イタリアのモデナを拠点とし、アレハンドロ・デ・トマソが経営する老舗自動車メーカー【デ・トマソ】。デ・トマソ社製の車のなかでも、GT2ドアクーペとして人気を博したのがデ・トマソロンシャンです。
デ・トマソロンシャンの最大の特徴は、わずか409台という生産台数にあるでしょう。その希少価値の高さから車愛好家の注目が集まる1台です。そんなデ・トマソロンシャンの買取について、デ・トマソロンシャンの魅力と併せて紹介します。
目次
国内では貴重なロンシャンの特徴
デ・トマソロンシャンは、日本での正規輸入元がハッキリとは存在しなかったのと、販売台数が非常に少なかった事もあって、自動車博物館で見かける以外で、国内で見かける事が殆どありません。
1975年頃にトミーカイラでお馴染みのトミタオートが積極的に並行輸入を行っていましたが、その台数も少なく現在では希少性の高い自動車になっています。
デ・トマソロンシャンは、イタリア車ですがアメリカのフォード製エンジンだった事もあって、完全なイタリア車とは言えない所が逆に特徴となっています。
デ・トマソオーナーのアレハンドロ・デ・トマソ自身が元レーサーと言う事もあって、走行性能に力を入れた仕上がりで、市販車では無くGTカー向きのスポーツカーの位置付けとなっています。
発売元はイタリアデ・トマソ
デ・トマソロンシャンの発売元となるデ・トマソは、先ほども説明しましたが元レーサーでアルゼンチン出身のアレハンドロ・デ・トマソが1959年に設立した自動車メーカーです。会社こそイタリアのモデナにありますが、デ・トマソのエンブレムは、アレハンドロ・デ・トマソの母国アルゼンチンの国旗をイメージした配色になっています。
ロンシャン以外でデ・トマソが生産した自動車は、ヴァレルンガ、マングスタ、パンテーラ、ドーヴィル、クヴェールマングスタ、グアラなどが有名です。残念な事に、2003年にアレハンドロ・デ・トマソが亡くなった事で翌年の2004年5月にデ・トマソは解散となってしまいました。
その後は、2009年にフィアットの元重役ジャン・マリオ・ロシニョーロがデ・トマソの商標権を取得して、デ・トマソの復活に貢献しましたが、2015年には中国企業に買収されています。
ロンシャンの車としての特徴
- 販売期間 :1972年~1989年
- 全長 :4,520mm
- 全幅 :1,840mm
- 全高 :1,290mm
- ホイールベース:2,600mm
- 車両重量 :1,700kg
- エンジン型式 :クリーブランド351型
- エンジン :5,763cc V8 OHV
- 最高出力 :300ps/5,400rpm
- マニュアル :ZF製5速ミッション
- オートマチック:フォード製C-6型3速オートマチック
- 駆動方式 :FR
- 最高速度 :240km/h
デ・トマソロンシャンは、4ドアセダンのドーヴィルをベースにしたGTスポーツカーで、スーパーカーでお馴染みのデ・トマソパンテーラをデザインしたトム・ジャーダが同車もデザインしています。2by2のGTクーペで、エンジンはアメリカのフォード5.7L・V8エンジンで、車両重量・1,700kg、最高出力・300psを発揮する当時はスーパーカー並みの性能を誇っています。
ロンシャンは希少性が高い理由
デ・トマソロンシャンは、1972年~1989年の17年間で僅か409台しか生産されず、量産車とは言い切れず希少性の高い自動車に分類されます。
エンジンは、全タイプにフォード製のクリーブランド351型が搭載されましたが、販売された殆どはフォード製のC-6型3速AT車を搭載したモデルで、ZF製5速MT車を搭載したスポーツモデルもありましたが、僅か17台にしか搭載されていません。
デ・トマソロンシャンのマニュアル車は、数十台しか生産されていない為、希少性の高いデ・トマソロンシャンの中でも特に希少性が高い車種は5速MT車と言われています。
生産台数が少なかった理由の一つに、マセラティ社が経営危機に陥ってデ・トマソロンシャンを基本ベースにしたマセラティキャラミを急遽販売した事で、デ・トマソロンシャンの生産台数が減ったと言われています。1980年代は、デ・トマソロンシャンよりもマセラティキャラミの方が販売台数でも上回った為、デ・トマソロンシャンは1989年の生産を最後に終了しました。
キャラミの登場
- 販売期間 :1976年~1983年
- 全長 :4,580mmmm
- 全幅 :1,850mmmm
- 全高 :1,270mmmm
- ホイールベース:2,600mmmm
- 車両重量 :1,691kg
- エンジン :4,930cc V8 DOHC ウェーバーキャブ×4基
- 最高出力 :270ps/5,600rpm
- 最大トルク :40.0kg・m/3,000rpm
- 駆動方式 :FR
- 最高速度 :237km/h
マセラティキャラミを生産したマセラティは、1974年にシトロエンから提携解消された事で経営危機に陥り、1975年にデ・トマソの傘下に入る事になります。マセラティキャラミは、マセラティとは言え車のデザイン自体はオリジナルでは無く、デ・トマソロンシャンをベースとした姉妹車として1976年に誕生しました。
全体的なデザインもデ・トマソロンシャンをデザインしたトム・ジャーダが行った為、マセラティのファンの間では「マセラティらしさが無い」と酷評されました。デ・トマソロンシャンはフォードV8エンジンですが、マセラティキャラミは伝統のマセラティV8DOHCエンジンを搭載している事が大きな違いです。
マセラティキャラミは、1976年~1983年の7年間しか生産されませんでしたが、約200台余りを販売しました。
ロンシャンの最終的な生産台数
デ・トマソロンシャンは、1972年~1989年の17年間で僅か409台しか生産されていません。特に1970年代後半にマセラティキャラミが販売されてからは、販売台数が伸びていない状況でした。
日本でのロンシャンの普及具合
僅か409台しか生産されなかったデ・トマソロンシャンですが、日本にも新車が14台輸入されています。2018年12月時点で日本の中古車市場でデ・トマソロンシャンを見る事が出来ませんので、輸入された14台のうち何台残っているのかはわかりません。
日本国内では全くと言って良いほどデ・トマソロンシャンは普及していません。
ロンシャンの現在の最高買取額
デ・トマソロンシャンの買取相場はハッキリとした相場が存在していません。希少性の高いGTスポーツカーなので、欲しい人が居れば販売すると言った感じなのと、クラシックカーのオークションに出品されるくらいで、国内の業者オークションに出品される事は滅多にありません。国内の中古車市場でも見当たらないので、今回は海外で販売されている情報から買取金額を算出してみます。
ロンシャン カブリオレ
- 中古車販売価格:¥30,240,000-
- 推定買取価格 :¥20,000,000-~¥25,000,000-
国内ではデ・トマソロンシャンを販売している輸入車専門店が存在しなかったので、海外で販売されている中古車から買取相場を想定してみました。一般的な高級輸入中古車は、仕入れ価格に¥500,000-前後を乗せた金額でプライスを付けています。
デ・トマソロンシャンのようなスーパーカーに近い希少車は、最低でも仕入れ価格に¥5,000,000-以上は乗せています。探しても探せない程の希少価値のある自動車なので、売却価格も有って無いようなものです。
ロンシャンを買取している業者
デ・トマソロンシャンは、特別な車種になるので、一般的な買取専門店では値段が付けられません。小売りやクラシックカーオークションなど独自ルートを持っている業者で売却するのが良い方法です。
外車買取専門業者で見積もる
一般的な外車専門店でもデ・トマソロンシャンの買取が行える所は少ないかもしれません。デ・トマソロンシャンの買取が行える専門店を何店舗か紹介しますので、売却する時はそれぞれの専門店で見積を取る事をオススメします。
クラシックカー専門店 トミタオート
トミーカイラでお馴染みのトミタオートです。クラシックカーやヴィンテージカーを中心としている専門店で、付加価値のついた車種の取扱を得意としています。
クラシックカー専門店 Classic Car.jp
クラシックカーコンサルタントの小嶋禎一が代表を務めるクラシックカー専門店です。代表の小嶋禎一は、レーサーで現在でもイタリアで毎年開催されるクラシックカーラリーの最高峰MilleMigliaに2004年以降出場しています。
世界に日本のクラシックカー文化を発信し続けている日本を代表するクラシックカー専門店なので、デ・トマソロンシャンの価値も高めてくれます。
輸入車専門店 ロペライオ
全国13店舗を展開する関東最大級の輸入車専門店のロペライオ。輸入中古車の在庫数が250台以上保有する輸入車専門店です。
輸入車専門店 T.U.C.GROUP
T.U.C.GROUPは、関東圏を中心に12店舗を展開する老舗輸入車専門店です。世界各国メーカーの輸入車を常時700台以上在庫しています。
スーパーカー買取専門業者で見積もる
超高級車と言われるスーパーカーを専門に扱う専門業者で、デ・トマソロンシャンは売却するのが一番良いかもしれません。世界に数台しか無い自動車などは、一般的な輸入車の知識では無い専門知識が必要なので、買取金額が数百万円~数千万円変わってくることがあります。全国的にもスーパーカー専門店の数は少ないのですが、その中でも特に有名なスーパーカー専門店を紹介します。
スーパーカー専門店 ドリームオート
TVなどでも良く見かける超高級車を専門に扱うドリームオートです。フェラーリーやランボルギーニなどを専門に扱う業者で、独自の仕入れルートを持っているのも強みです。
スーパーカー専門店 アリオス
ポルシェからランボルギーニまで、スーパーカーを専門に扱うアリオスです。チューニングやメンテナンスを得意としているので、デ・トマソロンシャンのようなGTスポーツカーは得意分野と言えます。
イタリア車専門業者で見積もる
日本国内でも数少ないイタリア車を専門に扱う業者だと、デ・トマソやマセラティは得意中の得意です。イタリア車の旧車は、メンテナンスを行うのも少し癖があるので、専門業者なら買取する時も安心して相談する事が出来ます。オススメのイタリア車専門店を紹介します。
イタリア車専門店 オートフリーク
イタリア車だけを取り扱っている国内でも数少ないイタリア車専門店です。メンテナンスもプロのメカニックが常駐しているので、サポート面も充実しています。
イタリア車専門店 ガレージ ジジ
イタリア車を中心に取り扱っているガレージ ジジです。クラシックカーから新車まで、イタリア車全てを取り扱っているので、デ・トマソロンシャンの買取も相談し易いです。
まとめ
イタリア車のデ・トマソロンシャンの買取について紹介してきましたが、希少価値の高いGTスポーツカーですから国内で見かける事は皆無に近い物があります。
スーパーカーを購入するような金額で、もはや国内では自動車博物館に保管されるほど価値の高いGTスポーツカーです。
もしデ・トマソロンシャンを売却する場合は、慎重に店舗選びを行わなければいけません。
デ・トマソロンシャンで高額買取を狙うのであれば、今回紹介した全ての専門店へ査定依頼を出す事をオススメします。