車のエアコンの効きが悪いのはエアコンガスの漏れ?補充方法や費用を解説

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車内で快適に過ごすために欠かせないのがエアコンです。暑い夏は車内を冷やし、寒い冬は温めてくれます。そして、雨天時などに起こるウインドウのくもり除去でも活躍してくれます。

エアコンは年数が経つと、エアコンガスの漏れが原因で効きが悪くなることがあります。ここでは、エアコンガスの役割や漏れる原因、そして補充方法と費用などを解説していきます。

車のエアコンの仕組みとエアコンガスの役割

車のエアコンが車内に冷たい風をどのようにして送っているのか、エアコンガスはどのような役割をしているのか解説します。

車のエアコンの仕組み

車のエアコンは以下のもので構成されています。

  1. コンプレッサー
  2. コンデンサー
  3. コンデンサーファン
  4. レシーバー
  5. エキスパンションバルブ
  6. エバポレーター
  7. ブロアファン
  8. EPR(エバポレータープレッシャーレギュレーター)
  9. エアコンガス

1.コンプレッサーでエアコンガスを圧縮する

エアコンパのスイッチを入れると、コンプレッサーが作動します。コンプレッサーはエアコンガスを圧縮し、低温低圧のガス状から高温高圧の半液体ガス状へと変化させる役割を担っています。

2.コンデンサーでエアコンガスを冷却する

コンプレッサーで圧縮され高温高圧の半液体ガス状となったエアコンガスはコンデンサーに送られます。コンデンサーはエアコンガスを冷やすために曲がりくねった細い管に通して熱を放出させ、低温高圧の液状へと変化させます。

走行風を利用してエアコンガスを冷やすために、コンデンサーはフロントグリル付近に配置され、またコンデンサーに設置されたコンデンサーファンが作る風によっても冷やされます。

3.レシーバーに液状でエアコンガスを一時的に蓄える

コンデンサーで冷やされた低温高圧の液状となったエアコンガスは、レシーバーで一時的に蓄えられます。レシーバーは例えるなら、ガスが低温高圧で封入されているヘアスプレーなどのエアゾール缶のようなものです。

またレシーバーはエアコンガスを蓄えるだけでなく、エアコンガス内部の余分な水分や不純物を取り除く役割も担っています。

4.エキスパンションバルブでエアコンガスを噴霧

エキスパンションバルブは、レシーバーに蓄えられた低温高圧の液状となったエアコンガスを、一気に膨張させ霧状に噴霧させる装置です。そして、この状態で次のエバポレーターへと送り込まれます。

5.エバポレーターでブロアファンの空気を冷やす

エバポレーターは、エキスパンションバルブで冷却された霧状のエアコンガスが通過するところです。このエバポレーターを通過するエアコンガスは、高圧から低圧に一気に膨張することで熱エネルギーが奪われ、急激に気化し温度が下がり冷たくなります。

エバポレーターはブロアファンと車内の間にあるため、ブロアファンで車内に送り込む空気は冷えたエアコンガスが循環するエバポレーターを通過することで熱が奪われ、冷たい風になって車内に送り込まれます。

また、ブロアファンから送られる水蒸気を含んだ空気は、エバポレーターで熱を奪われ冷やされることでエバポレーター表面に結露が発生します。この結露が発生した分だけ除湿もしています。車の下から出ている水がこれです。

6.EPR(エバポレータープレッシャーレギュレーター)を通りコンプレッサーに戻る

エバポレーターを出たエアコンガスはコンプレッサーに戻されるのですが、そのまま戻すとエバポレーターが冷え過ぎることで霜が付き、本来の性能が発揮できなくなる恐れがあります。そのためEPRが、エキスパンションバルブの開度を調整したり冷媒の流量をレギュレーターで制御し、冷え過ぎを防止しています。

エアコンガスの役割

車のエアコンの仕組みからわかるように、エアコンガスは車のエアコンを構成している1~8の装置を順番に循環しています。その間に高温高圧→低温高圧→低温低圧と変化し、外から車内に送られる空気の熱を奪うことで冷たい風を作ることと除湿する役割を担っています。

ガス漏れするとエアコンの効きが悪くなる

エアコンガスの役割からわかるように、エアコンガスが必要十分に充填されていなければ、空気の熱を満足に奪うことができなくなります。そのため、エアコンガスが漏れるとエアコンの効きが悪くなるのです。

しかし、エアコンの効きが悪くなる原因はエアコンガスの漏れだけではありません。車のエアコンの仕組みでもお伝えしたように、車のエアコンにはコンプレッサーやコンデンサーなど多くの装置が使われています。これらの不調が原因でエアコンの効きが悪くなることもあるのです。

エアコンガスの漏れる原因

車はエンジンをかけただけでも振動が起きますし、走行することによっても振動します。この振動が原因でエアコンガスの気密性を保てなくなり、少しずつ漏れることがあります。振動が原因の漏れは、車の年数が経過しているほど可能性が高まります。

年数があまり経過していないのにエアコンガスが漏れる原因としては、走行中の飛び石などでエアコンのパイプを傷つけることで漏れる可能性もあります。

エアコンガスの補充を業者に依頼した場合の費用

エアコンガスの補充はディーラーをはじめ整備工場やオートバックスなどのカー用品店に依頼することができます。ではエアコンガスの補充を依頼した場合、費用はどれくらいなのでしょうか。

ディーラーに依頼した場合

ディーラーにエアコンガスの補充を依頼した場合、一般的な「HFC-134a 」ガスの使用で相場はおよそ6,000円~8,000円ですが、高価な「R1234yf」ガスを使用した場合は30,000円以上になる場合もあります。しかし、ディーラーに依頼すれば、エアコンガスの補充だけでなく点検やクリーニングなども行ってくれますので安心感があります。

また新車で購入している場合、保証期間の間であれば無料で対応してもらえる可能性もありますので、該当する場合は、まずディーラーに問い合わせるのがよいでしょう。

整備工場に依頼した場合

整備工場にエアコンガスの補充を依頼した場合、「HFC-134a 」ガスの使用で相場はおよそ3,000円~8,000円です。車のエアコン修理の中でも簡単な作業なため安価で対応してくれます。しかし車種や補充するガスの量によっては、これ以上の費用になる可能性もあります。

オートバックスなどカー用品店に依頼した場合

全国にあるオートバックスなどのカー用品店に依頼した場合、「HFC-134a 」ガスの使用で相場はおよそ4,000円~12,000円です。車種や適合するエアコンガスの値段によって費用は変動します。コンパクトカーでエアコンガスが安い場合、税込でおよそ4,000円、大型ミニバンでエアコンガスが高い場合、税込でおよそ12,000円になります。

自分で行うエアコンガス補充方法と費用

エアコンガスを補充するには、ある程度の専門的な知識が必要なためディーラーや整備工場などに依頼するのが無難です。しかし一部のエアコンガスなら資格などは必要ないため、知識を身に着ければ自分で行うことも可能です。

用意する道具

自分でエアコンガスを補充するのに必要なものは以下になります。

  • エアコンガス
  • エアコンガス充填用メーター付きホース

市販で入手できるエアコンガスの種類としては「HFC-134a」になります。最近では新しい規格として「R1234yf」を使用している車も増えてきていますが、可燃性ガスであり補充・回収作業は資格が必要のため素人では対応できません。

エアコンガスの補充の際は、事前に車中に貼られているシールに記載されているガスの種類を必ず確認しましょう。「R1234yf」のガスを使っている車に「HFC-134a 」を入れるような間違いをすると、トラブルの原因になります。

また、補充に必要な量は車種にもよりますが、通常では1本200gで1缶~2缶ほどになります。ただし、エアコンガスを入れすぎるとトラブルの原因になりますので、エアコンガスの圧力をきちんと計測しましょう。

エアコンガス充填用メーター付きホースも複数の種類があり、低圧ポートが奥まったところにある車でも取り扱いやすい低圧ソケットにL型を採用しているものや、長いホースを採用しているものがあります。

エアコンガスがまったく無い状態の場合には、高圧・低圧の両方にゲージを備え、真空引きなどより高度な診断・作業が可能な「マニホールドゲージ」と「真空引きポンプ」などが必要になります。

ただし、エアコンガスがまったく無い状態での作業は個人レベルでは難しいため、こちらの補充方法は割愛します。

補充方法

1.エアコンガスの缶をバルブに装着する

まず、ホースにエアコンガスの缶を取り付けます。繋げる箇所は針が少し出ている可能性があるので、針がガス缶のパッキンに穴を開けないようにサービス缶バルブのネジを緩め、針が出ていないことを確認してからエアコンガスの缶をセットします。

2.ホースを車の低圧側ポートに装着する

エアコンガスの缶を装着したホースの反対側を車両側パイプの低圧ポートに接続します。低圧(LOW)を示す「L」の表示がある方です。接続する時は、クイックカプラーをスライドさせた状態でポートに取り付けます。

3.ホース内のエアを抜く

車側の低圧ポートとホースを接続した状態では、ホース内にエアが残っています。このままエアコンガスの缶に穴を開けるとエアコンガスの缶の圧力に押されて、ホース内に残ったエアが車側の低圧ポートから入ってしまうので、エアコンガスの缶に穴を開ける前にエアを抜きます。

エアコンガスの缶を少しだけ緩めると、車側の圧力でエアコンガスの缶側から空気が押し出されて抜けます。緩めるのは一瞬だけで大丈夫です。あまり長い時間緩めると車側のエアコンガスが漏れるので注意しましょう。

4.エンジン始動・エアコンONでゲージを確認

エアコンガスを循環させ稼働時の圧力を見るためにエンジンを始動し、エアコンを最大風量・最低温度・内気循環に設定してスイッチをONにします。また、常にコンプレッサーを作動させるためにドアやウインドーを全開にしておきます。

ホースの圧力計が適正値より低い範囲を指していたら、エアコンガスが不足しているので補充が必要となります。適正値に針が来るまで補充しましょう。

5.缶のフタに穴を開けエアコンガスの補充開始

サービス缶バルブのネジを締め込んで、エアコンガスの缶に針を差し込み、フタに穴を開けます。締め込んだ状態のままでは針で穴を塞いだ状態になるので、サービス缶バルブのネジを少し緩めてエアコンガスを車側に補充します。

ガス補充の注意点としては、エアコンガスの補充が進むと缶の圧力が下がることでかなり冷たくなります。凍傷防止のために必ず厚手の手袋を着用してください。また、液体状の冷媒が配管に入るとトラブルの原因になるため、絶対に缶を逆さまにしないようにしてください。

6.補充完了

エアコンガスが入れ終わったかの判断はホースに付いている圧力計で行います。エアコンガスの缶からガスが車側へ流れ込み始めた時は、ガス缶内の圧力が高いため圧力計が上がります。その後、圧力は徐々に下がり、圧力計の針が適正値で止まればエアコンガスの補充は完了です。

補充費用

  • エアコンガス:約1,000円~(1缶)
  • エアコンガス充填用メーター付きホース:約1,500円

エアコンガスは大手ネットショップなどで簡単に入手することが可能です。1缶単位で販売されているものは少なく2缶以上からの購入となることが多いですが、2缶で1,500円程度から購入可能です。また、マニホールドゲージになると4,500円以上は必要になります。

エアコンガス不足の確認方法

エアコンガスは基本的に漏れることはないため不足することはありませんが、絶対に不足しないわけではないため、定期的に確認することをおすすめします。ここではエアコンガスの確認方法をお伝えします。

サイトグラス

エアコンガスが不足しているか確認するにはサイトグラスを見ることです。サイトグラスはエアコンガスが巡回する途中に儲けられているのでエンジンルーム内にあります。設置されている場所はレシーバーの上部などにありますが、車種によって違いがありますので取り扱い説明書で確認しましょう。

サイトグラスを使ってエアコンガスの量を確認する方法は、エンジンをかけアイドリング状態にしてエアコンを最大風量・最低温度・内気循環に設定し、常にコンプレッサーが作動するようにドアやウインドーを全開にした後、ボンネットを開けてサイトグラスを確認します。

サイトグラス内が最初は少し気泡があり、次第に気泡が消えてたり落ち着いたりした状態ならエアコンガスは適正量であり、気泡がまったく無く透明な状態ならエアコンガスが過充填で、気泡がたくさん見える場合はエアコンガスが不足しています。

エアコンガス充填用メーター付きホース

サイトグラスが無い車の場合は、エアコンガス充填用のメーター付きホースを接続し圧力を測定します。これは自分でエアコンガスを補充する場合に使うホースになりますので、点検だけしたい場合はディーラーや整備工場などに依頼するとよいでしょう。

まとめ

エアコンの効きが悪くなった場合、まずはエアコンガスの量をチェックしましょう。もし不足していれば、ここで紹介した方法でエアコンガスを補充することでエアコンの効きが回復します。

しかしエアコンの効きが悪くなる原因は、エアコンガスの漏れ以外にもエアコンフィルターのゴミ詰まりなどで送風量が低下している場合もあります。また頻繁にエアコンの効きが悪くなる場合は、エアコン自体の故障が考えられ、その場合は修理が必要となります。

エアコンガスの補充だけでトラブルが解決できるなら、自分でエアコンガスの補充にチャレンジしてみるのもよいでしょう。ただし、今回ご紹介した作業はあくまで一例であり車種や状態によって異なります。実際に作業を行う際は内容や手順を十分理解したうえで行ってください。