コロナの影響もあってか、万が一の隔離のためや、一人(ソロ)キャンプでの車中泊用にと「軽バン」が注目され売れています。隔離や一人キャンプなどでの車中泊ならミニバンやSUVでも行えますが、コンパクトなボディで使い勝手が良く、維持費が安いということで軽バンが選ばれているようです。
これから軽バンを使って一人キャンプでの車中泊をと考えている人のために、軽バンを選ぶ時に気にするポイントをはじめ維持費や税金はいくらかかるのか、そして具体的に軽バンを4車種ご紹介したいと思います。
目次
一人キャンプで車中泊用する軽バン選びのポイント4つ
キャンプに行って車中泊することを考えると、軽バンを選ぶ時に注目するポイントは「室内空間の広さ」「シートアレンジの充実度」「装備類の充実度」「燃費性能」の4つになります。それぞれについて具体的に解説していきます。
室内空間の広さ
軽自動車のボディサイズには規格があり、全長3,400mm以下、全幅1,480mm以下、全高2,000mm以下になります。軽バンもこの企画に準じて作られていますが、他の軽自動車に比べて室内寸法を限界まで広くなるように作られています。同じ軽バンでも車種によって室内寸法には多少の違いが出てきます。
一人キャンプするために必要な荷物も積んで、さらに大人一人がゆったりと一晩過ごせる快適な車中泊を実現するためには、室内空間の広さが大きく影響してきます。軽バン選びをするときには、メーカーのウェブサイトやカタログで室内の長さ・幅・高さそれぞれの室内寸法をしっかりとチェックしましょう。
シートアレンジの充実度
シートアレンジの充実度も注目しておきたいポイントになります。いくら室内空間が広くてもシートアレンジが充実していなければ、スペースを十分に有効活用できなくなるからです。シートアレンジで特に注目するポイントは「フルフラットにできるか」という点です。
快適な車中泊を実現させるためには、寝るスペースが平らになる必要があります。もし完全にフルフラットにならない場合は、エアマットなどを使用することでフラットな状態を実現できるのかを確認するようにしましょう。
装備類の充実度
軽バンの装備類の充実度は、一人キャンプや車中泊の充実度に繋がります。小物入れやドリンクホルダーなどが、必要な場所に必要なだけ配置されているかなど。コンセントが装備されていると電化製品が気軽に使えてとても便利です。また、USBジャックが装備されていると、大切な連絡手段となるスマートフォンの充電が行えて安心です。
燃費性能
燃費が良ければ、同じ距離の場所へ一人キャンプへ出かけてもガソリンがたくさん残ります。一人キャンプを行う場所によっては、すぐ近くにガソリンスタンドが無かったりします。ガソリンがたくさん残っていれば、万が一の時のことを考えると安心できます。
軽自動車のエンジンは排気量が660ccと決まっていて、これは普通車の排気量よりも小さいことから、軽自動車は普通車よりも燃費性能には優れています。しかし、さらに安心するためには、軽バン車種の中でも燃費性能が良いものを選ぶようにしましょう。
軽バンの税金・維持費はいくらかかる?
一人キャンプなどで車中泊するために軽バンを選ぶメリットは、税金が普通車や乗用の軽自動車に比べて安くなることです。維持費については乗り方次第で左右されます。軽バンの税金・維持費について具体的に見ていきましょう。
軽自動車税
軽自動車税は毎年4月1日時点での所有者にかかる税金です。エコカー減税などを考えない場合、普通自動車は排気量によって税額が決まり、一番小さい排気量となる1,000㏄以下でも25,000円もかかります。軽自動車でも乗用の場合は10,800円になります。しかし、軽バンは軽貨物車両扱いなので軽自動車税は5,000円で、乗用の軽自動車よりも半額以下となるのです。
車検費用
車検費用は整備費用のほかに、印紙代、重量税、自賠責保険の合計金額で算出されます。整備費用のみクルマの状態により変動します。印紙代は普通自動車も軽自動車も金額は同じですが、重量税と自賠責保険は普通自動車よりも安くなります。
重量税は普通自動車の場合、重量によって変動し一番安くても年額4,100円ですが軽自動車は年額3,300円、自賠責保険は普通自動車が25か月で22,210円で、軽自動車は21,780円となります。
注意点としては新車購入の場合、乗用車は普通自動車も軽自動車も初回の車検が3年後になりますが、軽バンは貨物車両扱いとなりますので初回の車検は2年後になります。
自動車保険
別名「任意保険」と呼ばれる自動車保険は、加入する人の条件や保障する内容によって保険料が変動しますので、同一人物で同一の保障内容で契約する場合で比較したと仮定します。
まず形式別料率クラスが軽バンには適用されませんので、形式別料率クラスによって自動車保険が安くなる軽自動車と比較した場合には保険料が高くなる場合があります。
次に運転者年齢条件ですが、昔は軽バンでは運転者年齢条件を適用できませんでした。しかし最近では、運転者年齢条件が適用できる保険会社が増えてきています。自動車保険に入るときには、運転者年齢条件を適用しているかどうかを確認するようにしましょう。
メンテナンス費用
メンテナンスは主にエンジンオイル交換やブレーキパッド交換にタイヤ交換など、消耗パーツの交換費用になります。エンジンオイルやブレーキパッドは走行距離によって交換頻度が変わりますが、パーツ代金としては普通自動車よりは安く、乗用の軽自動車とは変わりありません。
タイヤ交換についても普通自動車よりは安く上がります。しかし乗用の軽自動車よりは高くなる場合があります。軽バンはたくさんの荷物を積んで走ることを想定しているため、強度の高い貨物用タイヤを装着しないと車検に通らない可能性が高いからです。貨物用タイヤは乗用タイヤに比べて一般的に高価なので、タイヤ交換については乗用の軽自動車よりは費用が高くつくのです。
駐車場代
軽自動車は普通自動車と違って車庫証明を取る必要はありません。だからと言ってどこにでも駐車して良いわけではないので、駐車場は用意すべきです。自宅に駐車スペースがない場合は月極駐車場を契約して駐車場を確保しましょう。
月極駐車場の料金は、普通車よりも軽自動車の方がいくらか安く設定されています。これは車体の大きさが関係しています。普通車よりも軽自動車の方が小さな面積で駐車スペースが確保できるからです。中には歪(いびつ)な形だったり、余ったスペースを使って軽自動車用の駐車スペースを確保している場合は、さらに安く借りることができることもあります。
ガソリン代
現在販売されている軽バンの燃費性能は、JC08モードで15.4~25.0km/Lとなっています。仮にガソリンの価格が150円/Lで年間10,000km走行した場合、ガソリン代は60,000円~97,402円となります。ハイブリッド仕様は別として、ガソリン仕様の普通車などと比較しても燃費性能は高いので、年間に必要なガソリン代も安く収まるでしょう。
一人キャンプで車中泊に使える軽バン4車種
一人キャンプや車中泊に軽バンが選ばれる理由は、室内が広く荷物がたくさん積める工夫がされているからです。このことは各自動車メーカーの軽バンに共通していて、さらに各自動車メーカーごと、車種ごとに特徴があります。2021年3月現在、新車で購入でき、一人キャンプや車中泊に使える軽バン4車種をご紹介します。
ホンダ・N-VAN
エンジンをフロントに配置し、ホンダ独自の技術「センタータンクレイアウト」で燃料タンクを前席の下に配置することで、荷室の床を最大限に低くして室内高を確保。荷物の積み下ろしが楽になり、背の高い荷物も楽々と積むことが可能になっています。
また、助手席側のセンターピラーをなくすことで、長い荷物や大きくて重たい荷物を助手席側からスムーズに行えるようになっています。そして運転席以外のすべてをフルフラットにすることができるので、荷物を積んだままでも大人一人が足を延ばして車中泊できるスペース(最大スペース長:2,635mm)も確保可能です。
スズキ・エブリイ
「PC」および「PA」グレードの場合、2名乗車時の荷室長が1,910mmと、一般的な男性でも足を延ばして車中泊できる大きなスペースを確保しています。荷室幅1,320mmと大人二人で寝ることが可能なサイズとなっています。
運転席の乗降ステップ高を355mmと低くし、Aピラーには大型の乗降グリップを装備することで、ドライバーの乗り降りを楽なものにしています。インパネにシフトレバーを配置することで操作性が良く、前席の足元に余計なものがなくなることで前席の移動がスムーズに行えるウォークスルーとなっています。
ダイハツ・ハイゼットカーゴ
2名乗車時の荷室長が1,950mmと4車種の中では最も長いサイズで、助手席を前倒しすれば、2,630mmものロングサイズとなります。使い勝手を高める多数のユースフルナット/ホールがあるので、ディーラーオプションのシステムバーセットやオーバーヘッドネットを装着すれば、荷物を上に収納できるので寝るスペースを簡単に確保することができます。
ダイハツ・ハイゼットキャディー
ダイハツの人気軽トールワゴン「ウェイク」をベースに、室内空間をさらに広くし商用ベースで使いやすくした軽バンです。ホンダ・N-VANと同じフロントエンジンのFFというレイアウトになります。
軽バンに不慣れな女性でも扱いやすくするために、シート高を750mmとし乗用車と同じ姿勢で運転のしやすさを実現。さらに乗員室フロア高を360mmにすることで、乗り降りを楽にし使い勝手が非常に良い軽バンとなっています。
まとめ
もともと商用で使われている軽バンの特徴を活かして、一人キャンプや車中泊を行うのはとても合理的なことです。すでにミニバンやSUVを所有しているなら、そのクルマで一人キャンプや車中泊はできますが、セカンドカーも欲しいと思っているなら、ここで紹介した軽バンを「車中泊専用」として購入するのもアリだと思います。