自動車には、いくつもの税金がかけられています。購入する時にかけられる消費税や自動車取得税、車検の時にかけられる自動車重量税、そして毎年かけられる自動車税。自動車税は、ある条件で還付(返金)してもらえます。自動車税が還付される条件には、廃車が関係しているようなのですが、具体的にどのように関係しているのでしょうか。
また、廃車には損をしない適切な時期があります。自動車税と廃車の関係、そして廃車の適切な時期を以下で解説していきます。
目次
自動車税とは何か
自動車税とは、毎年4月1日現在の自動車の所有者に対してかかる税金のことです。毎年5月上旬に自動車の所有者の現住所に納税通知書(納付書)が郵送で届きます。自動車の所有者は、自動車税を5月末までに納税する義務があります。納税方法は、届いた納税通知書を銀行や郵便局、コンビニへ持参し、納税通知書に書かれた金額の税金を現金で支払います。最近では一部の都道府県を除き、クレジットカードでの支払いも可能になっています。
自動車税
自動車税は、自動車の総排気量や使用用途により税金の金額が変わります。自家用乗用車を総排気量別に表した自動車税の一覧表は下記になります。
自動車の総排気量 | 自動車税額 | |
自家用乗用車 | 1リットル以下 | 29,500円 |
1リットル超~1.5リットル以下 | 34,500円 | |
1.5リットル超~2.0リットル以下 | 39,500円 | |
2.0リットル超~2.5リットル以下 | 45,000円 | |
2.5リットル超~3.0リットル以下 | 51,000円 | |
3.0リットル超~3.5リットル以下 | 58,000円 | |
3.5リットル超~4.0リットル以下 | 66,500円 | |
4.0リットル超~4.5リットル以下 | 76,500円 | |
4.5リットル超~6.0リットル以下 | 88,000円 | |
6.0リットル超 | 111,000円 |
※1リットル=1000cc
軽自動車税
総排気量が660cc以下の三輪および四輪自動車は軽自動車の区分となり、軽自動車税となります。軽自動車を使用用途とナンバー別に表した軽自動車税の一覧表は以下になります。
区分 | 軽自動車税額 | |
軽自動車 | 乗用(5ナンバー)の自家用 | 10,800円 |
乗用(5ナンバー)の業務用 | 6,900円 | |
貨物(4ナンバー)の自家用 | 5,000円 | |
貨物(4ナンバー)の業務用 | 3,800円 |
自動車税の支払いが減免される条件
自動車税の支払いは、減免される場合があります。その条件は、身体障がい者の方や知的障がい者の方、精神障がい者の方の場合です。対象となる自動車は、障害者本人が運転する自動車に限らず、障害者と生計を一にする方が、もっぱら障害者の移動手段として継続的に運転する自動車や障害者のみで構成される世帯の障害者を常時介護する方が、もっぱら障害者の移動手段として継続的に運転する自動車でも自動車税の減免対象になる場合があります。
自動車税の納付先は各都道府県のため、自動車税の支払いが減免される条件(障がい内容や障がいの等級、対象となる自動車など)は各都道府県により違いがあります。詳しくはご自身がお住まいの各都道府県のホームページで確認するか、都道府県庁に直接問い合わせて確認しましょう。
軽自動車税も自動車税と同じく、障がいのある方は減免される場合があります。軽自動車税の納付先は各市町村になりますので、軽自動車税支払いが減免される条件は各市町村のホームページで確認するか、市区町村の役所に直接問い合わせて確認しましょう。
自動車税の還付の仕組み
自動車税を納めた年度の途中で自動車を廃車にすると、納付した自動車税の残りの期間分を還付(返金)してもうらうことができます。
還付金はいくら返ってくるのか
還付金の金額は、自動車を廃車した時期で決まります。計算方法は以下のようになります。
自動車税の年額-(自動車税の年額÷12×4月から廃車にした月までの月数)
例えば、総排気量が2.0リットルの自動車で、5月(自動車税の納付月)に自動車税を納付し9月に自動車の廃車手続きが完了した場合、翌月の10月から翌年の3月までの自動車税が還付されることになります。この例を先ほどの計算式に当てはめると、以下のようになります。
39,500円-(39,500円÷12×6)=19,750円
※廃車手続きを完了した月からではなく、完了の翌月からの計算になることに注意しましょう。
廃車について
廃車には「一時抹消登録」と「永久抹消登録」の2種類があります。一時抹消登録とは、一時的な廃車で自動車を一時的に公道を走れないようにするものです。永久抹消登録とは、永久的な廃車で自動車をスクラップ(解体)して二度と使用できないようにするものです。どちらの廃車の方法でも、還付金を受け取ることが可能です。
軽自動車税には還付が無い
軽自動車税は、税額が一番高い乗用(5ナンバー)の自家用車でも10,800円と自動車税に比べて課税金額が低いことから、年度の途中で廃車にしても還付(返金)はありませんのでご注意ください。
新たに自動車税が課される月は?
冒頭の「自動車税とは何か」で説明したように、自動車税(および軽自動車税)は、毎年4月1日現在の自動車の所有者に対してかかる税金なので、新たに自動車税が課せられる月は4月になります。
廃車にする適切な時期
自動車を廃車する時期はいつでも良いというわけではありません。廃車をする時期によっては損をする場合があります。なぜ損をする廃車の時期があるのでしょうか。それは、自動車税(および軽自動車税)と車検が関係しています。では、自動車を廃車にする適切な時期はいつなのでしょうか。
軽自動車は3月中に廃車処理
自動車税は、年度の途中で廃車した場合、残りの月分の還付(返金)がありますが、軽自動車税は、年度の途中で廃車にしても還付(返金)はありません。軽自動車税は、4月1日現在の自動車の所有者に対してかかる税金のため、軽自動車を廃車にする適切な時期は、3月31日までに行うことになります。自動車を廃車にして手放す時期が、春頃になる場合は4月を越えないように気をつけましょう。
車検を受ける前に廃車
もうひとつの自動車を廃車にする適切な時期は、車検を受ける前です。車検費用は車種や程度などにより金額の幅はありますが、少なく見積もっても80,000円前後~200,000円前後くらい費用がかかってしまいます。また車検費用は自動車税と違い、ほとんどが還付(返金)されません。還付されるのは、自動車重量税と自賠責保険です。
自動車重量税も自賠責保険も、自動車税と同じく月割りで計算されて還付されます。一般的な普通自動車(1,000kg以下)で2年車検の場合、重量税は16,400円、自賠責保険は25,830円で合計にして40,000円弱となり、多少還付はされますが、車検費用のほとんどが払い損になってしまいます。自動車を廃車にして手放す時期は、車検を受けた後すぐにならないように気をつけましょう。
3月に廃車にする場合の注意点
自動車税、軽自動車税は、毎年4月1日現在の自動車の所有者に対して課税される、さらに軽自動車税は年度の途中で廃車にしても還付がないことから、3月が一番損のない廃車の時期になります。そのため、3月に廃車をしようとするユーザーが多くなり、スクラップ業者への依頼が殺到し混み合うことになります。スクラップ業者への依頼が遅くなると、廃車のスケジュールが遅れてしまい3月のうちに廃車が出来ない可能性が出てきます。
3月に廃車をしようとお考えならば、3月の早い時期にスクラップ業者へ依頼することをおすすめします。それでも不安がある場合は、まずもって3月のうちに一時抹消登録で廃車手続きをしておけば、スクラップにする永久抹消登録が4月以降にずれ込んだとしても、翌年度の自動車税を納税する義務は発生しないので安心できます。
自動車税が未納のまま廃車にした場合は?
自動車税が未納のまま廃車をすることは可能なのですが、もし未納のまま廃車にした場合は、どうなるのでしょうか。自動車税の納税はしなくてよくなるのでしょうか。
あとから延滞金加算で請求される
廃車にしたからといって、未納になっている自動車税が消えてなくなることはありません。国民の義務である納税義務から逃れることはできません。それだけではなく、未納している期間が長ければ長いほど延滞金が加算されて請求されます。例えば、自動車税が39,500円の場合で6ヵ月間、自動車税を未納のままにした場合、延滞金の金額は年利14.6%で計算されます。計算式は以下になります。
39,500円×14.6%÷12×6=2,884円
延滞金2,884円が加算されて自動車税を請求されます。また、延滞金は日割り計算になりますので、1日遅れるごとに加算されてしまいます。廃車手続きが完了したあと、だいたい1~2ヵ月ほどで延滞金が加算された未納分の納税通知書が届きますので、速やかに納税しましょう。
嘱託保存とは?
自動車税が未納のまま2年以上経過した場合、嘱託保存(しょくたくほぞん)という措置が取られます。嘱託保存とは、この自動車は自動車税を納税していないため、税務署の管理下にあるという意味です。嘱託保存になってしまうと、自動車を廃車することができなくなります。
嘱託保存により自動車を廃車できない場合、スクラップ業者に車の解体だけを行なってもらいます。そして、解体報告日を発行してもらい自動車税事務所で手続きをし、これ以上自動車税がかからないように自動車税の課税を停止します。そのあと、自動車税の未納分を納税します。未納分の自動車税が納税されれば嘱託保存は解除され、自動車を廃車できるようになります。
自動車税の未納状態を長期に続けていると税務署より催告書が届きます。催告書が届いても納税せず放置し続けると銀行口座の現金や財産を差し押さえられますので、自動車税は滞納せずに速やかに納税するように注意しましょう。
必ず廃車手続きの完了日を確認する
自動車をスクラップにしたからといって廃車になったわけではありません。自動車を廃車にするには、陸運支局で廃車の手続きを完了させて、はじめて廃車となります。廃車はユーザー自身で行うことは難しいため、基本的には業者に廃車を依頼することになるでしょう。
全てを業者任せにして廃車手続きが完了した日を確認しないと、自動車税の還付金が戻ってこなかったり、翌年以降も自動車税が請求されるなどのトラブルに巻き込まれてしまいます。ここで廃車手続きの完了日を確認する方法をいくつかご紹介しておきます。
自動車リサイクルのサイトで確認する
自動車リサイクルシステムというウェブサイトを使って、廃車の状態を確認することができます。使用済み自動車処理状況検索から照会画面を開き、車台番号や移動報告番号などを入力し、現在の状態を表示させて廃車の完了日の確認が取れます。
陸運支局に登録事項等証明書を請求する
最寄りの陸運支局の窓口で登録事項等証明書の請求手続きをし、廃車の証明書を交付して廃車の完了日を確認します。一時抹消登録の場合は登録識別情報等通知書、永久抹消登録の場合は登録事項等証明書が発行されます。廃車の完了日が確認できるだけではなく、廃車した証明も手に入る方法です。
軽自動車は業者から解体証明書を貰う
軽自動車の場合は、業者から解体証明書をもらい廃車の完了日を確認しましょう。業者によっては廃車手続き後に解体証明書を保管していない場合もありますので廃車手続きのときに、先に業者に解体証明書が必要なことを伝えておきましょう。
まとめ
いかがでしたか。今回は、自動車税と廃車の関係について、また自動車税の支払いや還付(返金)、損をしない廃車の時期についてご紹介しました。自動車税は国民の義務である納税ですから、延滞することなくきっちりと期日までに納税しましょう。延滞をして余計なお金を払うのは損です。条件によっては自動車税は減免されますので、自分が該当していないかもしっかり確認しましょう。自動車を廃車すると、一年分を前払いしている自動車税の還付金が受け取れますので、廃車する場合は一日でも早く対処して損を少なくしましょう。また、廃車が完了した日はしっかりと確認を取りトラブルに巻き込まれないように注意しましょう。