国内では軽自動車の需要が極めて高く、販売されている自動車の半数以上が軽自動車です。そのため、軽自動車のジャンルにおけるメーカー間の競争は激しく、より質の高い軽自動車が生み出されています。
そんな中、燃費不正問題でイメージダウンとなったのがeKワゴンです。人気の低下によって、買取価格にも影響が出ていることを心配する人も多いでしょう。そこで、eKワゴンを少しでも高く売るポイントを紹介します。
目次
eKワゴンの特徴、スペック、燃費
最新の買取相場でできるだけ高額な査定を引き出すためにも、まずは三菱eKワゴンの特徴やスペック、燃費性能などの基本情報をおさえておきましょう。
eKワゴンの特徴
eKワゴンは、三菱自動車が2001年から販売している軽トールワゴンです。
最近のクルマは軽自動車でもいわゆるインパクトの強いフロントフェイスを採用する車種が増えていますが、eKワゴンは2001年の初代登場時以来、万人受けする誰にも嫌われにくいシンプルでクリーンなデザインを代々採用しており、最新型でもその方針が踏襲されています。
また、デザインだけでなく使い勝手のほうもクセがなくて扱いやすく、乗り手を選びません。そして価格面もこなれており、誰でも手に入れやすい敷居の低さがウリです。
これらの特徴から、eKワゴンは
「とくにクルマに対して強い興味があるわけではないけど、足となるクルマは必要」
という一般層からの個人需要や、
「お客様の目もあるのでアクの強いデザインは避けたいし、複数台まとめて購入するのでできれば低価格なほうがいい」
という法人需要によって安定的に支えられてきました。
2013年に発売された3代目ekワゴンも目標販売台数の3倍以上と当初から順調な滑り出しを見せていたのですが、2016年に重大な問題が発覚します。
eKワゴンとその兄弟車の公表燃費(いわゆるカタログ値)に偽装があり、実燃費とかなりの乖離があったという燃費不正問題です。
これをきっかけに、三菱自動車はさらにブランドイメージが悪化。eKワゴンの新車販売にも大きなブレーキがかかることとなってしまいました。
後述しますが、このことはeKワゴンの中古車市場での評価にもネガティブな影響を与える結果となっています。
そんな紆余曲折もありつつ、2019年3月には4代目eKワゴンが発売されました。
装備の充実したGグレードと、廉価なエントリーモデルにあたるMグレードが設定され、それぞれにFFモデル(B33W型)と4WD(B36W型)が用意されています。
機能面では三菱車としては初めてとなる高速道路同一車線運転支援技術「MI-PILOT(マイパイロット)」が採用されました。
これは、一定速度範囲内で前者に追従するアダプティブクルーズコントロール(ACC)と、車線中央の走行を維持できるようステアリング操作を助ける「車道維持支援機能」を合わせ持った技術です。
先代モデルで不正が問題になった燃費面についても、新型ではより向上させています。
eKワゴンの基本スペック
eKワゴン(B33/36W型)のサイズ・重量は以下のとおりです。
全長:3395mm
全幅:1475mm
全高:1640(FF)・1660(4WD)mm
車両重量:830(FF)・890mm(4WD)kg
軽自動車は規格により、全長3400mm以下、全幅1480mm以下、全高2000mm以下という制約があります。
以前から、各社ともすでに全長と全幅についてはギリギリまで伸ばしていたので、さらに居住性や積載量を高めるには、あとは高さ方向に伸ばすしかありませんでした。近年、背高の軽自動車が増えたのはそのためです。
軽トールワゴンの草分けのひとつといえるekワゴンですが、いまでは全高が1700mmを超えるモデルも珍しくなく、同車のサイズはもはや控えめであるとさえいえます。
eKワゴンの燃費性能
4代目eKワゴン(B33W/B36W型)の公表燃費値は、JC08モードで以下のようになっています。
・FFモデル(B33W型):29.4km/L
・4WDモデル(B36W型):24.6km/L
発売されて間もないため、実燃費情報はまだ十分な量が集まっていません。
参考までに、燃費偽装問題で物議を醸した先代モデル(B11W型)の実燃費値を挙げると、
・FFモデル:17.6km/L
・4WDモデル:16.9km/L
となっています。カタログ値ではJC08モードで26km/Lほどと謳っていたので、実燃費とかなり大きな乖離があったことがわかります。
eKワゴンの最新買取相場
燃費不正問題の影響もあり、eKワゴンの買取相場状況は、ユーザーにとって決して良好であるとはいえません。
しかし、やりようによっては手堅く納得のいく査定額を引き出すことも十分に可能です。
まずはeKワゴンの代表的な買取事例を紹介したうえで、どうしたら高額買取を実現できるのかを解説していきます。
代表的な買取事例
■ 1年落ちモデルの買取事例
グレード:eKワゴンE
カラー:ホワイト
年式:平成30年式(2018年式)
走行距離:3万km走行
査定額:57.6万円
新車価格:104.0万円
→ 残価率:約36.4%
■ 3年落ちモデルの買取事例
グレード:eKワゴンM
カラー:ブラック
年式:平成28年式(2016年式)
走行距離:3万km走行
査定額:34.5万円
新車価格:119.0万円
→ 残価率:約37.9%
■ 5年落ちモデルの買取事例
グレード:eKワゴンM
カラー:ブラック
年式:平成26年式(2014年式)
走行距離:3万km走行
査定額:33.3万円
新車価格:132.7万円
→ 残価率:約25.1%
ご覧のように、中古車としてはまだまだ新しい1年落ちや3年落ち、5年落ちの段階でもかなり値落ちが大きいです。
そもそも、いい意味でも悪い意味でも特徴がない車種なく、「eKワゴンでなければいけない!」というニーズがあまり存在しません。
そこに先代モデル(B11W型)の燃費偽装問題が発覚したことで、市場でのイメージが悪化し、さらに需要が下がってしまったことは否めないでしょう。
残念ながら、先代モデルの買取市場での評価が上向く要素は見当たらず、時間が経てば経つほど買取額が大きく下がってしまう可能性が濃厚です。
高額買取を実現する方法
上述の理由から、少しでも高く売りたいと考えているなら、早めに売却に動くのが最適解であるといえます。
ただし、やみくもに動くのは注意が必要です。三菱自動車のディーラーでの下取り査定だと、かなり渋い見積りになる可能性があるからです。
他のekワゴンユーザーもディーラー下取りに出しているわけですが、ディーラーとしてはせっかく下取りしたところで現状ではeKワゴンはあまりスムーズにさばける車種ではありません。
そのため、在庫をだぶつかせてまであえて下取りするインセンティブがないので、ユーザーにとっては満足できる査定額を引き出すのが厳しいのです。
そこで有効なのが、一括見積査定サービスなどで複数業者に見積りをかけること。買取業者によっては、手元の軽トールワゴンの在庫が薄いため、補充できればしたいと考えているケースがあります。
さらに、一括見積査定サービスで見積り査定を依頼すると、業者同士で競争になるので各社負けじと高めの査定額を提示するのもよくあることです。
以上のように、現在の買取相場状況下でeKワゴンの高額買取を実現するには、
・できるだけ早く売却する
・一括見積査定サービスで業者同士を競争させる
といった手段を採ることが最も有効な選択肢であるといえるでしょう。
eKワゴンの人気グレード
最新型の4代目ではMとG2グレードに絞られ、最もよく売れているのはM(エントリーグレード)です。
そもそもユーザーがekワゴンを選ぶ理由として多いのが、近所への買い物や近場への通勤などに使える手頃な価格のクルマだからという点です。そのため、グレード選択においても最も価格の低いエントリーグレードがよく選ばれる傾向が強いです。
最新型ではMグレードでも十分に快適な装備がついているので、エントリーグレードだからといって不足を感じることはないでしょう。
かたや先代モデルでは、エントリーグレードEの装備は必要最低限だったので、安全機能などのバランスが取れたM e-アシストに人気が集まっていました。
より高額に買い取ってもらうポイント
運転がそれほど得意ではないユーザーからも選ばれることが多い車種なので、安全機能などを備えていると買取査定にあたって高評価です。
人気のカラー
定番のホワイトとブラックが新車販売の上位を占めており、中古でもやはり人気があります。
ピンクやブラウンといった有彩色でも、女性から一定の需要があります。
人気のオプション
e-アシスト(衝突被害軽減自動ブレーキ)やマルチアラウンドモニターは運転が苦手な人にとって安心できる装備なので、オプションとして付いているモデルは評価が高くなります。
10年落ちの場合値段はつくか?
10年落ちのeKワゴンでも値段がつくか、代表的な査定事例を挙げて見てみましょう。
■ 10年落ちモデルの査定事例
グレード:M
カラー:黒
年式:平成21年式(2019年式)
走行距離:6万km走行
査定額:7.1万円
新車参考価格:132.7万円
→ 残価率5.4%
■ 11年落ちモデルの査定事例
グレード:ブルームエディション
カラー:アイボリー
年式:平成20年式(2008年式)
走行距離:5万km走行
査定額5.0万円以下
新車参考価格:119.1万円
→ 残価率4.2%
値段はつくものの、一桁台の査定額という結果になりました。
そもそも、年式の浅いもので7年落ちの個体からすでに一桁台の事例が出てきています。
それ以上に古いものになると、もはや年式に関係なく、個体の状態の良さで値段がつくかどうかが決まっているのが現状です。
軽自動車のようにつくりが簡素なジャンルは、年式が古いとそのぶん個体の経年劣化が激しくなっているので、どうしても低めの査定結果になってしまうのは否めません。
したがって、10年落ち以上の年式の古いモデルになると、値段はまったくつかないわけではないですが、買取査定における評価はかなり厳しいものになることを覚悟する必要があります。
少しでも高く売るためには、やはり前述のようにできるだけ早い売却と、一括見積査定などで複数業者での比較しかないでしょう。
まとめ
eKワゴンの買取相場は、かなり厳しめの状況にあります。ただでさえ手頃で良質な軽トールワゴンが他のメーカーからも数多く販売されているなか、燃費偽装問題でイメージが悪化したeKワゴンはどうしても査定額が渋めになってしまうといえるでしょう。
また、年式が進んだものほど査定では不利になってしまいます。そのほかにも、2019年3月のフルモデルチェンジによって、これまでのモデルが旧モデルとなったことも価格を下げる一因でしょう。
しかし、早めの売却と一括見積査定サービスの活用によって、高額とはいかないまでも手堅いラインの買取額に着地させることは十分に可能です。ぜひお試しください。