ホームセンターやカー用品店に行くと見かける塗装用の商品。車をDIY塗装することが流行っているようですが、セルフ塗装にデメリットはないのでしょうか。
車の塗装が必要になるケースをいくつか紹介し、使用される塗装の種類を解説します。満足のいく塗装に仕上げてくれる業者の選び方も紹介しますのでぜひ参考になさってください。
目次
車の塗装が必要になるケース
車の塗装技術は年々向上しており、趣味で愛車を塗装し直す人も増えてきました。しかし、多くの場合は車に傷や凹みが生じたり、ボディ塗装の劣化や剥がれ・ひび割れが見られるときに塗装されています。
車の塗装が必要になる具体的なケースをまず見ていきましょう。塗装をプロにお任せするべき理由も同時にわかるでしょう。
擦り傷・凹み
車の塗装が必要になる1番の理由はボディの擦り傷・凹みです。何かと衝突したり接触すると小さくても傷が生じます。擦り傷のような浅い傷であれば簡単な塗装補修をすることで元の綺麗な状態に戻せます。
しかし、衝突の仕方が悪く深い傷ができてしまった場合は板金塗装が必要です。傷や凹みの度合いによっては、一度車全体の塗装を剥がして下地からやり直す場合もあります。
塗装の劣化
二つめに考えられる塗装が必要なケースは車の塗装が劣化したときです。車を長期間乗り続けていると天候や環境の影響を受けて塗装が劣化します。例えば紫外線、雨、鳥のフン、黄砂などが原因となります。
車の塗装と化学変化を起こして、色がくすんだり褪せたりするのです。車を保管するときにカバーをかけることや屋根付き駐車場を利用することで避けられることもあります。
塗装を劣化させる原因がある場合は、すぐに取り除くようにしましょう。洗車後はこまめに水分を拭き取ることが色褪せを防ぐのに効果的です。
剥がれ・ひび割れ
3つめのケースは塗装が剥がれること、ひび割れることです。最も早急な対処が必要なケースであるとも言えます。塗装には防錆加工が施されているのですが、塗装が剥がれてしまうと簡単にボディが錆び付いてしまいます。
石が飛んできたり、障害物と衝突したりして塗装が剥がれてしまうと鉄板が剥き出しになるのです。雨や空気によって鉄板が化学変化を起こし錆が生じます。
錆は表面に見えないことも多く、塗装の内側で広がっていきます。ですから、目立たない塗装の剥がれであっても早めに補修して車の劣化をストップさせるべきです。
オールペイント
必ずしも塗装が必要ない場合でもペイントを目的として塗装するケースがあります。趣味や好みで車の塗装を塗り替えることをオールペイントと言います。
購入時には気に入っていたものの、長期間乗り続けているとだんだんとボディカラーに飽きてしまうかもしれません。自分好みに塗り替えるためにオールペイントをして世界に一つだけのデザインを作り出す場合もあります。
キャラクターのペイントや、純正色では出せない独特なカラーを選べます。光の当たり方で変わるマジョーラカラーは人気がある個性的なカラーです。
車を塗装する基本的な手順を解説
塗装が必要になったら、板金屋かペイント専門店またはセルフで塗装を行います。どのような流れで塗装を行うのか手順を簡単にまとめておきましょう。
- 塗装剥離を啜る
- 下地を滑らかにする
- 塗装しない部分をマスキング処理する
- ぼかし剤orプラサフを塗布する
- ペイント剤を塗布する
- クリア剤を塗布する
- ぼかし剤を塗布する
ペイント剤は一度に塗るのではなく、最低でも5〜6回に分けて塗布してください。厚塗りすると乾燥させにくくなります。
ペイント剤の後に塗布するクリア剤は薄めに4〜5回に分けて重ね塗りしてください。塗装の光沢を高め紫外線による劣化から守ります。
最後にぼかし剤を塗布する際はスピードに注意してください。垂れやすくなるので素早く薄く塗ります。
車の塗装に使う塗料の種類
車の塗装に使う塗料にもいろいろな種類があります。基本の3種類であるソリッド・メタリック・パールについてそれぞれの特徴を紹介します。メリットを理解していれば、セルフ塗装するときにも塗料を選びやすくなるでしょう。
ソリッドカラー
ソリッドカラーは単一色目のことを指しています。顔料と樹脂が主な成分です。ソリッドカラーはクリア塗装を重ねなくても良いというメリットがあります。また、色合いを調整しやすいのでこだわりのカラーに合わせることができるでしょう。
メタリックカラーやパールカラーに比べて塗装補修をしやすいカラーでもあります。この特徴は、新車のカラーを選ぶ時の参考にもなりますね。
ソリッドカラーはクリア塗装が必要ないと書きましたが、高級感を高めるためにクリア塗装を施して光沢をアップさせている車も多くあります。
メタリックカラー
2つめの基本的な車の塗装カラーの種類はメタリックカラーです。単色であるソリッドカラーの塗料の中に微粒子アルミ片を混ぜたものがメタリックカラー。アルミ片により光に反射するとキラキラと光ります。
光がどの方向から当たるかによって、見える色調が変化するのでとてもおしゃれな塗装です。スタイリッシュで都会的な雰囲気がお好きな方にはメタリックカラーがおすすめ。
メタリックカラーはアルミが含まれているので、金属が酸化しないようにクリア塗装をして守る必要があります。メタリック塗装の上にクリア塗装を重ねてさらに艶がアップし高級感が増します。
パールカラー
人気色であり車の基本塗装色の一つがパールカラーです。単色塗料であるソリッドに雲母(マイカ)を混ぜた塗料がパールカラー。半透明の膜が何重にも重なっているので光が透過すると上品で高級感のある色合いになります。
一つ一つの半透明の膜ごとに複雑に光が反射し屈折することで美しさを織りなすのです。最近ではメタリック×パールカラーの塗装も人気があります。
今人気のクリア塗装がおすすめ
最近注目されている塗装の種類はクリア塗装です。ソリッドカラーの艶出し、メタリックカラーの保護などクリア塗装はこれまで使用されてきました。
クリア塗装をした車は光が当たると反射してキラキラ光るので美しく見えます。カッコよくスタイリッシュで高級感あふれる愛車にしたい方におすすめ。
クリア塗装のメリットとデメリットをまとめて紹介します。クリア塗装はどのような手順で行われているのでしょうか。セルフ塗装も可能なのかについても説明します。
クリア塗装のメリット
まず、クリア塗装を行うメリットを紹介します。
- 光沢と艶が出る
- 塗装の耐久性が高くなる
- メンテナンスしやすい
パールカラーやメタリックカラーはそれだけだと光沢が出ないのでクリア塗装を行い仕上げます。ソリッドカラーの場合でもさらに艶出ししたいならクリア塗装を重ねると良いでしょう。
クリア塗装をしておくことでカラーが剥がれづらくなります。紫外線や傷から塗装面を守るためにもクリア塗装はおすすめです。塗装されているボディを傷つける心配がなく、滑らかな表面になっているのでメンテナンスしやすいという点もメリットの一つです。
クリア塗装のデメリット
クリア塗装をすることにはデメリットもあります。
- 素人には難しくスキルが必要
- 剥がれる心配がある
クリア塗装は何層も薄く塗り重ねて強度を高めます。ですから塗装の素人には難しいでしょう。スキルが足りず塗り方が良くなかった場合、すぐにクリア塗装が剥げてしまう可能性があります。
クリア塗装をセルフで行うのはおすすめしません。デメリットは全て専門と創業者に施工を依頼することでカバーできるのでプロに任せてしまいましょう。
クリア塗装の方法
では、クリア塗装の方法・手順を紹介します。クリア塗装に必要な道具はクリア塗料とコンパウンドのみです。カラー塗装までは済ましておいてクリア塗装を行います。
- カラー塗装が乾燥したら薄くクリア塗料を塗る
- 10分置いてクリア塗料を少し厚めに塗る
- 10分置いてクリア塗料が垂れる限界まで塗る
- コンパウンドで磨く
何度塗り重ねるかは自由です。高級車が会社の場合は4回クリア塗装を塗り重ねることがあります。コンパウンドを使用するときは傷をつけないように優しく使用してください。
車の塗装に使う道具の種類
車の塗装に使う道具にはどのようなものがあるのでしょうか。カー用品店で購入できる塗装に使う道具を一つずつご紹介します。プロの塗装業者に塗装施工を依頼すれば、専門の道具を用いて行うためこれから紹介する道具とは異なります。
タッチペン
一つの塗装道具はタッチペンです。最も一般的な塗装道具としてタッチペンはどこでも売られているので手に入れやすいという特徴があります。細かい作業工程や準備などを必要としないので、塗装初心者でも利用しやすいでしょう。
タッチペンを使えば、ボディ表面についた小さな傷や塗装の剥がれを目立たないように隠すことができます。タッチペンを使った塗装はあくまでも補修程度で応急処置ともいえるものです。完全に塗装をやり直したわけではないので、またすぐにはがれたり劣化したりする恐れがあります。
広範囲にキズや凹みがあったり、色が褪せているときはタッチペンを使う前に、塗装のプロに相談するほうがおすすめです。
スプレー
愛車のペイントをするのによく利用されているのがカラーペイントです。プラサフ、ペイント剤、ぼかし剤、クリア剤もすべてスプレータイプの塗料。カー用品専門店で購入できます。
カラースプレーを使用するときはきちんと下処理をするようにおすすめします。スプレー缶は力加減が難しく噴射範囲を均一にするのもコツがいるため、満足のいく仕上がりにするのは非常に難しいと言えるでしょう。ぶつぶつや色むらが発生してしまう可能性が高いです。
塗装業者が使うカラースプレーはコンプレッサーなどの専門機材を使って空気を圧縮しているので、細かい霧状になっているスプレー剤で塗装ができます。同じようにしたいのであれば、ホームセンターでコンプレッサーやガンスプレーを購入してくると良いでしょう。ただし、コストを考えるとプロに任せた方が安心です。
ローラー・刷毛
オフロードカーの塗装によく使われる道具がローラー・刷毛です。アウトドアによく利用されるオフロードカーは、あえて荒い仕上がりの全塗装を目指すのであれば、刷毛を使うのがベスト。
スプレー剤は艶や光沢を出すために使えるので、まっとな仕上がりにしたい時はローラーがおすすめします。スプレー剤のようにガンスプレーやコンプレッサーを利用する必要がないので、一般の素人が取り入れやすい塗装です。
業者が行う塗装でも、通常の塗装と刷毛やローラーを取り入れてあえてマットで粗い仕上がりに見せる場合もあります。
車のセルフ塗装をして失敗したらどうする?
専門的な機材や高度なテクニックが必要な塗装は、塗装の専門業者に頼む方が良いでしょう。DIYで車の塗装をすることもできます。しかし、セルフ塗装の場合はスキルや経験、知識が不足していると失敗してしまうことがあります。どんな失敗例があるのでしょうか。
ゴミやホコリの混入
車の塗装を失敗する一つの例はゴミやホコリの混入が考えられます。塗装の施工後にぶつぶつとしたものが出来てしまって滑らかな仕上がりにならなかったときは、ごみやほこりが混入したということです。
この失敗を防止するためには、塗装前の洗車、拭き上げ、適切な作業場の確保が必要です。車を良く洗車して汚れを取り除き、ボディ表面の汚れをふき取り、ほこりが混入しない作業場で塗装を行わなければなりません。
作業中も注意深くあって、塗装時にボディの汚れやホコリを発見したのであれば除去するようにしましょう。カラー剤を塗布した後に気づいたときは耐水ぺーパーで研磨すると取り除けます。
ゆず肌
セルフ塗装で失敗してしまう別の例はゆず肌です。古い塗装をしっかり剥離できていなかったり、塗りこみや塗り重ねが不足していたりするとゆず肌が生じてしまうことがあります。
滑らかな仕上がりを目指すのであれば、下処理の作業を手ってしましょう。スプレーを使うのであればムラが出ないように緩やかにスプレーを移動させるようにすることがおすすめです。
塗装の重ね塗り回数は薄く重ねたほうがきれいな仕上がりになります。もし、乾燥後にゆず肌が目立つのであれば、耐水ペーパーで研磨したあと再塗装を施して丁寧に重ね塗りをしましょう。
色ムラ
自分で車を塗装するとおきやすい失敗が色むらです。使用するカラー剤の粘土が不適切であったり、塗布パターンが均一にできていなかったりするとムラが生じやすくなります。また、ボディとの距離感や塗っていくスピードも均一である必要があります。
色むらが生じないようにするために、スプレー缶の状態を確認しましょう。また、塗料の状態もよいものを選んでください。
クリア剤を塗布するのであれば、カラーペイントした部分はよく乾燥させます。ムラ取りのために塗料を塗布してください。クリア剤を塗布した後にムラを取りたいのであれば、研磨してやり直してください。
車の全塗装は査定額が低くなる可能性があるのでやり過ぎには注意
自分の車をペイントするのは楽しいですし、趣味で好きなカラーに塗装できるのはうれしいことです。しかし、車を手放すというときに塗装したことがマイナスになることもあります。
買取業者からすると全塗装した車は、事故車と同じような扱いになります。事故したことを隠すため、人気色に見せるために塗装したのではないかと疑われる原因にもなるので注意が必要です。
個人で塗装するのにはスキルの限界があり、傷を隠すためのDIYも素人がやるのには限界があります。薄いキズであれば-5,000円、傷の範囲によっては-10,000円となります。全塗装すると最悪-30~50万円。
傷がある場合は、塗装は業者に依頼するのがおすすめですね。セルフ塗装で無理に角層とするよりは、そのまま査定に出した方が余計な手間がかからないのでおすすめです。
車の塗装にかかる費用
車の塗装にはどれくらいの費用が掛かるのでしょうか。車の塗装は、オイル交換などの定期的に行わなければならないメンテナンスに比べてかなり高額になる可能性があります。塗装を行うためには、部品の交換や脱着工賃も必要になるのでそれだけ料金を取られると予想しておくべきでしょう。
気分転換や趣味で行う全塗装はいくら安くても20万円は超えます。部分的な塗装お場合はドアが3~4万円、ボンネットが3~5万円と約5万円で塗装をしてもらえるでしょう。業者の種類によっては他のお店と競合するために1~2万円で部分塗装ができるところもあるので調査が必要です。
車種や塗料によって異なる
塗装にかかる費用は車種や塗料の種類によっても異なります。外車か国産車か。高級セダンか軽自動車か。どの部品を脱着しなければならないのか。こうした点が費用に関係しています。
塗料も費用にかかわる大きなポイントです。ソリッドカラーはメインカラーとなりクリア塗料が必要ないので料金は安くて済みます。メタリックカラーやパールカラーは塗料そのものが高額なだけでなく、クリア塗装が必要になるので値段が高くなる傾向にあります。
DIYする場合にかかる費用
業者で塗装を依頼すると高額になるので、自分で塗装しよう!という考えになるかもしれません。では、セルフ塗装にはどれくらいの費用が必要になるのでしょうか。
タッチペンは数百円から購入できます。カラースプレーも数百円から購入できますが、質を高めるためにスプレーガンやコンパウンドを購入するのであれば、3000円ほどの費用が必要になるでしょう。
塗装を業者に依頼するときの選び方
塗装を業者に依頼するときの選び方を簡単にまとめて解説します。
塗装に必要な資格を持っているか確認する
塗装に必要な資格をもっていて、知識が正しいかどうかは質の高い仕上がりを期待するうえで大切なポイントです。まったくキズの痕が分からないもしくは、新車のようなボディにしてもらえる業者を選びましょう。
先進の設備を装備して、最適な環境が整っている業者であることを確認してください。信頼できる技術と資格、知識を持っている業者に依頼しましょう。
塗装実績がある業者を検索する
塗装としての豊富な実績と経験を積むことで信頼関係を築き上げている業者を選ぶようにしましょう。ホームページで実績や口コミ、レビューをチェックしてみることをおすすめします。
スタッフサービスの質や、仕上がりの質などを確認できます。また、地元に密着したサービスを展開している業者も信頼できるといえます。長い間地元で愛されている業者だからこその安心感です。
アフターフォローが充実しているか
塗装そのものだけではなく、幅広いサービスを展開してる業者がおすすめです。塗装後の修理に限らず、コーティング、施工後のアフターフォローまで行ってくれるかどうかをチェックしてください。
愛車の塗装はプロに任せてこだわりのカラーと艶に
愛車の塗装は自分で行うよりもプロの手に任せるのがおすすめです。塗装は失敗するとぶつぶつやゆず肌、色むらが生じてしまいます。滑らかなボディの仕上がりにしてもらうためには信頼できる実績とスキルを持っている業者を選びましょう。
愛車を趣味や好みで全塗装してしまうと、査定時の買取金額に大きな影響を与えます。最悪20~30万円のマイナス査定になってしまうかもしれません。小さな傷をDIYで隠すときにも同じことが言えます。
買取に出すことが決まっているのであれば、板金塗装せずにそのまま査定に出した方が賢いでしょう。先のことを考えて塗装は慎重に検討してくださいv。