最近免許を取得した初心者の人や、運転が得意ではない人が車を選ぶ時、「運転しやすい」という条件は上位に来るのではないでしょうか。しかし「運転しやすい」と感じる要素は人によって違います。
そこで今回は、乗りやすい車を選ぶポイントについて具体的に解説するとともに、運転しやすい車を車種別にランキング形式でご紹介しますので、ぜひ車選びに活用してください。
運転しやすい車の要素5つ
運転しやすい車の要素としては以下の5つがあります。
- 小回りが利く
- 車両感覚が掴みやすい
- 視認性がよい
- 操作性がよい
- 運転サポート機能が充実している
これらの要素について詳しく解説しますので、理解を深めて運転しやすい車を探すときに活かしてください。
1.小回りが利く
小回りが利く車なら、道幅が狭い曲がり角も曲がりやすく、車庫入れや縦列駐車もスムーズに行えます。車体の小さな車ほど小回りが利く車が多い傾向にありますが、その車がどれほど小回りが利くのかを知るためには、カタログに記載されている「最小回転半径」を見ます。
最小回転半径とはハンドルを右もしくは左に目いっぱい切った状態で、車を一周させたときにできる円の半径がどれほどの大きさかをm(メートル)で表記しています。この数字が小さいほど小回りが利く車なので、車選びの時にはチェックしましょう。
2.車両感覚が掴みやすい
距離が近いものほど距離感を掴みやすいものです。そのため、車体がコンパクトな車ほど車両感覚が掴みやすくなります。
また車体が大きな車であっても、直線的なデザインで前後の先端が運転席から見える車なら、車両感覚が掴みやすい車といえるでしょう。
しかし、車体がコンパクトでも車両の前後が丸みを帯びていると、運転席から車両の先端部分が見えないため、車両感覚が掴みにくくなります。また車体が大きな車は車幅も広くなるため、狭い道を運転する時に壁や対向車に接触させないよう神経を使います。
そのため初心者や運転が得意ではない人には、ボディサイズは5ナンバー(全長4,700mm以下、全幅1,700mm以下、全高2,000mm以下)以下で、直線的なデザインを取り入れている車がおすすめです。
3.視認性がよい
運転中に周りがよく見える車は運転がしやすくなります。そのため視認性がよい車を選ぶことが大切です。視認性の良さにつながるポイントは、以下の4つになります。
- ウインドウが大きい
- ドライビングポジションが高い
- ピラーが細い
- サイドミラー・バックミラーが見やすい
ウインドウが大きいほど見える部分が広くなり車周辺の情報を多く得られるため、その時の状況に適した運転が可能になります。ドライビングポジションが高いほど、遠くまで見渡せるため先々の車の動きや信号が見やすくなります。
前方のAピラーや後方のCピラーが細いことで、交差点やカーブを曲がるときも安全確認がしやすく、バックでの駐車も安心して行えます。また、サイドミラー・バックミラーが見やすいので車線変更時に左右の安全確認がしっかり行えます。
4.操作性がよい
ドライバーは安全運転のために運転に集中する必要があります。そのため、車の機器類はシンプルで操作性のよいものが、運転しやすい車には求められます。
- 少ない視線移動で確認できる位置にある
- 大きく扱いやすいボタンやダイヤルを採用している
- 一目でわかりやすいシンプルな配置である
上記のような条件を満たしていれば、操作性がよい車といえるでしょう。
5.運転サポート機能が充実している
運転中のドライバーは常に周囲の状況を注意深く確認し、的確な判断のもと素早く対応することで交通事故を起こさないよう、緊張状態を続けています。しかし、この負担が長く続けば集中力が欠けて交通事故を起こす可能性が高まります。
最近の車にはドライバーの負担を軽減させるために、カメラやレーダーなどのセンサーを搭載し、アクセルやブレーキ、ハンドルの操作を支援してくれる運転サポート機能が搭載されています。
運転サポート機能が充実していればドライバーの負担も軽減され、運転がしやすくなるだけでなく交通事故の予防にもつながります。
運転しやすい車ランキング【軽自動車】
第1位 ホンダ N-BOX
N-BOXは2021年度の国内販売台数No.1を記録するほどの人気ある軽自動車です。室内空間はホンダ独自の発想で軽自動車としては最大級の広さを実現。あらゆる生活スタイルにあわせることができ、多くの人から支持されています。
高剛性素材を採用することでフロントピラーを極細化。前方の死角が減り、曲がり角や交差点などで良好な視界を得られ、安心感と運転のしやすさを実現しています。
ドライビングポジションも普通車のミニバン並みのため、前の見通しがよいうえに車両感覚がつかめ、運転しやすくなっています。
グレード | N-BOX G(2WD) |
最小回転半径(m) | 4.5 |
全長×全幅×全高(mm) | 3,395×1,475×1,790 |
運転サポート機能 | Honda SENSING |
第2位 ダイハツ タント
タントは通常なら車体側にあるピラーを前後のドアに内蔵することで、助手席側の前後ドアを同時に開けると1,490mmという開口幅を実現させた軽自動車です。ご年配やお子さんとの乗り降りはもとより、ベビーカーをたたまず積み下ろしすることも楽に行えます。
メーターの高さを抑えることで下方向へ抜けのよい運転視界を実現し、デジタルメーターの表示サイズは大きく確認しやすくなっています。
エアコンスイッチやシフトノブ、ステアリングスイッチの操作表示を各部の直上にすることで視線移動を最小限に抑え、より安全に運転しやすくなっています。
グレード | タント X(2WD) |
最小回転半径(m) | 4.4 |
全長×全幅×全高(mm) | 3,395×1,475×1,755 |
運転サポート機能 | スマートアシスト |
第3位 スズキ ラパン
ラパンは丸目のヘッドランプにパステルカラーやツートンカラーのラインアップ、そしてフロントグリルにウサギのエンブレムを冠した軽自動車です。
その可愛らしさから若い女性を中心に人気があります。車高は一般的な軽自動車なので立体駐車場も問題なく利用可能です。
ボディは角がとれた丸みあるデザインを採用していますが、全体的にはシンプルな四角で造形されているため、見切りは良く車両感覚は掴みやすくなっています。
また前後左右のウインドウも十分な大きさが確保されているので、直進、右左折時も視界がよく運転しやすくなっています。
グレード | ラパン G(2WD) |
最小回転半径(m) | 4.4 |
全長×全幅×全高(mm) | 3,395×1,475×1,525 |
運転サポート機能 | スズキ セーフティ サポート |
運転しやすい車ランキング【コンパクト】
第1位 日産 ノート
ノートは、2022年に日本カー・オブ・ザ・イヤーとRJCカーオブザイヤーをダブル受賞したコンパクトカーです。また、自動車安全性能2021において最高評価の「ファイブスター賞」を獲得。性能面や安全面などすべてにおいて優れた車といえます。
ボディデザインの形状上、フロントやリヤの見切りがよいとは言い切れませんが、フロント&バックソナーが全車標準装備されているため、障害物に近づいた場合に音や表示で知らせてくれます。
またFを除く全車にメーカーオプションで設定されている「インテリジェント アラウンドビューモニター」は、自車を真上から見た映像がモニターに映し出されるので駐車がしやすくなります。
その他には、斜め後ろに車両がいることを知らせてくれる「インテリジェント BSI+BSW」、バックで出庫する時に後方の左右から接近する車両を知らせてくれる「RCTA」によって、見切りのよい車と同等かそれ以上に運転しやすくなっています。
グレード | ノート S(2WD) |
最小回転半径(m) | 4.9 |
全長×全幅×全高(mm) | 4,045×1,695×1,505 |
運転サポート機能 | 360°セーフティアシスト(全方位運転支援システム) |
第2位 トヨタ ルーミー
ルーミーはトールワゴンと呼ばれるコンパクトカーで、スライドドアを採用するなど見た目はミニバンを小さくした感じです。
車高が高い分、室内は開放感があり広々としています。シートアレンジも多彩なので、ファミリーにも人気の車種です。
ボディは直線を基調としたデザインを採用し、コンパクトなサイズと相まって前後左右の見切りは良くなっています。また各ウインドウのサイズも大きく取られているため視認性も高くなっています。
ルーミーはダイハツからのOEMのため、運転サポート機能は「スマートアシスト」が採用されています。
グレード | ルーミー G(2WD) |
最小回転半径(m) | 4.6 |
全長×全幅×全高(mm) | 3,700×1,670×1,735 |
運転サポート機能 | スマートアシスト |
第3位 マツダ MAZDA2
MAZDA2は洗練されたフロントフェイスにモダンな水平基調の造形を「魂動デザイン」によって表現されたエクステリアと、細部にまでこだわったモダンなデザインや丁寧な仕立てのインテリアによって、コンパクトカーとは思えない高級感を醸し出しています。
ドライバーが真っ直ぐ座ったときに足を自然に伸ばした位置にペダルを配置することで、違和感なく運転できる環境を作り上げています。アクセルペダルは高級車に採用される「オルガン式」とし、アクセルとブレーキを自然に踏み替えられるようにしています。
運転席周りは人間中心の考え方に基づき、「絶えず確認が必要な情報」「車の状態を確認する情報」「快適・利便性のための情報」の3種類に情報を整理し、それぞれの各表示デバイスを最適に配分したシンプルな情報レイアウトとし、運転に集中できるようになっています。
グレード | MAZDA2 15S(2WD) |
最小回転半径(m) | 4.7 |
全長×全幅×全高(mm) | 4,065×1,695×1,500 |
運転サポート機能 | i-ACTIVSENSE |
運転しやすい車ランキング【SUV】
第1位 トヨタ ライズ
ライズは兄貴分のSUV「RAV 4」に似たルックスを持つコンパクトクロスオーバーSUVです。
フロントマスクは「キーンルック」と少し吊り上がった感じのヘッドランプでワイルドさを演出。全体的にはコンパクトでありながら力強さを感じさせるデザインに仕上がっています。
全高が普通車より高いため、ドライバーのアイポイントも自然と高くなり、運転中の視界は遠くまで見渡せます。また、直線を基調としたボディデザインのためボンネット先端などの見切りもよく、狭い曲がり角や車庫入れも操作しやすくなっています。
SUVはタイヤが大径になることで最小回転半径が大きくなりがちですが、ライズは16インチタイヤ装着のグレードで5mを切る4.9mを達成。17インチタイヤ装着のグレードでも5.0mとSUVとしては小回りが利く運転しやすい車となっています。
グレード | ライズ G(ガソリン1.2L 2WD) |
最小回転半径(m) | 4.9 |
全長×全幅×全高(mm) | 3,995×1,695×1,620 |
運転サポート機能 | スマートアシスト |
第2位 日産 キックス
キックスはコンパクトなボディサイズを持つクロスオーバーSUVです。またノートと同じく、自動車安全性能2021において最高評価の「ファイブスター賞」を獲得しており、安全性の高い車といえます。
モーターのみで駆動する日産のハイブリッドシステム「e-POWER」は、アクセルペダルのみで加減速が可能なため、渋滞時やカーブの多い道路など頻繁に加減速が必要なシーンで、アクセル・ブレーキペダルの踏み替え回数を減らすことでドライバーの負担を軽減してくれます。
グレード | キックス X(2WD) |
最小回転半径(m) | 5.1 |
全長×全幅×全高(mm) | 4,290×1,760×1,605 |
運転サポート機能 | セーフティアシスト |
第3位 ホンダ ヴェゼル
ヴェゼルは都会にも溶け込むようなボディデザインをもつミドルサイズのSUVです。パワーユニットにはエンジンのみ、モーターのみ、エンジン+モーターの両方と3つの走行モードを備える「e:HEV」と呼ばれるハイブリッド車が用意され、スムーズな走りと低燃費を実現。
コックピットは運転に集中できるレイアウトで、スイッチ類は運転席付近に配置され操作しやすくなっています。また、センターコンソール周りに集中配置されているスイッチはそれぞれ形状が異なるため、ノールックで操作してもミスを起こしにくくなっています。
運転席の高さはSUVとしては低めになっていますが、インパネ上面はすっきりとしたフラットなつくりになっているため、前方の視界も良好で運転がしやすくなっています。
グレード | ヴェゼル e:HEV X(2WD) |
最小回転半径(m) | 5.3 |
全長×全幅×全高(mm) | 4,330×1,790×1,580 |
運転サポート機能 | Honda SENSING |
運転しやすい車ランキング【ミニバン】
第1位 ホンダ フリード
フリードは短い全長ながらも3列シートを備え、最大7名が乗車できるコンパクトミニバンです。
たくさん人を乗せたい時はシートを3列目までフルに活用し、荷物をたくさん積みたい時は3列目を跳ね上げることで広いラゲージスペースを確保できます。
上部の左右が切れ込んだ感じになっている特徴的なフロントガラスは前方視界を広くし、停車位置によっては確認しにくい信号も難なく確認できます。またシートのヒップポイントが高いため、前方を遠くまで見渡せて運転がしやすくなっています。
7人ほどが乗れる5ナンバーのミニバンは全長が4.7mほどになるため、小回りが利かず取り回しも大変になりますが、フリードなら全長が4.3m以下と50㎝以上も短いため、街中などの狭い道での走行や縦列駐車なども楽に行えます。
グレード | フリード HYBRID G(2WD 6名) |
最小回転半径(m) | 5.2 |
全長×全幅×全高(mm) | 4,265×1,695×1,710 |
運転サポート機能 | Honda SENSING |
第2位 トヨタ シエンタ
シエンタは前出のフリードと同じく全長の短いミニバンで、3列シートを備えるグレードは最大7名まで乗車が可能です。またガソリン車とハイブリッド車をラインアップしているところも同じですが、フリードとの違いはハイブリッド車の4WDが無いことです。
最小回転半径は5.2mと小回りが利くので、細い路地に入る時や縦列駐車する時の取り回しが楽です。さらにトヨタの先進安全技術「Toyota Safety Sense」が日常のさまざまなシーンでドライバーをサポートしてくれます。
ミニバンの便利さはそのままに、取り回しのよい安全に運転しやすい車です。
グレード | シエンタ G(ガソリン車 2WD 7名) |
最小回転半径(m) | 5.2 |
全長×全幅×全高(mm) | 4,260×1,695×1,675 |
運転サポート機能 | Toyota Safety Sense |
第3位 ホンダ ステップワゴン
ステップワゴンは1996年に登場した初代が現在のミニバンブームの火付け役的な存在であり、現行型は2022年に登場した6代目になります。ボディデザインは初代に近い、直線をイメージしたシンプルな箱型で登場しました。
Aピラーが立ち気味で手前にあること、ボンネットは地面に水平なデザインであること、そしてインパネがフラットなデザインを採用していることで、ボンネットの先端が見え車両感覚が掴みやすくなっています。そのため、Mサイズミニバンとしては乗りやすくなっています。
グレード | ステップワゴン e:HEV AIR(8名 2WD) |
最小回転半径(m) | 5.4 |
全長×全幅×全高(mm) | 4,800×1,750×1,840 |
運転サポート機能 | Honda SENSING |
まとめ
運転しやすい車は、今記事で取り上げた5つの要素を満たす必要があります。しかし人によって、求める度合いが違ったり、さらに他の要素が必要だと感じることもあります。そのため、運転しやすい車を見つけるには、必ず「試乗」をするようにしましょう。
試乗では決まったルートしか走行できないことが多いですが、狭い道を走行させてもらったり、車庫入れや縦列駐車をさせてもらうようにお願いして、実際のシチュエーションで体験するようにしましょう。
どの車に試乗すればよいのかわからない時は、ここで取り上げた12車種の中から選んで試乗してみてください。