世界の高級車市場を牽引するSクラスは、実際に所有するとどのくらい維持費がかかるのでしょうか。部品代や消耗品代も高額になりそうなイメージですが、車検費用なども気になります。
そこで今回は、Sクラスの維持費について調査します。
目次
Sクラスの特徴
メルセデス・ベンツのフラッグシップモデルにして、最高級セダンと呼ぶにふさわしいSクラスは、乗り心地や圧倒的な高級感で世界中のセレブを魅了します。
SクラスのSとは、スペシャリティの頭文字から名付けられたもので、その名に恥じない極上の仕上がりで、歴代モデルは最高級の存在感を見せつけてきました。
Sクラスには、セダン・クーペ・カブリオレ・リムジンがラインナップされ、ユーザー層としては、富裕層がターゲットになる車種です。
Sクラスには、インテリジェントドライブ(知能を備えた革新的テクノロジー)・エナジャイジングコンフォート(究極の快適性)・エフィシェント テクノロジー(徹底した効率向上)というコンセプトがあります。車に必要とされるすべての要素を備えた、新時代の高級車像を体現する車です。
Sクラスのデザイン
長い歴史を持つファッションブランドは、ブランドコンセプトを守りつつ、シーズンごとに目新しさと驚きで人々に刺激を与えますが、Sクラスのデザインにも同様のことが言えます。
Sクラスには、長年高級車として支持されたブランド力があり、その伝統を守りつつ、デザインには革新性がもたらされています。特に近年では、インテリア・エクステリアのラグジュアリー感もさることながら、テクノロジーもデザインの一部という考えのもと、より知性を感じる仕上がりを体感することができます。
迫力満点のエクステリアは、オーナーとしての威厳や自信を深めることができる、深みのあるデザインです。そしてインテリアは、まるでファーストクラスでのフライトを楽しんでいるかのような快適性を体感でき、極上のおもてなしを味わうことができるでしょう。
単純にラグジュアリーなだけでなく、パーツやスイッチ一つ一つの操作性にもこだわられている設計によって、車の機能性の水準もより高められています。
Sクラスのボディサイズ
Sクラスのボディサイズは下記になります。
- 全長:5.12m~5.29m
- 全幅:1.90m~1.92m
- 全高:1.50m
世界中のセダンと比較しても、最高レベルのサイズ感となりますが、先進的な安全性能を兼ね揃えることにより、運転のしやすさは向上しています。カメラと高精度のレーダーにより、より状況判断を的確に行うことができ、事故のリスクやドライバーの負担を軽減します。
そして広々とした後部座席では、とても車内とは思えないほどに開放的でゆとりあるひと時を過ごすことができます。
Sクラスの高効率テクノロジー
Sクラスには、ラグジュアリーでダイナミックなドライビングを創造するエンジンが搭載されていますが、新たに、走りと環境性能を高いレベルで両立する直6.0L×ISG搭載モデルも登場しています。
エンジンとトランスミッションの間に搭載される、ISGと呼ばれるディスク型のモーター・ジェネレーターは、画期的な48V電装システムとの組み合わせによって、力強いパワーと高効率なエネルギー回生を実現しています。
強烈な発進加速をサポートする電動スーパーチャージャー、高回転域までストレスなく吹け上がる直列6気筒エンジンとともに、気持ちの良い走りと高い環境性能を実現した次世代型のエンジンです。
Sクラスには、VIPが後部座席に乗る車だというイメージが強いですが、快適な走行性能と高いレスポンス性を持っているので、ドライバーも運転していて非常に楽しい車だと言えます。
Sクラスにかかる維持費は年間どのくらい?
続いて、Sクラスに発生する維持費についてご紹介します。
税金
Sクラスを所有する際には、自動車税・自動車重量税という、2つの税金の支払い義務が生じます。自動車税は毎年4月1日に通知され、自動車重量税は新規登録時・車検時に支払うのが原則となります。
自動車税
自動車税は、排気量によって税率が決まってます。
Sクラスの現行モデルでは、グレードごとの排気量が2,924~5,980ccとなっています。そのため自動車税もグレードごとに異なり、年間51,000円~88,000円とかなり開きがあります。
重量税
自動車重量税は車両重量によって加算されますが、この重量税は道路の維持管理に充てられる名目で課せられています。
Sクラスの車両重量は、2,000kg~2,330kgとなります。2,000kg~2,500kgまでの税率は一緒なので、Sクラス全グレードにおいては、1年あたり20,500円の自動車重量税が適用されます。
保険
車を所有する際には、保険料の支払いも発生しますが、強制力のある自賠責保険と、事故や災害補償などに備えるための任意保険という、2つの保険料を支払う必要があります。
自賠責保険
自賠責保険は法律で加入が義務つけられています。基本的に公道を走る車は全部自賠責保険が適用されると考えて良いでしょう。保険料を支払う時期としては、新車購入時と毎回の車検時となります。
自賠責保険は民間の保険会社で取り扱っていますが、保険料に関してはどこで契約しても変わりません。Sクラスを自家用乗用自動車として使用する場合、加入月ごとの保険料は下記となります。
- 12ヶ月:15,520円
- 13ヶ月:16,380円
- 24ヶ月:25,830円
- 25ヶ月:26,680円
- 36ヶ月:35,950円
- 37ヶ月:36,780円
任意保険
任期保険には、自賠責保険で補えない部分を補完する側面があります。あくまで任意ではありますが、万が一のリスクを考えると外せない保険です。
任意保険の保険料を算出する基準はやや複雑で、保険会社によっても金額は異なり、下記が保険料を算出する主な要素となります。
- 車種・型式・用途
- 登録年月
- 過去の事故歴
- 運転者の範囲
- 運転者の年齢
- 付保台数(ノンフリート・フリート)
- 支払限度額
- 車の安全性能
年齢が若かったり免許を取得してから年数が経過していない場合は、保険料が高くなりがちです。また補償内容や補償額の上限によっても支払う保険料は変わってきます。
その他費用
続いてSクラスを使用する際に発生する、ガソリン代や駐車場代、車検・整備費用なども検証します。
ガソリン代
Sクラスは、グレードごとに排気量や燃料が異なるエンジンが搭載されています。排気量の大きいエンジンほど、エネルギーを大きく使用するため、環境性が悪いデメリットが指摘されますが、近年では高効率なエンジンが開発され、燃費は向上しています。
Sクラスはガソリン車とディーゼル車がありますが、ガソリン車は9.4km/L~12.5km/Lでディーゼル車は13.3km/L~14.2km/Lというカタログ燃費です。
2019年5月のガソリン平均価格は、レギュラー143円・ハイオク154円・軽油が124円となっています。年間10000km走行でガソリン代をシミュレーションすると、Sクラスのガソリン車では約123,000~164,000円、ディーゼル車で約87,000~93,000円かかる計算になります。
Sクラスのカタログ燃費はJC08モードという計測方法で測定されていますが、実燃費とは差が出がちなので、実燃費に関しては似たような使用環境のユーザーのレビューを参考にすると良いでしょう。
駐車場代
もし新たに駐車スペースを確保する際には、毎月の駐車場代も発生します。全国47都道府県の、月極駐車場の平均相場は月額8,288円ですので、駐車場代として年間100,000円程度計算する必要があります。
Sクラスのボディサイズは、平均的な日本の機械式駐車場に置いても、問題なく駐車できるサイズ感ですが、全長が長いので場所によって駐車できない可能性もあります。駐車場では、全長の基準に特に注意を払う必要がありそうです。
車検代
購入後に定期的に受ける必要のある車検は、各基準を満たしていない場合には、車検証が交付されないので、定期的なメンテナンスは欠かせません。
車検代は、大きく車検基本費用・法定費用・部品交換費用に分けられます。車検基本費用の中でも細分化され、定期点検料・検査料・代行手数料などがあります。Sクラスの場合は、80,000円程度が平均となります。
法定費用は、自動車重量税と自賠責保険に、印紙代を加えたもので、Sクラスの印紙代は1,800円となります。こちらに関しては、どの業者に出しても費用は変わりません。
そしてSクラスの場合、最も注意しておきたいのが部品交換費用です。バッテリー液やオイルなどの消耗品の交換は、ある程度想定できる金額ですが、タイヤやバッテリーそしてその他の部品に関しては、最高級車だけあって費用が高額になります。
ディーラー車検を受けた際に、様々な交換箇所が発覚し、200万円ほどかかってしまったという事例も確認できました。Sクラスの車検代は、部品交換費用によって大きく左右される傾向にあるので、細かなメンテナンスや事前に見積もりを取ることが重要です。
Sクラスの購入時にかかる費用は?
続いて、Sクラスを購入する際に発生する費用をご紹介します。
車体価格
Sクラスの車体価格は、11,380,000円〜24,040,000円となっています。基本グレードでも10,000,000円を超える価格設定で、メルセデス・ベンツ車の中でも高額な車種と言えます。
オプション
オプションは、工場で取り付けられるメーカーオプションと、車両がディーラーに到着した後に取り付けられるディーラーオプションに大きく分類されます。費用はオプション品によっても様々ですが、車体価格の5%~10%程度が平均的な相場となっています。
自動車重量税
Sクラスは、全グレード共通して、1年あたり20,500円の自動車重量税が発生します。
自動車取得税
購入時に発生する自動車取得税は、取得価格(税抜き車体価格×0.9)の3%が課税されます。Sクラスは車両価格も高額なので、数10万円単位の取得税を支払わないといけません。
自賠責保険
自賠責保険は、陸運局で新規登録を受ける際に必要で、加入していないとナンバープレートの交付ができません。Sクラスの自賠責保険は37ヶ月契約の場合、36,780円となります。
リサイクル料金
リサイクル料金は、廃車時のシュレッダーダスト・エアバック・フロン類などをリサイクルするための費用ですが、購入時に前払いをすることが一般的です。現行モデルのSクラスでは、20,920円~28,840円のリサイクル料金が課されます。
ディーラー代行手数料
新車購入時に、下記のような諸手続きを代行する際には、手数料が発生します。
- 納車費用
- 検査登録代行費用
- 車庫証明書(印紙代)
- 下取り車手続き代行費用
ディーラーに引き取りに行く場合や自分で書類の手続きをする場合などは、納車費用は発生しません。
壊れやすいところや注意するべき点
Sクラスは輸入車の中では耐久性が高い車だと評判ですが、下記のような不具合も報告されていますので、特に中古車の購入を検討している際には、注意が必要です。
スピードセンサーの不具合
スピードセンサーに不具合が生じると、メーターが誤作動を起こしたりハンドルが重くなったりと、走行性能に支障を来たします。不具合時には警告灯が点灯しますので、エンジン始動確認後にメーターを確認しましょう。
ミッションの不具合
走行中に変速が出来なくなったり、走行中にも関わらずニュートラルに入った状態のようなアクセルの反応などが報告されています。変速時のショックが大きいなど、普段との違いが感じられれば、故障の前兆かもしれないのですぐにディーラーに点検してもらいましょう。
エアーサスペンションの不具合
Sクラスにはエアーサスペンションが搭載されていますが、車高が下がった状態のまま動かなくなるという症状も報告されています。中古車をチェックする際には、特にフロントの車高を確認し、エンジン始動時のコンプレッサーの音に異常はないか、注意をしておきましょう。
まとめ
今回は、Sクラスの維持費についてご紹介しました。Sクラスは世界最高峰のセダンとなりますが、各部品も高額になります。
維持費において、整備費用や部品交換の費用は予測しづらい部分もありますが、一度の修理額が大きくならないように、定期的に各部品の交換目安を想定しておきましょう。