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事故車の概算修理代を内容別にご紹介
事故車を修理するとなった場合、どこが壊れていてどのような修理が必要なのかによって、どれくらいの修理代になるのかが決まってきます。事故車といっても、事故の程度によって事故で壊れた箇所やダメージは違ってきます。
また、国産車と輸入車では部品入手のしやすさや金額が違うため修理代が大きく変わってきます。ここでは、修理する箇所ごとのだいたいの相場をご紹介します。
骨格(フレーム)の修理
骨格(フレーム)の修理は、中古車販売店や車買取業者では「修復歴のある車」として取り扱われます。実は、中古車販売店や車買取業者では「修復歴のある車」のことを「修復歴車」と言うのですが、同じ意味で「事故車」という言葉も使います。自動車業界でいう「事故車」とは「修復歴車」のことを言います。
この場合の事故車(修復歴車)となった場合は、車としての価値が大きく下がってしまいます。事故で骨格が歪んだり曲がった場合、板金加工による修理をすることになります。修理する骨格の場所にもよりますが、板金補修で10万円前後、そして周囲のパーツ解体や組立てまでになると100万円くらいの高額になります。
骨格が走行不能になるほどの損傷を負ってしまった場合は、車を買い替える金額よりも修理費が上回ってしまうほど高額になることもあります。
エンジンの修理
事故の多くは前からの衝突が多いことと、多くの車はエンジンをフロント(前側)に配置しているため、事故によりエンジンが故障する割合は高くなります。
経年劣化などのエンジン故障であれば部分修理で直ることもありますが、事故による故障は強い衝撃を受けているため、場合によっては修理できないほどの損傷を受けていることもあります。エンジンを載せ替える場合、国産の普通車を例に挙げると以下のような金額になります。
- 新品エンジン:約60~80万円
- リビルド品(中古エンジンの中身のみ新品パーツで組んだもの):約30~50万円
- 中古エンジン:約10~30万円
※載せ替え工賃込みの金額です
エンジンを乗せ換える場合は、新品もしくはリビルド品がおすすめです。中古エンジンは一番安く修理できますが、状態が不明のため、後々余計に費用が掛かる可能性があります。もし、これらの費用よりも修理した方が安い場合は修理、高い場合は載せ替えを選択すれば良いでしょう。
足回りの修理
足回りは、車の基本性能である「走る、曲がる、止まる」に大きく関与しているパーツです。タイヤやホイールは目に見えるパーツなので見た目で損傷しているかどうかがわかりやすいのですが、足回りのパーツはそれ以外にもブレーキやサスペンション、スタビライザーなどいくつものパーツで構成されています。
普通自動車の足回りのパーツごとの概算修理代は以下になります。
- タイヤ:約1~4万円
- ホイール:約2~8万円
- サスペンション:約3~12万円
- ブレーキ:約2~8万円
- スタビライザー:約0.5~1万円
- ジョイントブーツ:約0.5~2万円
- アライメント調整:約0.5~1万円
※工賃込みの金額です。
タイヤやホイールなど1本や1か所のみ修理する場合もあれば、4本・4か所全てを修理する場合がありますので、修理代の金額に幅が出ています。
ドア・ボンネット・トランクの修理
ドア・ボンネット・トランクは、軽度の損傷であれば板金修理でキレイに修復ができます。板金修理の相場はおおよそ5万円程度になります。板金では直しきれない場合は丸ごと交換になります。ドア1枚の交換修理はおおよそ10万円程度になります。
ボンネットとトランクも、ドアと大体同じくらいの修理代で板金修理は5万円程度、ボンネット新品交換修理は10万円程度になります。
交換修理を考える場合、中古パーツで交換修理すれば新品交換よりも安くなるのは当然ながら、場合によっては板金修理よりも安くなる場合があります。ボディーカラーが同色で塗装することなく交換修理ができる場合、おおよそ1.5~3万円程度で修理できます。
ヘッドライト・テールライトの修理
前からの衝突事故ならヘッドライト、後ろからの追突ならテールランプが破損します。ヘッドライトもテールライトも衝撃を受けると割れてしまいますので基本的には交換修理となります。最近のヘッドライトやテールライトはLEDを採用しているものが多く部品代は高騰してきています。
ヘッドライトおよびテールライト本体の交換は、新品の場合は安くても片側2万円程度でLEDヘッドライトになると10万円以上になります。さらに工賃は1万円程度必要になります。
バンパーの修理
昔の車のバンパーは鉄製で、車を衝突から守るために装着されていました。しかし、最近の車のバンパーは樹脂製でボディデザインを構成するパーツとなっており、車を衝突から守るという役割はほとんどありません。そのため、少しでも凹んだり損傷すると見た目が悪くなってしまいます。
バンパーを修理する場合、新品交換であれば約8~10万円と結構高額になります。中古パーツなら約2~5万円ほどで修理が可能です。交換するほどではない場合、板金修理も可能です。損傷した面積の大きさや程度によりますが約1~5万円になります。
事故車は乗り換えるべきか修理するべきか
逆にそれらのパーツは大丈夫でも、エンジンの調子が悪いとかハンドルが重たいなどの症状が出ていれば安全な走行ができません。
事故車になった場合、乗り換えるべきなのでしょうか?もしくは修理して乗り続けるべきなのでしょうか?
事故車を修理した方が良いパターン
修理代金が乗り換えよりも安い
事故車になる前の状態と同じ中古車を購入する金額よりも、修理をして事故車になる前の状態にできる方が金銭的に安い場合は修理をした方が良いでしょう。まず、何と言っても金銭的負担が少ないからです。
さらに、今まで乗っていた車なのでクセも理解しているので、同じ車種に乗り換えたとしても今まで乗っていた車の方が乗りやすいからです。
車検を受けたばかり
先ほどの中古車を購入する金額よりも、修理した方が安い場合の考え方にリンクするのが車検の残り期間です。車検は車種や年式にもよりますが、普通車なら少なく見積もっても10万円近い費用がかかります。
車検を受けたばかりで事故車になってしまった場合は、修理して乗り続ける方が安くなる場合があります。
思い入れがある
とくに、長年乗り続けていた車の場合は愛着が沸いて思い入れがあると思います。最新の車に比べれば不便なところがあっても、そこがまた良かったりするものです。
愛着が沸くくらいに乗り続けている車は年数も経っているため、同じ程度の中古車の方が安かったりしますが、かなりの年数が経っている車だと同じ程度の中古車が無かったりします。経済的に余裕があって乗り換えたくない場合は修理して乗り続ける方が良いでしょう。
事故車を修理しない方が良いパターン
自走不能になった場合
事故車が自走不能になる原因の多くはエンジンの故障になります。事故の多くは車の前方にダメージを受けることが多く、一部のスポーツカーを除いてほとんどの車はフロント(前側)にエンジンを積んでいます。
そのためエンジンを損傷することが多く、ダメージが大きいとエンジンブロックに亀裂が入るなどしてエンジン自体の修理が不可能になります。
エンジンが修理不可能となってしまうと、残される方法はエンジン自体の積み替えになります。しかし、エンジンの積み替えはかなり高額となるため、車種によっては乗り換える方が安く上がる場合があります。
エンジンを安く載せ替える方法として、同じ車種の廃車から中古のエンジンを移植する方法があります。しかし、中古のエンジンは素性がわからず、後々トラブルが発生して逆に高くついてします場合もあります。
また、エンジン自体に大きなダメージを与えるくらいの事故を起こした事故車の場合、エンジン以外の箇所にも必ずダメージが及んでいます。それが車の骨格部分となれば修復歴車となってしまい、仮に走行できたとしても真っ直ぐ走らなかったり雨漏りしたりなど安全性もなくなっています。
修理代金が乗り換えよりも高い
車の骨格部分に損傷を受けた「修復歴有り」となる事故車になった場合は、高額な修理代になることがあります。また修復歴有りとなると、完全に元の状態に戻すことはほぼ不可能になります。
骨格が歪むなどの損傷を受けているため、真っ直ぐ走らないなど安全性も損なわれています。このような場合は修理するよりも乗り換えたほうが金銭面でも安全面でも無難でしょう。
精神的苦痛がある
交通事故というのは、非日常的な出来事であり命の危険を伴うものなので交通事故を経験すると、忘れたくてもなかなか忘れられないものです。そして精神的苦痛も伴います。特に事故を起こした車に乗ると、余計に事故を起こした時の嫌な記憶がよみがえるものです。
修理した方が安くても、走行に支障がないくらいのダメージでも、このような精神的苦痛がある場合は、金銭面を優先するよりも精神面を優先して乗り換える方が良いでしょう。
事故車は下取もしくは買取してもらえるのか
特に、修復歴車となる「事故車」の場合は、骨格の損傷を免れる事故を起こした事故車よりもさらに売却価格は大きく下がります。
それはなぜなのでしょうか。
なぜ事故車は安くなるのか
事故を起こしていない車と事故を起こした車、あなたならどちらを購入しますか?当然ながら事故を起こしていない車を選びますよね。事故を起こしているだけで売れにくくなるため、事故を起こした事故車は売却価格が下がってしまいます。
さらに、骨格部分の損傷を修復した修復歴車と言われる事故車になると、さらに売却価格は大きく下がってしまいます。理由は、骨格の歪みや曲がりなどの損傷は車全体に波及し安全な走行に悪影響を与えます。
たとえ修復を行ったとしても、ミリ単位での小さな歪みや曲がりは完全には直せないのです。表面上は元通りに見えても、実際は走行に支障をきたす可能性が高いのです。
事故車にしてしまった原因が自分自身ならば仕方ありません。しかし、相手の過失によって起こった事故が原因で、買取査定が大きく下がってしまうとなれば、当然ですが納得できないと思います。相手の過失による事故が原因の場合には、必ず事故減価額を相手の保険会社に請求して「事故によって落ちた金額(評価損)」を取り戻すことが大切です。
事故減価額の請求する方法
事故減価額を相手の保険会社に請求するには「事故減価額証明書」が必要になります。事故減価額証明書は自動車査定協会にて発行してもらえます。事故減価額証明書を発行するには、自動車査定協会へ電話で問い合わせをし、査定する日時を決めます。
そして以下のものを用意し持参します。
- 事故に遭った車
- 車検証
- 自賠責保険証
- 整備手帳
- 修理見積書のコピー
- 証明手数料
事故車をできるだけ高額査定にする秘訣
事故車といっても修復歴の程度は様々であり、またその修復歴の程度が買取価格に影響を与えています。事故車は、修復歴があることで修復歴がない同程度の同車種に比べて買取価格が下がってしまうことは避けられません。しかし、車買取業者によっては買取価格が違ってくることが多々あります。
事故車の買取を専門にする車買取業者もありますし、車買取業者の査定は会社ごとの基準で行われており、査定時期や車種によって違うこともあります。
とくに修復歴のある事故車は、査定額に大きな差が出ることが多いのです。可能なかぎり多くの車買取業者に査定してもらい買取価格を比較し交渉を行いましょう。
まとめ
事故車の修理代をはじめ、修理か乗り換えかの判断基準、事故車の下取り・買取についてご紹介してきました。事故車とは事故を起こした車なのですが、単に事故を起こした車なのか、自動車業界で言われる修復歴車なのかで修理代や下取りや買取金額は大きく違ってきます。
もし、事故をして車を損傷させてしまった場合、単に事故を起こした事故車レベルなのか、修復歴有りと言われる事故車レベルなのかを把握して、その後のカーライフと照らし合わせて安全で無駄のない対処をするようにしましょう。
しかし、一般的に使われる「事故車」と中古車販売店や車買取業者で使われる「事故車」では意味が違ってきます。
また、「事故車」と言っても事故の度合いによってダメージの大きさや故障個所が違ってきます。事故車を修理するとなればどれくらい費用がかかるのでしょうか?内容別に概算の修理代を解説するとともに、事故車を売却するときの注意点などもご紹介します。