引っ越しをしたときには、住所の転出届・転入届など、沢山の変更手続きをしなければいけません。自動車も同じで、引っ越しをしたときには自動車検査証やナンバープレートなど、住所変更手続きを行うように法律で義務付けられています。
今回は、うっかり忘れてしまう引越しをしたときの自動車に関する変更手続きを紹介しています。
目次
引っ越しをした時に必要な車の手続き
日本は、若者の自動車離れが深刻な問題と言われていますが、現在でも全人口の2人に1人が自動車を保有している自動車先進国です。引っ越しをする場合でも、自動車を手放さずに新しい引っ越し先へ、一緒に持っていく人も多いのではないでしょうか。仮に引っ越しをして自動車の住所変更を忘れていても、自動車を運転することはできます。
ただ、郵便局の転送期間が終了した後に、自動車税の納付書が発送されるても自宅に届かないということが起こるかもしれません。また、車庫法では自動車の保管場所の確保等に関する法律によって、新しい引っ越し先でも自動車を保管する場所を確保しなければいけないため、車庫証明を取得して自動車検査証の住所も変更しなければいけません。
引っ越し後の車庫証明
新しく引っ越した場所でも車庫法によって、「自動車を保管する場所を確保しています」と言う証に、車庫証明を取得して自動車検査証の住所も変更しなければ罰せられます。自宅の住所変更の方法は、居住地の転入手続きを市町村役場や区役所で行い、住所変更を完了させます。
その後、自動車を保管する土地を管轄している警察署又は警察署のサイトなどで、車庫証明に必要な書類をご自身で用意して下さい。車庫証明に必要な書類が全て揃ったところで、自動車を保管する土地を管轄している警察署の窓口にて、車庫証明の手続きを行い、車庫証明の交付を受けます。
万が一、自動車の住所変更を怠ると、最悪の場合「自動車の保管場所の確保等に関する法律17条3項1号」によって、引っ越し完了後から15日以内に新住所地で車庫証明を取得しないときには、10万円以下の罰金が処されることがあります。
引っ越し後の保管場所確保の条件
自動車の保管場所は、どこでも良い訳ではありません。自動車を保管する場所として認められているいくつかの条件さえクリアすれば、新しい車庫として認められます。車庫証明を申請することができる条件を紹介します。
●車庫証明を申請することができる条件
・自動車を保管する場所は、使用の本拠の位置から直線距離で「半径2km以内の範囲」に限ります。
・私有地や空き地など自動車を保管することができる場所で、道路以外の場所であること。
・道路から何ら問題なく出入りができること。
・自動車の車体が道路などにはみ出さず、自動車全体を収容することができる広さを持っていること。
・自動車の保管場所として使用することができる権限があること。
これらの条件を満たす保管場所でないと、自動車を保管する場所としては認められません。上記の5つの条件を満たす場所を探して、新たに自動車を保管する場所として確保して下さい。
引っ越し後の車庫証明届出先
引っ越し先でも自動車を購入したときと同じで、車庫証明の手続きを行うのは「自動車を保管する土地を管轄している警察署」です。良く間違えることがある例として、自動車の保管場所として借りた駐車場が神奈川県で、自宅は東京都などのケースがあります。
このような場合は、駐車場のある神奈川県が車庫証明届け先の管轄になるのですが、自宅が東京都のため間違えて東京都の警察署へ車庫証明を持参してしまう人が居ます。あくまでも自動車を保管する場所の申請を行うため、「駐車場の土地を管轄する警察署」が車庫証明の届け先になることを覚えておいて下さい。
引っ越し後の車庫証明に必要なもの
引っ越し後の新たな自動車を保管する場所が確保できたら、車庫証明の手続きを行う準備をします。車庫証明を取得するために必要な書類を紹介します。
●車庫証明に必要な書類
1.自動車保管場所証明申請書
2.保管場所標章交付申請書
3.保管場所使用権原疎明書面(自認書)
4.保管場所使用承諾証明書
5.保管場所の所在図・配置図
6.印鑑
自動車を保管する場所の土地が誰の名義になっているのかで、車庫証明の書類が変わってきます。一戸建ての家を購入して引っ越しをした場合で、自宅の土地と駐車場の土地のどちらも本人名義の場合は、「保管場所使用権原疎明書面(自認書)」を使用します。
家を購入しても、自宅と駐車場の土地の名義が本人以外の場合は、「保管場所使用承諾証明書」を使用します。駐車場を不動産屋や他で借りている場合なども、「保管場所使用承諾証明書」になります。
自動車を駐車する場所の土地が本人以外は、全て「保管場所使用承諾証明書」になることを覚えておけば、間違えることはありません。印鑑の捺印は全て認め印で構いませんが、間違った箇所を訂正する場合に「訂正印」として使用するので、「自動車保管場所証明申請書」に捺印をした同じ印鑑を使用して下さい。
ここでは車庫証明の書き方は省略しますが、書き方について分からない場合にはこちらの「警視庁・車庫証明について」を参照にして下さい。
引っ越し後の車庫証明手続き期間
引っ越しをしてから車庫証明の手続きを行わなければいけない期間は、自動車の保管場所に変更があった場合、住所の転入届が完了した日から15日以内に新しく自動車を保管する場所の土地を管轄している警察署へ届け出なければならないと法律で定められています。
引っ越しをしてから住所変更が完了した日から15日以内に車庫証明の手続きを行い、自動車検査証の住所変更も完了させなければならないので、かなりの過密スケジュールになります。
引っ越し後の自動車検査証記載内容の変更
自動車検査証は一般的には「車検証」と呼ばれていますが、車両の構造や装置などが保安基準に適合しているかどうかの厳しい車両検査に合格した自動車に自動車検査証が発行されます。自動車検査証の有効期限は普通自動車の場合は、新車が3年ですがそれ以降は継続検査を2年毎に受けなければいけません。
自動車検査証は、保安基準の適合を証明する書類のため、常に携帯するように法律で定められています。自動車検査証には、所有者や使用者の住所も記載されているため、引っ越しを行った場合には、自動車検査証に記載されている住所も変更しなければいけません。
引っ越し後の自動車検査証住所変更の届出先
自動車検査証の記載内容の変更は、所有者の居住地を管轄する運輸支局又は、自動車検査登録事務所で手続きを行います。引っ越しをした場合には、新しい住所を管轄している運輸支局又は、自動車検査登録事務所で住所変更の手続きを行いますが、その場合には住所の変更手続きを完了しておく必要があります。また、軽自動車の場合は、管轄の軽自動車検査協会事務所にて住所変更の手続きを行います。
引っ越し後の自動車検査証住所変更に必要なもの
自動車検査証の住所変更で必要なものは、以下ようになっています。
●自動車検査証の住所変更で必要なもの
・住民票
・委任状
・自動車検査証
・車庫証明書
・手数料納付書
・自動車税・自動車取得税申告書
・第1号様式申請書
【住民票】は、現在の住所や氏名などを証明することができる書類で、引っ越しをした場合には、前住所が記載されています。万が一、自動車検査証に記載されている住所が古く、現在の住所まで2回以上引っ越しをしている場合には、自動車検査証に記載されている住所から現在の住所までの繋がりの分かる書類が必要になります。
通常の住民票には前住所までしか記載がないため、住所の変更履歴が記載された書類として、住民票の除票もしくは戸籍謄本の附票が別に必要になります。すべての書類は、発行されてから3ヶ月以内のものしか使用できないので、注意して下さい。
【委任状】は、インターネットからダウンロードできますので、所有者欄へ認印を捺印して下さい。【自動車検査証】は、今まで自動車に携帯していたものです。【車庫証明書】は、引っ越し後に交付された新しい保管場所のもので、警察署から交付された日から30日以内のものが有効です。
【手数料納付書】は、自動車検査証の住所変更の手数料を納めるための書類で、¥350-の印紙を貼り付けて申請を行います。【自動車税・自動車取得税申告書】は、住所変更などを行うときに、各都道府県の税事務所に対して変更内容を申告するための用紙になります。
【第1号様式申請書】は、当日運輸支局又は自動車検査登録事務所で貰うことができる書類で、住所変更のときに新しい自動車検査証をコンピュータで発行するために必要なOCR用紙です。
平日に動けない方などは、自動車検査証の住所変更手続きを行政書士事務所などへ代行依頼することができますが、¥15,000-~¥30,000-ほど手続き代行料として別途必要になります。
引っ越し後の自動車検査証住所変更の手続き期間
引っ越し後の自動車検査証の住所変更は、車庫証明の法律と異なり「道路運送車両法」によって手続きする期間が定められています。道路運送車両法の道路運送車両法12条1項(変更登録)には、住所又は使用の本拠の位置に変更があったときは、その事由があった日から15日以内に国土交通大臣の行う変更登録の申請をしなければならないと定められています。
このように引っ越しの住所変更が完了した日から、15日以内に自動車検査証の住所変更の手続きを行わなければ、50万円以下の罰金が課せられることになります。
引っ越し後の自賠責保険証明書
引っ越し後の自賠責保険証明書の住所変更ですが、自賠責保険証明書は所有者に保険を掛けるのではなく、自動車に保険を掛けているため、住所変更を特に行う必要はありません。自賠責保険証明書は、自動車の車台番号によって保険金を支払う義務になっているため、所有者や住所が違っていて事故を起こしても保険金は問題なく支払われます。ただ、保険会社としては一応、住所が変わった場合には新しい住所へ変更するようにマニュアルにはあります。
引っ越し後の自賠責保険証明書の変更届出先
先ほども説明しましたが、自賠責保険証明書は所有者に関係なく、自動車本体に保険が掛けられているため、車台番号が変わらない限りは事故を起こしても保険金は支払われます。ただ、良心で住所変更を行う場合は、お持ちの自賠責保険証明書に記載されている保険会社へ電話して、住所変更の手続きを行うことができます。
引っ越し後の自賠責保険証明書の住所変更に必要なもの
自賠責保険証明書の住所変更で必要な書類は、「自賠責保険証明書」「認印」があれば行えます。管轄が変わって、ナンバープレートが変更になった場合は、「新しいプレート番号が記載された自動車検査証」が必要になります。住所変更やナンバープレート変更の手続きに掛かる費用は無料です。
引っ越し後の運転免許証
引っ越しをした場合は、新しい引っ越し先での転入届を行った後、運転免許証の住所変更をできるだけ早く行って下さい。運転免許証は、身分証明書として使用できる重要な書類なので、引っ越したときには早めに行うことをオススメします。
運転免許証の更新通知や、交通違反を行ったときなど、速やかに住所変更するよう警察官から促されます。運転免許証の住所変更は大切な手続きなので、なるべく早めに手続きを済ませるように心がけてください。
引っ越し後の運転免許証の住所変更届出先
自動車の運転免許証の住所変更手続きは、引っ越してきた新しい住所地を管轄している警察署又は運転免許センターや運転免許試験場にて、運転免許証の住所変更を行うことができます。管轄の警察署が分からない場合は、県警や警視庁のホームページから最寄りの警察署を検索して下さい。
引っ越し後の運転免許証の住所変更に必要なもの
引っ越し後の運転免許証の住所変更に必要なものは、以下のようなものがあります。
●引っ越す前と同じ都道府県内で住所を変更する場合
・住所変更前の運転免許証
・新しい住所を確認できる書類
・認め印
●他の都道府県から引っ越してきて住所を変更する場合
・新しい住所を確認できる書類
・認め印
・写真(一部の都道府県)
【新しい住所を確認できる書類】としては、「住民票」を提出するのが一般的ですが、「マイナンバーカード」「年金手帳」「健康保険証」「公共料金の領収証」「年賀状以外の消印付き郵便物」「外国人登録証明書」などでも構いませんが、住所変更が完了していないと使えません。
また、いずれの書類も原本の提出が義務付けられているため、コピーの提出は認められていません。他の都道府県から引っ越してきて住所を変更する場合は、半年以内に撮影された縦・3cm×横・2.4cmのカラー又は白黒の顔写真が1枚必要になる都道府県があります。顔写真の必要の有無は、最寄りの警察署や運転免許証センター等で確認してください。費用についてですが、運転免許証の住所変更手続きは、無料で行うことができます。
引っ越し後の運転免許証の住所変更手続き時間
引っ越し後の運転免許証の住所変更手続きに掛かる時間ですが、警察署で行うのと運転免許証センター等で行うのとでは、手続きに掛かる時間は違います。どちらも当日には住所変更は完了しますが、警察署で手続きを行う方が早いかもしれません。
それぞれの警察署や運転免許証センター等で時間の差はありますが、住所変更の手続き時間の目安は「警察署で15分~60分程度」「警察署以外では30分~120分程度」と言われています。
あくまでも目安の時間なので、気になる人は警察署や運転免許センターなどへ直接お問合せ下さい。また、運転免許証の住所変更の取扱窓口は、市役所などと同じ受付時間で月曜日~金曜日の「午前中8:30~12:00」「午後13:00-17:00」のところが殆どで、警察署での事務手続きは年中無休ではないため、気を付けて下さい。
運転免許センターは、日曜日も受付をしているところもありますので、平日仕事などで行けない人は、最寄りの運転免許センターへお問合せ下さい。引越しのときに行う運転免許証の住所の変更手続きについて説明してきましたが、運転免許証は、身分証明証として利用することができる重要な証明書です。居住地の住民票の変更とあわせて速やかに住所の変更手続きを行って下さい。
引っ越し後の住所変更手続きの注意点など
自動車検査証の住所変更を忘れたり怠ってしまうと、後々問題やトラブルが起こります。引っ越し後の住所変更手続きの注意点などを紹介します。
ナンバープレート
引っ越した地域が、これまでと管轄が違う運輸支局のナンバーになる場合は、現在付いているナンバープレートを返納して、新しいナンバープレートを交付するようになります。その場合は「ペイント式ナンバープレート」が¥1,500-~¥2,000-ほどで、「光るナンバープレート」なら¥3,000-ほど必要になります。ただし、希望番号ナンバープレートの場合は事前に予約をしてから住所変更手続きを行うようにして下さい。
郵便物関連
自動車検査証の住所変更を放置したままでいると、自動車に関わる通知書やその他の書類などが自宅へ届きません。自動車に関わる書類では、自動車税納付書が自宅に届かないことが1番初めに頭に浮かぶのではないでしょうか。自動車税納付書は、毎年4月~5月に自宅へ届くようになっていますが、自動車検査証の所有者住所へ発送する仕組みになっています。
郵便局へ転居転送サービスを行っていればよいのですが、そのサービスも1年ほどでサービスが切れてしまうため、引っ越す時期によっては転送されてきません。また、自動車を購入した店舗などからも重要な書類が届かない恐れがあります。車検の案内などは困る物ではないので良いのですが、1番怖いのは重大事故に繋がる「リコール通知書」ではないでしょうか。
インターネットを使って、メーカーホームページで毎日リコール情報を確認しても良いのですが、毎日情報を取り続けるのも大変な作業です。自動車税の通知書は、自動車税事務所や軽自動車は市区町村の納税課へ電話をして新住所を伝えておけば解決できますが、リコール通知書は自動車検査証の住所変更をしなければ、新しい住所へ届くことはありません。
リコール通知書が届かず、重大な事故を起こさないように、自動車検査証の住所変更は早めに行うようにして下さい。
そもそも、道路運送車両法の道路運送車両法12条1項で、引っ越しの転入手続きが完了した日から15日以内に自動車検査証の変更登録をしていない場合には、50万円以下の罰金に処しますと法律で定められているので、引っ越しが完了したら速やかに自動車検査証の住所変更の手続きを行って下さい。
引っ越し先への自動車運搬
引っ越しをするとき、自動車を自走できる距離なら良いのですが、北海道から沖縄へ引っ越しと言う人がいても不思議ではありません。遠方になると自走で持って行くのも大変なので、新しい引っ越し先まで自動車を運搬してくれる業者を少し紹介します。
自動車運搬業者
引っ越しを依頼している引っ越し業者や宅配業者でも、自動車の運搬を取り扱っている業者はあります。また、自動車などの運搬を専門に取り扱っている運搬会社も多く存在しています。ただ、送り先の距離や自動車の種類によって、運搬日に掛かる日数や運搬費用には各業者で差があるため、直接業者へお問合せ下さい。
●アート引っ越しセンター
・項目 :車両運送
・運送可能種別:2輪車/4輪車
・受付時間 :8:00~20:00
・お問合せ先 :0120-0123-33
●ヤマトホームコンビニエンス
・項目 :大きなものを運ぶ
・運送可能種別:2輪車/4輪車
・受付時間 :9:00~20:00
・お問合せ先 :0120-461254
●サカイ引越センター
・項目 :車両運送
・運送可能種別:2輪車/4輪車
・受付時間 :8:00~19:00
・お問合せ先 :0120-00-1141
●株式会社 ZERO
・項目 :マイカー宅配便
・運送可能種別:2輪車/4輪車
・受付時間 :9:00~18:00
・お問合せ先 :0120-357-111
●トヨタ輸送株式会社
・項目 :マイカー輸送
・運送可能種別:2輪車/4輪車
・受付時間 :9:00~17:30
・お問合せ先 :http://www1.toyotayusou.co.jp/mitsumori/init.do
●陸送村
・項目 :マイカー輸送
・運送可能種別:2輪車/4輪車
・受付時間 :記載なし
・お問合せ先 :048-775-9833
今回紹介させて頂いた業者は、ほんの1例です。繁忙時期や季節によっては、日数が掛かる場合もあります。「ヤマトホームコンビニエンス」と「トヨタ輸送株式会社」は、簡単な入力をするだけで輸送料金の見積ができますので、輸送費用が気になる方は参考にして下さい。
改造車や離島などへは輸送できない業者もありますし、輸送日数や詳細な輸送費用については分かり兼ねますので、各業者へ直接お問合せ下さい。
まとめ
引っ越し後の自動車検査証の住所変更手続きの方法について紹介してきましたが、引っ越しするだけでも大変な上に、15日以内に車庫証明手続きや自動車検査証の住所変更などを行わなければいけません。
遠方へ引っ越す場合には、自動車が届くのも遅れるため、自動車が到着する前に車庫証明などの申請手続きだけでも先に行っておけば、自動車の住所変更もスムーズに進めることができます。
面倒なことを先に済ませると後が楽なので、引っ越しの片付けや近所への挨拶回りなどで大変ですが、自動車の引っ越し手続きも自宅同様、早めに住所変更をするようにして下さい。
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