破壊されてしまい、永久抹消する場合に大切なポイントがあります
廃車手続きを自分でする際に必要なのは?
事故車や不動車を解体し、自分で永久抹消登録をするのには何が必要でしょうか。
①自動車検査証(車検証)
②ナンバープレート
前後の二枚が必要。盗難や遺失等により返納が不可能な時は、警察への届け出と理由書の提出が必要。
③永久抹消登録申請書
管轄地の運輸局ホームページでダウンロード可能。
④手数料納付書
手数料は特に不要で、納付書は窓口にあります。
⑤車の所有者の印鑑証明
発行後三カ月以内のもの。
⑥所有者の実印
⑦解体時の移動報告番号と解体報告日
リサイクル券に記載されています。
廃車手続きを業者に依頼するのに必要なものは?
事故車を買取ってもらうなど、永久抹消登録を業者に依頼する場合には、譲渡証や委任状作成に必要な印鑑証明と実印、認印などが必要です。
1.所有者の免許証のコピー
2.車検証の原本
3.車検証と同一の認め印
車の譲渡証と委任状作成に必要。
4.自賠責保険の原本
車検が1カ月半以上残っている場合。
5.所有者の印鑑証明1通
車検証に記載されている所有者のもので、発行から3カ月以内のもの。
6.所有者の実印
印鑑証明と同一の実印。譲渡証、委任状作成に必要。
車を一時抹消登録するのに知っておきたいこと
愛車を乗らずに保管しておきたい場合に行う、一時抹消登録をする際のポイントを紹介します。
自分で廃車にするには何が必要か
自分で一時抹消登録をする時に、必要なものは何でしょうか?
①車検証
②ナンバープレート
前後の二枚が必要。盗難や遺失等により返納が不可能な時は、警察への届け出と理由書の提出が必要。
③一時抹消登録申請書
管轄地の運輸局ホームページでダウンロードできます。
④手数料納付書
窓口に備え付けの納付書に、検査登録印紙350円分を貼付します。印紙は売店で購入可能。
⑤所有者の印鑑証明
発行後三カ月以内のもの。
⑥所有者の実印
業者で廃車手続きをするのに必要な書類
業者に一時抹消登録を依頼する時も、永久抹消登録と同じ書類や、印鑑を用意します。
車を廃車手続きする流れ
愛車の廃車手続きを行うときの参考に、実際の手順や流れについて説明します。
(1)ナンバープレートを外す
運輸局に返納するために、愛車のナンバープレートを外します。車を解体して、永久抹消を自分でするなら、自動車リサイクル券も用意。
(2)必要書類に記入
廃車に必要な申請書を、運輸局のホームページからダウンロードします。永久抹消登録と一時抹消登録では、書類が異なるため注意。申請書に必要事項を記入します。同時に、車検証や印鑑証明、実印を用意。すべて準備ができたら、管轄の運輸支局へと向かいます。軽自動車の廃車手続きは、運輸支局ではなく、<軽自動車検査協会内>で行うため、間違えないように注意しましょう。
(3)ナンバープレートの返却
運輸支局の返納窓口へ行き、愛車についていた、前後のナンバープレートを返します。
(4)窓口にて必要書類を提出
窓口にある手数料納付書に記入し、一時抹消登録では、手数料分の印紙を貼付。必要書類をすべて窓口に提出し、<抹消登録証明書>を受け取ったら、廃車は完了です。
他にもある 廃車手続きで注意すること
廃車手続きをする際に、住所や苗字といった、車検証に記載されている内容に相違がある場合。税金や自賠責保険料を返金してもらう方法など、その他の注意事項について説明します。
車検証などの記載内容に相違がある場合
車検証や、印鑑証明に記載されている住所や氏名が、現在と異なっている場合は、住民票や戸籍の附表といった書類が必要です。
住所が変わっている場合に必要なもの
住民票:マイナンバーの記載されていないものを用意しましょう。
戸籍の附表:車を登録してから二回以上住所を変更し、車検証記載の住所とのつながりが取れない場合は、確認が可能な住民票の附表や、戸籍の附表が必要です。
苗字が変わっている場合に必要なもの
戸籍謄本:住民票に旧姓氏名が見え消しになっている場合は、住民票でもOK。
法人名義の車で 会社の所在地が変更されている場合は?
商業登記簿の謄本など、変更が確認できる書類を用意します。
自動車税を返してもらえる
廃車手続きをした場合は、その年の4月に収めた自動車税が、廃車日の翌月から数えて、来年3月までの分を返してもらえます。抹消登録の終了と同時に、自動的に返金手続きは完了。自宅に届いた<還付通知書>に、認印、身分証明書を持って、最寄りの金融機関でお金を受け取りましょう。軽自動車の場合は、自動車税の額が7,200円と安いため、廃車にしても返金はされません。
自賠責保険料を返してもらえる
廃車にしたら、自動車税だけでなく、自賠責保険料も返金してもらいましょう。車検の際に支払った自賠責保険料から、廃車の翌月から数えて契約満了までの分を返金してもらうことが可能です。自賠責保険料を返金してもらうには、まず、保険の解約手続きが必要です。抹消登録の終了後は、保険をすぐに解約してもらうよう、保険会社に連絡を入れます。
すぐ連絡をしないと、車がないのに自賠責保険に加入していることになり、返金される額が減ってしまうことに。解約と返金の方法については、保険会社から説明があります。任意保険については、契約内容によって返金が可能な場合とそうでない場合があるため、詳しくは保険会社に電話をして確認して下さい。
永久抹消をすれば重量税も返金
永久抹消登録で廃車にした場合は、車検の際に収めなけらばならない、重量税を返金してもらえます。重量税は、新規登録なら三年分、継続時には二年分を収めるため、返金してもらえるのは、廃車の翌月から数えて車検満了日までの分です。重量税返金の手続きは、永久抹消登録の申請書と一緒に書類がついているため、返金のための指定口座などを記入して、同時に手続きができます。
重量税の返金には審査があり、三カ月程度かかります。
災害などで車が滅失した場合は?
震災などの津波被害や、車を海に転落させてしまうなどして滅失(ほろびて失ってしまうこと)し、車を廃車にしたくても、通常の解体処理が行えない場合もあります。その場合は、滅失した際に、消防署から発行される罹災証明書を、窓口に提出して廃車手続きを行いましょう。
まとめ
車の廃車手続きは、一見面倒なように思えますが、それほど難しくはありません。自分で事故車を解体して、パーツをオークションに出品したり、愛車を乗らずに保管しておきたい場合は、抹消登録の手続きが必要になります。憧れのクラシックカーを手に入れて、イベントなどで走らせたいと考えている人も、自分で廃車の手続きをする方法を、知っておくと便利です。
自動車税や自賠責保険料、重量税が返してもらえることや、車検証に記載された住所から転居をしている場合など、ポイントを押さえてスムーズに廃車手続きをしてください。