ボクスターは、数少ない水平対向エンジンを搭載した本格派MRスポーツカーです。
ボクスターは、ポルシェ社が製造・販売を行っている車種の1つで、車のことを知らない人でも「ポルシェ」と聞けば、超高級スポーツカーを連想するほど知名度の高い車です。
今回は、永遠の憧れポルシェ・ボクスターの維持費について紹介していきます。
目次
ボクスターの特徴
ボクスターは、高額で癖も強かった911を、もっと身近に楽しめるように開発されたポルシェ社のスポーツカーです。フラット6と呼ばれる水平対向6気筒エンジンがポルシェの代名詞でしたが、排ガス規制の問題から次々と廃止となり、ポルシェ自体が昔のような盛り上がりがなくなってしまった印象です。
そこでポルシェをもっと身近に感じてもらうために開発されたのがボクスターで、ポルシェと聞くと敷居が高く敬遠されがちですが、手軽にポルシェを体感できるように発売されました。
ボクスターには、最高出力 300ps、最大トルク 380Nmを発揮する2,000cc水平対向4気筒ターボエンジンと、最高出力 350ps、最大トルク 420Nmを発揮する2,500cc水平対向4気筒ターボエンジンの2種類のエンジンが用意されています。
2,000cc4気筒エンジンと聞くと、ポルシェとして少し物足りなく見えますが、1,400kg前後の軽いボディに300psを超えるビッグパワーのエンジンですから、ボクスターを乗りこなすのは至難の業です。
トランスミッションも、6速ミッションと7速セミオートマチックパドルシフトの2種類から選ぶことができます。
ボクスターの維持費は年間どのくらい?
ボクスターを購入する時に、気になる年間の維持費について調べてみましたので紹介します。
税金
ボクスターを維持していくために課せられる税金について紹介します。
自動車税
自動車税は、自動車を所有している全ての人に支払うことが義務付けられている税金のことで、エンジンの総排気量によって税額が定められています。車検有効期間の有無に関わらず、ナンバープレートを返納しない限りは、自動車税の納税義務があります。
自動車税は、毎年4月1日の時点で自動車検査証に記載のある所有者宛てに自動車税の納付書が送付されます。自動車税を滞納している場合は、車検を受験することができないので、車検を受ける際には延滞料を含めた自動車税を完納する必要があります。
ボクスターに課せられる自動車税は、ボクスターに搭載されているエンジンの排気量は2,000ccなので【¥39,500-】と、ボクスターSに搭載されているエンジンの排気量は2,500ccなので【¥45,000-】です。
重量税
自動車重量税は、車検を受ける際に課税が義務付けられている税金ですが、もし車検を受けない場合は納税する必要はありません。自動車重量税は、文字通り自動車の重量に応じて課せられる税金で、車検の有効期間分を先に納付しなければいけません。
ボクスターを新車で購入した場合は、新規登録後の最初の継続車検が来た時には、2年間分の自動車重量税を納付して車検を受けることになります。ボクスターの自動車重量税は、2グレードとも1,500kg以下の車両重量なので、2年間分の自動車重量税額は【¥24,600-/2年】になります。
1年間に換算すると、【¥24,600-÷2年=¥12,300-/年】になります。
保険
自動車には、【自賠責保険】と【任意保険】の大きく分けて2種類の保険があります。自動車を購入した全ての人に加入することが義務付けられている保険が【自賠責保険】で、強制ではなく任意で加入することができる保険を【任意保険】と言います。自賠責保険と任意保険について説明していきます。
自賠責保険
自賠責保険とは、自動車を所有する全ての人が加入しなければいけない保険で、自賠責保険に加入していない車は、一般道を走行することもできませんし、車検を受けることもできません。
自賠責保険は、事故を起こした時に使用することができますが、補償されるのは人間だけなので、相手の車や自分の車や建物などを壊しても補償は一切ありません。
また、補償額も乏しく、死亡時でも3,000万円しか補償されないので、自賠責保険だけでは補償しきれないケースが殆どです。
自賠責保険の特徴としては、自家用乗用自動車、軽自動車、小型二輪自動車、原動機付自転車に分けられているだけで、自家用乗用自動車なら車種に関係なく保険料も補償内容も同じなので、どの保険会社で加入しても構いません。
車検を受ける時に、車検期間分の自賠責保険料を支払うため、継続検査の場合は2年間分(24ヶ月)【¥25,830-】となります。車検の有効期間と自賠責保険の有効期間は同じ24ヶ月ですが、満了日の時間に大きな違いがあります。
車検の有効期間満了日は【深夜24時まで】、自賠責保険の有効期間満了日は【昼の12時まで】で、満了日に12時間のズレが生じてしまいます。
自賠責保険に加入していない車を走行させることは違法ですから、自賠責保険に加入する場合は24ヶ月ではなく、25ヶ月で加入することが通例とされています。ボクスターの車検受ける時に加入する自賠責保険は、25ヶ月で【¥26,680-】となります。
1年間分に換算しますと、【¥26,680-÷2年=¥13,340-】です。
任意保険
自賠責保険だけでは補償内容が乏しいため、事故を起こした時に多額の賠償金を請求される恐れがあります。
自賠責保険では補償されない【相手の車】【相手の運転者や搭乗者】【事故によって破損した物】【自分や同乗者】【自分の車】などを守る上でも、補償内容が充実している任意保険に加入することは必須となります。
任意保険は、保険会社によってサービス内容も保険料も全く異なりますが、基本的な約款はどこも変わりません。任意保険に初めて加入した場合は、6等級から始まり無事故で毎年契約を更新していくことで、MAXの20等級(保険料割引最大)まで上がることができます。
契約更新時に、保険会社を変更しても等級の引継ぎは行えるので、補償内容が良く、保険料の安い保険会社を自分自身で探すことが維持費を抑えるためにも大切になります。
ボクスターのユーザー層は、年齢層は幅が広いのですが、実用性には欠けるスポーツカーなのでステータスや趣味として購入する富裕層がターゲットになっています。
任意保険の料金を1例として紹介します。
- 年齢 :30歳以上
- 等級 :15等級
- 年間走行距離 :9,000km
- 免許の種類 :ブルー
- 運転者限定 :本人限定
- 運転者年齢制限:26歳以上
- 対人賠償 :無制限
- 対物賠償 :無制限
- 年間の保険料 :¥38,400-
ボクスターは、正直運転しずらい車なので誰でも簡単に運転することができる車ではありません。その為、運転者限定は本人限定とさせて頂きました。ボクスターの購入層は、若い人からご年配の方まで年齢層の幅が広い車なので、運転者年齢制限は20代後半からとさせて頂きました。
年間の保険料は約4万円ですが、高額な車両のため車両保険に加入することをオススメします。ボクスターはスポーツカーなので、車両料率が7の高い車なので、車両保険の料金はかなり高額に設定されています。
ボクスターで車両保険に加入する場合は、上記の年間保険料の約3倍の保険料が掛かると思って下さい。しかし、事故をした場合には1,000万円の愛車が廃車になる可能性があるので、車両保険へ加入しておけばその心配はなくなります。
その他費用
ボクスターの維持費の中で、大きなウェイトを占めるのは、ガソリン代と駐車場代です。故障や事故で突発的に思わぬ出費が出ることもありますが、ガソリン代と駐車場代は日常の維持費の中では大半を占めます。税金や保険以外で必要となる費用を紹介していきます。
ガソリン代
ボクスターに使用されるガソリンは、【無鉛プレミアムガソリン(ハイオク)】で、ハイオクガソリンの全国平均価格は【¥159.2-】です。1年間の走行距離の目安は10,000kmと言われていますので、1年間に必要なガソリン代を求める計算式は、【1年間の走行距離÷カタログ燃費数値×ハイオクガソリン価格】となります。
ボクスターの燃費数値は、【12.3km/L~14.1km/L(JC08モード)】なので、先ほどの式にそれぞれ必要な数字をあてはめることで、1年間に使用するQ3のガソリン代を求めることができます。
●ボクスター(燃費数値・14.1km/L)
10,000km÷14.1km/L×¥159.2-=¥112,908-(消費税別)
●ボクスターS(燃費数値・12.3km/L)
10,000km÷12.3km/L×¥159.2-=¥129,431-(消費税別)
ボクスターの1年間に必要なガソリン代は、【¥112,908-(消費税別)~¥129,431-(消費税別)】となります。
ガソリン・灯油価格情報NAVI:https://oil-stat.com/high.html
エンジンオイル交換費用
ボクスターは水平対向エンジンのため、一般的なエンジンオイルではなく、少し粘度の強いオイルを選択しなければいけません。ボクスターのエンジンオイル交換時期は、走行距離に関係なく年に1度エンジンオイルの交換をするようにメーカーが推奨しています。
エンジンオイルの種類としては、価格的には少し高いのですが、1年に1度だけの出費なのでオイルの種類は妥協しないで【5W-50】を使用すること。エンジンオイルは、メーカーや種類によって金額が違いますが、市販されている5W-50のオイルは、¥3,000-/L前後で高性能オイルが販売されています。
ボクスターのエンジンオイルの交換には、アンダーカバーを外す手間が掛かるため、作業工賃が高くディーラーでは¥10,000-が相場になっています。
ボクスターに使用するオイルの量は【5.7L~6.1L】なので、エンジンオイル交換の料金は【(5.7L×¥3,000-)+¥10,000-=¥27,100-(消費税別)~(6.1L×¥3,000-)+¥10,000-=¥28,300-(消費税別)】です。
ボクスターの1年間に必要なエンジンオイル交換費用は、【¥27,100-(消費税別)~¥28,300-(消費税別)】となります。
駐車場代
都市部や地方とでは、駐車場代に大きな開きがあります。全国の月極駐車場相場の分かるサイト参照に、1例として都市部と地方の駐車場代を紹介します。
●福岡県と熊本県の駐車場平均月額
- 福岡県の月極駐車場平均額:¥18,000-(¥216,000-/年)
- 熊本県の月極駐車場平均額:¥ 4,500-(¥ 54,000-/年)
中四国、九州で輸入車登録台数が約13,000台で、断トツのNo.1.が福岡県です。2位の広島県が約7,000台なので、2倍近くもの差を開けての1位!
九州地方で福岡県に次いで2位だったのが熊本県ですが、輸入車登録台数は約3,500台ほどしかありません。福岡県の月極駐車場平均額は、大都市にしては低い感じですが、熊本県と比べると約4.5倍もの差があります。
同じボクスターを購入しても、駐車場に置いておくだけで、福岡県と熊本県とでは年間約15万円もの維持費に差が出ます。高級車や維持費の掛かる車を所有するなら、地方の方が経済的にも維持しやすい環境と言えます。
車検整備費用
ボクスターを購入すると、初年度登録から10年が経過するまでは、2年に1度の間隔で必ず車検を受けることになります。今回は大きな修理もなく車検に合格したことを想定した金額でsが県整備費用を算出していますが、車検時には必ず消耗品の交換があるのでボクスターの場合は、30万円ほどは交換部品用に準備しておくようにして下さい。
- 自動車重量税:¥24,600-/2年
- 自賠責保険料:¥26,680-/25ヶ月
- 印紙代 :¥ 1,100-
- 車検整備費用:¥30,000-
- 車検代行料 :¥10,000-
- 消費税 :¥ 3,200-
- 車検費用合計:¥95,580-
車検は2年に1度なので、1年間の維持費として計算を行うと、【¥95,580-÷2年=¥47,790-/年】となります。
ボクスター年間の維持費金額
- 自動車税 :¥ 39,500-/年~¥45,000-/年
- ガソリン代 :¥112,908-/年~¥129,431-
- オイル交換代 :¥ 27,100-/年~¥28,300-
- 車検費用 :¥ 46,190-/年
- その他費用 :¥ 10,000-/年
- 年間維持費合計:¥235,698-~¥2258,921-
※上記金額には消費税は含まれていません。
その他費用として、洗車をするための道具や、ちょっとした消耗部品など日常のメンテンナンスで必要な費用として【¥10,000-/年】を計上しています。この年間維持費合計には、加入条件によって大きく金額が異なる任意保険料と、お住いの地域によって大きく価格が異なる駐車場代は含まれていません。
また、車検で交換する消耗部品なども入っていないので、上記の年間維持費合計金額に¥200,000-~¥300,000-は最低でも余分に用意しておく必要があります。
ボクスターの購入時にかかる費用は?
ボクスターに用意されているグレードは、【718ボクスター】と【718ボクスターS】の2種類がありますが、6速MTと7速PDKがそれぞれのグレードに用意されています。ボクスターを新車で購入するときの費用を調べてみましたので、紹介していきます。
車体価格
- ボクスター MT :¥6,592,593-(消費税別)
- ボクスター PDK :¥7,029,630-(消費税別)
- ボクスターS MT :¥8,342,593-(消費税別)
- ボクスターS PDK:¥8,779,630-(消費税別)
ボクスター公式:https://www.porsche.com/japan/jp/models/718/
オプション
ボクスターに用意されているオプション装備を一部、紹介します。
- ダイナミックコーナーリングライト:¥142,000-
- LEDヘッドライト :¥323,000-
- バイキセノンヘッドライト :¥232,000-
- ティンテッドテールライト :¥ 77,000-
- スポーツデザインパッケージ :¥409,000-
- エクステリアパッケージ :¥166,000-
- カーボンインテリアパッケージ :¥206,000-
- マホガニーインテリアパッケージ :¥206,000-
- BOSEサラウンドシステム :¥193,000-
- パークアシスト+バックカメラ :¥168,000-
- ロールオーバーバー :¥ 83,000-
- アダプティブクルーズコントロール:¥253,000-
上記以外にも、19インチアルミホイールや20インチアルミホイールなど沢山のオプションパーツが用意されています。ボクスターは、カスタマイズを楽しむ車なので、自分が必要としているオプションパーツを選んで購入するスタイルをとっています。詳しくはボクスター公式ホームページにてご確認下さい。
自動車重量税
自動車重量税は、新車を購入する時と車検を受けるときに課せられる税金で、車検の有効期間分を先に納付することになります。自動車重量税は、車体の重量によって税額が決められています。
ボクスターの新車を購入した場合は、初回の車検期間が3年なので3年間分の自動車重量税を新車契約時に納めることになります。
ボクスターの新車購入時に課せられる3年分の自動車重量税額は、【¥36,900-/3年】です。
自動車取得税
自動車取得税は、平成26年4月以降に登録・納車の自家用自動車に課せられる税金です。取得価額はボクスター車両本体の他にも、簡単には取り外すことのできないエアコンやカーナビなどのパーツについても取得価額として3%が課税されます。オプションは無しと言う条件で今回は算出します。
- ボクスター MT :(¥6,592,593-×0.9)×3%=¥178,000-
- ボクスター PDK :(¥7,029,630-×0.9)×3%=¥189,800-
- ボクスターS MT :(¥8,342,593-×0.9)×3%=¥225,250-
- ボクスターS PDK:(¥8,779,630-×0.9)×3%=¥237,050-
自賠責保険
ボクスターを新車で購入した場合、初めての継続車検までの期間が3年なので、自賠責保険も36ヶ月若しくは37ヶ月で加入することになります。自賠責保険と車検の有効期間満了のズレについては、先ほど説明したので省かせて頂きます。
ボクスターを新車で購入する場合の自賠責保険料は、37ヶ月分の【¥36,780-】となります。
リサイクル料金
ボクスターを新車で購入する時に、解体するときの処理料金としてリサイクル料金を預託金として支払うことが義務付けられています。リサイクル料金の預託を行った証明として、リサイクル券が発行されるので自動車検査証と一緒に大切に保管して下さい。
ボクスターS:¥17,700-~¥21,080-
ポルシェ公式:https://www.porsche.com/japan/jp/accessoriesandservice/porscheservice/vehicleinformation/recycle/
登録に必要な諸経費
ボクスターを新車で購入した場合、車庫証明や名義変更の手続きを管轄の警察署や陸運局で行わなければいけません。ボクスターの登録に必要な諸経費の内容と費用を紹介します。
- 検査登録手続代行費用:¥35,000-
- 車庫証明費用 :¥ 2,600-
- 車庫証明手続代行費用:¥25,000-
- 納車費用 :¥35,000-
- ナンバープレート代 :¥ 1,500-
- 諸経費合計 :¥99,100-
※手続き代行費用、車庫証明費用、ナンバープレート代などは、店舗や地域によって金額は異なります。
ボクスターの壊れやすいところや注意するべき点
昔のポルシェは、RRエンジンで良く故障しましたし、メンテナンス性も悪く、ポルシェが乗り手を選ぶ車でした。ボクスターのように水冷タイプのエンジンになってからは、故障も少なく国産車のスポーツカーを購入する感覚で買えるポルシェになりつつあります。
とは言え、壊れにくくなっただけで電装系のトラブルは良く起こります。特に、ボクスターはイグニッションコイルの位置が悪く、熱を受けやすい場所に付いているため、高熱によってイグニッションコイルの外装が割れて失火する恐れがあります。
ボクスターでアイドリングが不安定になるのは、イグニッションコイルからの発電が不安定になり、油圧も下がってしまうため、点火系に不具合が起こってしまいます。特に天候の悪い日は、湿気によって点火も不安定になるので、アイドリングが不安定だと感じたときには、早めにイグニッションコイルを交換するようにして下さい。
まとめ
ボクスターの維持費について紹介してきましたが、ポルシェと言う車は男性にとっては子供の頃から憧れの車で、一生に一度は乗ってみたい車の一つではないでしょうか?スポーツカーと言うよりは、フェラーリのようにスーパーカーのイメージもあるため、超高級車と言う先入観が、頭のどこかにあるので現実には購入しにくい車です。
正直、国産車のスポーツカーと比較しても、ボクスターは決して運転しやすい車ではありません。荷室容量は狭いですし、車の乗り降りもしにくく、シート座面が低くため、運転席からの視認性も悪く、左右後方の死角も多い特殊な車です。
しかし、その不便性が逆にカリスマ性を高めて、ポルシェに乗っている優越感がクセになっているユーザーが多くいます。実用度よりも走行性能とステータスに特化しているので、他の車と比べて維持費が多少高くても、お金には変えられない魅力がある車がボクスターではないでしょうか?