車の売却に関しては、ほとんどの方が専門業者に手続きを代行してもらっているのではないでしょうか。ただ、車の売却に関する必要書類は自分で準備が必要となりますが、どういったものが必要なのでしょうか。
今回は、車を売却する際の必要書類についてご紹介します。
目次
車の売却におけるそれぞれの必要書類と役割
まずは、車の売却における必要書類と役割についてご紹介します。
自動車検査証
ユーザーが車を売却する際には、車検を受けた時に更新される自動車検査証が必要です。コピーでは車を売却することができませんのでご注意ください。定期的に更新される書類なので、ユーザーにとっても確認することが多い書類ではないでしょうか。
この自動車検査証には、登録番号・車体番号や、使用者・所有者などの、車に関する情報が記載されています。一般ユーザーが所有する公道を走ることができる車には、自動車検査証は絶対に必要となります。
自動車税納税証明書
車の使用者には、毎年4月1日の時点で自動車税の納付義務が発生します。文字どおり自動車税を納めていることを証明するものとなりますが、下取り業者や中古車買取業者は、納税の有無をこの自動車税納税証明書で確認します。
自動車納税証明書は、車検を受けるときにも必要なので、車検証と一緒にグローブボックスに保管しておくと良いでしょう。
自賠責保険証
車検証と同様に、自賠責保険証明書の原本も、グローブボックス内の書類入れに保管されていることが多いです。
もし自賠責保険の期限が切れていたら、売却をすることができません。書類を確認するとともに有効期限をしっかり見ておきましょう。万が一紛失している場合には、保険会社へ再発行の依頼が必要です。
譲渡証明書
車を売却したり譲ったりする場合は、車の所有者を変更するために。譲渡証明書が必要です。譲渡証明書は、定められた様式のものでなければなりませんが、ディーラーや中古車買取業者が用意をしてくれます。いつ誰に譲渡するかなどの必要事項があり、そちらに記入します。
所有者が確認を行った上で、車が売却・譲渡されたということを証明する書類になります。
リサイクル券
リサイクル券は、自動車リサイクル料金を支払った証明書となります。
2005年以降に販売・登録された車、もしくは車検を受けた車は、リサイクル料金の支払い義務があるので、そちらの支払いを確認できる書類となります。支払いに関しては、購入時か車検時に行っているケースが主ですが、年式の古い車であれば、この限りではありません。
住民票
購入時と所有者の住所などに変更がなければ、住民票は車の売却時には必要ありません。
しかし、引越しなどで自動車検査証に登録されている住所が、現住所と違う場合には確認のために必要になってきます。引越しをした際に、自動車検査証も住所登録を変更しておけば問題はありませんが、その手続きを行っていない場合には、車検証の記載内容と現住所を照会するために、住民票を準備する必要があります。
実印
売却時に記載する譲渡証明書や委任状は、運輸支局への提出が義務つけられている法的な手続きとなります。そのため、捺印する印鑑も市町村に届出をした実印が必要です。
車の購入時にも実印が必要なので、ほとんどの方は持っているかと思いますが、もし違う印鑑を実印として登録したい場合は、再度手続きをする必要があります。また届出をした印鑑と実印が違う場合は、委任状や譲渡証明書は無効となりますので、注意が必要です。
認印
実印が必要になるのは、普通自動車を売却するときのみです。というのも、軽自動車の売却は名義変更の機関が軽自動車検査協会となります。普通自動車とは、書類の提出先と制度が異なるため、実印の必要な書類はありません。
したがって、軽自動車の売却する際に書類に押印するのは、実印ではなく認印で良いのです。必要書類もやや異なり、軽自動車の売却時には名義変更の書類に捺印をしますが、この書類に関しても認印で問題ありません。
印鑑証明書
印鑑証明書は実印の所有者が本人であることを証明する書類です。印鑑証明書は2通必要になります。1通は名義変更のため、そしてもう1通は自動車税の権利譲渡に使用されます。
個人の場合は市区町村で、法人は法務局で印鑑登録をすることで取得できます。もし実印を紛失している場合は、違う印鑑を実印として登録し直す必要があります。印鑑証明書は各自治体でもらうことができますが、3カ月以内に発行された印鑑証明書のみ、車の売却時には有効となります。
委任状
売却する車の名義変更手続きをディーラーや中古車買取業者に代行してもらうには、委任状が必要となります。この委任状があることで、公的機関での所有者以外の手続きが可能になります。
もし自分で各手続きを行うのであれば必要ありません。手続きを代行してもらう際には、委任状の用紙はディーラーや中古車買取業者が準備をしてくれます。
書類によっては見つからなくても売却可能
基本的に先に挙げた書類が売却時には必要ですが、ある特定の要件を満たしていれば書類がなくても売却が可能な場合があります。
自動車税納税証明書
自動車納税証明書が必要な理由としては、現在の車検が有効であるか把握するためです。自動車税は年に1回納める必要がありますが、車検はまずこの自動車税を納付していないと受けることができないという特徴があります。
車を売却する際の査定額にも関係しているのが、車検の有効期間です。車検の有効性を把握するために、車検証の補足的要素として自動車納付証明書が確認されます。しかし、補足的要素であることから、自動車税を確実に納めているのであれば、必ず売却時に自動車納付証明書がないといけないということではありません。
また、自動車納税証明書はもし紛失していても、簡単に再発行できることが特徴です。管轄の都道府県税事務所に行く手間はかかりますが、専用の端末から無料で再発行を行うことができます。近年では地域によって自動車税のクレジットカード払いも可能になりましたが、この場合は、自動車税納付証明書は発行されません。
ただし、売却する時と納税した日が近ければ、納税が承認されるタイミングに時差が生じるので、注意が必要です。
リサイクル券
リサイクル券を紛失した場合は、残念ながら再発行はできません。しかし、リサイクル券がなくても、売却すること自体は可能です。
リサイクル券は、リサイクル料金をいくら支払ったか、証明する書類となります。リサイクル料金は、車を最終的に処分する際にリサイクルにかかる費用があらかじめ徴収されています。
そのため、車を売却する際には、事前に支払っていたリサイクル料金について還付を受けることができます。還付金については、買取業者が査定額に含めて提示しているケースがほとんどです。
法的な必要性は特にありませんので、売却時になくても問題はない書類だと言えるでしょう。しかし、リサイクル料金について、自分がいくら支払ったのか把握していないと損をする可能性もあります。
リサイクル料金は、車種によって支払う金額が変わります。もし、自分が支払ったリサイクル料金を確認したい場合は、自動車リサイクルシステムというサイトから、自分の車に関する必要事項を入力することで、支払い状況を調べることができます。
リサイクル券がないから査定額が下がったり売却できないということはありませんが、事前に支払っているリサイクル料金は、本来還付されるべきものです。売却時に損をしないためにも、自分が支払ったリサイクル料金をしっかり把握し、買取業者にリサイクル料金はどうなるのか確認をしておきましょう。
車検証を紛失した場合
続いて車検証を紛失した場合の売却についてと、再発行の方法についてご紹介します。
査定は受けられるが売却はできない
先ほどもご紹介したように、車の売却時には法的な手続きが取られます。車検証は公的に認定されている、車に関するあらゆる情報が記載された大切な書類です。従って車検証を紛失している場合は、売却は不可能です。
車検証がなくても、車を査定してもらうことは可能です。車検証がなくても査定額がマイナスになることはありませんが、車検証がない状態では買取が出来ないので、概算価格での見積りになると考えて良いでしょう。
売却時もそうですが、公道でその車を走らせる場合には、車検証は常に携行しておく義務があります。もし携行していないまま走行しているのが発覚すると、道路交通法違反となり罰金が発生します。車検証を紛失した場合には、直ちに再発行の手続きをとりましょう。
再発行をする場合は運輸局へ行く
車検証の再発行は、陸運局で行います。もし車検証の再発行を業者に代行してもらうためには、車の売却時と同様に様々な書類が必要になります。
下記が必要な書類となります。
- 使用者の委任状
- 身分証明書
- 申請書
- 理由書
- 手数料の納付書
陸運局で車検証の再発行を行う場合には、再交付申請手数料300円と申請書の用紙代金100円が発生します。そして、業者に委託する場合には、手続き代行料金が発生します。
車検証は重要な書類です。紛失してしまった場合は、再発行が可能ですが、上記のような書類を揃えないといけないので、非常に手間がかかります。一番良いのは、紛失しないように常に車内に携行しておくことですが、不測の事態が起きた際には、再発行も可能だということを認識しておき、速やかな対応を取ることが必要です。
自賠責保険証を紛失した場合
続いては、自賠責保険証を紛失した場合の対応についてご紹介します。
自分がどの保険会社に入っているかを確認する
まず、自賠責保険を紛失している状態でも、車検証の紛失時と同じで車を売却することができません。そして、売却だけではなく、普段の走行や車検でも必要になってくる書類です。
多くの場合は車検証と同じ状態で、車内に保管しているかと思います。ただ、万が一紛失をしてしまった場合には、直ちに再発行をしてもらう必要があります。
自賠責保険は、必ず加入しないといけない保険ですが、加入している保険会社は様々です。各保険会社によって、手続きの方法や再発行までの期間が若干異なるので、確認をしておきましょう。
そして、よくあるケースとして、加入していた自賠責保険の保険会社が分からないということがあります。そのような場合には、車を購入した店舗に確認しましょう。自賠責保険に関する各ユーザーの情報は、販売店舗も把握していますので、連絡先や紛失時の対応についても教えてくれます。
オークションで購入した車両の場合
自賠責保険は任意保険と違い、ユーザーが選択した保険会社に加入しているわけではありません。自賠責保険の加入している会社が分からないという事例が頻繁に起きるのは、そのような背景があるからです。
先に挙げたように、車を購入した店舗に連絡をすることで解決するのですが、オークションで購入した場合は、確認のしようがありません。そのため、販売元でも確認が不可能な場合は、自分で各保険会社に確認をする方法でしか、再発行の手続きをとることができません。
ほとんどの場合では、大手の保険会社に加入していますので、そちらを当たってみると良いでしょう。もし、大手保険会社で該当しない場合は、中小の保険会社であったり自賠責共済の可能性もあります。車体番号・ナンバーがわかれば調べることはできますので、加入している会社が見つかるまで、地道に探しましょう。
保険会社を確認したら、必要書類を揃える
自賠責保険に加入していた保険会社がわかったら、下記の必要書類を揃えて手続きを行いましょう。
自動車損害賠償責任保険証明書再交付申請書
自賠責保険証を紛失した場合の再交付申請書は、保険会社の窓口や代理店でもらうことができます。各店舗の窓口で受け取ることもできますし、電話での郵送も可能です。必要事項に漏れがないように、見本を確認しながら記載しましょう。
身分証明書
再発行の手続きには、身分証明書のコピーが必要になります。有効な身分証明証としては、免許証・パスポート・健康保険証などと行った公的書類であれば、間違いありません。再交付申請書と同様に事前に準備をしておきましょう。
印鑑
再交付申請書に捺印するために、必要になります。特に実印である必要はありませんが、各保険会社に念のため確認を取っておきましょう。
自賠責保険証の再発行にかかる時間と費用
自賠責保険証に関しては、再発行の手続きを行ってもすぐに受け取れるわけではありません。各保険会社によっても違いがあるようですが、およそ2週間程度が目安と言われています。自賠責保険証がないことが発覚した場合は、速やかに時間に余裕を持って手続きをしましょう。
そして、再発行にかかる費用については、無料で対応している保険会社が多いようですが、念のため申請時に確認をしておくと良いでしょう。
結婚などで名前が変わっている人は戸籍謄本も必要
最後に車の売却時に車検証と名前が違っている場合の対応についてご紹介します。多いケースとして挙げられるのが、結婚などで苗字が変わってしまい車検証が旧姓のままになっているという状況です。その場合は、陸運支局で名義が異なると判断されてしまうため、売却時の手続きを行うことができません。
売却の手続きをする前に、車検証の名義を今の苗字に変更する必要があるのです。車検証の名義を変更するためには、戸籍謄本もしくは戸籍抄本の取り寄せが必要です。
戸籍謄本や戸籍抄本は、本籍地でのみ受け取ることが可能です。もし本籍地が遠方にある場合は、郵送してもらうことも可能です。車検証の名義を変更する作業は、苗字が変わった段階で行なっておけば、売却時もスムーズに作業が進みます。少し手間ではありますが、早めに名義変更を行うことを意識しましょう。
まとめ
今回は、車を売却する際の必要書類についてご紹介しました。
必要書類は多岐に渡りますが、すでに持っているものと新たに記入・捺印が必要な書類があります。また、紛失していても問題ない書類がありますが、車検証・自賠責保険証に関しては、書類がないと売却できませんので、速やかに再発行をする必要があります。しっかり抜けのないように準備をして、スムーズに車を売却しましょう。